常識を覆す、FRPの循環利用。天龍コンポジットが電炉CCS法で再生困難物の再資源化を達成。

4か月で1トン超の資源回収、サティスファクトリーが協力

サティスファクトリー

2025年6月11日 10時00分

FRP（繊維強化プラスチック）製品の製造・販売を行う天龍コンポジット株式会社（岐阜県加茂郡）は、ケミカルリサイクル「電炉CCS法」を活用し、従来リサイクルが困難とされた製造端材の再資源化に成功しました。2025年2月の運用開始からわずか4か月で、合計1トン超の処理実績を達成しています。本取り組みは、脱炭素と循環型社会への貢献に加え、素材・化成品業界の「FRPは埋立処理が前提」という常識を覆すものです。資源物流のスキーム構築と運用は、株式会社サティスファクトリー（東京都中央区）が担い、実践的なモデルケースとして展開することができました。

背景｜FRP業界の環境課題と向き合う

FRPは軽量・高強度・耐腐食性に優れ、金属の代替素材として需要が拡大しています。一方で、熱硬化性樹脂を用いるため再加熱による溶解や分解が困難で、他素材との複合使用も多く、不用になると多くが埋立処分されています。近年では埋立容量の逼迫や処分費用の上昇、環境配慮への要求が高まる中、FRP廃棄物の再資源化に向けた取り組みが求められるようになってきました。

概要｜「電炉CCS法」による再資源化スキーム

埋立処分に代わる新たな資源循環の道を社会実装するために、本取り組みではケミカルリサイクル技術「電炉CCS法」を採用しました。これは、製造過程で発生するFRP端材を炭素固定素材として評価し、製鋼工程に再利用するものです。成果物として得られる加炭材＊は、従来石炭由来のコークスが担った役割を代替し、電炉で使用されます。これにより、廃棄物の排出抑制だけでなく、CO₂排出削減にも貢献します。

＊加炭材：鉄の硬度を高める製鋼副資材

主な処理フロー

① 廃棄物を鉄粉とあわせて破砕・圧縮成形

② 製鉄工程で使用される加炭材へ再資源化

③ 電炉メーカーに供給

④ 鉄スクラップとともに電炉で溶融・製鉄

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成果｜4か月で1トンを超える資源回収

　2025年2月のプロジェクト開始から4か月で、合計1トンを超えるFWPコアやその他様々なFRPパイプ製造時の端材を資源として回収し、廃棄を回避しました。従来こうした廃棄物は埋立処分され、最終処分場の逼迫や環境への悪影響が懸念されていました。今回のスキームにより、再資源化が可能となり、廃棄に依存しない処理体制の構築が進んでいます。