【HR総研】「社員のリスキリング」に関する調査レポートを公開
~事業成果が出ている企業は「スキルの可視化」への取組み率が2倍以上~
様々な産業の分野でデジタル化が進む中で、その変化にスムーズに対応し、事業やサービスを構築していくことは多くの企業にとって急務であると言えます。そのためにも、時代の流れを見据えて今後必要とされるスキルや知識を、新たに習得する「リスキリング」の取組みは重要性を増しています。
特に、近年DX推進に取り組む企業が増える中で、高度な専門性を持ったデジタル人材を獲得する戦略としてリスキリングが語られることが多くなっています。こういったDX人材を育成するためには社内での研修のみでなく、社外の研修プログラムの活用や、他社・外部機関との連携等、多方面からの取組みが必要となります。
本レポートでは、各企業のリスキリングの取組み実態と課題について最新動向について、フリーコメントも含め結果をご報告いたします。
【調査概要】
アンケート名称:【HR総研】「社員のリスキリング」に関するアンケート
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査期間:2023年9月20~27日
調査方法:WEBアンケート
調査対象:企業の人事責任者・担当者
有効回答:246件
【調査結果サマリー】
●社員のリスキリングに「既に取組んでいる」大企業は5割、中堅・中小企業は2割
●デジタル・IT関連で習得してほしいスキルは「データ分析・統計」が最多で7割
●社内人材のスキル可視化ができている企業は4割
●リスキリングの取組みが事業上の成果に繋がっている企業は5割
●社員のリスキリングの成果が出ている企業の特徴は?
●リスキリングの成果が出ていない企業では従業員のモチベーションに課題感
●事業成果が出ている企業は「スキルの可視化」への取組み率が2倍以上
●社員がネットワーク構築に積極的な企業、8割がリスキリング成果を実感
●社員のリスキリングに関する自由意見
<<<調査データより一部抜粋してご紹介いたします>>>
▼社員のリスキリング推進のために実施している施策
事業成果が出ている企業は「スキルの可視化」への取組み率が2倍以上
「社員のリスキリング推進のために実施している施策」について、具体的に見てみると、「社内での研修の実施」が最多で74%、次いで「社外の研修・スクールへの派遣」が55%、「外部のe-learningプログラムの利用」が54%などとなっている。
▼事業上の成果別 社員のリスキリング推進のために実施している施策
リスキリングの取組みにより「事業上の成果が出ている企業」と、「事業上の成果が出ていない企業」について、それぞれ取組み施策を見てみる。成果が出ている企業の方が、成果が出ていない企業よりもほとんどの項目について取り組んでいる割合が高かったが、「社内での研修の実施」「社外の研修・スクールへの派遣」「外部のe-learningプログラムの利用」等の学ぶ機会の提供に関する項目については、成果が出ている企業と出ていない企業で顕著な差は見られなかった。一方で、成果が出ている企業と出ていない企業で取組状況に顕著な差が見られる項目もあり、「社員の取得スキルの可視化」(25ポイント差)や「副業・兼業の容認」(28ポイント差)については、成果が出ている企業の方が顕著に取り組んでいる割合が高かった(下図)。これらの施策は社員が自分自身のスキルレベルを把握し、危機感やスキル習得の必要性を実感することに繋がるなど、社員の「学ぶ動機」にも繋がり得る項目である。学ぶ環境の整備と併せて学びの動機付けのための仕組みづくりにも取り組む必要があるだろう。
▼社員のリスキリングに関する具体的な取組み状況(現状把握・方針整理)
社内人材のスキル可視化ができている企業は4割
社員のリスキリングに関する具体的な取組み状況について、まず社員が持つスキルなどの前提情報の把握や、会社方針の整理状況について見てみる。
「習得してほしいスキルの明示」については、「できている」(9%)と「ややできている」(39%)との合計が48%と5割ほどとなっているが、「社内人材のスキルの可視化」については、「できている」(7%)と「ややできている」(32%)との合計が39%と、約4割にとどまっている。また、「キャリアパスの明示」については、「できている」(6%)と「ややできている」(37%)との合計が43%と、こちらも約4割となっている。
▼「社員のリスキリング」に関する自由意見(一部抜粋)
・組織のニーズと個人のニーズをどこまですり合わせられるかが課題(1,001名以上/サービス)
・世の中的には必要なアクションだと思うが、製造に特化した子会社では、あまり縁がない(1,001名以上/メーカー)
・従業員間で、まだリスキリングの重要性を認識できていないと感じる。全社的にリスキリングの箱のようなものはあっても、従業員にそれを活用しよう、成長しようという熱量が無いように思う(1,001名以上/メーカー)
・社員の自発性を喚起するのが重要と考えているが、必ずしも上手くいっていない。推進する立場として、未来志向で説明するのか、危機意識を利用するのか、決断しきれていない(1,001名以上/商社・流通)
・主体は本人であり、企業はサポートをしていく(301~1,000名/メーカー)
・その必要性と意欲を喚起することが難しいと感じ、言葉だけが先行している印象がある(301~1,000名/メーカー)
・社員が自発的に取り組むもので、それを会社が支援するという形式ではないか(301~1,000名/メーカー)
・本当に難しさを感じている。社内の人事リソースが圧倒的に足りていないのが、リスキリング施策が進まない大きな要因。外部HR系会社から提案は受けるが、どれも正直ピンと来ない。社内でどうすればフィットするものを選択できるか日々悩んでいる(301~1,000名/商社・流通)
・今後の事業の方向性の明確化と、それに必要な人財の具体化が無いとリスキリングの方向が定まらないと考える(301~1,000名/情報・通信)
・会社からの要望もそうだが、本人の意志や意識が非常に重要(300名以下/マスコミ・コンサル)
・事業体制上、新たに専門性が求められる職務が生まれないためリスキリングのニーズもない。リカレント教育や自己啓発であればニーズを感じる(300名以下/マスコミ・コンサル)
・必要とは思うし、やった方が良いとは思うが、時間やコストに対する効果が見えにくく、周囲の理解を得ることは容易ではない(300名以下/メーカー)
【HR総研 客員研究員からの分析コメント】
曽和 利光氏
株式会社人材研究所 代表取締役社長 /日本採用力検定協会理事 /日本ビジネス心理学会理事 /情報経営イノベーション専門職大学 客員教授/HR総研 客員研究員
個々人に必要な「仕事経験」を割り出してアサインできる体制作りを
リスキリングとは文字通り「再び新しいスキルを身につけてもらうこと」であるが、そもそも人はどのようにしてスキルを身につけるのだろうか。
有名な米ローミンガー社の人材育成における「70:20:10」の法則では、人が成長する要因は仕事経験が7割、他者からの薫陶が2割、研修が1割とのことだ。実際、多くの人が「仕事が人を育てる」と言う。しかし、今回の調査では「配置転換によるスキル向上」等の仕事経験によるリスキリング施策は3割に満たず、ダントツの1位は74%の研修となっているのはやや気になるところだ。
もちろん研修がダメなわけではない。仕事から得た経験をスキルとして定着させる「経験学習」の観点からも研修は重要だが、元々の必要な経験がなければ整理する機会ばかり与えても、せっかくの研修効果は最大化しない。また、一斉研修では、個人個人違うはずのスキルに合わせることができず、どうしても過不足が生まれそうだ。
本質的には、社内人材のスキル可視化(「ややできている」以上の会社はまだ約4割)を行うことで、個々人にとって必要な経験を割り出し、それを補う経験ができる仕事のアサインを「個別に」行える体制を作ることが「リスキリングを推進する体制」ではないだろうか。
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▶【HR総研】「社員のリスキリング」に関する調査レポート
https://www.hrpro.co.jp/bc.php?id=64233
▶過去のHR総研のレポート一覧はこちら
https://www.hrpro.co.jp/bc.php?id=52994
▶HR総研の各調査のマンスリーレポートなどホワイトペーパーはこちら
https://www.hrpro.co.jp/bc.php?id=52995
※本レポート内容は、引用、参照いただけます。
下記要項にてお問合せ先までご連絡をお願いいたします。
1)出典の明記:「ProFuture株式会社/HR総研」
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・目的
※HR総研では、当調査に関わる集計データのご提供(有償)を行っております。
詳細につきましては、下記までお問合せください。
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■お問い合わせ先
HR総研(ProFuture株式会社内)
担当 : HR総研 久木田・高槻
E-mail: souken@hrpro.co.jp
HR総研サイト:https://www.hrpro.co.jp/hr_research_institute.php
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■会社概要
企業名 : ProFuture株式会社
代表者 : 代表取締役社長CEO 寺澤 康介
所在地 : 〒100-0014東京都千代田区永田町2-14-2 山王グランドビル5階
設立 : 2007年7月
事業内容 : 人事ポータルサイト『HRプロ』、CMS・MA一体型ツール『Switch Plus』、
人事担当者・経営者向けイベント『HRサミット』の開催などメディア事業、
イベント事業、ソリューション事業、人事関連の研究
URL : https://profuture.co.jp/
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