「中央アジア＋日本」対話・首脳会合で、森林火災対策ファイテック、カザフKazavialesoohranaと消火システム実証MoUに調印

中央アジアにおける持続可能な森林管理と脱炭素社会の実現に向け、ファイテックの技術で国際的課題の解決を推進

ファイテック

2025年12月24日 20時29分

　株式会社ファイテック（本社：愛知県丹羽郡大口町、代表取締役社長：林富徳、以下「ファイテック」）は、2025年12月19日から20日に開催された「中央アジア＋日本」対話・首脳会合（CA+JAD：Central Asia + Japan Dialogue、カジャッド）の「中央アジア＋日本」ビジネスフォーラムにおいて、カザフスタン共和国エコロジー・天然資源省所管の国営企業・国家森林航空保安企業「カザヴィアレソオフラナ（Kazavialesoohrana）」との間で、森林火災対策に関する協力覚書（MoU）に調印しました。

写真：（左）株式会社ファイテック代表取締役社長林富徳、（右）Kazavialesoohrana General Director Marlen Sansyzbayevich Ainabekov氏　※撮影写真の技術的な不備を補正するため、一部修正しています。

　本MoUは、森林火災の早期鎮圧および被害低減を通じて温室効果ガス排出の削減を図り、カーボンニュートラルの実現に貢献することを目的としています。

　この目的の達成に向け、環境負荷の低い林野火災用消火システムについて、実際の森林火災現場における検証（フィールド実証）を中心に、両者で協力を推進します。

写真：「中央アジア＋日本」ビジネスフォーラム署名披露式　写真提供：（一社）ROTOBO

【カザフスタンにおける森林火災対策と脱炭素への取り組み】

　　カザフスタン共和国は、広大な森林・草原地帯を有する一方、近年は気候変動の影響により森林火災の発生頻度および規模が拡大しており、森林資源の損失や二酸化炭素排出量の増加が深刻な国家的課題となっています。

　　これらの森林火災は、同国の環境や経済に影響を及ぼすにとどまらず、大量の温室効果ガスを大気中に放出することで、地球規模の気候変動をさらに加速させる要因となっています。さらに、森林の消失は、本来吸収されるべき二酸化炭素の吸収源を失わせ、地球全体の炭素循環バランスに長期的な影響を及ぼすことが懸念されています。

　　こうした背景から、同国政府は、持続可能な森林管理およびカーボンニュートラル達成に向けた国家戦略の一環として、森林火災の予防ならびに早期消火体制の強化を重要政策に位置付けています。

【日本の技術を活用した実証実験プロジェクト】

　ファイテックは、日本において消火剤および消火システムの開発・製造を担ってきた企業として、高効率かつ環境に配慮した消火技術を強みとしています。

　本MoUに基づき、両者は以下を柱として協力を推進します。

環境負荷の低い林野火災用消火システムの現地フィールド実証
森林火災の早期鎮圧および被害低減効果の検証
航空消火を含む実運用を想定した技術評価
将来的な本格導入に向けた知見の蓄積

【JICA Biz事業を起点とした本プロジェクトの位置づけ】

　当社は、独立行政法人国際協力機構（JICA）の2024年度「カザフスタン国森林火災の早期消火に資する消火剤のニーズ確認調査」を通じて（※公開情報（採択事業検索｜JICA））、カザフスタン側関係機関との課題・ニーズを体系的に整理し、現地の実情に即した解決アプローチの妥当性を確認してまいりました。その成果として、このたび森林火災対策分野における協力覚書（MoU）の締結に至り、事業化に向けた協力体制の基盤を構築することができました。

　さらに、2025年度「森林火災用消火剤（消火技術・消火システム）のビジネス化実証事業」（※公開情報（2025年度中小企業・SDGsビジネス支援事業（JICA Biz）採択案件一覧））に採択いただき、本取り組みを実証段階へ進める機会を賜りました。ニーズ確認調査での調査結果を踏まえつつ、実証事業では、カザフスタン共和国において持続的に運用可能な仕組みとして定着させ、森林火災の早期鎮圧および被害低減に資する実効性の高いモデルの確立を目指します。

　また、中央アジア域内の他国への横展開、さらには国際的な展開につながる再現性のある枠組みとして発展させることで、日本の民間技術による地球規模課題の解決に貢献してまいります。JICAをはじめ関係各位のご指導・ご支援に深く感謝申し上げるとともに、我が国を代表する一企業としての責務を自覚し、誠実かつ着実に事業を推進してまいります。

JICA Biz採択情報

【JICAウェブサイト】

▼該当ページ

2025年度「中小企業・SDGsビジネス支援事業（JICA Biz）」：62件の採択を決定｜ニュース・広報 - JICA

▼TOP新着情報（NEWS）

JICA - 国際協力機構

▼ニュースリリース

ニュースリリース｜ニュース・広報 - JICA

【今後の展望】

　両者は、本MoUを出発点として、カザフスタン共和国における森林火災対策の高度化を図るとともに、森林保全を通じたカーボンニュートラルへの具体的かつ実効性のある貢献を目指します。

　ファイテックは、本取り組みを通じて、中央アジア地域の持続可能な社会経済発展に寄与するとともに、日本発の環境・防災技術の展開を加速し、地球規模課題の解決に挑戦し続けます。なお、実証実験の具体的な内容および今後の進捗については、適宜発表してまいります。

【森林火災対策技術「FOREST DEFENDER」および空中消火システム「FEI」について】

　ファイテックが開発した「FOREST DEFENDER（フォレスト・ディフェンダー）」は、林野火災に特化した次世代型の消火剤です。森林火災によって生じる大規模な二酸化炭素排出や森林資源の喪失といった被害の拡大を抑制することを目的として開発されており、水で低濃度に希釈するだけで高い消火・燃焼抑制効果が確認されています。延焼を食い止める防火帯の形成にも優れており、被害の早期封じ込めに貢献します。

　同消火剤は、淡水だけでなく海水でも使用可能な高い耐塩性能を有するほか、界面活性剤を使用しない肥料に近い成分で構成されているため、植物の生育や土壌環境に悪影響を与えにくい、環境配慮型の消火剤です。

　近年、環境負荷の観点から問題視されているPFAS（有機フッ素化合物）を一切含まない点も大きな特長であり、高い安全性と消火・燃焼抑制性能を両立しています。事前散布による延焼抑制にも対応可能です。

　さらに、「FOREST DEFENDER」は、ファイテックが開発したヘリコプター用消火剤注入システム「FEI（Fitech Easy Injection）」と組み合わせることで、次世代型の空中消火システムとして運用することが可能です。FEIは、ヘリコプター機内からボタン操作一つで、設定した量の消火剤を正確かつ迅速に注入できるバッチカウンタ方式の装置であり、世界中のさまざまな機種のヘリコプターに対応する設計となっています。

　本システムは、防衛省の電磁干渉試験に合格した、国内でも極めて稀な消火剤注入装置であり、陸上自衛隊でも採用実績があります。1,000リットルの消火剤を搭載した場合でも、連続した空中消火活動（複数回の投下）を可能とし、短時間で広範囲の火災対応を行える点が特長です。

　また、「FOREST DEFENDER」とFEIは、陸上自衛隊でも採用されている空中消火バケツの付属装置として使用することができ、既存の空中消火資機材を活用しながら、高度な消火能力を付加することが可能です。

　これらの技術的有効性については、日本火災学会誌にも論文が掲載され、専門的な観点からも高い評価を受けています。

【株式会社ファイテックについて】

　株式会社ファイテックは、愛知県大口町に本社を置き、日本国内に加え海外48カ国に事業展開実績を持つ、消防・防災分野を中心とした化学製品および安全関連ソリューションの製造メーカーです。

　主力製品には、「ファイテック投てき用消火用具」「天ぷら油用消火剤箱のままいれるだけ」「業務用消火スプレーフライングジェット」などがあり、林野火災用消火剤「FOREST DEFENDER（フォレスト・ディフェンダー）」や、ヘリコプター用の消火剤注入システム「FEI（Fitech Easy Injection）」をはじめとする、林野火災対策向けの消火資機材開発にも取り組んでいます。

　特に、林野火災（山火事）対策における消火剤開発力は高く評価されており、陸上自衛隊においても採用実績があります。

　また近年では、消防・防災分野で培ってきた「人命と財産を守る」という技術思想を、都市型インフラ分野へと拡張し、AI・クラウド技術を活用した宅配ボックス暗証番号管理システム「Passluck（パスラック）」を開発・提供しています。

　ファイテックは今後も、消防・防災分野から都市インフラ領域に至るまで、「安全・安心」を軸とした技術開発と社会課題解決型の事業展開を通じて、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。