台湾手動工具産業の振り返りと今後の展望<ワイズ機械業界ジャーナル2021年4月第5週号発行>
〜台湾機械業界の動向が分かる〜
ワイズコンサルティング グループ(本社:中華民国台北市、代表取締役:吉本康志)は台湾機械業界専門誌「ワイズ機械業界ジャーナル」の4月第5週号を発行しました。今週号では、電源ユニット業界、手動工具業界、機械主軸メーカーの健樁工業(KENTURN)、工作機械業界について紹介します。
<210429号内容>
1 | 2020年台湾電源ユニット製造業の景気動向と今後の展望 |
2 | 2020年第4四半期台湾手動工具産業の振り返りと今後の展望 |
3 | 機械主軸メーカー 健樁工業(KENTURN) |
4 | 台湾工作機械産業の半導体設備市場における商機 |
●今週号の記事を一部紹介します。
2020年第4四半期の台湾手動工具産業の生産額は前期比2.4%増の183億1,000万台湾元だった。輸出額は同3.5%増の169億4,000万台湾元、輸入額は同9.5%減の12億5,000万台湾元だった。
2020年は新型コロナウイルス感染症の流行が世界経済に打撃を与え、20年第2四半期の台湾当産業の生産額と輸出額は落ち込んだ。第3四半期に入ると感染状況が落ち着き、各国で製造業が稼働を再開して、政府が経済振興策や量的金融緩和を実施したことから、20年第3四半期の台湾当産業の生産額と輸出額はプラス成長した。しかし、上半期の世界的な経済停滞の影響が大きかったため、20年通年の生産額は前年比4.5%減、輸出額は同7.0%減でいずれも小幅減少となった。
2021年第1四半期から大手製薬メーカーが新型コロナウイルスのワクチンを量産開始し、各国でワクチン接種が実施され始めたことから、感染状況の緩和が期待されている。各研究機構は21年の世界景気を楽観視しており、台湾当産業の21年の生産額と輸出額も小幅成長を維持できると予測される。
見本市開催でアフターコロナの商機を狙う
2020年10月13〜15日、台湾金物見本市(台湾ハードウェアショー、THS)と台湾金属材料・精密加工設備見本市(インターナショナル・メタル・テクノロジー台湾、iMT)が台中国際展覧館(台中市)で開催された。新型コロナウイルス感染症流行の影響で会期が延期されたものの、400社以上のメーカーが出展し、▽金属材料▽鋳造▽鍛造▽熔接▽表面処理など金属精密二次加工の技術と設備が展示された。
今回の見本市はオンラインとバーチャルリアリティー(VR)技術を用いて、台湾に渡航できないメーカーの参加を実現した。例えば、工具収納箱大手の樹徳企業(SHUTER)はインターネット中継で海外バイヤーへの製品紹介と販売を行った。
見本市の実体会場には、海外大手メーカーの在台代表者、提携業者や販売業者が来場した。新型コロナウイルス感染症の流行を受けて、見本市は新たな挑戦に挑むことになったが、オンラインやバーチャルによる開催はコストが低いため、今後のトレンドとなる可能性がある。デジタル化が進む中、バイヤーは拡張現実(AR)やVR技術を利用してメーカーの工場を訪問することもできるだろう。台湾当産業メーカーはデジタル技術を活用したマーケティングに注力することで、コストダウンを図るだけではなく、より幅広い海外顧客と交流するチャンスを得ることもできる。
インフラ整備の推進と製造業の稼働再開により、手動工具の需要は拡大の見込み
2020年第4四半期、新型コロナウイルス感染症は第2波が拡大したが、各国の対応措置が適切だったことに加えて、20年12月からワクチンの量産が開始し、各国で次々とワクチン接種が実施され始めたことから、今後流行は徐々に収束していくとみられる。また、各国政府が経済振興政策を打ち出したことが、21年の世界経済への追い風となる見通しだ。
とくに各国の政府によるインフラ整備の推進、工業・製造業の稼働再開によって、手動工具の需要は世界的に拡大している。このため、2021年第1四半期の台湾当産業の輸出額はコロナ以前の水準を回復する見込みだ。
各研究機構は2021年の世界経済成長率を4〜5.5%と予測しているが、新型コロナウイルス感染症の変異種に対するワクチンの有効性は未知数だ。さらに、各国政府の経済振興政策は国債の増加というリスクがあるため、今後の世界経済への不確定要素となっている。以上の要因から、アフターコロナ時代の市場で生き残るため、台湾手動工具メーカーの災害に対する対応力を高めるべきだろう。
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