大学入学者選抜改革に関するアンケート調査/高校教員に聞いた、大学入学者選抜改革に対する課題や懸念

“大学入学者選抜改革の方向性は約9割が理解。しかし、確定した内容や具体的な情報の不足に現場は混乱”

高校生向けに大学・短期大学・専門学校等に関する進路情報を提供する株式会社さんぽう(本社:東京都渋谷区/代表取締役社長:渡邉王雄)は、文部科学省が進めている「高等学校教育改革」・「大学教育改革」・「大学入学者選抜改革」の3つの柱で構成される高大接続改革実行プランのうち、「大学入学者選抜改革」について、高校進路指導現場における現段階での認知度や対策の状況を明らかにするため、「大学入学者選抜改革に関するアンケート」を実施しました。主な集計結果を以下の通りご報告いたします。

【アンケート集計結果】

問1.大学入学者選抜改革の内容についてどの程度知っていますか。

 

「よく知っている」が8.5%、「概ね知っている」が79.3%という結果だった。両者を合わせると約9割が大学入学者選抜改革の内容について把握している結果となる。さらに、「全く知らない」との回答がほぼみられなかったことから、大学入学者選抜改革に関する事項について積極的に情報収集しようとする高校現場の様子がうかがえる。しかしながら、日ごろ指導している生徒の将来に直接的に関わる重大事項であるがゆえに、文部科学省をはじめとする関係各所はこれで十分という認識をもつのではなく、「概ね知っている」「あまり知らない」層を「よく知っている」層にまで持ち上げるための努力が必要である。この改革によって大きな影響を受ける世代が現1年生としてすでに高校に在籍していることを考えると、関係各所は高校現場が求める情報提供の在り方を理解したうえで早急に対応することが求められる。

 

問2.貴校の生徒が新たな入試に対応するための課題は何だと考えますか(複数回答可)。

 ●ポートフォリオの作り方・書き方を課題とする意見が多数(76.7%)。「思考力・判断力・表現力」の醸成は必要だが、改めて学力の基礎を身につけることの重要性を訴える声も。

多くの選択肢で過半数を超え、入学者選抜改革における課題は多岐に渡ることが判明した結果となった(回答率上位から、「ポートフォリオの作り方・書き方」=76.7%、「思考力・判断力・表現力を問う問題への対応」=75.8%、「英語4技能への対応」=68.9%、「総合型・学校推薦型選抜で必須化される評価方法への対応」=56.3%)。なかでも「ポートフォリオの作り方・書き方」・「思考力・判断力・表現力を問う問題への対応」が7割以上、「英語4技能への対応」が7割程度と目立っている。入学者選抜改革は様々な要素が同時に見直されるため、一つの課題を乗り越えればよいと言うものではない。そのため、複数の事柄について情報を収集して理解し、生徒を指導していかなければならない状況に高校現場での対応の難しさがあるだろう。

「多面的・総合的な評価」として様々な観点から評価される入試に変化していくなかで、主に主体性の評価を担うポートフォリオの作り方・書き方が不透明であるとする意見が多い。ポートフォリオにおいては1学年からの「学びの履歴」を蓄積していく必要があるため、今すぐにでも取り組みを開始したいという現場の状況を反映しての結果だろう。しかし、e-Portfolioに記録を残すのか、紙ベースで残すのか、またその手法について悩む高校も多いのが現状だ。

「思考力・判断力・表現力を問う問題への対応」についても課題として挙げる意見が多いことから、その必要性と重要性は認識されていることがうかがえる。しかし、高校ではこれまで主にチョーク&トークで授業が展開され、入試の内容も知識の有無を中心に問う内容だったことにより、思考力・判断力・表現力を養う授業の在り方に課題を残しているのではないだろうか。自由記述回答においては、思考力等を養う授業の展開にはそもそも基礎的な学力が必要との声もあり、いかにして学びの基礎・土台となる知識を早期に身につけさせるか、授業改善・カリキュラム改善を含めた仕組みづくりが課題との意見がみられる。他にも、教員全体で入試改革についての理解を深め、日ごろの指導を行う必要があると、現場での意識に関する意見もあった。

【その他の記述回答(抜粋)】
・これまでと同様、基本的な力をつけさせること。確かな学力をつけさせることが課題。
・そもそも基礎学力が足りない。
・調査書への主体的な記述をどうするか。
・活動記録の正確な蓄積。
・教員側の積極的な理解。対応が必要であることを教員が共通理解すること。
・カリキュラムの改善。

 

問3.貴校で大学入学者選抜改革への対策として取り組んでいることはありますか。ある場合は、それぞれ具体的にご記入ください。                                    ※回答数が2以下の場合はその他として集計


①学習支援サービスの導入

 











 

 

 

②ポートフォリオに関するサービスの導入













③民間英語検定・資格試験への対策













④大学入学共通テストへの対策













⑤調査書の様式変更及び入試でのポートフォリオ活用に向けた対策

 

 










⑥その他(自由記述)
今年度は学校視察で道外、道内の数校から教授を受ける。
・段階的な小論文指導、高大連携プログラムでのプレゼンなど。
・小論文・志望理由書の書き方指導(2年・3年前半)。
・英語特別講座。
・ポートフォリオ用の報告書を書きためている。
・キャリア・パスポートの研究。
・各種研修会への積極的な参加。
・校内委員会の立ち上げ。大学入試改革ワーキンググループの立ち上げ。

 

①学習支援サービスではベネッセの「Classi」とリクルートの「スタディサプリ」を導入する高校が多い結果となっています(「Classi」=59.4%、「スタディサプリ」=22.6%)。選択肢による回答方式でないにも関わらず、どの項目に置いても「検討中」が挙がっているのは高大接続改革に対して情報不足により具体的な対策を進められない高校現場の状況を表していると考えられます。

②ポートフォリオは「JAPAN e-Portfolio(=34.9%)」の利用が最も多く、次いで「Classi(=28.2%)」となりました。「マナビジョン(=16.7%)」も加えると、公的機関と民間が進めている仕組みがそれぞれ利用されていることが分かります。今後、民間の仕組みがWEB出願との連動性をもつなど、利便性の向上が気になるところです。

③民間英語検定・資格試験への対策では「英検(=68.6%)」と「GTEC(=58.1%)」が目立ちます。以前より高校現場で馴染みのあったツールが対策として選ばれているようです。

④大学入学共通テストの対策には、日頃の学びの積み重ねが必要だと考えられているようです。しかし、問われる能力が変わる以上、普段の授業や定期テストでより思考力や表現力を養う要素を盛り込んでいく必要がありそうです。

⑤調査書の様式変更とポートフォリオの活用においては、「紙ベース(=25.8%)」が最も多い回答でした。これにはJAPAN e-Portfolioのような公的なシステムが存在せず、対応は各高校まかせになっている状況です。今回の調査書変更が教員にとって大きな負担になることが懸念されているなか、有効な対策がない状況に各関係機関は一計を案じる必要があると考えます。

 

問4.今後の大学入学者選抜改革において詳細な情報が欲しい項目を選んでください(複数選択可)。

●ポートフォリオ・調査書に関する項目を過半数以上の教員が選択。文部科学省や各大学から具体的な情報提供を求める声が目立つ。
 最も回答率が高かったのは調査書の様式変更とその入試活用の在り方についてという結果になった(「調査書の様式変更及び入試時の活用の在り方」=78.0%)。次いで、問2でポートフォリオの作り方・書き方を課題とする意見が多かったことから、ポートフォリオに関する詳細な情報を求める意見が多いことがわかる(「志願者本人の記載する資料(ポートフォリオ)の活用の在り方」=69.0%、「平成31年度入試における「JAPAN e-Portfolio」の活用方法」=61.0%)。
 先行して平成31年度入学試験から思考力等を問う入試やJAPAN e-Portfolioを活用した入試を展開する大学があることは、該当する大学への出願を検討している生徒を抱えている高校では大きな課題となっている(JAPAN e-Portfolioを入試利用する大学は9月10日時点で11大学)。問1で「よく知っている」・「概ね知っている」と回答したのが約9割に上ることを考慮すると、JAPAN e-Portfolioを含むポートフォリオの仕組みや新たな調査書の概要のさらなる周知徹底はもちろんのこと、各大学によって定められる評価方法や選抜時の提出物など、個別にどのような対応を取るのかについて具体的な情報の早期提供が求められる。
 「大学入学共通テスト(=50.3%)」や「英語4技能など資格・検定活用型入試(=46.0%)」の回答率も決して無視することはできない。しかし、他の項目と比べて回答率が低かった理由にはプレテストの実施やサンプル問題の開示、各団体による情報提供が比較的充実していることがあると考えられる。

   【その他の記述回答(抜粋)】
   ・いま一番情報が不足していると考えるのは調査書です。
   ・大学の評価方法(入試において調査書、ポートフォリオをどう点数化するか)。
   ・選抜時に必要な提出物について大学別に知りたい。
   ・ポートフォリオや英語4技能の試験をどのような配点で行うか。
   ・各大学の具体的な対応について上記設問項目別に詳しく知りたい。

●大学入学者選抜改革や各大学の取組についての意見や要望、疑問点など(抜粋)。
【改革全体に関する意見】
・大学入学者選抜改革の全体像が見えにくく大変苦労しています。ゆえに疑問点が見えていないという状況です。
・2020年度からと言わず、すでに変化の波が来ていることに危機感を抱いている。
・「方向性」や「検討している」との言葉が多く内容がはっきりしない。すでに対象の学年は高校に入学しているのに確定の情報がほとんどないのは困る。
・全容が未確定な状態での対応のため不安感が増えている。生徒の進路目標が消極的にならないような対策が必要だと考える。
・文科省の発表が遅く、各大学もギリギリの対応だったり手探りの対応だったりするようで、この対処により生徒の進路決定に影響が出ると大変困る。
・地方の生徒が不利にならない(経済的にも)ように公平性を保って欲しい。
・都市部の生徒、地方の生徒で格差が広がるのではないかと心配している。保護者の収入も影響するかもしれない。
・まだ不確定・不確実な事柄が多く、どの部分をどの程度保護者・生徒に情報を伝えていけばよいのかが不安である。また、英語の外部試験の導入などで地域差・経済面での差が出ないか心配です。
・大学や学部ごとに温度差があり、2020年に間に合うのか疑問を抱く部分が散見される。
・各大学も迷っているようで、なかなか全体像が見えてこないことが困ります。2021年度入試への各大学の対応一覧が作成されると助かります。
・大学側でも対応が分かれる中で、高校側としてどうしてよいのか皆目見当がつかない。文科省の趣旨は賛同できるし改革は必要ではあるが、6ヵ年教育体制ではない本校はどうしたらよいか。
・文科省が言うほど各大学の改革が進んでいないように思えます。
・改革の全体的な方向性は理解できるが、具体的にどこまで現実となるのかが不透明で対策が立てにくい。なかでも、生徒の主体的な取り組みを調査書にどこまで反映することが必要なのか、具体的な基準を示して欲しい。
・「根本的な改革が必要である」という事実は理解できるが、文科省の資料を見て勝手に考えろという状況は理解に苦しむ。現場により具体的な情報をおろして欲しい。
・大学入試改革やその対策について情報が全く入らない。
・実施期限が迫っているのに、相変わらず情報提供が少ないことと遅いことに不安と疑問を感じます。
・とにかく情報が少なく、教員にも周知できていない。他校の状況をうかがう状況が続いている。
・情報が錯綜しているので正確な情報を早く知りたいです。
・高校がとくに気を付けないといけない変更点がまとまっている情報があると助かる。
・一般入試において調査書の内容で主体性を評価して得点化するという大学が増えつつあるが、公平性・客観性という観点から見て大いに疑問がある。
・英語の外部試験やポートフォリオ、総合的・多面的な評価を各大学が具体的にどう扱うのかが不鮮明。様子を見ているのか、本年度末まで分かりそうにないので高校の対応も今年は思い切ったことがしづらいのが悩み。
・ポートフォリオ導入や調査書の書式変更によって学校側が準備する出願資料は今よりも大幅に増加して負担も大きくなる。しかし、それを大学側がどのくらい重要視してどのように入試に生かす気があるのか、それだけの労力を投下する気があるのか。現在の数倍になる調査書の活動記録がちゃんと読まれるとは思えない。
・改革が優先され、現場での対応がついていっていないと考える。しっかりと組織化・制度化したあとに進めていくべきものではないかと疑問に思う。終着点からの逆算はどうかと考えてしまう。
・大学入試改革の根底には高等教育と大学教育との溝を埋めることがあったかと思います。入試を改革することで大学の在り方、高校の在り方を見直す絶好のチャンスだとは思いますが、もう少し大学と高校の距離を縮めるような工夫はないものだろうかと考えます。そうした試みがないわけではありませんが、もっとクローズアップされてもよいのではないかと思います。
・総合的・多面的評価の実現は、理念としては生徒のためです。しかし、公正公平も重要な要件である入試において、省力化効率化のためにe-Portfolioなどを使うことが逆に高校生の負担になったり、公平さを欠く結果にならないように大学側には十分検討していただきたいです。


【高校の現状】
・何も始められていないのが現状です。
・現場はどのように対応していくべきかわからず混乱しています。
・学校側として取り組むべき具体的な内容あるいは具体例が知りたい。
・各高校が新入試に向けてどのような対策をしているのか、少しでも情報を頂けるとありがたいです。
・各大学の取り組みより、県内外他校の対応について知りたい。
・教員間で選抜改革の内容について理解を深め、情報を共有することが本校での一番の問題点です。
・学校内で教職員がどのように共通理解を図っているのか、校内での取り組みや連携をどうしているのか知りたい。
・決定したことに対して対応するのはいいですが、様々なことが未定という状況が難しさを生じさせています。現場としては早く決定して欲しい。
・本校の進路実績を考えて、入試に対してどの程度準備しておけばよいのかが分からない。高校の実情に合わせた対応について知りたい。
・就職と進学の希望がほぼ半分ずつという現状のなか、とくにAOや指定校推薦での受験指導に不安があります。
・あまりに多くのことが改革の対象となり現場としては大変苦慮している。e-Portfolioひとつとっても、進学のためにはJAPAN e-Portfolioにしなくてはならないのか。Classiなどの立ち位置は研修会に行ってもいまひとつ理解できない。
・自校の生徒が多数進学or志願する大学がどのように選抜をするのか。そこに合わせて、校内でも課題解決していくべきと考えています。すべてに対応することは不可能です。

【各種入試についての意見】
選抜改革に伴って従来の推薦入試がどのように変化するか各大学の動向を早く知りたい。
・本校ではほとんどの大学進学希望生徒が推薦もしくはAO入試で入学しているが、各大学の推薦・AO入試がどのように変わるのか、大学側も検討中なようである。できるだけ早く公表してもらいたい。
・総合型・推薦型選抜における各大学の学力試験の詳細(共通テストを利用するかなど)はいつ発表されるのか。
・推薦やAOなどでもしっかり学力試験を課して欲しい。
・各入試方法による募集人数の比率が今後どうなっていくのか知りたい。
・情報は欲しいが、まだ各大学が決めかねているという印象を受ける。それ以上に大学入試センターの取り組みが遅れているのが心配である。不十分な状態で共通テストが行われるというのが一番困る。


【大学入学共通テストについての意見】
・大学入学共通テストの実施により学力の低い生徒は進学を諦め、格差が広がっていくと思う。
・大学入学共通テストに向けた授業改善をどのように進めたらよいか。
・思考力・判断力を問う記述問題への対応は、普段の授業のなかで対応していけばよい。
・大学入学共通テストの数学に関して「思考力」をどう問うているのかに疑問を感じた。あえて生活につなげる必要があるのか。数学教員としてこのような変化に戸惑っている。


【英語外部認定試験についての意見】
・英語外部試験の導入について、いまだ国や入試センター、各大学で調整しきれていないことが多く、このまま進むことには反対意見が多い。
・それぞれの目的がある検定が一律にCEFRによって並べられるものなのか疑問。
・様々な検定を活用することにより、様々な不平等が発生すると予想される。そもそも高校英語と質の異なる検定も認可されている。
・英語検定試験の活用は地方都市の受験生に絶対的に不利。これをこの計画通り実施するのは断固反対である。
・民間の英語資格を公的な性質の大学入試に使う点で公平さに問題がある。また、受検するために保護者の金銭的負担がかなり増える。
・各大学の対策が分かれると思うが、結果的に生徒の負担がかなり増すことが大いに懸念される。
・検定を受けるたびに検定料がかかる。高校1年生で英検を受けると年3回。3年生の6月まで受けると35,000円以上の費用になる。この負担を減らすことも考えていかなければ一部の人のみが受けられるものになってしまうのではないか。奨学金のことで話題になっていることを考えると、もっと取り上げて欲しい内容だと思う。
・英語4技能の検定日程によっては部活の大会や学校行事を見直さないといけない可能性があることに対して不安。
・外部検定活用の在り方について、進路選択に関する被害学年と呼ばれる世代ができてしまうことだけは避けなければならない。


【大学への意見】
どの大学がどのように対応するのか一覧が欲しい。
・高校の現場でやるべきことは大体見えてきましたが、それを各大学でどのように評価するのか情報が欲しいと感じています。
・各大学が共通テストや調査書・ポートフォリオをどのように活用するのか。またいつ頃までに33年度入試に関する方針を発表するのか知りたい。
・早稲田大学が2021年度入試からの変更と発表したが、今後その他の大学でどの程度入試科目の変更があるのか、また「主体性・多様性・協働性」の経験についてJAPAN e-Portfolioだけで済むのか、大学ごとに書式があり記入しなければいけないのか情報が欲しい。
                                                以上 
<調査報告書の完全版は以下からダウンロードできます>
https://prtimes.jp/a/?f=d4505-59-pdf-0.pdf

【調査概要】
調査方法:FAXによる配付・回収
調査対象:高等学校進路指導部 5,054校(全国:全日制・定時制・通信制・サポート校など)
調査時期:2018年7月11日~8月23日
回答枚数:533枚(回答率10.5%)

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