日本網膜色素変性症協会がPMDAに要望書を提出スターガルト病治療薬候補「エミクススタト塩酸塩」の早期承認を求める
本要望書は厚生労働大臣政務官である塩崎彰久氏にも提出されました。そのほかの日本網膜色素変性症協会の患者団体、学会、専門医からも要望書をPMDAに提出され、その中の多くは同様の要望書を厚労省に送付しております。
本書には、エミクススタトの可能性と、スターガルト病が遺伝性網膜変性疾患の中で最も一般的なものの一つであること、両眼に進行性の視力低下、色覚異常、中心視野の異常などを引き起こし、日常生活に重大な影響を及ぼすだけでなく、徐々に進行することから患者さんの精神的健康にも大きな負担をかけている事実を訴えています。
本件は、日本国内外の世界各国の患者団体等からもPMDAに要望書を提出しており、本剤の早期承認を強く望んでおります。
(アルファベット順)
公益社団法人 日本網膜色素変性症協会
公益社団法人 NEXT VISION
日本網膜硝子体学会
Alianza Argentina de Pacientes (ALAPA)(アルゼンチン)
Choroideremia Research Foundation(コロイデレミア研究財団)
Grupo Virtual Stargardt(ブラジル)
Prof Frank Holz, University of Bonn (ドイツ)
Professor Juliana M. Ferraz Sallum, Federal University of São Paulo(ブラジル)
Minas Gerais(ブラジル)
Retina Bulgaria(ブルガリア)
Stargardt’s Connected(イギリス、世界最大のスターガルト病国際患者団体)
Prof Rad Tzekov, University of South Florida (US)
エミクススタトは、スターガルト病を対象とする第3相臨床試験として、2018年11月には最初の被験者登録を、最終的には194名の被験者登録を完了し、当第3相臨床試験は終了しました。当該臨床研究のデータベースの集計及び分析の結果、主要評価項目及び副次的評価項目を達成せず、治療群間の有意差も示されませんでした。主要評価項目である黄斑萎縮の進行率は、エミクススタト投与群で1.280mm2/年、プラセボ投与群で1.309mm2/年でした(p=0.8091)。但し、エミクススタトの忍容性は良好で、先行研究と同様の安全性プロファイルが示されております。
その後の更なる分析の結果、ベースライン時の萎縮病巣面積がより小さい被験者グループでのプラセボ投与群と比較したところ、エミクススタト投与群の萎縮病巣の進行率が有意に低いことが示唆され、それを検証するべく、サブグループ解析を実施しました。ベースライン時の萎縮病巣領域が小さい被験者グループに対して変数減少法による単変量と多変量分析を行い、このサブグループにおける萎縮病巣の進行に影響する独立したベースラインの因子を特定しました。この解析の結果、エミクススタト投与群の24カ月目の黄斑萎縮の進行率が、プラセボ投与群に比べ40.8%抑制されました(p=0.0206、エミクススタト投与群 n=34、プラセボ群 n=21)
スターガルト病について
スターガルト病は患者数が少ない網膜の遺伝性疾患であり、若年性の黄斑変性とも呼ばれ、8千〜1万人に一人がこの病気にかかると推定されています(*1)。スターガルト病を発症すると徐々に視細胞が損傷され、視野の欠損、色覚異常、歪み、ぼやけ、中心部が見えにくいといった様々な症状が見られます。一般的に小児期から青年期にかけて発症しますが、中には成人期まで視力低下を自覚しないこともあります。スターガルト病は、米国における患者数が推定で4万人に満たないことから(*2)、新薬開発を進行促進するためにFDA(米国食品医薬品局)が制定する「オーファンドラッグ法(*3)」の対象です。現在、症状の進行を抑制する治療薬は存在しておらず、スターガルト病の市場は、2027年には約1,600億円に達すると報告されています(*4)。
*1 Retinal Pharma & Biologics Market, Market Scope 2015.
*2 Market Scope社が2015年に発行した「Retinal Pharma & Biologics Market」と「UN World Population Prospects 2015」をもとに、米国、欧州、日本のスターガルト病患者数を自社で算出。
*3 オーファンドラッグ法:オーファンドラッグは稀少疾病用医薬品と呼ばれ、治療が困難な病気や患者数が少ない病気に対する治療薬のことをいいます。「オーファンドラッグ法」は病気を治療する医薬品の重要性に基づき研究開発が進むように、公的援助制度等を整備することを目的に米国FDAにより制定されました。米国で治療薬が存在しない疾患に対して患者数が20万人未満であること、開発コストが販売から回収される見込みがないことなどの基準が設けられている。
*4 WISEGUY RESEARCH CONSULTANTS PVT LTD Global Juvenile Degeneration (Stargardt Disease) Market Research Report- Forecast to 2027
エミクススタトについて
眼球の奥にある網膜には、脳に映像を認識させるために光を電気信号に変える働きをする「視覚サイクル」と呼ばれる仕組みがあります。この視覚サイクルは、明るい光や強い光にさらされると有害代謝産物を生成します。これが長期にわたり消化されないまま蓄積されると、視覚サイクルの働きに支障をきたすだけではなく、網膜自体が損傷され、視力低下あるいは失明にいたると考えられています。網膜には、こうした有害代謝産物の前駆物質を分解する際に活躍するABCA4という遺伝子があります。スターガルト病はこの ABCA4 遺伝子の異常により、網膜にビタミンA由来の有害代謝産物が過剰に蓄積されることで網膜内の細胞が損傷を受け、最終的には視機能障害をきたすと考えられています。エミクススタトは、視覚サイクルに不可欠な酵素であるRPE65を抑制することで、視覚サイクルを調節し、ビタミンAの代謝率を低下させます。これにより、スターガルト病の発症に関与すると考えられているビタミンA由来の有害代謝産物の産生が低下するため、網膜の機能維持に有用であると理論づけられています。
なお、エミクススタトは、FDA(米国食品医薬品局)および EMA(欧州医薬品庁)により、スターガルト病の治療薬候補として稀少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)に指定されており、2020年8月にはFDAよりスターガルト病を適応症として実施した第3相臨床試験に対して、Orphan Products Clinical Trials Grants Program の助成プログラムに選定されています。
窪田製薬ホールディングス株式会社について
当社は、世界中で眼疾患に悩む皆さまの視力維持と回復に貢献することを目的に、イノベーションをさまざまな医薬品・医療機器の開発及び実用化に繋げる眼科医療ソリューション・カンパニーです。当社100%子会社のクボタビジョン・インク(米国)が研究開発の拠点となり、革新的な治療薬・医療技術の探索及び開発に取り組んでいます。現在は、ウェアラブル近視デバイス「クボタメガネ」および、在宅・遠隔医療分野(モバイルヘルス)における医療モニタリングデバイス「eyeMO」などの医療機器開発に注力しております。
(ホームページアドレス:https://www.kubotaholdings.co.jp)
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