総務は「自身の成功」よりも「組織として成果を出すこと」を重視。役職がない人ほど「会社からのキャリア成長のサポート不足」を感じる傾向

~コロナ禍以降、総務部門の業務量は増加傾向も人員は変わらず~

株式会社月刊総務

日本で唯一の総務専門誌『月刊総務』を発行する株式会社月刊総務(所在地:東京都千代田区、代表取締役:豊田健一)は、全国の総務担当者を対象に「総務のキャリアについての調査」を実施し、160名から回答を得ました。

【調査結果 概要】

・総務職での転職経験がある人は3割未満

・総務経験年数が長いほど「ずっと総務を続けたい」と答える割合が増加

・コロナ禍以降、総務部門の業務量は増加傾向も人員は変わらず

・仕事のモチベーションは「従業員からの感謝の言葉」が最多

・総務は「自身の成功」よりも「組織として成果を出すこと」を重視

・役職がない総務ほど「会社からのキャリア成長のサポート不足」を感じる傾向が顕著に

【調査結果 詳細】

■総務になったきっかけは「会社の方針」が約6割

総務になったきっかけについて尋ねたところ、「会社の方針で配属された」が60.6%、「自ら志願した」が30.6%という結果になりました(n=160)。配属の決定において、企業側の意向が強く反映されていることがうかがえます。

会社の方針で配属された:60.6%

自ら志願した:30.6%

その他:8.8%

また、自ら志願した人の方が、キャリアに対する満足度が高いことがわかりました。

■総務職での転職経験がある人は3割未満

総務職として転職経験があるか尋ねたところ、「ある」と答えた人は28.1%、「ない」と答えた人が71.9%となりました(n=160)。総務職として長く同じ企業でキャリアを積む人が多いようです。

■総務経験年数が長いほど「ずっと総務を続けたい」と答える割合が増加

総務の仕事に対する今後の意向を尋ねたところ、経験年数が長いほど「ずっと総務を続けたい」と答える割合が高まる傾向が見られました。また、どの経験年数の層でも「特に意向はない」と回答した割合が存在し、特に「1年未満」と「6~10年」の経験者ではそれぞれ42.9%と25.6%と高い傾向が見られました。(n=160)。

■将来のキャリア意向は「総務の現場を続けたい」が35.6%で最多

将来のキャリアについて尋ねたところ、「総務の現場の仕事を続けたい」が35.6%で最多、次いで「今の会社で経営層になりたい」「別の会社で違う職種のキャリアを積みたい」がそれぞれ22.5%となりました(n=160)。総務としてキャリアを深めたいと考える人が多い一方、他職種や経営層へのキャリアチェンジを志向する人も一定数いることがわかります。

■約8割が総務部門の役割や重要度は今後増していくと感じている

総務部門の役割や重要度について尋ねたところ、「とても増すと思う」と「やや増すと思う」が合わせて78.8%となりました(n=160)。企業全体における総務の重要性が高まっていることが示唆されます。

■コロナ禍以降、総務部門の業務量は増加傾向も人員は変わらず

コロナ前と比較して、現在の総務部門の業務量について尋ねたところ、「やや増加」と「大幅に増加」を合わせた割合が56.9%に上り、多くの総務担当者が業務量の増加を実感していることがわかりました。一方で、51.3%が人員が「変わらない」と回答しており、業務負担が増えている可能性があることがわかりました(n=160)。

■約6割が総務部門の人材は「足りていない」と回答

現在の総務部門の人材の充足状況について尋ねたところ、「大幅に不足している」と「やや不足している」が合わせて60.1%で、6割が「人員が足りていない」と感じていることがわかりました(n=160)。

■総務のやりがいは「社内全体のサポート」が最多

総務の仕事で最もやりがいを感じる部分については、「社内全体のサポート」が37.5%で最多、「業務の効率化や改善」が18.8%と続きました(n=160)。

■仕事のモチベーションは「従業員からの感謝の言葉」が最多

仕事をする上でのモチベーションについては、「従業員からの感謝の言葉」が45.6%で最多、「社内からの評価」が43.1%、「スキルの向上」が41.9%と続きました(n=160)。

■総務は「自身の成功」よりも「組織として成果を出すこと」を重視

仕事をする上で重視する点については、「組織として成果を出すこと、メンバーと成功を分かち合うこと」が62.5%、「自分自身の成功やスキル・キャリアアップ」が37.5%と、組織全体の成功を優先する姿勢が見られました(n=160)。

■役職がない総務ほど「会社からのキャリア成長のサポート不足」を感じる傾向が顕著に

会社からのキャリア成長のサポートについて尋ねたところ、役職なしの総務担当者では「全くサポートしていない」「あまりサポートしていない」と回答した割合が70.2%と高く、サポート不足を感じる傾向が際立ちました。役職が高いほどサポート満足度が上昇する傾向が見られました(n=160)。

また、役職が高いほど現在のキャリアに対する満足度が高い傾向が見られました(n=160)。

■現在の職場で総務のキャリアパスが明確だと感じる人は2割未満

総務部門でのキャリアパスについて尋ねたところ、「とても明確だと思う」が4.4%、「やや明確だと思う」が13.1%で、合わせて17.5%に留まりました。一方で「あまり明確ではない」「全く明確ではない」と回答した人が82.5%に上り、キャリアパスの不透明さが課題として明らかになりました(n=160)。

<キャリア形成の課題/一部抜粋>

  • 社内の何でも屋という感じで、キャリアというより目の前の仕事をただこなしているだけになっており、社内の評価も低く、重要な職務と思ってもらえていないためモチベーションが上がらない。

  • 他部門と兼任しているので、総務のみでのキャリア形成は考えにくい。

  • 会社が総務職へ求める明確なビジョンが足りない。

  • AIの導入が進む中、作業としての総務は業務量が減るので人員は減るけれど マネジメントとしての総務は管理能力が問われるので、経験者不足になると想定される。

  • ロールモデルのようなものがいないので、目指すべき姿、目標とするものがない。

  • 総務は裏方という認識が色濃く残っているため、昇進も難しい。

  • 一度総務系に配属されるとそのまま総務系に長くいることになりがちである。新卒で総務に配属になると現場を知る機会がない。

  • 企業によって「総務」に求められる役割、担う業務が大きく異なり、ある一社で経験を積んでも、偏ったものになりがちであること。

■リスキリングや自己啓発では「ビジネススキルの向上」が最多

リスキリングや自己啓発の取り組みについて尋ねたところ、「ビジネススキルの向上」が53.8%で最多、次いで「社外セミナーや展示会への出席」が50.0%、「新しい業務ツールの習得」が36.3%と続きました(n=160)。

ビジネススキルの向上:53.8%

社外セミナーや展示会などへの出席:50.0%

新しい業務ツールの習得:36.3%

コミュニケーションスキルの向上:23.8%

リーダーシップの強化:23.1%

チームビルディングの強化:16.3%

他社のベンチマーキング:13.1%

他社の総務との交流:18.8%

語学の学習:9.4%

その他(自由記述):3.8%

特に取り組んでいない:6.3%

■キャリアアップに必要なスキルは「専門知識の深堀り」が最多

キャリアアップに必要だと感じるスキルについては、「専門知識の深堀り」が65.0%で最多、続いて「マネジメントスキル」が60.6%、「プロジェクト管理能力」が44.4%と続きました(n=160)。業務を支える専門性や管理能力が重視されています。

■4割の総務が生成AIを業務で利用

生成AIの業務利用について、「とても利用している」と「やや利用している」を合わせて40.0%が利用していると回答しました。利用用途としては「情報収集」が65.6%で最も多く、次いで「資料・文章の校正」や「企画・アイディア出し」が上位に挙げられました(n=160)。

<生成AIの利用用途 / n=64(業務で生成AIを使用している人)>

情報収集:65.6%

資料・文章の校正:62.5%

企画・アイディア出し:48.4%

メール等の文書の作成:45.3%

データ分析:26.6%

社内FAQ:9.4%

申請手続き:9.4%

カスタマーサポート:7.8%

社内コミュニケーション促進:6.3%

採用活動:6.3%

セキュリティ対策:4.7%

その他:4.7%

■総評

今回の調査結果から、総務部門におけるキャリア成長や働き方の現状が明らかになりました。特に、役職がない総務担当者ほどキャリア成長のサポートが不足していると感じている一方で、役職が高い層ではサポート満足度が高く、認識に大きな差があることが浮き彫りとなりました。役職者は自身のチームメンバーの現状や要望をしっかりと把握し、適切な支援を行うことが重要です。

また、総務経験年数や役職別に今後のキャリア意向を分析したところ、経験年数が長いほど「ずっと総務を続けたい」と答える割合が増加する一方で、経験年数が短い層では他職種への転換意向が強いことが明らかになりました。さらに、総務部門の人材不足や業務量の増加が多くの企業で課題となっており、これらの課題への対応が総務部門の持続的な発展に不可欠です。

キャリア成長の支援策をより充実させることは、総務担当者のモチベーションを高め、企業全体の組織力を向上させるための重要な鍵となります。総務部門が組織内で適切に評価され、その価値が十分に発揮される環境づくりを進めることが求められています。

■株式会社月刊総務 代表取締役社長 豊田 健一 プロフィール

株式会社月刊総務 代表取締役社長

戦略総務研究所 所長

早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルートで経理、営業、総務、株式会社魚力で総務課長を経験。日本で唯一の総務部門向け専門誌『月刊総務』前編集長。現在は、戦略総務研究所所長、(一社)FOSCの代表理事、(一社)ワークDX推進機構理事、(一社)IT顧問化協会専務理事、日本オムニチャネル協会フェローとして、講演・執筆活動、コンサルティングを行う。著書に『経営を強くする戦略総務』(日本能率協会マネジメントセンター)など。

※「働き方」「リモートワーク・テレワーク」「総務関連全般」等についても取材可能です。

▼メディア実績はこちら

https://www.g-soumu.com/company/message

【調査概要】

調査名称:総務のキャリアについての調査

調査機関:自社調査

調査対象:『月刊総務』読者、「月刊総務オンライン」メルマガ登録者ほか

調査方法: Webアンケート

調査期間:2024年10月9日〜2024年10月16日

有効回答数:160件

■調査結果の引用時のお願い

※本調査内容を転載・ご利用いただく場合は、出典元の表記をお願いします。

例:「『月刊総務』の調査によると」「『月刊総務』調べ」など

■『月刊総務』について

創刊61年の日本で唯一の総務専門誌。「すべての総務パーソンの心に、火を。」をキャッチフレーズとし、総務部門で働く人を中心に、幅広くビジネスパーソンに読んで役に立つ記事を提供。上場企業、大手事業会社、中堅・中小企業と、幅広い規模の企業に定期購読していただいております。(創刊:1963年6月/印刷部数:1万2,000部/定価:1,100円)

■株式会社月刊総務 会社概要

社名:株式会社月刊総務

代表:代表取締役 豊田健一

住所:〒101-0054 東京都千代田区神田錦町2-2-1 KANDA SQUARE 11F

設立:2018年8月

事業内容:

・日本で唯一の総務・人事部門専門誌『月刊総務』の発行

・バックオフィス業務の「困った」を解決する「月刊総務オンライン」の運営

・「総務セミナー」「総務サロン」の主催

・働き方改革関連コンサルティング 等

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会社概要

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業種
情報通信
本社所在地
東京都千代田区神田錦町2-2-1 KANDA SQUARE 11F
電話番号
03-4332-4260
代表者名
豊田 健一
上場
未上場
資本金
1000万円
設立
2018年08月