「不登校離職」5人に1人の母親が退職を経験。不登校はもう子どもだけの問題ではない。
父親の退職率との差は約30倍。46都道府県・1,234件の実態調査2026発表
朝、子どもが起きられるか。学校へ行けるか。一人で留守番できるか。学校から電話が来ないか——。
そうした判断が毎日積み重なる中で、5人に1人の母親が退職を選んでいる。
NPO法人キーデザイン(栃木県宇都宮市/代表理事:土橋優平)は、不登校・行き渋りを経験した子どもの保護者を対象に「不登校離職実態調査2026」を実施しました。全国46都道府県から1,234件の回答が寄せられたこの調査が明らかにしたのは、子どもの不登校が保護者の仕事・心身・家計に与えるダメージの深刻さと、社会に根付く性別間のギャップです。
不登校は「子どもの問題」として語られることが多くありました。しかし実際には、そのそばで支える保護者が追い詰められ、仕事をあきらめさせられている。今回の調査は、その見えづらい実態を「不登校離職」という社会課題として初めて大規模に数値化したものです。
調査結果のポイント
① 母親20%が退職、父親は0.67%――約30倍のギャップ
不登校・行き渋りによる仕事への影響で、母親の19.93%が「実際に退職した」と回答しました。一方で父親の退職は8件(0.67%)にとどまり、約30倍の差が生じています。
不登校対応の負担が、母親に著しく集中していることが数値として明確になりました。

② 仕事と両立が「大変だった」95.4%、「辞めたい」84.1%
子どもの対応と仕事の両立が「やや大変」「かなり大変」「非常に困難」と回答した保護者は95.4%(回答数1,032件中985件)。さらに、元々仕事をしていなかった方を除く1,066人のうち84.1%が「仕事を辞めたいと思ったことがある」と回答しました。
「子どものそばにいたい」「でも仕事を辞めたら家計が不安」「職場に迷惑をかけたくない」「自分のキャリアも手放したくない」——多くの保護者が、深刻な葛藤の中で働き続けています。

③ 遅刻・早退が434件、在宅切り替え・シフト減も相次ぐ
母親の仕事への具体的な影響(複数回答):

このデータが示しているのは、「退職」という結果だけではなく、その手前で静かに進行している就労能力の段階的な縮小です。
最も多かった「遅刻・早退・欠勤が増えた」(434件)は、子どもの状態が読めない朝の不確実性が、そのまま職場に波及していることを示しています。「今日行けるか」がわかるのが登校時間の直前であるため、事前に調整することも難しく、急な変更が日常化していく。
注目すべきは、退職(241件)に至らなくとも、有給休暇の消化(219件)、シフト・勤務日数の削減(173件)、時短勤務への切り替え(173件)、一時休職(107件)と、何らかの形で勤務を縮小している人が退職者の約3倍に上ることです。「辞めていない」だけで、働き方はすでに大きく変わっています。
さらに332件が「勤務中も子どものことが気になり集中しづらくなった」と回答しています。職場にいながらも思考は家に残ったまま——いわゆる「プレゼンティーイズム(在席しているが生産性が低下している状態)」が、不登校家庭の保護者に広範に起きていることがうかがえます。退職という数字に表れない「見えないコスト」として、企業側にも影響は及んでいます。
④ 母親の93.9%に「継続的なストレス以上」の心身への影響
母親の心身への影響を尋ねたところ、93.9%が「継続的なストレスや不安」「日常生活に支障が出るほどの負担」「心身の不調(不眠・体調不良など)」「医療機関の受診が必要な状態」のいずれかに該当すると回答しました。
さらに子どもの状況について尋ねると、「死にたい・消えたい」という発言があったとする回答が481件、自傷行為があったとする回答が190件に上りました。保護者は、子どものこうした深刻な状態を間近で見ながら、学校対応・支援機関探し・仕事との調整をすべて同時に担っているのです。

⑤ 50%が収入減、79%が支出増――二重の経済的打撃
不登校・行き渋りの影響で「収入が減った/一時的に減った」と回答した家庭は50.3%。一方、「支出が増えた/一時的に増えた」は79.7%に達しました。
働き方の変更・休職・退職による収入の減少と、フリースクール利用料・医療費・カウンセリング費用・光熱費増などの支出増が同時に押し寄せる「二重の経済的打撃」が、多くの家庭を直撃しています。

離職者の声――「辞めたかった」のではなく「辞めざるを得なかった」
今回の調査では、休職・退職した方に当時の気持ちを自由記述で尋ねました。そこから見えてきたのは、保護者が「仕事を辞めたかった」のではなく、追い詰められた末に「辞めざるを得なかった」という現実です。
「やっと手に入れた自分の居場所を手放すような、かなしい気持ちでした」
「仕事を続けたかったが、子どもの状態的に一人にできなかった」
「働いていない間、自分が社会の役に立たず、取り残されたような空虚感がありました」
「子どもだけでなく、自分自身も社会とのつながりがなくなり、孤立し、収入も減り、途方に暮れました」
保護者にとって仕事は、収入だけではありません。社会とのつながりであり、自分の役割であり、自分らしさを保つ場所でもあります。それを手放さざるを得ないことには、大きな喪失感が伴います。
企業・社会へ――不登校家庭の配慮は「特別扱い」ではない
離職した保護者に「どのような支えや環境があれば仕事と両立しやすかったか」を尋ねたところ、以下の回答が集まりました。

不登校家庭への対応に必要なのは、特別な制度だけではありません。急な休みに対応できる職場の空気、上司や同僚に安心して話せる環境、それだけでも保護者の負担は大きく変わります。
介護や育児と同じように、「不登校家庭への配慮」はこれからの職場に必要な視点になっていくはずです。従業員が家庭の危機に直面したときに働き続けられる環境は、優秀な人材の離職防止にも直結します。
不登校離職防止に関心のある企業関係者へ
NPO法人キーデザインでは、今回の調査結果を踏まえ、企業の経営者・人事担当者を対象とした無料オンラインセミナーを開催します。「不登校離職」の実態と、企業が今日から取り組める具体的な対応策について、当会代表理事の土橋よりお伝えします。
【不登校離職防止オンライン無料セミナー】
日時:2026年7月24日(金)11:00〜12:00
形式:オンライン(Zoom)
参加費:無料
対象:企業経営者、人事担当者、管理者など ※保護者などの個人、不登校支援者等は対象外とさせていただきます。
申込締切:2026年7月23日(木)10:59
セミナー詳細・お申込み:https://tayori.link/hutokorisyokuboshi-seminar202607_keydesign/
従業員が家庭の危機に直面したときにも働き続けられる環境づくりについて、ぜひこの機会にご確認ください。
代表コメント

NPO法人キーデザイン 代表理事 土橋優平
子どもが不登校になったとき、保護者は「学校に行くかどうか」だけでなく、家庭、仕事、家計、そして自分自身の心のケアまで、同時に抱えることになります。 今回、全国46都道府県から1,234件の声が集まったことで、この課題が決して一部の家庭だけのものではなく、社会全体で向き合うべきテーマであることが、より明確になりました。 私たちが目指したいのは、子どもが苦しいときに、そのそばにいる親まで仕事をあきらめなければならない社会ではありません。職場の理解、柔軟な働き方、相談できる環境、地域の支え合いを広げていく必要があります。 今回の調査結果を、企業・行政・学校・支援機関と共有しながら、具体的な仕組みづくりにつなげていきたいと考えています。
取材・お問い合わせ

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法人名 |
NPO法人キーデザイン |
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所在地 |
栃木県宇都宮市 |
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代表理事 |
土橋優平 |
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取材窓口 |
npokeydesign@gmail.com |
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法人概要 |
LINEによる保護者相談窓口「お母さんのほけんしつ」の運営、不登校ポータルサイト「たより」の提供、フリースクール運営、企業向け不登校離職防止に関する啓発・研修の実施、自治体・企業とのパートナー連携推進。 |
調査概要

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調査名 |
不登校離職実態調査2026 |
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調査対象 |
不登校・行き渋りを経験した子どもの保護者 |
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調査期間 |
2026年4月24日〜2026年5月2日 |
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回答数 |
1,234件 |
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回答地域 |
全国46都道府県 |
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調査方法 |
Googleフォームによるオンラインアンケート |
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実施主体 |
NPO法人キーデザイン |
※本調査は、LINE相談窓口やSNS等を通じて回答を募集したものであり、無作為抽出による調査ではありません。そのため、全国のすべての不登校家庭を代表するものではありません。一方で、1,000件を超える当事者保護者の回答から、保護者の就労・心身・家計に与える影響を把握するうえで重要な基礎資料となるものです。
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