世界は機会を逸した：第3回国連防災世界会議、曖昧な合意に終わる

2015年3月14日から18日まで、仙台にて第3回国連防災世界会議が開催されました。国際協力NGOオックスファムは、フィリピンやインドネシア、パキスタンをはじめとする国々から代表団約20人を派遣し、今回の会議に参加する国々による最終合意が、単なるポーズではなく、災害に苦しむ世界中の人びとにとって真の支援となるように、連日連夜、政策提言を繰り広げてきました。

最終日を迎えた本日、昼過ぎに採択が予定されていた合意文書をめぐり、資金的・技術的支援などの項目をめぐって交渉が難航した結果、22時を過ぎてから、ようやく会議参加国が「仙台防災枠組」を採択しました。この交渉にあたっては、2005年の第2回国連防災世界会議で合意された「兵庫行動枠組」の後継として、2030年までの国際社会の取り組みの指針を示すような合意が目指されていましたが、実際に採択された文書は、「兵庫行動枠組」と比べて大きな前進は見られません。

オックスファムが大きく失望したのは、以下の2点です。

◆ この合意には、曖昧な「目標」しか盛り込まれず、今後15年間の野心的で明確な数値目標が示されていない
◆ この合意には、防災のための資金的・技術的支援に関する明確な約束が盛り込まれていない

莫大な資金をかけて開催された今回の会議で、各国政府は、現在・将来の被災者のために具体的な行動を約束する貴重な機会を、逸してしまいました。

この会議が開幕に近づいた3月13日、南太平洋のバヌアツでは、大型のサイクロン「パム」によって、多くの家が破壊され、少なくとも数千人が行き場を失いました。3月14日午前、開幕直後の会議場の檀上で、バヌアツのロンズデール大統領は、涙声で支援を要請しました。バヌアツにおける被害の状況は、この会議に参加した人々に、世界の現実を突きつけるものであったはずです。

野心的で測定可能な目標を設定することは、各国政府が目標達成のために防災に取り組み、目標達成の度合いを評価し、説明責任を果たすためには、欠かせないものでした。しかし、この合意文書に盛り込まれた「目標」は、野心的でも明確でもありません。

また、会議初日の檀上でロンズデール大統領が述べたように、災害は、人々による長年の開発の努力を、一瞬にして奪い去ります。そして、災害によって深刻な被害を受けるのは、バヌアツのような国々の、最も貧しい人びとなのです。しかし、多くの先進諸国は、そうした人びとによる防災の取り組みに対して支援を行うための明確な約束を、合意に盛り込もうとしませんでした。

合意文書の内容は非常に残念なものですが、オックスファムは、この文書が作成された背景にあったはずの問題意識に基づいて、今後、各国政府が人々の脆弱性を減らしレジリエンスを高めることに焦点を当てた防災政策を実施し、先進諸国が資金拠出を含むコミットメントを示すのであれば、世界における脆弱な人びとのレジリエンスを高めることができると考えています。

これからの15年間、災害被害に直面するコミュニティや市民社会は、災害リスクを大幅かつ測定可能なレベルで減らす責任を各国政府に果たさせるために、重要な役割を担うでしょう。オックスファムも、引き続き世界の各地で、政策提言やコミュニティにおける開発・防災活動を行い、災害の被害を受けた人々への支援に取り組みます。

◆現在オックスファムが行っているバヌアツ緊急人道支援については、こちらをご覧ください。
http://oxfam.jp/whatwedo/cat13/cat6/post-41.html

◆詳しくはこちらにお問い合わせください
（特活）オックスファム・ジャパン midori@@@oxfam.jp
 （担当：夏木　※@を1つにして送信ください） 

オックスファムは世界90カ国以上で活動する国際協力団体です。 
オックスファム・ジャパン: http://oxfam.jp/  
オックスファム・インターナショナル: http://www.oxfam.org/