2021年狙うべきキーワードは「ハレの日」需要。変容するライフスタイル、プライベート利用増|2021年飲食業界動向予測
TableCheckデータ大全リリース 2020-2021
- 調査サマリー
◆12月、前年同月比6割弱に後退
国・自治体の対応策が、客足を左右
◆キーワードは「ハレの日」
外食機会減少で、贅沢指向高まる
◆「休日」需要、「平日」に先行して回復
プライベート利用の外食がメインに
◆緊急事態宣言下で「直前予約」増
「Go To Eat」中、ポイント付与で「事前予約」にシフト
◆前年超は、「Go To Eat」下のランチ件数のみ
“夜の街”懸念で、ディナー伸び悩み
◆緊急事態宣言下、リピーター来店1.6倍
宣言解除後も、「常連客」回復先行
ーーー 分析・調査結果詳細 ーーー
※本ページには、リリースの一部を掲載しています。全文は、添付のPDFにてご覧いただけます。
- [Topic1] 飲食店の客足、どこまで回復?客足左右する最大要因は?
- 12月、前年比6割弱に後退。国・自治体の対応策が、客足を左右
◆長引く「自粛」で消費者心理に変化。新規陽性者数増加に反応示さず
まずは、当社集計の飲食店1店舗当たりの平均来店人数をもとに、あらためて新型コロナが飲食業界に及ぼしたインパクトを振り返る。4月16日に発令された緊急事態宣言により前年同月比9割減まで落ち込んだ客足は、宣言解除を機に徐々に回復。10月1日開始の「Go To Eat」で一時持ち直したかに見えたが、第3波到来による時短営業要請等が影響し、12月13日時点で前年同月比56.3%まで落ち込んでいる。同じ来店件数データを週単位でみると、消費者心理の変化が見てとれる。4月時点では新規陽性者数の増加で、一挙に減少に転じた飲食店の客足。しかし、第2波以降、自粛疲れや、時短営業要請の緩和(20時から22時まで)があったことなどから、消費者心理に慣れが生じ、それまで横ばいだった来店件数が伸び始めた。第3波懸念の報道が連日続いた10月末以降も、感染拡大を尻目に、緩やかに増加。その後、11月28日からの東京都の時短営業要請を境に、減少に転じた。ここから推察されるのは、消費者心理、つまり飲食店の来店件数を大きく左右するのは、新規陽性者数の増減ではなく、政府や自治体の対応策だということだ。飲食業界の今後を左右するほどの影響を与える自粛要請や需要喚起などの施策は、慎重にデータに基づいた効果検証を行ったうえで決定すべきだろう。- [Topic2] VSコロナ時代に伸びた外食目的とは?
- キーワードは「ハレの日」。外食機会減少で、贅沢指向高まる
◆ディナーレストラン業態、客単価アップ。「ハレの日」需要で贅沢思考高まる
利用目的別の来店比率を比較してみると、コロナ禍でも根強い「ハレの日」の利用目的が浮かび上がってきた。全来店件数に占める各利用目的の割合を、2019年と比較してみると、もっとも上昇したのが「記念日」で、前年比116.3%となった。不要不急の外出自粛中、誕生日や結婚記念日など、「ハレの日」に外食を楽しむ傾向が見てとれる。日本フードサービス協会が発表する「外食産業市場動向調査※1」を見ても、ファストフードや居酒屋業態の客単価は下がっているものの、ディナーレストラン業態では前年比103.4%と微増している。その他、前年超えとなったのは「デート」や「家族会食」。対して、感染拡大防止の観点などから、多くの企業で事実上“禁止状態”にある接待等のビジネス需要は、前年比7割まで減少。この結果から、仕事に関連した会食や宴会が減少したことで、抑圧された「外食欲」がプライベートに集中したと推察することができる。外出自粛やリモートワークで、外食頻度が減る一方、外食への目的意識や、1回の食事を贅沢に楽しみたいという消費者心理が、今後も一層高まっていくと予想される。
※1:日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査 2020(令和2)年10月度結果発表」(2020年11月25日発表)
http://www.jfnet.or.jp/files/getujidata-2020-10.pdf
- [Topic3]「リモートワーク」は外食需要をどう変えた?
- 「休日」需要、「平日」に先行して回復。プライベート利用の外食がメインに
◆もっとも低調の「水曜日」。ビジネス目的での外食需要減少が影響か
緊急事態宣言発令をきっかけに、多くの企業で実施される「リモートワーク」。その影響は、飲食店の客足にも表れている。曜日別に1店舗当たりの来店件数の3~11月平均値を、前年と比較すると、もっとも回復したのは土曜日で前年比82.3%となった。対して、水曜日は同69.5%と7割を切る結果となった。リモートワーク促進により、ランチや接待など、ビジネス関連の需要が減少した平日、特に水曜日の回復が遅れていることが分かった。図9で示した通り、土曜日の1店舗当たりの来店件数は、「Go To Eat」キャンペーンが始まった10月に前年を上回っているが、水曜日の同数値は、一度も前年を超えることなく現在まで推移している。大型連休など、祝祭日の恩恵を受けにくい水曜日や木曜日は、ビジネス需要の落ち込みが如実に表れる。テレワークの継続意向が8割を超えるなど※5、コロナ禍で浸透した新たな働き方が今後も続くことが予想されるなか、週末/祝祭日をターゲットにした販売戦略の拡充が求められる。
※5:東京都産業労働局「テレワーク導入実態調査結果」(2020年9月14日発表)
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2020/09/14/10.html
- [Topic4] 予約リードタイムは、新型コロナで早まったのか?
- 緊急事態宣言下で「直前予約」増。「Go To Eat」中、ポイント付与で「事前予約」にシフト
◆超直前予約、一時前年比2.5倍に。「コロナ慣れ」で“様子見”状態脱却
予約が作成されたタイミングから来店日までの「リードタイム」を基準に、予約に占める割合を調べたところ、新型コロナの影響が拡大し始めた2020年4月に急増した“直前予約”が、直近では、例年水準にまで戻っていることが分かった。来店時間の1時間以内に予約をする「超直前予約」は、2019年には年間平均7%だったが、緊急事態宣言下は17%と、約2.5倍に増加。先行きの不透明感から、来店日ギリギリまで状況を見極めていたことがうかがえる。その後、6月以降「超直前予約」も徐々に減少。10月1日より約2ヶ月間続いた「Go To Eat」キャンペーンのオンライン飲食予約により、今度は「事前予約」の需要が拡大。11月には、来店日から1ヶ月以上前の予約が全体の17%を占めるなど、キャンペーン開始直後の10月からポイント付与が動機となりネット予約が増加していたことが見てとれる。
現在も、感染状況には収束が見られず、主要都市でさらなる時短営業要請の延長が発表されるなど、飲食店利用の先行きは依然として不透明な状態と言える。しかし、ニューノーマルへの適応からか、4月のような“様子見状態”にはならず、予約タイミングは例年水準に戻っていると見える。飲食店の皆さんには、利用シーンやプランに応じて事前~超直前予約へ柔軟に対応することで、コロナ禍の予約の取りこぼしを防ぐ手立てを講じていただきたい。
- [Topic5] ランチ/ディナー、回復の差は?
- 前年超は、「Go To Eat」下のランチ件数のみ。“夜の街”懸念で、ディナー伸び悩み
◆ビジネスディナー需要が激減。リモートワークで、行動様式変容
飲食店の来店実績を時間帯別で比較してみると、ディナーに比べ、ランチの回復が顕著であることが分かった。ポイント付与が起爆剤となった「Go To Eat」キャンペーンは、ランチのみ前年実績を超え、10月の1店舗当たりの来店件数は前年同月比103.1%、11月は同101.4%となった。しかし、図10/11の1店舗当たりの来店人数(折れ線)が示す通り、来店件数で前年を上回った「Go To Eat」下のランチも含め、2月以降すべての月で来店人数が前年を上回ることはなく、客数減による売上への打撃が懸念される。ディナーはランチに比べてキャンセル率が平均3.1%高くなっており、新型コロナの感染が拡大し始めた2月以降、度々取沙汰された“夜の街”での感染懸念が一因となっていると考えられる。リモートワーク促進や会食自粛により、ビジネス目的の利用が減少したため、影響が特に大きいディナー帯。アルコール類の提供などで利益幅は大きくなる飲食店にとっては重要な時間帯だけに、回転率をあげる、客単価を伸ばすなどの、補強策が必要だ。
【営業シフト定義】予約/来店時間が、ランチ:10時~16時59分まで、ディナー:17時~23時59分まで
- [Topic6] コロナ禍の飲食店を支えた客層は?
- 緊急事態宣言下、リピーター割合1.6倍。宣言解除後も、「常連客」回復先行
◆「常連客」がコロナ禍の飲食店支える。宣言解除後、客足の回復をけん引
当社予約・顧客管理システム「TableCheck」に登録された来店回数をもとに、来店件数における常連比率を調べたところ、緊急事態宣言下の2020年4月~5月、前年と比較してリピーターの比率が伸長していることが分かった。来店回数が2~4回の顧客を「常連予備軍」、5回以上の顧客を「常連」と定義し、調査。すると、前述の2区分を合計した「常連客」が、2019年と比較して、4月で1.6倍、5月で1.5倍に増加していた。新型コロナにより、外食機会そのものが大きく減少した今、飲食店の選択基準はよりシビアになっていくことが予想される。貴重な外食機会を、日頃より懇意にしている飲食店で過ごしたい、そんな消費者心理が働くのではないだろうか。当社のシステムを利用する飲食店を見ても、以前より常連客比率が高かった飲食店では、コロナ禍でも回復が比較的早く、予約で先々まで満席になっている店舗も見受けられる。図14を見ても、緊急事態宣言解除後の客足の戻りは、常連がもっとも早く多いことが分かる。長期化するVSコロナ時代において、「常連客」の獲得・拡充がより一層重要視されると言えるだろう。
【常連区分定義】新規客:初来店の顧客、常連客:常連(来店回数5回以上)と常連予備軍(来店回数2回目以上)の合計
- まとめ
消費者行動が大きく変容、重要性を増す3つの要素。
「ブランディング力」「情報発信力」「リピーターの獲得」
新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るった2020年は、飲食業界にとって前例のないほど大きな打撃を受けた一年だった。本リリース冒頭でも述べた通り、足元の客数は前年比6割程度にとどまり、2021年も飲食業界にとって非常に厳しい状況が続くだろう。
ここまでまとめた種々のデータから、来年2021年の飲食業界を予測したい。まず注目すべきは、リモートワークの浸透、外出・外食自粛などで変容する「消費者のライフスタイル」だ。リモートワークが普及することで、これまでの「オフィス出勤」付帯する需要にも変化が生じた。例えば、接待や職場の忘年会などのビジネス関連やオフィス街での外食需要が減少する一方で、住宅街での外食需要回復は先行していた。さらに本リリースでも触れた通り、飲食店の利用目的としてプライベート利用が増えるといった現象もみられた。新型コロナ感染拡大がおさまる見通しが立たない今、飲食店は2021年の戦略をどう考えるべきだろうか。 VSコロナ時代にさらに“強い”経営体質を作っていくために、3つの要素がさらに重要性を増してくると考えている。
それは、「ブランディング力」「情報発信力」「リピーターの獲得」である。コロナ禍においては当然「外食頻度」は通常時より減少する。その中で、「選ばれるお店」になるためにはこの3つがキーになる。コロナ禍で飲食店の販促を進化させる新たなサービスも続々誕生した。例えば、その一つが「Instagram」などのSNSだ。こういったSNSは、ほとんどが無料で利用できるうえ、消費者へとタイムリー、かつダイレクトに情報発信し、つながりを持つことができる。これはまさに「ブランディング力」「情報発信力」そして、「リピーターの獲得」につながる重要なプラットフォームになってくれる。当社システム利用店舗の中には、SNS活用でテイクアウト販売を20%増加させたり、半年分の予約席を約1ヶ月で完売させるなど、好事例が頻出している。こういった成功事例の背景には、「リピーター」すなわちお店を応援したいという気持ちを持つ、ファン層の存在がある。今後、第4波到来の可能性も考えると、自店舗を支えてくれる“サポーター”を1人でも増やしておくことは、喫緊の課題とも言えるのではないだろうか。
多くの飲食店関係者が、見通しの立たない状況下で、正解の見えない戦いを続けていることと思う。本リリースがそういった方々に少しでも役に立つことを願うとともに、2021年が飲食業界にとって希望の年となることを強く願う。
- 調査概要
①使用したデータは、当社が開発・提供する予約・顧客管理システム「TableCheck」を利用中の飲食店約5,000店舗を対象にしています。2019年は最大246万件/月、2020年は最大241万件/月の予約データを集計しました。
②「来店件数/人数」の定義は、キャンセルと無断キャンセルを除き、当日来店客(ウォークイン)を含む全来店数です。
③「予約件数/人数」の定義は、当日来店客(ウォークイン)を除き、キャンセルと無断キャンセルを含む全予約数です。
④データ取得のタイミングは、データによって異なります。グラフタイトル部分に記載していますので、ご参照ください。
⑤一部データは、取得時点の暫定値を含んでいます。該当データは今後変動する場合がありますので、予めご了承ください。
⑥グラフごとに、データ取得の方法が異なります。詳細は以下をご参照ください。
・作成日データ(予約が作成された時点を基準に集計):図5, 10, 15, 16
・来店日データ(店舗へ来店する/した時点を基準に集計):図1, 2, 3, 4, 6, 7, 8, 9, 11, 12, 13, 14, 17, 18
⑦掲載したグラフは、社内外の集計データをもとに当社で作成しました。
⑧本リリースの詳細な数値や、対象期間の店舗数などについては、当社PR担当までお問い合わせください。
⑨本リリースの掲載データを引用される際には、必ず「テーブルチェック調べ」と明記ください。
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テーブルチェックは、「Dining Connected ~世界中のレストランとカスタマーをつなぐプラットフォーム~」をミッションに事業を展開する日本発レストランテックカンパニーです。テクノロジーを活用した次世代の「おもてなし」を実現します。現在、展開している主なサービスは、飲食店向け予約・顧客管理システムと、ユーザー向け飲食店検索・予約ポータルサイト。24時間365日リアルタイムの空席情報を把握することで、飲食店にもユーザーにもより良いレストラン体験の実現をサポートしています。
- 会社名:株式会社TableCheck(カブシキガイシャテーブルチェック)
- 所在地:東京都中央区銀座2丁目14番5号 第27中央ビル
- コーポレートサイト:https://www.tablecheck.com/ja/company/
- 創立年月:2011年3月
- 資本金:1億円(累計調達総額10.65億円)
- 事業内容:クラウド型レストランマネジメントシステムと飲食店検索・ネット予約システムの開発・提供
- 拠点:8拠点(東京本社、大阪、韓国、シンガポール、インドネシア、タイ、オーストラリア、UAE)
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