年間1,368時間の業務削減も!AIを「使う」から「活かす」へ。工務店が1年で築いた「現場発案のAI文化」とは?

失敗の言語化と全社横断の現場共創で、AIによる仕組み化を爆速で構築中

奈良・京都南部を中心に注文住宅事業「楓工務店」や不動産事業「トチナラ」などを展開するアイニコグループ株式会社(本社:奈良県奈良市、代表者:田尻 忠義、以下当社)は、各事業部でのAI活用プロジェクトの成果を報告する第3回AI成果報告会を開催しました。不動産・介護・設計など全10部門が、資金計画の自動化や図面差分抽出アプリ開発、介護対話支援ボット構築といった現場発案の具体的な成果を発表。部門によっては年間1,368時間の業務削減(広報企画部)に繋がったことも報告されました。

このプロジェクトは、2024年10月から株式会社THA(本社:東京都新宿区、代表取締役:西山 朝子、以下THA)の協力のもと、社内AI活用推進ワーキンググループが推進してきたものです。1年間のプロジェクトを経て、AI活用が単なる業務効率化ツールから、社員同士が現場の課題解決に取り組む「企業文化」として定着した軌跡が示されました。

THA代表・西山氏からは、社員の自発性と協働姿勢が「強い組織文化の表れ」として高い評価をいただきました。当社は今後、AIによって創出された時間を「創造」「判断」「共感」といった人間ならではの価値創出に振り向け、住宅・不動産業界のDXをリードする企業としてさらなる成長を目指します。

全体成果

本取り組みは、単なるAI研修ではなく、各事業部が「AIを活用してどうなりたいか」というゴールを自ら設定する形式で実施。AI活用が実務に自然と組み込まれた状態を目指し、昨年10月から毎週オンライン会を継続。3か月、6か月、12か月をマイルストーンとして実行計画を策定し、今回がその最終報告となりました。大きな成果としては以下のような点が挙げられます:

  • 対象:全10 事業部(不動産/介護/リノベ/設計・IC/監理課・分譲/コンシェルジュ/広報/施工管理/BJ事業部/JS事業部)

  • 成果の特徴:

    • 「外部依存」から「自走」への転換

    • AI活用が部署横断的に定着

    • 各部署で独自のAI施策を自発的に開発

部門別の主な活用事例と成果

効率化にとどまらず、「自分たちでAIを使いこなし、仕組みを作る」という文化が根づきつつあります。

不動産事業部:ClaudeやGeminiを活用し、資金計画作成、案内文作成、反響表集計、資料の文字起こしなどを自動化。スライドフォーマットの統一や品質向上にも貢献。年間数時間~300分の業務削減に繋げる。

介護事業部:高齢者向けAI相談システムを独自開発し、会話履歴をケアプランに反映。欠席者への振替提案、送迎ルートの最適化にAIを活用し、職員が利用者対応に集中できる環境を整備。月間約150時間の業務時間削減に貢献。

リノベ事業部:「リフォーム何でも教えてくれる君」などのAI活用で、ヒアリング内容や質問リストの自動生成、補助金進捗管理・書類作成、概算見積作成を効率化。単純反響対応での重要情報聞き取りも可能に。作業ミスやダブルチェックを削減し対応品質が向上。月間約70時間の業務時間を削減。

設計監理部IC課:Chatwork依頼文の自動送信や図面データの一部自動入力により、定型依頼・入力ミスを防止。設計・IC両業務の精度と効率が向上。年計約21時間の業務削減を実現。

設計監理部監理課:ChatGPTでのプロポイント評価表作成、GASを使った予算発注書行自動展開、Chatwork APIで資料通知タスク自動化、Geminiで敷地座標入力、OpenCV/Pythonで図面差分抽出を実施。また、FLIPHTML5によるデジタルカタログの改善、収納提案アプリを作成しCAD作業を時間短縮。また、商談用お客様提案アプリを作成し商談効率化を図る。監理課:年間約90時間、分譲:月間約20時間の業務削減。

コンシェルジュ部:Notebook LMやCanva AIを活用したお助けAIボット・頭金シミュレーターを導入し、資料作成や契約書作成などを自動化。約半分の時間でプラン検索が可能に。

広報企画部:Googleフォーム・GmailとChatGPT、Chatworkを連携した業務自動化や、Gemini APIによる名刺画像読み取りの自動化を実施し、作業効率を大幅に向上。週次・月次通知、広告レポート分析などをAIで実行。GPTsやNotebookLMも活用し、HP告知や広告分析のスピードも改善。年間1,368時間の業務時間を削減(削減効果は前年比約1.5倍)

施工管理部:GASや生成AIを活用し、住宅設備搬入日の定期連絡を自動化。また、発注書の一括作成により作業の効率化と最終確認のミス防止も実現。気密測定シートや工事写真からの情報抽出にも挑戦中。月間合計約3.2時間、年間約38時間の業務削減

BJ事業部:HubSpot AIbotによる24時間対応の顧客質問対応を導入。また、ChatGPTとGASを活用したタスク書き出しシートの自動転記を作成し、テンプレートへの転記作業を3クリックで完了できるようにした。月間約2時間の業務削減が見込まれる。

JS事業部:仕組み化研修時、GoogleVIDSでコンテンツの概要と操作説明を実施し、AIで代替可能な部分を構築。講師が変わっても説明品質を保持でき、かつアーカイブ動画も作成可能に。また、NotebookLMで「BJ×JS商談戦略・リサーチ」チャットを構築し、過去の商談情報を即時返答可能に。月間約10時間の業務削減が見込まれる。

学びとなったAI活用に関する10の気づきと発想

1「作る」を内製化するマインドシフトの追求

  • 気づき:外部に依存せず、「誰かに作ってもらう」から「自分たちで作る」へのマインドシフトこそが最大の成果。APIやGASといった技術を、特定のIT人材ではなく「普通の社員」が日常業務の中で使いこなす文化を醸成すること。

  • 発想:専門的なIT部門がない中小企業でも、日常業務の延長でAIツールを使いこなし、自社の課題解決アプリや自動化を自作できるという自信を持つ。

2 部門横断で「全社的な競争と連携」を促す

  • 気づき:一部の部署や「できる人」だけがやるのではなく、不動産、介護、リフォーム、設計など全事業部が独自の活用を実践し、互いに成果を競い、学び合う組織全体での推進体制が爆発的な成果を生む。

  • 発想:AI活用を全社プロジェクトとし、各部署に「削減時間」や「革新的な活用事例」で競わせる仕組みを導入し、成功事例を迅速に共有する。

3 失敗を恐れず「できない理由の言語化」を徹底する

  • 気づき:成功の裏には「最初はうまくいかなかった」経験がある。図面差分抽出の例のように、失敗した際に「なぜできないのか」を徹底的に分析し、具体的な原因を特定し対処する粘り強い姿勢が、技術的なブレイクスルーにつながる。

  • 発想:AI活用におけるエラーや失敗は「学習データ」と捉え、「失敗の言語化」とその対処法を社内の財産として共有する。

4 「どうすれば他部署でも使えるか」を意識した仕組みづくり

  • 気づき:作成した資金計画書や勤怠管理アプリなど、個別の自動化事例においても、「横展開」を意識して標準化された仕組みづくりを行うことで、組織全体の底上げと効率化が加速する。

  • 発想:1つの部署で成功した自動化の「型」をテンプレート化し、全社に「この部分を自部署の業務に置き換えれば使える」という形で共有する。

5 現場の課題に寄り添った「AIの再定義」と工夫

  • 気づき:介護事業部の事例のように、高齢者にとっての「ハードルの高さ」を認識し、音声入力からテキスト入力への変更、リハビリとしての活用など、利用者に合わせた柔軟な工夫が、AIの現場定着を成功させる。

  • 発想:AIを導入する際、最先端技術にこだわるのではなく、ターゲットユーザー(社員、顧客、利用者)のデジタルリテラシーや現場の環境に合わせて、最適な形にカスタマイズする。

6 営業力の底上げを目的とした「リアルタイム支援」の導入

  • 気づき:新人営業の電話中にChatGPTに顧客の声を読み込ませ、「質問リスト」を自動生成するリアルタイム支援は、単なる時間削減を超え、即戦力化と営業の質向上という戦略的成果に貢献する。

  • 発想:AIを「壁打ち相手」や「コンシェルジュ」として活用し、経験やノウハウをAIに学習させることで、個人の能力に依存しない、組織的な営業力の強化ツールとする。

7 「複数のAI」を使い分け、連携させる発想を持つ

  • 気づき:「ChatGPT一択」ではなく、複数のAIツールに同じ質問を投げ、最適な回答をくれるツールを選ぶ「AI選定の考え方」や、音声生成AIと原稿作成AIを組み合わせた研修動画の自動生成など、AIの連携による新たな価値創造。

  • 発想:1つのAIで完結させようとせず、タスクに応じて最適なAI(ChatGPT、Gemini、Claudeなど)を選定し、APIなどで連携させることで、より高度で効率的なワークフローを構築する。

8 実践報告と相互学習の「継続の仕組み」を最重要視する

  • 気づき:週1回の勉強会を「単なる座学」ではなく、「実践報告」と「困っていることの共有・解決」の場としたことが、知識の定着と文化の根付きに不可欠であった。

  • 発想:AI活用をブームで終わらせないために、実務レベルで継続的に学び、相互に助け合うコミュニティと場を社内に整備する。

9 AIを「素直だけど、ちょっとアホ」と捉え、具体的な指示を徹底する

  • 気づき:工務部の事例に見られるように、「AIは曖昧な指示では通じない」という本質を理解し、シートの構造や求める結果を具体的に説明する姿勢が、発注書の一括作成や写真からの情報抽出成功の鍵となった。

  • 発想:AIを過信せず、求める結果を得るために、プロンプト(指示文)の改善と繰り返しの試行錯誤を「AIとの対話」として捉え、具体的な指示出しのスキルを磨く。

10 スモールスタートと無料ツールの徹底活用を優先する

  • 気づき:郵便番号からの住所反映を外部APIではなくGoogleの無料機能で実現するなど、商用利用でもコストをかけずにできることから着手し、成果を積み重ねるコスト意識と実用性重視の姿勢。

  • 発想:ばく大な予算を投じる大規模なシステム導入ではなく、スプレッドシート、GAS、Google Workspaceの無料機能や、比較的手軽なAIツールを活用したスモールスタートを最優先する。

 AI活用が「業務の一部」から「文化」へ

報告会の冒頭では、これまでの12か月間の活動を振り返り、株式会社THAの西山氏から次のようなコメントをいただきました。

「1年前は“AIって難しい”“自分には関係ないかも”と感じていた社員の方も、今では自然にAIを使いこなしています。業務を分解し、仕組み化しながら課題を共有し合う姿勢は、まさに“強い組織文化”の表れです。本プロジェクトでは、AIを「知る」「わかる」「行う」「できる」というステップで取り組み、「できる」ところまで来ていることを実感しました。次は、各個人・部署で得た知見を横展開し、会社全体の成長に結びつける「分かち合う」という意識をもってほしい」


西山氏はさらに、AI活用の本質は単なる効率化ではなく、「どうありたいか」という理想像を描き、そこに近づくために人が知恵と創造力を発揮する点にあると強調しました。そして、各事業部が自らゴールを設定し、週単位で計画と実践を重ねることで、社員は「目的意識をもってAIを使いこなす力」を着実に身につけてきたと評価していただき、次なる発展に期待をお寄せいただきました。

当社代表・田尻氏コメント

「今回の発表を聞いて、正直8割は理解できませんでした。でも、それでいいと思っています。なぜなら、社員が私の理解を超えるスピードで進化している証拠だからです。AIを導入する目的は、単なる効率化ではなく、“どうすればもっと良くなるか”を自ら考え、社員同士が行動する力を育てること。その姿勢こそが、私たちの会社の最大の強みであり、競争力の源です。

13年前にGoogle Workspaceを導入した頃から、“仕組みづくり”を通じて働き方を変えてきました。今回のAI活用は、その延長線上にある次の変革です。社員の創造力が最大限に発揮される仕組みが整い始めています。

これからは、AIを“使う”企業ではなく、“活かす”企業として、社員一人ひとりが業界をリードしていく存在になってほしい。この1年間の挑戦と成長こそが、私たちの誇りです」

今後の展開

当社は、各事業部で得た知見を横展開し、AIナレッジプラットフォームの構築を進めます。また、AI活用によって生まれた時間を「創造」「判断」「共感」といった人間ならではの価値に振り向け、顧客満足と働きがいの両立を目指し、AIを“共創のパートナー”とする企業文化の深化をさらに進めていきます。


株式会社THAについて

株式会社THAは、「日本を支える勇者たちに最強の強化魔法を」というビジョンのもと、AI技術を中心にさまざまなIT・クリエイティブ技術や知見を提供し、企業の業績向上を支援しています。同社の代表的なサービス“経営を進化させるAIパートナー”「AI社長」の提供や、企業へのAI導入支援を通じて数多くの従業員の自走支援や組織活性化を実現しています。

社名:株式会社THA

本社:東京都新宿区新宿1-36-7 新宿内野ビルII 7F

代表取締役:西山朝子

創業:1978年(AI事業本格開始:2023年5月)

事業内容:AI社長サービス、企業向けAI・ITソリューション

AI社長サービスページ:https://ai-syacho.com/

お問い合わせ先:株式会社THA 広報部

Email: info@tha-inc.com

URL: https://tha-inc.com/

サービスの詳細や利用を検討されている企業は、上記の連絡先までお問い合わせください。


【会社概要】

アイニコグループ株式会社は、「笑顔を創造し続ける」という企業理念のもと、奈良・京都南部を中心に、注文・分譲住宅、リフォーム、不動産、保育、介護、民泊、企業向けIT/DX研修支援事業や業務管理SaaS事業(BOXJOB)など、幅広い事業を展開しています。私たちは、家づくりだけに留まらず、お客様の暮らしそのものを豊かにし、地域社会に貢献することを目指しています。


名称:アイニコグループ株式会社

設立:2007年

代表:田尻 忠義

本社:〒631-0806 奈良市朱雀3丁目1-7 


【アイニコグループ事業】

■楓工務店

https://www.kaedekoumuten.jp/

■トチナラ

https://www.tochinara.jp/

■ココチエデザインラボ

https://www.cocochiedesignlab.jp/

■楓リフォーム

https://www.kaedekoumuten.jp/lineup/renovation/

■ガイソー奈良店

https://www.gaiso-nara.co/

■きたえるーむ奈良帝塚山

https://kitaeroom.com/shop/post-144.shtml

■きたえるーむ奈良西ノ京

https://kitaeroom.com/shop/post-159.shtml

■放課後等デイサービス「かえでFC」

https://sites.google.com/kaedekoumuten.jp/kaedefc/

■働きがい改革研究所

https://www.kaedekoumuten.jp/company/group/kenshu/

■古都泊

https://www.kaedekoumuten.jp/company/group/kotohaku/

■リールキッズ楓保育園

https://www.kaedekoumuten.jp/company/group/hoikuen/

■SaaS事業 BOXJOB

https://web.boxjob.jp/

このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります

メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。

すべての画像


ダウンロード
プレスリリース素材

このプレスリリース内で使われている画像ファイルがダウンロードできます

会社概要

アイニコグループ株式会社

5フォロワー

RSS
URL
https://www.kaedekoumuten.jp/
業種
建設業
本社所在地
奈良県奈良市朱雀3丁目1-7
電話番号
0742-71-9990
代表者名
田尻忠義
上場
未上場
資本金
1000万円
設立
2007年02月