加工後の磁性を大幅に抑制し、深絞り加工の可能性を大きく広げる「NK-305シリーズ」をエコプロダクトとして新たに拡販
~地球にやさしい“エコプロダクト”で新たな価値を共創する日本金属~
日本金属株式会社(本社:東京都港区、取締役社長:下川康志、証券コード:5491)は、この度、優れた低透磁率(非磁性)と高い深絞り加工性を両立したステンレス鋼「NK-305シリーズ」を、環境配慮型製品“エコプロダクト”の第6弾として新たに販売を強化します。本製品は、電子部品の信頼性向上や自動車部品の複雑形状化といった市場のニーズに応え、お客様の製品の高性能化と生産性向上に貢献します。

開発の背景
近年、電子機器の小型化・高密度化や自動車の軽量化に伴い、使用される金属材料には、加工後も磁気を帯びにくい「低透磁率(非磁性)」と、複雑な形状へ加工できる「深絞り性」を、より高いレベルで両立させることが求められています。しかし、従来のステンレス鋼ではこの2つの特性の両立は困難な課題でした。
「NK-305シリーズ」の特長・メリット
こうした市場のニーズに応えるため、当社が独自技術により開発したのが「NK-305シリーズ」です。用途に応じて最適な性能を発揮する2つの鋼種をご用意しました。
1. NK-305S:極めて低い透磁率で、電子部品の信頼性を向上
強い加工を加えた際の磁性の発生を大幅に抑制し、一般的な低透磁率ステンレス鋼であるSUS316を上回る特性を実現しました。磁気の影響を極力避けたいカメラモジュール(図1)や各種センサー部品に最適で、製品の誤作動防止に貢献します。また、SUS316からの代替によるコストダウンも可能です。
(用途例:カメラ部品、モバイル機器部品など)
2. NK-305Y:優れた深絞り性で、複雑形状部品の生産性を改善
非常に軟質で伸びが良く、厳しい深絞り加工にも対応します。これまで製造が難しかった複雑な形状の自動車部品などの成形を容易にし、お客様の生産における加工効率の向上と歩留改善に大きく貢献します。
(用途例:自動車部品、電子部品筐体など)
環境への貢献と今後の展望
「NK-305シリーズ」は、お客様での歩留向上により省資源化に貢献するため、当社独自の基準により環境配慮型製品「エコプロダクト」に認定しております。当社は本製品の提供を通じて、お客様の製品の長寿命化や生産性向上を支援し、サプライチェーン全体での環境負荷低減を目指します。
今後も、第11次経営計画「NIPPON KINZOKU 2030」のビジョンのもと、自動車、電子部品、半導体関連市場に向けて、お客様のニーズに寄り添った独自製品の開発と供給を強化してまいります。
NK-305シリーズの化学成分・特性
1)化学成分
NK-305シリーズは一般的なSUS304と比べてオーステナイト安定系鋼種であり、化学成分は SUS305のJIS 規格内に調整しております(表1)。

2)低透磁率(非磁性)&深絞り性
1. 「NK-305S」
NK-305シリーズはSUS304よりも透磁率が優れておりますが、特にNK-305Sは加工時に生成して磁性を誘発する加工誘起マルテンサイトの発生を抑えることで、SUS316よりも磁性を帯びにくい鋼種となっております(図2)。そのためSUS316と比べてコストダウンが可能です。

2. 「NK-305Y」
NK-305シリーズは軟質で耐力も低く、深絞り性に優れていますが、そのなかでもNK-305Yはより深絞り性を向上させています。引張強さ、伸びは一般的なSUS304と同等です(表2)。

鋼帯製品概要
当社の冷延ノウハウが蓄積された独自設計の設備群、そして、そこから創出された業界トップレベルの当社独自技術がお客様のあらゆるニーズにお応えします。
URL: https://www.nipponkinzoku.co.jp/corporate/business/stainless-steel
●第11次経営計画「NIPPON KINZOKU 2030」について
当社は「人と地球にやさしい新たな価値を共創するMulti&Hybrid Material企業」をビジョンとして掲げております。これは、多種多様な素材を独自の圧延・複合成形技術で加工し、最終製品に求められる性能を素材レベルから実現することで、人と地球の未来に貢献するという考え方です。このビジョンの実現のため、「Multi & Hybrid Material」(多種多様な素材の活用)、「Near Net Shape」(最終製品形状に近い複雑な成形加工実現)、「Near Net Performance」(最終製品に要求される性能を素材で実現する製品)の3つをキーワードに設定いたしました。これらのキーワードに基づき、独自技術による将来を見据えた製品開発を推進いたします。そして、新技術・新製品を主力とし、新たなニーズに対応することで、事業構造の変革を目指してまいります。
本リリースに関するお問い合わせ先
日本金属株式会社 総務部
TEL:03-5765-8100
https://www.nipponkinzoku.co.jp/contact-other
本製品及び技術情報に関するお問い合わせ先
日本金属株式会社 プロダクションプロセス・サポート部
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