多くの企業がデジタルトランスフォーメーションの進展に苦戦

大半の企業では、カスタマーエクスペリエンスは進化しているものの、デジタルトランスフォーメーションを成功に導くためのデジタル能力、リーダーシップ能力が不足

キャップジェミ二

 



【2018年7月3日:パリ発】
キャップジェミニのデジタル・トランスフォーメーション・インスティテュートは、新しくリリースしたレポートで、「企業のデジタルトランスフォーメーションジャーニーを成功に導くために必要なデジタル能力とリーダーシップ能力について『備わっている』と感じている企業はそれぞれ全体の39%ならびに35%と、いずれも少数に止まっている」と指摘しました。この新しいレポート『Understanding Digital Mastery Today: Why companies are struggling with their digital transformations(今日のデジタルマスタリーを理解する - 企業はなぜデジタルトランスフォーメーションで苦戦するのか)』では、企業がカスタマーエクスペリエンスの進化を進める一方で、バックエンドのオペレーションのトランスフォーメーションで苦戦していることを明らかにしています。さらに、従業員を企業のデジタルトランスフォーメーションのアジェンダへと導くために必要な強力なデジタル文化を創り出すことに失敗しつつあることも指摘しています。


今回のレポートは、750社以上の企業(そのうち71%の企業は収益10億ドル以上)の1,300名以上のビジネスリーダーを対象に調査を行ったもので、キャップジェミニ・コンサルティングとMITスローン経営大学院が2012年に発表したレポートである『The Digital Advantage: How Digital Peers Outperform Their Peers in Every Industry』とデジタルトランスフォーメーションについて比較しています。今回の調査の結果、2021年までに2兆ドルを超えるデジタルトランスフォーメーションイニシアチブへの巨額な投資(*1)にもかかわらず、適切なリーダーシップ能力が備わっていると感じる企業は、6年前よりも少なくなっています(2012年の45%から2018年には35%に減少)。また、トランスフォーメーションを進展させる適切なデジタル能力についても「備わっている」と感じる企業はいまだ半数に及びませんでした(2012年、2018年ともに39%)。

カスタマーエクスペリエンスは進歩しているが、オペレーションにおけるエクセレンスはいまだ欠如
デジタル能力に関して言えば、企業はカスタマーエクスペリエンスを優先させており、この分野で最も大きく進展しています。たとえば、今日の企業の43%はモバイルチャネルを使用し製品やサービスを販売しています(2012は23%)。さらに、今日の企業の40%近くが製品に組み込んだデバイスを通じて市場や顧客に関する知識を向上させています(2012年は17%)。このような数値の上昇は、消費者の間でモバイルチャネルやモバイルアプリが広く使用されていることやモノのインターネット(IoT)技術の進歩を考えれば驚くには値しません。

しかしながら、オペレーション(*2)こそが自社の優れた分野であると回答した企業は36%にとどまっています。また、自社製品をデジタルで設計していると答えた企業は2012年の38%から2018年の40%とわずかな上昇にとどまりました。オペレーションをリアルタイムで監視していると答えた企業はわずか35%(2012年は48%)、外部の課題に短期間で適応するためにオペレーションプロセスを修正した企業はわずか29%(2012年は34%)でした。また、多くの企業は従業員が期待するツールや能力を提供していません。たとえば、従業員同士のデジタル的コラボレーションが可能と答えた企業はわずか38%(2012年は70%)、デジタル技術がシニアエグゼクティブと従業員との間のコミュニケーションを改善することに同意する企業はわずか33%しかありませんでした(2012年は62%)。

ITとビジネスとの関係は減少
デジタル時代において、CIOとリーダーシップチームの他のメンバーとの関係はなくてはならないものですが、ここには断絶があるようです。2012年には、企業の65%が「CIOとシニアビジネスエグゼクティブは自社組織におけるITの役割について共通の理解をもっている」と答えましたが、2018年には37%に減少しました。また、「CIOとシニアビジネスエグゼクティブは、ITをどのように使用して企業のオペレーションの生産性を高めるかについて共通の理解をもっている」と答えた企業も2012年の59%から2018年には35%に減少しました。6年前、調査回答者の53%が「CIOとシニアビジネスエグゼクティブはIT投資の優先順位について共通の認識をもっている」に同意していましたが、2018年の今、これに同意する企業は36%に減少しました。今回のレポートでは、「このような減少は、最適化がいまだサイロの中で行われている、あるいは、ビジネスリーダーたちがITのペースに苛立ちを感じて、イニシアチブをリードするためにシャドーIT(*3)を形成しつつあることを示唆している」と結論付けました。

Telecom Italiaのテクノロジーイノベーションヘッド、Enrico Maria Bagnasco氏のコメント:製品開発、ソリューション開発そしてデジタルイノベーション開発のスピードは大幅にアップしています。だからこそ、企業はデジタルトランスフォーメーションのゴールを達成するために、外部エコシステムとのオープンな対話を維持し、ビジネスと技術との間のバランスを見極めることが重要なのです。

低いデジタル文化が進行を失速させる
今回の調査では、リーダーシップの課題に加えて、トランスフォーメーションを成功させるための適切なデジタル文化を創造することができなかったことも明らかになりました。「企業の誰もがデジタルイニシアチブに関する会話に参加する可能性がある」と答えたのは回答者のうちわずか36%(2012年は49%)、「既存の従業員に対するデジタル技能の再教育を行う正式なプログラムが存在する」のは調査対象企業のわずか38%にとどまりました。さらに、シニアビジネスリーダーは、部下をデジタルトランスフォーメーションのビジョンに従事させる必要がありますが、「シニアエグゼクティブとマネージャーがトランスフォーメーションに対する共通のビジョンをもっている」と考える企業はわずか36%にすぎませんでした。

キャップジェミニのデジタルサービスヘッド、Cyril Garciaのコメント:今日の技術ランドスケープは2012年よりはるかに複雑です。人工知能や機械学習、自動化、モノのインターネットなどの新しい技術はいまだかつてない機会を企業に提供しています。しかし、成功に不可欠なのは、これらの技術を企業に適応させ、企業に組み込む能力です。新しい技術ランドスケープを最大限に活用するためには、ビジネスリーダーが新しい技術に投資するだけではなく、従業員とともにデジタルトランスフォーメーションのアジェンダを、技術の理解と同じくらい変更管理に重点を置きながら、進めていくことが不可欠です。

デジタルトランスフォーメーションジャーニーを持続させるために
今日、多くの企業が、ジャーニーの複雑さという現実に直面し、成功裏にトランスフォームすることが如何に困難で挑戦的なものなのかを実感しています。企業の前進の速度は十分とは言えないとレポートは述べています。能力と文化は、成功への道のりに立ち塞がる大きな課題です。本レポートは、「デジタルトランスフォーメーションの成功のための重要な側面-オペレーション、ガバナンス、そしてとりわけ能力と文化 - へ新たなフォーカスを定めることを推奨し、このフォーカスが「企業がデジタルトランスフォーメーションに新たな活力を与えるのに役立つ」と述べています。

調査方法
757社のマネージャー以上の役職にある1,338名のビジネスリーダーを対象に2018年4月から同年5月にグローバルに調査を実施。対象企業の71%は、2017年度の収益が10億ドル以上です。

各レポートのコピーは以下からダウンロードできます。

 
  1. ​オペレーションは、製品およびサービスのデジタル設計、運用プロセスを迅速に適応する能力、リアルタイムのモニタリング、知識を従業員と共有し、デジタルでコラボレーションし、任意の場所から作業を実行できるようにする能力などの側面を包含しています。
  2. IDC、『IDC Forecasts Worldwide Spending on Digital Transformation Technologies to Reach $1.3 Trillion in 2018』(2017年12月)
  3. シャドーITとは、IT企業の所有権管理外のデバイス、ソフトウェア、およびサービスを指します。

キャップジェミニについて
キャップジェミニは、コンサルティング、テクノロジーサービス、デジタルトランスフォーメーションのグローバルリーダーとして、イノベーションの最前線に立ち、進化を続けるクラウド、デジタル及び各種プラットフォーム分野で、顧客のあらゆるビジネス機会に対応致します。キャップジェミニは、50年にわたり蓄積してきた優れた実績と業界固有の専門知識を基に、戦略から運用まで、弊社の一連のサービスを通じて、顧客企業が目指すビジネスビジョンの実現をご支援致します。キャップジェミニの信念は、「テクノロジーに関わるビジネス価値は人を通じて具現化される」ことであり、この信念こそが弊社の原動力となっています。キャップジェミニは、世界40ケ国以上、20万人のチームメンバーで構成される多文化企業です。キャップジェミニ・グループ全体の2017年度売上は、128億ユーロです。

キャップジェミニ株式会社については、以下をご覧ください。
 www.capgemini.com/jp-jp
キャップジェミ二株式会社のソーシャルアカウント
 Twitter:https://twitter.com/CapgeminiJapan
 Facebook:https://www.facebook.com/CapgeminiJapan/
 
People matter, Results count.(人にこだわり 成果にコミット)

デジタル・トランスフォーメーション・インスティテュートについて
デジタル・トランスフォーメーション・インスティテュートは、デジタル全般に関するキャップジェミニの社内シンクタンクです。この組織は、大規模な従来型/既存のビジネスに対するデジタル技術の影響について調査し、その結果を公開しています。ここでは、チームがキャップジェミニのエキスパートたちによる世界規模でのネットワークを活用し、教育機関や技術パートナーたちと緊密に連携しています。デジタル・トランスフォーメーション・インスティテュートは、インド、イギリスおよびアメリカに専用のリサーチセンターを開設しています。
 

すべての画像


会社概要

キャップジェミニ株式会社

3フォロワー

RSS
URL
https://www.capgemini.com/jp-jp/
業種
サービス業
本社所在地
東京都港区虎ノ門1丁目23-1 虎ノ門ヒルズ 森タワー 22階
電話番号
03-6865-9510
代表者名
殿村真一
上場
未上場
資本金
1億円
設立
2013年02月