〈第4回 中小企業のDX推進実態調査〉中小企業の約74%が導入初期段階止まり DXの認知は進むも、実行は停滞
中小企業の“理解と実践”に大きなギャップがあることが判明
Green(グリーン)とDigital(デジタル)を活用した中小企業の変革を目指すフォーバル GDXリサーチ研究所(本社:東京都渋谷区、所長:平良学)は、全国の中小企業経営者・経営層を対象に「第4回 中小企業のDX推進実態調査」を実施しました。

本調査は、中小企業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の浸透度と課題を継続的に把握することを目的としています。デジタル庁設立(2021年9月)から約3年半が経過し、既存システムの老朽化などによるリスク「2025年の崖」※ も目前に迫る中、2025年と2021年の調査を比較すると、「DXを説明できる」企業の割合は若干ではあるが増加。企業におけるDXの認知が少しずつ浸透していると言える一方で、「知らない」のみに注目すると、2021年の6.7%から、今回の調査で、15.2%に増加。 DXを知っている企業と知らない企業での二極化が進んでいる可能性が考えられます。また、多くの企業が「意識改革段階」にとどまっており、具体的な「事業改革段階」まで到達している企業はごくわずかでした。
※2025年の崖:経済産業省が指摘する、複雑化・老朽化・ブラックボックス化した既存システムが残存した場合に発生しうる国際競争への遅れや経済的損失などのリスク。
【調査結果サマリー】
①2025年と2021年の調査を比較すると、「DXを説明できる」企業の割合は若干ではあるが増加。企業におけるDXの認知が少しずつ浸透していると言える一方で、「知らない」のみに注目すると、2021年の6.7%から、今回の調査で、15.2%に増加。
②企業のDX推進の進捗を見ると、「意識改革段階」以下にとどまる企業が約7割を占め、DX推進が初期段階から進展していない状況が明らかに。 DX推進の最も進んだ「事業改革段階」に達している企業は全体のわずか5.3%に。
③月次売上や利益は半数近くがデータ化できている一方で各従業員のスキルとパフォーマンスのデータ化は9.7%にとどまり情報整備は、領域によって進捗に大きな差があることが判明。
本リリースの調査結果をご利用いただく際は、必ず【フォーバル GDXリサーチ研究所調べ】とご明記ください。
【アンケート概要】
・調査主体 :フォーバル GDXリサーチ研究所
・調査期間 :2025年1月14日~2025年2月14日
・調査対象者 :全国の中小企業経営者
・調査方法 :ウェブでのアンケートを実施し、回答を分析
・有効回答数 :828人
①2025年と2021年の調査を比較すると、「DXを説明できる」企業の割合は若干ではあるが増加。
企業におけるDXの認知が少しずつ浸透していると言える一方で、「知らない」のみに注目すると、2021年の6.7%から、今回の調査で、15.2%に増加。
Q1. DX (デジタルトランスフォーメーション) とは何かご存知ですか。(N=828)
今回の調査では、「知っており、他の人に説明できる」、「知っているが、説明できるほどではない」を合わせ、63.3%の企業が認知しているとの結果が得られました。2021年のDXの認知度は60.2%で、今回の63.3%と比較すると、若干ではあるが増加。企業におけるDXの認知が少しずつ浸透していると言える一方で、「知らない」のみに注目すると、2021年の6.7%から、今回の調査で、15.2%に増加しているという結果となりました。

②企業のDX推進の進捗を見ると、 DX推進の最も進んだ「事業改革段階」に達している企業は全体のわずか5.3%に。 「意識改革段階」以下にとどまる企業が約7割を占め、DX推進が初期段階から進展していない状況が明らかに。
Q2. Q1で「知らない」以外を回答した人にお伺いします。
あなたの企業全体でのDX(デジタルトランスフォーメーション) の取り組みレベルとして、当てはまると思うものをお選びください。(N=702)
「取り組めていない」と回答した企業が37.2%(261件)、「意識改革段階」が37.0%(260件)を占め、合計74.2%が初期段階以下という結果になりました。実践的な推進段階である「情報活用段階」は20.5%(144件)、「事業改革段階」は5.3%(37件)と、「情報活用段階」やそれ以降への進展が遅れている実態が浮き彫りになりました。

③月次売上や利益は半数近くがデータ化できている一方で
各従業員のスキルとパフォーマンスのデータ化は9.7%にとどまり情報整備は、
領域によって進捗に大きな差があることが判明。
Q3.あなたの会社では、自社の経営情報をデータ化していますか。(N=567)
「月次売上」や「月次利益」については、それぞれ47.6%、44.1%の企業が「全てデータ化できている」と回答しました。一方、「各従業員のスキルとパフォーマンス」を「全てデータ化できている」と回答した企業は9.7%にとどまり、人材情報のデータ化が大きく遅れていることが明らかになっています。DXの基盤としての情報整備は、領域によって進捗に大きな差があることが分かります。特に「人材」に関する情報整備の遅れが、今後のボトルネックとなる可能性が示唆されます。

Q4. Q3で「すべてのデータ化ができている」「一部のデータ化ができている」と回答した人にお伺いします。データ化している自社の経営情報について、それぞれどの程度把握できていますか。
Q3で「すべてのデータ化ができている」「一部のデータ化ができている」と回答した人に聞いたところ、データ化された経営情報について、「月次売上」や「月次利益」はそれぞれ54.5%、49.6%の企業が「正確に把握できている」と回答しています。しかし、「各従業員のスキルとパフォーマンス」に関しては、「正確に把握できている」と回答した企業は27.9%にとどまり、業績関連の情報と比べて把握状況が不十分であることが明らかとなりました。人材領域における情報の見える化が、依然として課題であることが浮き彫りになりました。

【有識者のコメント】中小企業の次世代成長戦略への対応の現状について
フォーバル GDXリサーチ研究所所長
平良 学(たいら・まなぶ)
■経歴
1992年、株式会社フォーバルに入社。九州支店での赤字経営の立て直し、コンサルティング事業の新規立ち上げ、
全体統括を経て、2022年に新たに発足した中立の独立機関「フォーバル GDXリサーチ研究所」の初代所長に就任。
中小企業経営の実態をまとめた白書「ブルーレポート」の発刊、全国の自治体と連携し、地域の中小企業経営者に向けたDX、GXの講演、中小企業経営者向けのイベントの企画などを通じて、中小企業のGDXを世に発信している。

■コメント
以前にも当所で実施した中小企業のGDXについての調査を、定点調査も兼ねて再度実施しました。今回はDXについての調査結果の報告となります。DXの認知度は微増しているものの、取り組み度合いについては、前回調査からほとんど進んでいないという状況でした。必要性や重要性を理解している経営者はいるものの、対応人材の不足や費用面の課題などが取り組みが進んでいない主な要因と推察されます。また、今回上流企業からDXの取り組みを進めるよう要求を受けたことがあるか、についての調査も行いましたが、約2割の中小企業が要望を受けていました。今後もこのような上流企業からの要求は増えることが見込まれるため、まだ取り組めていない企業は、国の補助金や外部の専門家支援を積極的に活用して、自社のDXを速やかに推進していくことを推奨いたします。
■フォーバル GDXリサーチ研究所とは
日本に存在する法人の99%以上を占める中小企業。この中小企業1社1社が成長することこそが日本の活力につながります。中小企業が成長するための原動力の1つにGreen(グリーン)とDigital(デジタル)を活用し企業そのものを変革するGDX(Green Digital transformation)があります。
フォーバル GDXリサーチ研究所は、中小企業のGDXに関する実態を調査し、各種レポートや論文、報告書などをまとめ、世に発信するための研究機関です。「中小企業のGDXにおける現状や実態を調査し、世に発信する」をミッションに「中小企業のGDXにおいてなくてはならない存在」を目指し活動していきます。

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