佐倉市の小中学校が「今、できることで世界を応援する」——『世界とつながる学び』で生まれた教材が、カンボジア避難民支援の現場へ
王子台小の「あやとり」、臼井中の「アクリルたわし」が避難民収容寺院で活用/南部中の『はじめてのヒロシマ』翻訳や佐倉市制作の友好缶バッジなど、市内の“行動する平和”が海外に接続
特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクト(代表:中村雄一/千葉県松戸市)は、千葉県佐倉市内の小中学校と連携し、「世界とつながる学びプロジェクト(CoRe Loop)」を推進しています。講演会をきっかけに児童生徒から生まれた「今、できることで世界を応援する」という声に応え、学校で制作された教材・支援物資を海外の教育・人道支援の現場へ届けてきました。
2025年12月29日、カンボジア王国シェムリアップ州Chi Kraeng(チークレン)の避難民収容寺院にて実施した緊急支援(教育支援・炊き出し)では、佐倉市立王子台小学校の「あやとり」および佐倉市立臼井中学校の「アクリルたわし」が現地で活用されました。

世界の現状:避難の拡大と「学びの喪失」
世界では紛争や暴力、人権侵害などにより、2024年末時点で推計1億2,320万人が強制的に故郷を追われているとUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)は報告しています。 またUNHCRは、難民の就学年齢の子どもたちのうち約46%が学校に通えていない状況も示しており、学びは最前線で失われ続けています。こうした状況下で、学校教育の中で生まれた“教材”や“学び”そのものを、現地に「授業」として届ける支援の重要性は増しています。



カンボジアの状況:国境地帯の緊張と避難の長期化
なかよし学園が2025年末に支援を実施したカンボジアでは、国境地帯の緊張・衝突により避難を余儀なくされる人々が生じ、避難生活が続いています。実際、報道機関や国際NGOは、同時期の戦闘・空爆に伴う住民避難やシェルターへの移動を報じています。またWorld Visionは、同時期の国境衝突により、子どもを含む多数の避難民が発生し、人道支援が求められている状況を報告しています。
なかよし学園は、こうした状況を踏まえ、Chi Kraengの避難民収容寺院などシェムリアップ州に設置された難民キャンプ及び紛争地域に指定されているアンロンベンにおいて、避難民児童生徒への教育支援(教材を用いた授業・アクティビティ)と、各校提供米を活用した炊き出し(おにぎり提供)を実施しました。



佐倉市の取り組み:講演会で生まれた「主語の転換」が、海外の現場へ
佐倉市では、臼井中学校・間野台小学校での講演会をはじめ、市内の複数校が「世界とつながる学び」に参加し、児童生徒が世界の現状を“自分ごと”として捉え、行動案を具体化してきました。
臼井中学校:全校生徒・保護者が参加し、「自分たちに何ができるか」を対話で具体化
間野台小学校:5年生が参加し、身近な文化・遊びが世界で教材になり得ることを体感
南部中学校:教職員による絵本『はじめてのヒロシマ』翻訳を通じ、継続的に教育支援活動へ参加
王子台小学校:日本の伝統的な遊びである「あやとり」を教材化
佐倉市教育委員会:日本・シリア友好の記念缶バッジ制作など、行政と学校が連携した“里帰り型”国際交流



2025年末・カンボジア緊急支援での活用
(佐倉市の教材が現地で「役に立った」瞬間)
1)王子台小学校「あやとり」:遊びが“教材”になり、笑顔と成功体験を生んだ
避難生活下では、遊具や教材が不足し、子どもたちの心身の負担が大きくなります。現地では、王子台小学校の児童が準備した「あやとり」を、日本の伝統的な遊びとして紹介し、動画等を用いて使い方を共有しました。王子台小の教材は、支援物資一覧にも明記されており、現地での教育アクティビティに組み込まれました。
なかよし学園 事務局長の中村里英が一人ひとりに丁寧に関わり、子どもたちだけでなく大人も輪に加わりながら、成功体験を積み重ねました。避難民収容寺院を管轄する僧侶からは、次のコメントが寄せられています。
「戦禍の中で悲しみを抱える子どもたちが、遊びを通じて一時的にそれを忘れ、笑顔になれた。」





2)臼井中学校「アクリルたわし」:炊き出しの現場で“生活を支える道具”として機能
同支援では炊き出し(おにぎり提供)も実施され、現地では大量の食器洗いが発生します。臼井中学校の生徒が作成した「アクリルたわし」は、この食器洗いの支援として提供され、支援物資一覧にも明記されています。
現地の難民支援に携わるカンボジア人スタッフは、臼井中生徒の説明書・手紙を読み、次のように涙ながらに語りました。
「遠く日本の生徒がカンボジアの今の状況を知り、応援してくれるのは本当に嬉しい。…(中略)…
『日本の仲間が応援してくれる』と胸が熱くなった。絶望せず、希望を持ってこれから生きていきたい。」
※上記は、現地で支援に携わった関係者コメントとして記録されたものです。





「支援物資」ではなく「授業」として届く支援:CoRe Loop(Create→Reach→Co-Reflect→Return)
なかよし学園の特徴は、物資提供にとどまらず、日本の教室で生まれた教材を現地で「授業」として実装し、その反響(写真・手紙・声)を日本へ戻して次の学びに接続する往還型モデル「CoRe Loop」を運用している点にあります。
現地パートナーREN REASKAも、今回の支援について「“日本人が私たちを見捨てないでいてくれる”と感じた」「日本の子どもたちの思いが勇気と希望を与えた」とコメントしています。
佐倉市の国際貢献:学校教育が“国際協働の実装”になっている
佐倉市の取り組みは、一般的な「募金」や「物資支援」に留まりません。
・授業(教育活動)として設計され
・児童生徒が制作した教材が実際に海外で使われ
・現地からの反響が日本に戻り、次の学びに還元される
という点で、教育と国際貢献が“循環構造”として成立しています。佐倉市教育委員会も、市内複数校の参加と今後の展開意向を示しています。

今後の展開
なかよし学園は、佐倉市内の学校・教育委員会と連携し、教材制作・海外実装・フィードバックの循環をより強化します。講演会で生まれた児童生徒の「今、できること」を、国内外の学びと平和の現場へ接続し、“行動する平和”を地域から育てていきます。
代表メッセージ(理事長 中村 雄一)
「世界のために、今の自分に何ができるだろう。」
この問いが、佐倉の子どもたちの心から自然に立ち上がったことに、私は強い希望を感じました。支援とは、遠い国に“何かを送ること”ではありません。知らなかった現実を知り、想像し、悩み、話し合い、手を動かし、相手の暮らしと痛みに寄り添うこと。その一連の学びが、国境を越えて届いたとき、支援は初めて「共同の営み」になります。
2025年末、カンボジアの避難民収容寺院で、佐倉の子どもたちが準備した「あやとり」が、遊び道具も教材も乏しい環境の中で、笑顔と成功体験を生みました。臼井中の生徒たちが編んだ「アクリルたわし」は、炊き出しの現場で膨大な食器を洗う手を支え、同時に「日本に仲間がいる」という心の支えになりました。そこには、寄付や物資の枠を超えた“教育が生み出す力”がありました。子どもたちがつくったものが、誰かの今日を支え、明日を信じる理由になる。その瞬間、学びは教室を出て、世界の現場で「平和をつくる行動」へ変わります。
佐倉市の取り組みが稀有なのは、子どもたちの行動が一過性のイベントで終わらず、現地の声や反応が日本に戻り、次の学びに還っていく循環が生まれていることです。つくる。届ける。共に振り返る。そして還す。私たちはこの循環を、学校教育の中に“当たり前”として根づかせたい。なぜなら、戦争や貧困を生むのは「無関心」ではなく、「自分には関係ない」という分断だからです。反対に、平和をつくるのは、「遠い誰か」を自分の隣に感じられる想像力と、今日できる一歩を踏み出す勇気です。
佐倉の子どもたちは、もう踏み出しています。だから私たちは、必ず応えます。世界の現場とつなぎ、現地の子どもたちの笑顔と声を、また佐倉の教室へ戻します。子どもたちが「世界を変えられる」と実感できる学びを、地域から広げていきます。
今、できることで世界を応援する。
その言葉を、私たちは“未来をつくる合言葉”にします。

団体概要
特定非営利活動法人 なかよし学園プロジェクト
代表者:理事長 中村 雄一
所在地:千葉県松戸市
活動内容:世界10カ国の紛争地・貧困地域での教育支援/日本全国の学校と海外をつなぐ「世界とつながる学び」プロジェクト運営/現地パートナーと連携した人道・教育支援 ほか
本件に関するお問い合わせ先
特定非営利活動法人 なかよし学園プロジェクト
担当:中村 里英(グローバル教育企画部)
E-mail:peace.office@nakayoshigakuen.org
公式サイト:なかよし学園プロジェクト
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