新規事業提案制度の継続期に表面化する課題を整理した「3〜5年目の壁」ガイドを公開

制度実施企業40社の実態調査と2年分のエントリーシートをもとに、応募の頭打ち、提案の小粒化、受賞後の停滞など、社内ビジコンで起きやすい課題と見直しのポイントを整理

株式会社フィラメント

大企業向けの新規事業支援を行う株式会社フィラメント(本社:大阪市中央区、代表取締役CEO:角 勝、以下フィラメント)は、すでに新規事業提案制度(以下、社内ビジコン)を数年運営している企業に向けた実務ガイド「新規事業提案制度『3〜5年目の壁』ガイド」を公開しました。本ガイドは、2026年6月に開催した「ビジコンAWARDS 2026」の実態調査(回答66名/制度保有企業40社)と、2025年・2026年のエントリー企業の取り組みをもとに、社内ビジコンを数年続ける中で起きやすい課題と、制度を見直す際のポイントを整理したものです。

社内ビジコンは、立ち上げから1~2年は新しい取り組みとして社内の注目を集めやすい一方、回を重ねるにつれて、応募者の固定化、提案の小粒化、受賞後の停滞、経営層への成果説明など、さまざまな課題が現れ始めます。応募者の顔ぶれが変わらない、提案が既存事業の延長に寄る、受賞案件がなかなか進まないなど、制度を続ける中で悩みも増えていきます。本ガイドでは、こうした状況を単なる「マンネリ」と捉えるのではなく、制度を続ける中で役割や課題が変化することで生じる「3〜5年目の壁」として整理しています。

新規事業提案制度「3〜5年目の壁」ガイド:

https://thefilament.jp/publications/guide2026-3-5years.pdf

▹本ガイドの要点
・開催3〜5回の企業では、選考後の支援施策が平均4.9項目と最も薄い傾向

・3〜5年目は、入口の課題が残ったまま、事業化や事業部接続など出口の課題が加わる

・長く続く企業は「募集」「支援」「審査」「受け皿」「学び・体制」を継続的に更新している

・制度のリニューアルでは、施策だけでなく「制度が立てる問い」を組み替える 

・成果を事業化件数だけで測らず、事業開発・人材育成・風土醸成の3つに分けて捉える

□公開の背景:社内ビジコンは、始めるより「続けながら変える」ほうが難しい

社内ビジコンは、立ち上げて1〜2年は新しい取り組みとして社内の注目を集めやすい制度です。しかし回を重ねるにつれ、「今年もやる意味は何か」「過去の受賞案件はどうなったのか」「事業として成果は出たのか」と問われ始めます。ビジコンAWARDS 2026の参加者アンケートでも、事務局の関心は「始め方」だけではありませんでした。最も印象に残ったプログラムとして「10年続けたからこそ見えてきた社内ビジコンの変化と進化」が49名から挙げられ、今後参加したい企画でも、ビジコン事務局交流会(49名)、他社の制度設計・運営事例共有会(46名)が上位に並びました。

事務局が求めているのは、制度の始め方だけではなく、長く続けている企業が、続ける中で何を変えてきたのかという「続け方・変え方」の実践知です。本ガイドが扱う「3〜5年目の壁」は、単なるマンネリではありません。入口の熱量が落ちる一方で、受賞後の進捗や事業化など出口の説明責任が強まり、新規事業を既存事業のものさしで測ってしまうズレが表面化しやすい時期です。

□3〜5年目は、入口の課題に「出口の課題」が加わる

制度保有企業40社を実施回数で区分すると、黎明期(1〜2回/10社)では、エントリー数の確保、応募者の熱量維持、アイデアの質など、「人を集め、続ける」入口の課題が中心となります。一方、成熟期(5回以上/18社)では、事業化、事業規模の拡大、事業部との連携など、「事業として育て、広げる」出口の課題へと重心が移ります。特に定着期(3〜4回/12社)では、エントリー数の確保と事業化が同時に上位に現れています。

また、実施企業の回答ベース(n=55)で現在の課題を見ると、「事業化」「アイデアの質向上」「エントリー数の確保」がいずれも31件で並び、応募者の熱量維持18件、事業部との連携16件、経営層の巻き込み15件が続きました。つまり3〜5年目は、入口の課題が解決してから出口の課題が来るのではありません。入口の課題が残ったまま、出口の課題が新たに加わることで、複数の課題が同時に現れやすくなります。

□開催3〜5回の企業では、選考後の支援が最も薄い傾向

3〜5年目に起こる課題は、エントリーシートの分析にも表れています。2025年のビジコンAWARDSエントリー企業19社について、最終審査以降から事業化検証フェーズまでの選考後支援施策を12項目に整理し、開催回数別に実施数を比較しました。対象としたのは、仮説検証支援、伴走メンタリング、学習コンテンツ提供、所属部署との調整、落選者ケア、コミュニティ形成、社内マーケティング、事業化検証への予算支援などです。

開催回数

社数

選考後支援施策の実施数(12項目中)

3回未満

5社

平均7.0項目

3〜5回

8社

平均4.9項目

6回以上

6社

平均8.0項目

開催回数別に見ると、開催3〜5回の企業では平均4.9項目と最も薄く、6回以上の企業では平均8.0項目と、支援が厚い傾向が見られました。3〜5年目は、入口の熱量が落ち始める一方で、受賞後の検証や予算、事業部への接続など、出口の受け皿や支援体制がまだ十分に整っていない段階になりやすいことがうかがえます。長く続く企業は、単にイベント運営を繰り返しているのではなく、選考後の検証・予算・受け皿・学びを厚くしながら、制度そのものを更新しています。

□提案の「小粒化」は、制度を更新するサイン

3〜5年目の事務局が感じやすい課題の一つが、提案の小粒化です。応募はあるものの既存業務の改善提案に寄る、既存事業の延長が増える、一方で既存事業から離れた提案は社内で受け止めにくい、といった状況が起こります。ただし、小粒化は応募者の能力だけで起きるものではありません。テーマ設定が既存事業に寄っている、審査基準が実現可能性や収支を早い段階から求めすぎている、顧客課題を検証する支援が薄い、通過後に事業部へ接続する設計がないなど、制度側の要因も提案の質に影響します。

そのため本ガイドでは、小粒化を応募者の問題だけで捉えるのではなく、「そろそろ制度を更新する時期が来た」というサインとして捉えています。

□長く続く企業は、制度を毎年「更新」している

2026年のビジコンAWARDSエントリー企業20社のうち18社が、前回の課題、その改善施策、今回の課題までを具体的に記載していました。そこからは、制度が「前回の課題 → 改善 → 今回の課題 → さらに改善」というサイクルで更新されている様子が見えてきます。本ガイドでは、長く続く企業が更新している領域を、次の5つに整理しました。

・募集の更新

・支援の更新

・審査の更新

・受け皿の更新

・学び・体制の更新

長く続いている制度は、同じ形を毎年繰り返しているのではありません。制度の成熟とともに変わる課題に合わせ、目的と設計を更新しています。

□リニューアルで変わるのは、施策だけではなく「問い」

数年運営してきた制度を見直す際、募集方法や研修内容といった施策だけを変えても、根本的な課題が解決しない場合があります。本ガイドでは、制度を更新する際に重要なのは、「何をするか」だけでなく、制度が立てる「問い」そのものを組み替えることだと整理しています。

以前の問い

リニューアル後の問い

どう応募数を増やすか

どの層の応募が足りないか

良いアイデアかどうか

検証できる仮説になっているか

最終審査で誰が勝つか

次に誰が引き取るか

事業化したかどうか

どこまで検証が進み、何を学んだか

事務局がどう回すか

制度としてどう残すか

たとえば、応募者が一巡して応募数が減少した場合、単に告知を増やすのではなく、「どの層の応募が足りないのか」を問い直すことで、対象者や募集テーマ、応募導線そのものを見直すことができます。

□事業化件数だけで測ると、制度の価値は小さく見える

制度を数年運営すると、受賞案件の事業化や売上といった成果を求められるようになります。一方、新規事業は成果が表れるまでに時間がかかるため、事業化件数だけを成果指標にすると、制度が生み出している価値を十分に捉えられません。2026年のビジコンAWARDSエントリー企業20社は、すべてが成果の記載において「事業開発」「人材育成」「風土醸成」の3つの観点に触れていました。

本ガイドでは、これら3つの成果を分けて捉えるとともに、応募数だけでなく、顧客検証、PoCへの移行、事業部への接続、継続・撤退判断など、入口から出口までを「新規事業のパイプライン」として捉える考え方を整理しています。また、3〜5年目以降は、「挑戦して損をしない制度になっているか」という観点も重要です。通常業務との兼務で応募者が疲弊したり、挑戦経験が評価やキャリアにつながらなかったりすると、次第に「出しても意味がない制度」と受け止められる可能性があります。

□続ける/やめるの前に、「どこを更新するか」を考える

3〜5年目になると、「このまま制度を続けるべきか」という議論が起こりやすくなります。しかし、継続か終了かを決める前に、自社の制度がどこで詰まっているのかを整理することが重要です。本ガイドでは、過去数年の「応募」「提案」「審査」「受賞後」「学習」のログを棚卸しし、受賞後の受け皿を「時間・予算・所属・判断者・事業部接続」の5要素で確認したうえで、次年度に更新する領域を決める手順を紹介しています。

また、自社が現在どの壁に直面しているのかを確認するため、「入口の壁」「出口の壁」「体制の壁」の3領域、計9問のセルフ診断も収録しています。制度を続けることは、同じ形を維持することではありません。続けるか、やめるか、の前に問うべきは「どこを更新すべきか」です。

□ガイドの主な内容

新規事業提案制度「3〜5年目の壁」ガイドでは、以下の内容を掲載しています。
・社内ビジコンは、始めるより続ける方が難しい
・3〜5年目の壁の正体|症状と、その奥にあるズレ
・課題は「入口」から「出口」へ移る
・小粒化は失敗ではなく、制度更新のサインである
・長く続くビジコンは、何を変えているのか
・リニューアルで変わるのは、施策ではなく「問い」である
・事業化だけでは測れない、3つの成果
・続ける/やめるではなく、何を更新するか
・3〜5年目以降のセルフ診断
・3〜5年目以降に見ておきたいKPI

・外部に開く機能と見直しのポイント

・事業構造別に見直す論点

▹新規事業提案制度「3〜5年目の壁」ガイドについて

資料名:新規事業提案制度「3〜5年目の壁」ガイド

URL:https://thefilament.jp/works/9533

発行:株式会社フィラメント

発行時期:2026年8月(第1版)

形式:PDF

URL:https://thefilament.jp/publications/guide2026-3-5years.pdf

□ビジコンAWARDSとは

ビジコンAWARDSは、企業が実施する社内ビジネスコンテスト(ビジコン)の運営を担う事務局の取り組みに焦点を当て、その挑戦と成果を評価・表彰する国内唯一のアワードです。近年、社内ビジネスコンテストは、新規事業創出に加え、人材育成や組織変革を促す取り組みとしても活用が進んでいます。その成功の背景には、制度設計や運営、応募者支援、事業化支援などを担う事務局の存在があります。

ビジコンAWARDSでは、事務局の努力や工夫を可視化し、その知見を広く共有することで、より多くの企業がビジコンを通じて企業変革に挑戦しやすい環境づくりを目指しています。事務局の優れた取り組みを社会に発信することにより、新規事業創出の仕組みの進化と持続的な企業変革の加速に貢献してまいります。

特設サイト:https://bizcon-awards.com/

開催報告レポート:https://thefilament.jp/publications/report2026.pdf

□会社概要

会社名:株式会社フィラメント/Filament Inc.

設立:2015年4月9日

代表者:代表取締役CEO 角 勝

所在地:大阪府大阪市中央区南本町2-1-1 2F

事業内容:新規事業創出支援および人材組織開発

URL:https://thefilament.jp

本リリースに関するお問い合わせ

株式会社フィラメント 柿木原 明良

E-mail:kakihara@thefilament.jp

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会社概要

株式会社フィラメント

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URL
http://thefilament.jp
業種
サービス業
本社所在地
大阪府大阪市中央区南本町2-1-1 2F
電話番号
-
代表者名
角勝
上場
未上場
資本金
-
設立
2015年04月