JMAM昇進昇格審査 実態調査2022
4年前と比べて、昇進昇格審査は“育成をしながら選抜をする形へ”変化
株式会社日本能率協会マネジメントセンター(代表取締役社長:張士洛、東京都中央区、以下JMAM[ジェイマム])は、企業の昇進昇格審査に携わっている人事部門・教育部門・企画部門担当者392名に対して、2022年6月に「管理職への昇進昇格審査」に関するアンケート調査を実施しました。本調査では2018年に実施した「昇進昇格実態調査Part3」と同じ項目を用いて、2018年からの変化を確認しました。今回はそのサマリーをお知らせします。
- 調査概要
調査目的 | ・管理職への昇進昇格審査の運用状況の実態を把握し、前回2018年からの違いを明らかにすること ・昇進昇格審査における課題を把握すること |
実施時期 | 2022年6月 |
対象者 | 企業の昇進昇格審査に携わっている人事部門・教育部門・企画部門担当者(従業員300人以上) |
調査方法 | Webアンケート回答 |
有効回答数 | 392名 |
調査項目 | ・初めて昇進昇格審査を受ける年齢 ・昇進昇格審査の内容 ・合格率 ・昇進昇格審査における育成的な要素の割合 ・審査に関連する事前の教育 ・昇進昇格審査にあたっての考え方・昇進昇格審査に関して困っていること |
※調査結果の詳細は、下記URLよりお申し込みください。
ダウンロードURL:https://www.jmam.co.jp/brochure/1277358_2381.html
- 調査結果サマリー
1)社内基準の評価だけでなく、社外の客観的な指標を加える傾向が高まる
・2018年と変わらず多くの企業で重視されているのは、人事評価にあたる「人事考課86.7%(+3.6ポイント)」と「上長推薦81.4%(-0.1ポイント)」です。8割以上の企業が審査の際に確認をしています。
・社内試験である「面接57.7%(-4.7)」と「論文・レポート試験45.7%(-6.2)」はやや減少傾向ではありますが、4割~5割半が実施しています。
・2018年と比べて大幅に増えているのは、社外の試験を導入し、定量的あるいは客観的な基準を用いる傾向です。「多面評価40.1%(+18.4ポイント)」、「アセスメントセンター35.5%(+13.3ポイント)」「適性検査40.1%(+12.1ポイント)」。これらは2018年は2割~3割弱の実施率でしたが、2022年はどれも3割半~4割程度に増えています。自社内の評価だけではなく、定量的・客観的な基準で人材を見極めることが重視されてきていると考えられます。
2)審査受験にあたっての「本人の意思確認」と「上長への面接」も増
・上記以外で、2018年と比べて増えているものは、「本人の意思確認67.3%(+14.4ポイント)」と「受験者本人の上司への人事部等による面接45.9%(+24.7ポイント)」です。
●昇進昇格審査における人材育成的な要素の変化:事前教育を行う企業が増えている
・昇進昇格審査の候補者に事前教育を実施している企業は91.3%(+24.3ポイント)と大幅に増加しました。
・事前教育の内容としては、最も多いのは「研修受講79.1%(+35.7ポイント)」で、次に多いのは「業務改善などの仕事上の課題の実践73.7%(+35.1%)」でした。これらが多いのは、2018年と同じ傾向です。
・一方で2018年との比較でみると、最も実施率が増えたのは、「eラーニング受講61.0%(+40.9ポイント)」です。それ以外に、「通信教育50.8%(+25.4)」「課題図書の読み込み42.3(+23.3%)」も増えていることから考えると、昇進昇格審査前に受験者が学ぶ機会を設定している企業が増えているといえます。
●昇進昇格審査に関する問題意識の変化
「審査に客観性を確保すること61.0%」「特定領域の専門性を評価しにくいこと53.8%」「女性の管理職登用が進まないこと51.5%」は、前回に引き続き今回も上位3項目。
全体的に問題意識が高まっている。
・上位の3項目は、前回から引き続き問題と認識されていることがわかります(「女性の管理職登用が進まないこと」は前回より5.1ポイント下がっていますが過半数を超えています)。
・また、ほとんどの項目について“困っていること”として挙げられる割合が増加しています。昇進昇格審査への問題意識自体が高まっていると考えられます。
- 総括
その背景としては、経営環境の急激な変化であったり、高齢化の進展や働き方等が大きく変わったりする中で、管理職の役割が高度化・複雑化していることが挙げられます。改めて管理職としての適性の有無を客観的に測る必要性が高まっていることや、本人のキャリア意識の尊重、フィードバックによる人材育成視点の重要性の高まり等も影響していることが推測されます。この傾向は今後も続くと予想されます。今回の調査をもとに想定される“選抜と育成”を実現するための昇進昇格審査フローは下記のような流れではないかと考えられます。そして、今までよりも客観的に適性を見極めるためのポイントと、昇進昇格審査に人材育成要素を入れるためのポイントとしては、下記のような事柄が考えられます。
《2022年調査をもとに作成した“選抜と育成”を実現する昇進昇格審査フロー例》
《より客観的に適性を見極めるポイント:下記3つの側面から見極める》
昇進昇格審査において、管理職として期待する人材像や人材要件に基づき、1)実績や期待などの人事評価と、2)社内の試験で測る社内価値、3)社外の客観的な目線の3つの側面から管理職としての適性を判断することが大切です。
《人材育成要素を入れるポイント:受験者のキャリア意識の尊重&フィードバックの充実》
1) 受験者のキャリア意識の尊重
社員のキャリア意識は多様化しているため、管理職を担う意思を確認することは重要なポイントになってきています。その上で、本人が自立的に学べる環境づくりを上司や人事部が支援することが期待されます。
2) フィードバックの充実
審査実施後のフィードバックはその後の受験者の成長にも影響を与えます。上司や人事部から、合否判定結果だけではなく、審査の過程で明らかになった強みや課題を丁寧にフィードバックし、本人の疑問点などにも誠意をもって回答する姿勢が重要です。また、結果が出た後も、ここで気づいた部下の強みを伸ばし、弱みを補完するように育成サポートすると受験者本人の成長につながります。
■日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)
1942年創立の一般社団法人日本能率協会(JMA)から1991年に分社化し、創立。主な事業は、通信教育・研修・アセスメント・eラーニングを柱とした人材育成支援事業、『NOLTY』や『PAGEM』を代表とする手帳事業、ビジネス書籍の発行を中心とした出版事業。JMAMは、一人ひとりが成長することを通じて、自分らしい豊かな人生と幸せを感じられる社会をつくりたい。そのために、「思い描く未来」に向かって一歩踏み出す人のパートナーとして伴走することを目指します。
■お問い合わせ先
株式会社 日本能率協会マネジメントセンター 組織・人材開発事業本部
E-mail: ac1@jmam.co.jp
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