【第2回三服文学賞】ついに大賞作品が決定!応募総数1,241作品の中から選ばれたのは『水のからだ』葦田不見さん
株式会社和多屋別荘(佐賀県嬉野市、代表取締役:小原 嘉元 以下「和多屋別荘」)が主宰する第2回三服文学賞の大賞ほか入賞作品が決定しました。大賞は、葦田不見(あしだみず)さんの『水のからだ』です。
今年の夏には葦田さんを招いた授賞式を実施する予定です。葦田さんへのインタビューや、1年のあいだライターインレジデンス権で滞在できる客室のメディアツアーなど三服作家のこれからの活動に迫るほか、三服文学賞の裏側もお届け。詳細は決まり次第お知らせいたします。
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三服文学賞とは
お茶と本を愉しむための書店「BOOKS&TEA 三服」を館内に開業した旅館・和多屋別荘が主宰する温泉旅館発の新しい文学賞。三服や嬉野温泉に関わりのある7つの事柄をテーマに文学作品を募集しました。大賞受賞者には受賞作の書籍化と和多屋別荘に1年間宿泊して執筆活動ができる“三服作家”としてのライターインレジデンスの権利を進呈いたします。
三服文学賞は「暮らしのなかで書く時間を愉しむ」という理念のもと立ち上げました。料理を食べる楽しみがあれば作る楽しみもあるように、文学にも読む楽しみがあれば、書く楽しみがあっていい。普段なかなか文章を書く機会がない方、嬉野温泉や三服に訪れたことがない方、プロアマ問わず、全国から広く作品を募りました。
三服文学賞 公式サイト
https://wataya.co.jp/sanpuku_bungakusyo/
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受賞作品発表
■大賞
『水のからだ』葦田不見
■副島園賞
『お茶時間旅行』中立明子
■8cacao賞
『ひとりでに孵化』長谷川彩香
■Yohaku賞
『光る朝』南極まほ
■D&S賞
『あの子を知りたい』紫冬湖
■選考委員賞 染谷拓郎 推薦
『十分間のお茶会』井上茉莉衣
■選考委員賞 深井航 推薦
『本の声』かまきり
■選考委員賞 堤優衣 推薦
『この一冊をどうぞ』shin
「水のからだ」高画質の作品データはこちら ⇒https://x.gd/954x0
●選考委員長 小原嘉元 コメント
嬉野で400年続く「肥前吉田焼」と同じ「器」がテーマとなっている作品ですが、何かを入れることで意味を成すという自然すぎる役割が器にはあるとハタと単純ですが気付かされました。また、人間もまた器であり、本や伝承・経験を通して満たされていく様がなるほどと思わされる点でもありました。器の中は、如何様にでもなる。 日々、流動的に動き、時に緩やかになること。そして激しく流れ、器からこぼれ、新しい動きや出会い、考えが溜まり、流れを繰り返す。この11年間の和多屋別荘の動きそのものであり、この文学賞もこの動きの中で生まれたものです。作品内で語られた生き物のような動きは、旅館や経営もそうであるようにと納得させられ共感した作品でした。
●選考委員コメント
○染谷拓郎(株式会社ひらく プロデューサー)
民藝運動の中心人物であった陶芸家・河井寛次郎は「新しい自分が見たいのだ 仕事する」という言葉を残しています。器、というものを作りつづけることで新しい自分に出会うこと。そして、本を読むことも、新しい自分に出会う助けになります。この作品が、多くの人に読まれ、作品自体が一つの器になることを期待します。
○深井航(株式会社ひらく ブックディレクター)
抽象的な問答でありながら、各所にちりばめられた比喩によって読み手を置いていくことなく、瑞々しく読ませる力強さを感じました。この作品が、2万坪という器を持つ和多屋別荘と共鳴するのも必然かもしれません。
○堤優衣(日本出版販売株式会社)
目の前にある一杯のお茶から哲学的に広がる表現力は、まさに“本を飲む(読む)”感覚を与えてくれます。もしかすると、この世には多くの、「器」と呼べるものが存在しているのかもしれません。そして、それがいずれは、私たちの生に繋がっているかもしれないことが尊く、美しく、この言葉たちを何度も反芻し、味わいたくなるような作品でした。
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その他の受賞作品について
こちらから各作品・選評コメントをご確認いただけます。
<受賞作品紹介>https://wataya.co.jp/topics/2024/05/9698
★作品はPDFデータで掲載していますので、文字がはっきり読めます。
●次点作品のご紹介 ※順不同
大賞や各賞すべての候補作が力作揃いでした。
残念ながら各賞を逃した次点の作品名・作者を発表します。
『猫洗坂四十五番地』『角打ちのアリス』さとうきいろ
『溶ける解ける綻びる』永津わか
『おゆには』三刀月ユキ
『香里十八番茶も出花』山崎ゆのひ
『コーヒーサマといきたい』森山みえこ
『溶ける』郷リリー
『呼吸の手引き』井上茉莉衣
『三服のひととき』さちこ
『泥の中で書く』黒木美佑
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