アキュラホームグループ・ジャーブネットシンポジウム開催

人をつなぐ、豊かな住まいと暮らしを創る

 日本最大級の工務店ネットワーク「ジャーブネット」(主宰:株式会社アキュラホーム代表取締役社長・宮沢俊哉、本社:東京都新宿区)は、2017年7月24日、ホテルイースト21東京(東京都江東区)において、「第18回ジャーブネット全国大会」を開催、その後「アキュラホームグループ・ジャーブネット シンポジウム」を実施いたしました。住宅・建築関係のさまざまな分野から識者にご登壇いただき、「人をつなぐ、豊かな住まいと暮らしを創る」についての議論が展開されました。
■基調講演 これからの暮らしをデザインする
――芦原太郎建築事務所 所長、前日本建築家協会 会長・芦原 太郎氏

 
 建築家は家をデザインする専門家ですが、暮らしをデザインするのは、誰なのでしょうか。私は、生活者が自分自身の暮らしをデザインすることは、人生を豊かにすることだと思います。そして、そこに住まう人が自身の暮らしを豊かに楽しくデザインできるような家をつくることが、私たち建築家の仕事だと思います。

 私が建築学科の大学一年生のとき、「住宅は生活のためのもの。君の描いた図面の一本の線が、その家族の暮らしを左右し、うまく考えておくと、その家族が活き活きと幸せに暮らせるようにもなる」と教わりました。大学四年生になったときに、大学を一年間休学し、ヨーロッパへ旅に出て、多くの建築や街を見ました。イタリアの街では、人々が広場に集い、そこで生活を楽しんでいる姿が印象的でした。家は人々の生活のためにありますが、街は人々の生活をより豊かにするための場所だと感じました。

 ブータン王国は「国民全体の幸福度、豊かさ」を示す国民総幸福量(GNH:Gross National Happiness)という独自の考え方を国家の指標としています。国内総生産(GDP:Gross Domestic Product)のように、経済をどのように発展させるかという指標とは異なり、国民の幸せを第一に考えています。アメリカや日本は物は豊かですが、ブータン王国と比べると、果たして人々はどちらが幸せに暮らしているでしょうか。GDPは必ずしも人々の暮らしを豊かにするわけではありません。

 イタリアの小さな村の人々は”私たちは幸せだ”と言います。村を愛して自分の人生に誇りを持っています。これは、イタリアの人々の生き方と街に理由があると思います。もちろん日本にも幸せに暮らしている人はいますが、近代化が進んできてこのような幸せとかけ離れることもあります。

 最近はスマートハウスが登場し、全てのものがIoT化してコンピューターで操作できるようになってきています。これを活用することで、生活が一気に楽になることもありますが、皆さんが”エンジョイ”できるような家をつくることが最も大切です。イタリアの小さな村のように、人々の暮らしを豊かにしていくことで、建築家は、つくり手として皆さんのお役に立てるのだと思っています。


■パネルディスカッション 人をつなぐ、豊かな住まいと暮らしを創る

[パネリスト]
フルカワデザインオフィス代表取締役:古川亮太郎氏
堀木エリ子&アソシエイツ代表取締役:堀木エリ子氏
アキュラホーム常務執行役員・デザイン管掌役員:井草健二
[コメンテーター]
芦原太郎建築事務所 所長、前日本建築家協会 会長:芦原 太郎氏
[司会]
アキュラホーム住生活研究所所長:伊藤圭子

――フルカワデザインオフィス代表取締役:古川亮太郎氏


古川氏:私は木造住宅の設計とランドスケープデザインの仕事をしています。以前は、ランドスケープデザインを主として、中国の大規模な住宅地開発の外周り全ての仕事に携わらせていただきました。土を入れ、木を植え、舗装して、遊ぶ空間をつくって――生活する外部空間をつくるということを、多く経験させていただきました。そのご縁で、独立してから現在まで、上海や北京など大都市の大規模なマンション開発など、中国で数多くの仕事に携わらせていただいています。

 現在はこのような経歴を一軒の住宅に活かすべく、建物から庭まですべての環境を設計することで一つの調和した世界を生み出したいと思い、活動しています。その際には、街並みに溶け込むような設計と、室内には自然素材を用いること、なるべく太陽の光を多く取り込み、風通しが良く 庭とつながるような住宅にするよう心がけています。田舎の住宅、都市部の住宅など様々ですが、”自然に近い暮らしづくり”をポリシーとし、室内でも自然の素材感を感じられる住まいと、室外に大きく開くことで庭の木々から四季の移り変わりが感じられる住まいになるよう意識しています。

――堀木エリ子&アソシエイツ代表取締役:堀木エリ子氏


堀木氏:私の仕事は一言で言うと”長靴から地下足袋まで”です。和紙をデザインし、長靴を履いて紙漉きをし、燃えない・汚れない・破れない・色が変わらない・精度をあげる等の二次加工をし、工事現場で作品を取り付けるところまでの仕事です。私は、その仕事の方向性を二つに分けています。一つは、越前和紙の職人さんたちと一緒にコラボレーションをしながら巨大な和紙を漉き、その伝統的な手法を未来につないでいくこと。もう一つは、自身の工房で革新的な手法を見出して、未来の伝統に育てていくことです。

 以前は公共施設や商業施設の仕事が多かったのですが、徐々に住空間の中で使われる和紙の要望が増えてきました。建物を設計する際には、「快適さ」が求められますが、私は、快適さと「居心地の良さ」は別だと考えています。快適さは100人いれば100人が快適だと思う状況ですが、居心地の良さは、100人いれば100人それぞれが違う感じ方だと思いますし、同じ人でも年齢によって変わるものだと思います。そして、100人いれば100人の居心地の良さに寄り添うことができるものが和紙素材だと考えています。和紙の魅力の一つは”うつろい”です。”うつろう和紙”を暮らしに取り入れるために、異業種とコラボレーションをすることで、日本の文化、匠の技がさらに進化していくのだと思います。また、和紙は「白い紙は神に通じる」という精神性を持っていますので、次世代が日本人としての誇りを感じられるように、ものの背景にある精神性や、日本独自の美学を伝えていきたいと考えています。

――アキュラホーム常務執行役員・デザイン管掌役員:井草健二


井草氏:住宅を構成する要素は数万点あるといわれています。形、色、大きさ、テクスチャーなど要素に分解して、いかに整理できるかが重要であると考えています。私はアキュラホームグループで、デザインの整理整頓である”デザインコード”を開発してきました。そして、デザインについて皆で切磋琢磨するためにコンテストや勉強会を開催し、各地域で進化した提案や、それぞれの敷地環境に合わせた提案、現在では外の空間まで考えられる組織になってきました。その中で、皆で学びあう重要性を改めて認識しています。また、さらなる挑戦に向かうため、これからの住まいの在りようをもう一度見直したり、技術の伝承と刷新について、どう展開していくか、木の可能性の追求、皆で集まって住むことでシェアするということの価値にまで、領域が広がっていくと思います。

 一方で、これからの住宅の暮らしをデザインする中で、「住育」が大切になってくると思います。例えば、「片付けや整理整頓すること」を子供のときから自然に学べるプログラムを、我々つくり手やその他団体と一緒になってつくっていけるか。外構も、緑が多い家はたくさんありますが、住む人が「虫が嫌い、植栽の剪定ができない」など気後れしてしまっているように感じます。生活者が自然に学べるプログラムをつくり手と住まい手が一緒になってつくっていければ、暮らしのベースを持ち合わせながらそこに豊かさが重なり、真の豊かな暮らしができるのではないかと思います。

芦原氏:確かに、建築家も色々考えるのですが、住まい手が自分の生活を上手く展開できないと意味がないので、そこには「住育」が必要です。昔は意識しなくても日本の暮らしの中に「住育」が入っていたのですが、時代とともに変わってきています。今まさに「住育」を再考することが大切なことだと思いますし、そうすることで豊かな暮らしができるのだと思います。

――さて、豊かな暮らし、住まいとは何でしょうか。


古川氏:人々にとって”自然に近い暮らしをすること”が普遍的に幸福感を感じられるものだと思います。和紙の話にも共通していますが、住空間に和紙が入って豊かに感じるのも、自然を感じられるからだと思います。自然が暮らしの一部にあることで”豊かな暮らし”に近づけることができるのです。

堀木氏:建築家がどれだけすばらしい建物をつくっても、住まい手が整理整頓できなかったり、ものにあふれていたりすると本当の意味での豊かな暮らしはできないと思います。大切なのは、人が介在したときに住まい方自体を提案できることであり、それは居心地の良い設えの場を提供するということでもあります。また、人間も自然の一部です。四季の設えによって自分の生活の中で自然を活かすことができ、それを暮らしに取り入れることで、心を落ち着かせることができ、明日への活力になるのです。心に余裕がないとできないことですが、これを無意識に行えることこそが、”豊かな暮らし”だと思います。

井草氏:“皆でつくり、皆で楽しむこと“だと思います。豊かな暮らしをするためのハードとしての器は、一人で小さな単位で構成するよりもたくさんの人と知恵を絞ったほうがいいのです。ソフト面でも、住まい手は仲間、家族、同じ趣味を持つ人が共存することで、”豊かな暮らし”が生まれるのだと思います。

芦原氏:イタリア人は幸せそうに見えます。日本が都会の生活で失ってしまったものをもう一度取り戻せれば、すばらしいと思いますし、家族や様々な人々とともにあることができれば“豊かな暮らし”につながっていくと思います。

――それでは、幸せとはなんでしょうか。

古川氏:私もイタリアにいたことがありますが、イタリアでは広場が機能しています。週末にはお祭り状態になるほどで、うらやましく感じることもあります。日本では、住宅にまとまりがあり、その中に広場があっても、イタリア人のように使いこなすのは難しいと思います。しかし、日本人でも、そこに住んでいる人同士のコミュニケーションのきっかけになるような場を設計したいと考えていますし、そこで自然とコミュニケーションが生まれることも”幸せ”の一つにつながると考えています。

堀木氏:私は、幸せとは”本物を追求していけること”だと思います。よく日本人として、または社員としての「誇り」は持っているのですが、「自信」がないという人がいます。なぜ自信がないのかと聞くと、本物が分からないというのです。では本物とは何かと考えると、出来上がるまでの工程や、そこに携わるつくり手、使われる道具や完成したもの、完成した後の変化まで美しいということが本物であると思います。そしてその背景には匠の技や職人さんの精神性の裏づけがあります。それが本物の証です。本物の肌合い、ものの背景にある記憶や想いが暮らしの中で感じられ、家族や友人と共感して生活を楽しむことが、自信や幸せにつながることだと思います。

井草氏:たくさんの絆が積み重なっていくことが”幸せ”に繋がると思います。そして我々つくり手は、その仕掛けづくりができるのです。現在はその仕掛けの仕方がやや中途半端ですが、その仕掛けを具体的に提案できれば、住まい手はさらに”幸せ”になっていくと思います。豊かな暮らしを実現するつくり手となるため、多くの取りまとめ役が現われてくれることを期待します。

伊藤氏:まずは大人が生活を楽しむことが大切です。そして、その姿を子供達に見せることで豊かな暮らしや幸せが次世代へと続いていくのです。

芦原氏:イタリア人は生活をエンジョイする達人です。人々の豊かな暮らしに向けて、アキュラホーム、エンジョイ!


■ 第18回アキュラホームグループ・ジャーブネット全国大会 概要
年に1度、全国各地のジャーブネット会員とアキュラホーム幹部社員が集い、1年間の活動実績と当年の方針を共有する場として開催。近年はシンポジウム等を同時開催し、会員だけでなく学識経験者、行政、住宅関連団体へも開かれた会として発展しています。

■  ジャーブネット(JAHBnet)とは
 
ジャーブネットは全国249社の工務店・ビルダーなどが加盟する工務店ネットワーク組織。アキュラホームが94年に独自の住宅建設合理化ノウハウを体系化した「アキュラシステム」を開発。これまでに約2600社の全国の工務店に導入されると共に、98年に(財)日本住宅・木材技術センターの「木造住宅供給支援システム」に認定され、その仕組みをもって工務店組織「アキュラネット」(現ジャーブネット)を設立。全国規模のネットワークによるスケールメリット、地域密着企業ならではのダイレクトサービスを併せ持つネットワークとして全国のユーザーに「良質な住宅を適性価格」で提供。
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