調達領域におけるサステナビリティ調査レポートを公開
~50%の企業がScope3GHG排出量算定をサプライヤーにー任/45%が人権DD非協力企業と取引縮小も~
コンサルティングファームの株式会社クニエ(NTTデータグループ、本社:東京都千代田区、代表取締役社長:山口 重樹、以下クニエ)は、企業の「調達領域におけるサステナビリティ調査」を行い、2025年3月28日にレポートを公開しました。当調査は調達サステナビリティに対する企業の取り組み状況や課題の把握を目的としたもので、①Scope3GHG(温室効果ガス)排出量削減と②人権デュー・デリジェンス(以下、人権DD)をテーマにした2部構成となっています。
【調査結果まとめ(抜粋)】
➀Scope3 GHG排出量削減
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排出量の可視化に関して70%の企業が取引量の多い二次サプライヤーまでは可視化できているものの、二次サプライヤー以降まで取り組めている企業はまだ少ない
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75%はGHGの取り組み結果を取引に反映しているとしたものの、Scope3 GHG排出量の可視化を行っている企業のうち、約50%は算出方法をサプライヤー側に一任しており、算出ロジックの精度に不明瞭さがある
②人権DD
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87%の企業でサプライヤーへの人権DDを実施
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上記のうち、45%の企業が人権DD推進に非協力的な企業との取引を縮小するなど踏み込んだ活動を行っている
本レポートではクニエが過去に実施した個別インタビューや調査で得られた日本企業の実態、先進企業における最新の課題とともに、取り組みを成功に導くポイントについて解説しています。
【背景】
近年、投資家によるESG企業評価の重要度が高まる中、グローバル規模でESGの基準に基づいた調達戦略見直しの動きが加速しています。一方で調達サステナビリティへの取り組みについては難易度が高く、かねてより「進め方が分からない」「何から取り組めばよいか分からない」という企業が多い状況です。
クニエではサプライヤー管理やサプライヤーとの関係構築・選定方法のあるべき姿について整理するために、本調査を実施し、現在の調達サステナビリティの課題と正しい取り組みについて分析を行いました。
【調査概要】
■目的
➀Scope3 GHG排出量削減: Scope3 GHG排出量可視化・削減の取り組みにおいて、 「GHG排出量算定・検証」 「目標設定」「削減施策実行」「サプライヤーとの取引への反映」に関する取り組み状況と課題の把握
②人権DD:日本企業におけるサプライヤーの人権DDの実施状況、調達業務への活用状況の調査と、サプライヤーの人権DD実施や調達業務への活用に関する課題の把握
・手法:Web調査
・対象:1,000人以上の企業における調達サステナビリティ担当者
・調査期間:2024年11月28日~12月4日
・回答社数*:➀Scope3 GHG排出量削減:190社/②人権DD:249社
*個人IDの回答を1企業としてカウント。調査対象者に同一企業に所属する回答者が複数存在した場合であっても複数企業としてカウントし、企業の重複は考慮せず
【調査結果(抜粋)】
➀Scope3 GHG排出量削減
■調査対象
調達部門が管理すべきGHG排出量Scope3上流のうちの カテゴリー1(購入した製品・サービス)を対象にGHG排出量削減の進め方4ステップに基づき調査を実施


■サプライヤーGHG排出量の可視化範囲
結果:サプライヤーGHG排出量について、70%の企業が取引量の多い一次サプライヤーまで可視化しているが、それ以外の一次サプライヤー、および二次サプライヤー以降を可視化している企業はまだ少数にとどまる

なお、業種別でみると「自動車・輸送機器」、「食品・医薬・化粧品」業種では二次サプライヤー以降も把握している企業が多い傾向にあった。
■サプライヤーGHG排出量の算出方法(全体)
結果:50%の企業がサプライヤーに算出方法を任せていると回答している一方で、39%の企業がカーボンフットプリントの算出方式を適用して精緻な算出を行っているなど、企業により算出方法にバラつきがある

■クニエの提言:
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サプライヤーGHG排出量について、二次サプライヤー以降も把握している業種は規制の強い「自動車・輸送機器業界」、およびカーボンフットプリントによる計算方式の割合が高い「食品・医薬・化粧品業界」に留まった。しかしScope3の情報開示義務化は国際的な潮流であり、日本においてもサステナビリティ基準委員会によるサステナビリティ開示基準が公開されたため、今後幅広い業種に波及する可能性があることから当該業種以外でも早期段階で検討が必要
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GHG削減取り組みにおける最優先課題は「サプライチェーンにおけるGHG排出量算出のロジックの統一」、「GHG排出量算出精度の向上」、「GHG排出量算出の効率化」
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サプライチェーンで統一された、精度の高いGHG排出量算出ロジックを用いて適切なサプライヤー評価を行い、GHG排出量削減に貢献できるサプライヤーとのエンゲージを高めながらGHG削減取り組みを推進するプロセスを構築する必要がある
②人権DD
■サプライヤーへの人権DD実施率
結果:87%の企業で一次サプライヤーへの人権DDを実施しており、実施企業数は増加した。一方、実施範囲については、二次サプライヤー以降まで実施できているのは国内サプライヤーであっても32%に留まった

■日々の調達活動に対する人権DD結果の反映
結果:全体の88.1%の企業が人権DDの結果を日々の調達活動に活用・反映(11.9%の企業は調達活動に活用していない)。また、45%の企業が人権DD結果の悪い、または非協力的なサプライヤーとの取引を縮小など、踏み込んだ活動を行っていた

■クニエの提言
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人権DD方法およびその後の改善活動をシステム化し作業効率を上げる。調査のみならずその後の集計・分析、改善依頼までの流れをシステム化して効率化できた時間を、サプライヤーに対する人権DD施策改善支援に充当
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一次サプライヤーのみならず二次サプライヤー以降も含めて人権DDを実施する。また調査のみならず、その結果を日々の調達活動に反映してリスクを低減させる
【調査レポート】
本調査レポートは、以下よりご覧いただけます。
➀ Scope3 GHG排出量削減(GHG(温室効果ガス)排出量削減の取組状況調査)
https://www.qunie.com/service/strategic-sourcing/#report06
②人権DD(サプライヤの人権に関する取組状況の調査)
https://www.qunie.com/service/strategic-sourcing/#report07
【参考】
■クニエ主催 「調達領域におけるGHG削減・人権に関する取り組み」セミナー
調査結果の具体的な内容について、2025年4月17日に開催予定のセミナーにて紹介します。
https://www.qunie.com/seminar/2025041700/
■関連リンク
調達サステナビリティの強化支援
https://www.qunie.com/wp-content/uploads/2024/06/strategic_sourcing_theme_14.pdf
Scope3 GHG排出量可視化・削減
https://www.qunie.com/wp-content/uploads/2023/04/strategic_sourcing_theme_11.pdf
責任ある調達(環境・人権)の実行支援
https://www.qunie.com/wp-content/uploads/2023/04/strategic_sourcing_theme_12.pdf
調達レジリエンスの強化(BCP対応)
https://www.qunie.com/wp-content/uploads/2023/04/strategic_sourcing_theme_13.pdf
*本文中の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。
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