【高市新政権化での影響は】ガソリン税減税が地域社会に与える影響を9年間のカーリース実績データから読み解く

〜地方のカー依存度と家計負担の実態。より柔軟な移動手段の選択が進む可能性〜

ジョイカル

株式会社ジョイカルジャパン(本社:東京都千代田区/代表取締役社長 CEO 早川 由紀夫、以下:ジョイカルジャパン)は、2016年から運営するカーリースサービスの9年間の契約実績データを分析し、経済環境の変化とカーライフの関係性について考察したレポートを発表しました。

 2025年10月に高市早苗氏が日本初の女性首相に就任し、新政権がガソリン税の暫定税率廃止を含む物価高対策を打ち出したことを受け、特に地方を中心とした「クルマ社会」に与える影響を、当社の実績データから読み解きます。

■ガソリン税減税が示す政策の方向性

今回の暫定税率廃止は、地方経済の実態に即した形で生活コストの負担軽減を進める施策として注目されます。

ガソリン税の暫定税率が撤廃されれば、全国平均のガソリン消費量[1]を元に計算しても年間約1万1千円〜1万2千円程度の燃料費負担軽減が可能であると試算できます[2]。自家用車を複数台保有し、車に移動が依存する地方の世帯では、その恩恵はずっと大きくなります。

国土交通省の調査によれば、地方都市圏では移動手段の61が自動車で占められており、三大都市圏の32%と比べて約2倍の水準です[3]。また福井県で1世帯平均1.670台、山形県1.617台の自家用車を保有しているのに対し、東京は0.405台と地域差が顕著です[4]。

このような「車がないと生活できない」地域では、ガソリン減税は単なる節約にとどまらず、生活の質そのものに関わる政策と言えるでしょう。


■9年間のデータが示す経済環境とカーライフの変化

当社が2016年10月から2024年9月まで蓄積してきたカーリース契約の実績データを分析したところ、経済環境の変化がユーザーの車の持ち方に明確な影響を与えていることが分かりました。

1. 初期費用負担の増加傾向

契約時の頭金(前払リース料)の平均額は、1年目(2016年度)の249,509円から9年目(2024年度)の401,224円へと約1.6倍に増加しました。また、頭金を入れる契約の割合も25.9%から32.3%へ上昇しています。

契約時の頭金の平均額の推移

これは車両価格の高騰と物価上昇を反映したものですが、同時に「初期投資をしてでも月々の負担を抑えたい」というユーザー心理の変化も表しています。


2. 月額負担とボーナス併用の実態

月額リース料の平均は19,413円(1年目)から28,229円(9年目)へ約45%上昇し、ボーナス払い額も31,236円から38,109円へ約22%上昇しました。ボーナス併用の割合も58.9%から40.3%へ減少傾向にありましたが、直近では再び増加に転じています(40.3%)。

月額リース料の平均額の推移

この変動は、経済状況に応じて家計のやりくり方法を柔軟に変えているユーザーの姿を浮き彫りにしています。


3. 契約期間の多様化が進む

当初は7年契約のみだったサービスに、5年契約や3年契約の選択肢が加わった結果、契約期間の構成比は以下のように変化しました:

  • 7年契約 100.0%(1年目)→ 77.1%(9年目)

  • 5年契約: 0.0%(1年目)→ 7.4%(9年目)

  • 3年契約: 0.0%(1年目)→ 15.5%(9年目)

特に3年契約は9年目で15.5%まで増加しており、短期間で新しい車に乗り換えたいというニーズが一定数存在することが実証されました。

契約リース期間の推移

4. 軽自動車比率の緩やかな低下

契約車種の構成では、軽自動車の比率が95%(1年目)から88%(9年目)へ低下し、登録車(普通車)が5%から12%へ増加しました。

軽自動車と登録車の比率の推移

燃費重視一辺倒だった選択から、快適性や機能性も考慮した車種選びへと、ユーザーの価値観が徐々に変化している傾向が見られます。


■ガソリン減税がカーライフに与える影響の考察

1. 「理想と現実」のギャップが縮まる可能性

カーリース利用意向者を対象とした調査では、「3年での乗り換え」を希望する人が41.9%と最も多い結果となりました。一方、実際の契約では、7年契約が主流(77.1%)となっています。

カーリースの乗り換え希望年数
契約リース期間の推移

この乖離の主な要因は、短期契約では月額負担が高くなることへの懸念と考えられます。ガソリン減税による家計負担の軽減が実現すれば、「理想の契約期間」を選択しやすくなり、より頻繁に新しい車に乗り換えるという選択肢が現実的になる可能性があります。

2. 車種選択の幅が広がる可能性

燃料費負担が軽減されれば、これまで燃費を最重視して軽自動車を選んでいたユーザーが、家族構成やライフスタイルに応じて、より快適性や機能性を重視した車種を検討しやすくなるでしょう。

実際、9年間のデータで軽自動車比率が7ポイント低下していることは、この傾向の萌芽と捉えることもできます。

3. 地域による影響度の差

都市部では公共交通機関が発達しているため、ガソリン価格の影響は限定的です。一方、地方では世帯あたり複数台の車を保有することが一般的であり、減税効果が家計に与えるインパクトは都市部の比ではありません。

このような地域格差を考慮すると、今回の政策は「地方創生」「地域経済活性化」の文脈でも重要な意味を持つと言えるでしょう。


■今後の見通し

1. モビリティの「個別最適化」が進む

データが示すように、ユーザーのニーズは多様化しています。7年契約を選ぶ人もいれば、3年契約を選ぶ人もいる。軽自動車を選ぶ人もいれば、登録車を選ぶ人もいる。

このような「個別最適化」の流れは、今後さらに加速すると考えられます。カーシェアリングや短期レンタル、サブスクリプション型サービスなど、所有から利用へのシフトも含めて、移動手段の選択肢はますます広がっていくでしょう。

2. 持続可能性への配慮

ガソリン価格の低下は、短期的には家計を助けますが、長期的には環境負荷の増大につながる懸念もあります。電気自動車(EV)やハイブリッド車の普及促進、公共交通機関の維持・充実など、持続可能なモビリティ社会の実現に向けた取り組みも並行して進める必要があるでしょう。


■まとめ

高市政権の経済政策は、日本のカーライフに少なからず影響を及ぼし始めています。9年間のカーリース実績データが示すように、経済環境の変化に応じて、人々の車の持ち方・選び方は確実に変化しています。

ガソリン暫定税率の廃止という大きな減税措置は、地方経済を下支えしつつ、ユーザーの車選びに新たな選択肢をもたらすでしょう。「理想と現実のギャップ」が縮まり、より短期間での乗り換えや、多様な車種への関心が高まる可能性があります。

一方で、企業の働き方改革との連動、モビリティの個別最適化、環境への配慮など、考慮すべき課題も多く存在します。ジョイカルジャパンは、全国のネットワークを通じて蓄積されるデータと現場の声を今後も分析し、変化する時代におけるカーライフのあり方について情報発信を続けてまいります。

※本資料中の数値データは、株式会社ジョイカルジャパンのカーリース契約実績(2016年10月〜2024年9月)に基づくものです。外部統計データについては出典を明記しています。

【参考資料・出典】

[1]2022年~2024年の世帯全国平均は431.12L。

総務省統計局「家計調査(二人以上の世帯) 品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市
(※)ランキング(2022年(令和4年)~2024年(令和6年)平均)」
https://www.stat.go.jp/data/kakei/5.html

[2]ガソリン価格においては、ガソリン本体価格にガソリン税を含めた金額に消費税が課税されています。暫定税率(25.1円/L)が廃止されれば、(25.1×1.10)円/Lの実質減税額となるため、約27.6円の価格低下効果が発生するとして試算を行なっています。

[3]国土交通省「全国都市交通特性調査(パーソントリップ調査)」

https://www.mlit.go.jp/toshi/tosiko/toshi_tosiko_tk_000033.html

[4]一般財団法人自動車検査登録情報協会「都道府県別の自家用乗用車の普及状況表(令和7年度版)」

https://www.airia.or.jp/publish/file/kenbetsufukyuu_2025.pdf

【株式会社ジョイカルジャパン 会社概要】

商号 : 株式会社ジョイカルジャパン
代表者: 代表取締役社長 CEO 早川 由紀夫
所在地: 東京都千代田区内幸町2-1-6 日比谷パークフロント18F
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事業内容:ジョイカルジャパンは、創業以来「カーライフをもっと楽しく便利に」を原点に、日本全国の自動車整備工場と協業しながら豊かな車文化の創造に努めています。全国約600店舗の加盟店ネットワークを通じて、国産全メーカー・全車種の新車および中古車販売、カーリースサービスなど、多彩なサービスを展開中です。

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会社概要

株式会社ジョイカルジャパン

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業種
サービス業
本社所在地
東京都千代田区内幸町2‐1‐6 日比谷パークフロント18F
電話番号
03-5740-6881
代表者名
早川由紀夫
上場
未上場
資本金
1億円
設立
2005年12月