ファイメクス株式会社への追加出資を決定
東大IPCは、AOI1号ファンドから、タンパク質分解誘導を機序とする新規医薬品を研究開発するファイメクス株式会社に対して2億円の追加出資を決定
東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(本社:東京都文京区本郷、代表取締役社長 大泉 克彦、以下「東大 IPC」)が運営するオープンイノベーション推進1号投資事業有限責任組合 (以下「AOI1号ファンド」)は、ファイメクス株式会社(本社:神奈川県藤沢市村岡東、代表取締役:冨成祐介、 以下「ファイメクス社」)に対して、2億円の追加出資を行うことを決定しました。
また、今回のファイメクス社への投資は、ニッセイ・キャピタル株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役 安達哲哉)、ANRI株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役:佐俣アンリ)および京都大学イノベーションキャピタル株式会社(本社:京都府京都市左京区、 代表取締役:楠美公)との共同出資となります。
独自のタンパク質分解誘導剤スクリーニングプラットフォームの展開拡大へ
ファイメクス社は、2018年1月に設立された創薬ベンチャーで、近年世界的に注目されている標的タンパク質分解誘導剤(※1)の新規医薬品の開発を進めています。タンパク質分解誘導による新規医薬品の開発は世界中で進められていますが、最適な薬剤の設計が難しく、地道な設計・検証作業が必要とされています。ファイメクス社は、最適な化合物を迅速に探索可能なプラットフォーム RaPPIDS ™ (Rapid Protein Proteolysis Inducer Discovery System)を完成させ、タンパク質分解誘導剤のシステマチックかつ効率的な開発を可能としました。
今回の資金調達により、プラットフォーム技術であるRaPPIDS™のさらなる改良・開発を進め、自社プログラムのみならず、製薬企業にも提供可能な技術への発展を目指します。また、同社が独自に開発を進めているリードプログラムIRAK-Mタンパク質分解誘導剤の非臨床安全性試験およびCMC研究を進める予定です。
日本のオープンイノベーション活動の発展寄与を目指すAOI1号ファンド
AOI1号ファンドは、東京大学周辺でのオープンイノベーション活動の推進を目的とし、「企業とアカデミアとの連携によるベンチャーの育成・投資」というコンセプトで2020年に組成されました。本ファンドでは、各業界のリーディングカンパニーと連携した新会社設立やカーブアウトベンチャー、および事業会社と連携したプレシード育成投資を通じ、新たな分野におけるオープンイノベーションの成功事例創出を目指します。
東大IPC は、今後も、東京大学周辺のイノベーション・エコシステムの発展およびそれを通じた世界のイノベーションを加速するため、ベンチャーキャピタルやオープンイノベーションを推進する企業との様々な連携を通じ、アカデミアの生み出す学術・研究成果を活用するベンチャーの創出、育成および投資を進めていきます。
【東京大学協創プラットフォーム開発株式会社 代表取締役社長 大泉 克彦 コメント】
ファイメクス社は、前回投資時からリードプログラムの開発を進めるとともに、NEDO PCAの獲得など、事業進捗しております。これらは、武田薬品よりライセンスされた研究成果を活かしつつ、東京大学を含むアカデミアとの共同研究を通じて技術を深めてきた成果と認識しております。
今後も独立した創薬ベンチャーとして世界にはばたかれることを期待し、追加投資を決定しました。今回の資金調達により、事業展開が加速されることを期待しております。
※1 標的タンパク質分解誘導剤
疾患の原因や増悪に関わる異常な蛋白質を分解する作用機序をもつ創薬モダリティの一つ。 標的タンパク質に結合する部位とユビキチン化酵素と結合する部位(E3 リガーゼバインダー)を 持つ複合的な化合物で、標的タンパク質をユビキチン化酵素に近づけユビキチン化を引き起こすことで、細胞内に存在するプロテアソームによる分解へと導きます。従来の低分子医薬や抗体医薬と異なるモダリティとして、これまで”undruggable(創薬困難)”とされてきた多くの標的タンパク質にアプローチが可能になるといわれています。しかし、活性に寄与する複合体の設計や化合物プロファイルの最適化などが困難であり、地道に合成展開を行っているのが現状です。ファイメクス社の RaPPIDS™ は、半自動合成化した Diversity-Oriented Synthesis 技術と独自の E3 リガーゼバインダーを活用し、システマチックかつ効率的な開発が可能です。
【ファイクス社について】
ファイメクス社は、武田薬品よりライセンスされた技術によりタンパク質分解を作用機序とした新規医薬品の研究開発を進める創薬ベンチャー企業です。独自のE3リガーゼ結合分子と創薬基盤技術「RaPPIDS™」を基に、これまで”undruggable(創薬困難)”とされてきたがん疾患に関連するタンパク質を標的とする複数のFirst-in-class新薬開発プログラムを進めています。当社は、RaPPIDS™を社内プロジェクトだけでなく、国内外の企業、研究機関との共同研究に利用することで、幅広い医薬品ターゲットとアンメットメディカルニーズに対処し、世界中の患者さんと家族にとっての Life-saving medicine を提供して参ります。 https://www.fimecs.com/
【IRAK-Mタンパク質分解誘導剤について】
IRAK-MはToll-like受容体/IL-1受容体シグナル伝達経路のネガティブフィードバックレギュレーターとして生体内、特に骨髄球系細胞内に限局して発現しているタンパク質です。IRAK-Mは腫瘍微小環境における腫瘍関連マクロファージや樹状細胞等による免疫抑制に寄与するため、当該タンパク質の機能を制御する事で新たな作用機序を有するがん免疫治療法の開発が期待されます。
【RaPPIDS ™ について】
RaPPIDS ™ (Rapid Protein Proteolysis Inducer Discovery System)は迅速にタンパク分解誘導剤を創出するための創薬基盤技術です。当社独自のノウハウとDiversity Oriented Synthesisにより、タンパク分解誘導剤の構成要素である標的タンパク結合分子、リンカー、およびE3リガーゼ結合分子の最適な組み合わせを迅速に探索評価することが可能です。さらに、RaPPIDS™ を応用することで、タンパク質分解誘導剤に利用可能な新規E3リガーゼバインダーの探索を可能とし、より広範な標的タンパク質の分解が可能になるものと考えられます。
ファイメクス株式会社 概要
概要 タンパク質分解誘導を機序とする新規医薬品の研究開発
設立 2018年1月
所在地 神奈川県藤沢市村岡東二丁目26番地の1(湘南ヘルスイノベーションパーク内)
代表者 代表取締役 冨成祐介
URL https://www.fimecs.com/
東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(東大 IPC)概要
概要 東京大学周辺のイノベーション・エコシステムの発展を目指す投資事業会社
設立 2016年1月
株主 国立大学法人東京大学(100%)
所在地 東京都文京区本郷 7-3-1 東京大学南研究棟アントレプレナーラボ 261
代表者 代表取締役社長 大泉克彦
URL https://www.utokyo-ipc.co.jp/
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