その流行りの適性診断、科学的根拠はありますか? 科学的根拠に基づく適性診断「コンピテンシー診断」とは
〜3万5千人以上の診断データからマネジメント層のコンピテンシー特徴を解説〜
「はたらいて、笑おう。」をビジョンに掲げるパーソルグループの中途採用サービス『ミイダス』を運営するミイダス株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:後藤 喜悦、以下「当社」)は、提供している「コンピテンシー診断」を受験した35,292人のデータを分析し、マネジメント層*1におけるコンピテンシーの関係について分析を実施したのでお知らせします。
近年、採用や組織開発だけでなく日常生活の場でも多く用いられる適性(性格)診断ですが、「科学的根拠があること」は診断を選ぶ上で重要な基準の1つとなります。『ミイダス』では心理学に基づいた科学的根拠のある「コンピテンシー診断」を提供しています。「コンピテンシー診断」は一般的な性格や価値観ではなく、仕事で発揮される行動や思考の特徴(コンピテンシー)を調べることに特化した診断として採用や組織開発に活用されてきました。今回当社は、職位によるパーソナリティの違いに注目して「コンピテンシー診断」受験者のデータを分析し、マネジメント層に特徴的なパーソナリティ項目を見出しました。
「コンピテンシー診断」ではどういったことがわかるのか、また、他の診断との違いは何なのか、実際の受験データを用いながらマネジメント層のコンピテンシー特徴を当社HRサイエンス研究所所長で心理学研究者の神長が解説します。
調査サマリー
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「コンピテンシー診断」とは、一般的な性格や価値観を測定するのではなく、仕事で発揮される行動特性や能力を心理学に基づいて科学的に評価する手法。
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マネジメント層*1の特徴的なコンピテンシーは、「マネジメント資質」「ヴァイタリティ」「問題解決力」の4項目で一般社員より高い傾向となった。
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マネジメント層の中でも部長クラス以上*2では特に「創造的思考力」「状況適応力」「プレッシャーへの耐力」が高い傾向が明らかとなり、より上位職位に向いている適性が明らかとなった。
*1マネジメント層:課長クラス、部長クラス、役員クラス、代表クラスの職位を持つ受験者
*2部長クラス以上:部長クラス、役員クラス、代表クラスの職位を持つ受験者
調査概要
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『ミイダス』の「コンピテンシー診断」の受験結果でわかる41項目について10段階の評価結果を使用
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2021年10月1日〜2023年9月30日の期間における『ミイダス』の「コンピテンシー診断」の受験データ※のうち、回帰分析で職位別による傾向が見られた項目
※期間内に「コンピテンシー診断」を受験した、20歳以上59歳以下の35,292人のデータを使用。期間内の新規登録者数とは異なります。
仕事で発揮される行動特性を測る「コンピテンシー診断」
「コンピテンシー診断」とは
「コンピテンシー診断」は、性格や価値観ではなく、仕事で発揮される行動特性や能力を科学的に評価する手法として1970年代以降発展しました。この手法の基礎は心理学者のデイヴィッド・マクレランドが提唱した「成果を予測するための要素は、知能や学歴よりも行動特性である」(McClelland 1973)という理論に基づいています。
企業における「コンピテンシー診断」の活用
その後、企業の人事部門やコンサルティング会社で実務適用が進み、初期は主にエグゼクティブ層の採用や育成に用いられていました。特に「ハイパフォーマー社員」の行動特性をモデル化することで、採用基準や育成プログラムの策定に活用されるケースが多く見られました。日本では1990年代初頭にバブル経済が崩壊すると、年功序列制から成果主義が重視されるようになります。「コンピテンシー」はその能力を測る指標として取り入れられました(岩脇 2007)。近年では人事管理制度として導入が進んでいます。
「性格診断」との違い
一般的な「性格診断」では、さまざまな日常場面を想定しながら個人が主観で回答した結果を元に性格や価値観の特徴を表すものが多いです。それに対して、「コンピテンシー診断」は「仕事で発揮される行動特性や能力」を測ることを目的としており、一般的な性格診断とは異なります。具体的な例として「コンピテンシー診断」ではビジネス場面を想定した設問で構成されており、「はたらく」文脈を明確にした上での個人の特徴がわかります。また、ヴァイタリティ、統率力、など41の項目ごとに10段階で特徴が示されるため、個人ごとの特徴の違いを高い解像度で把握できます。よって、仕事で活かせる能力や適性を見極めやすいことも特徴です。
*タイプ別に表示されない性格診断も存在します。
科学的な根拠はあるの?
ミイダスが提供しているコンピテンシー診断は、仕事で活かせる能力を測定する際の安定性を科学的な観点から評価しています。具体的には、診断内容に対する「信頼性」*1と「妥当性」*2の検証を行っており、この2つの観点での基準を満たすことで初めて客観的な評価として、測定が安定していると言えます。「信頼性」と「妥当性」は、コンピテンシー診断のような心理検査のほか、学力検査でも用いられます。
*1 「信頼性」とは、「その検査に一貫性や恒常性があるか」ということ。具体的には、質問項目を誰が読んでも同じ内容で伝わることや、同じ指標の項目は同じように回答されること。
*2 「妥当性」とは、「その検査がどの程度的確に測定できるか」ということ。具体的には、測定したい内容と実際の質問項目が内容的に整合的であることや、活躍指標との関連性があること。
また、コンピテンシーと職務適合性の関連は複数の研究で実証されています。採用手法においてコンピテンシー診断が、一般的な面接での指標や見極めの基準となっている、職務経験年数や学歴、質問内容を事前に決めないで面接する自由面接などと比較して、予測精度が高いことも示されています(Robertson & Smith, 2001)。
参考文献
McClelland, D. C. (1973). Testing for competence rather than for "intelligence."
岩脇千裕. (2007). 日本企業の大学新卒者採用における コンピテンシー概念の文脈
【データで見る①】マネジメント層で特徴のあるコンピテンシーは「ヴァイタリティ」「問題解決力」「オーガナイズ能力」「統率力」
『ミイダス』の「コンピテンシー診断」受験データを職位別にパーソナリティの特徴を比較したところ、課長/マネージャークラス以上は41項目のうち「ヴァイタリティ」「問題解決力」「オーガナイズ能力」「統率力」の4項目で一般社員より平均値が高い傾向となりました。以下にそれぞれの特徴を説明しています。
<マネジメント層と一般社員で違いのあるパーソナリティの特徴>
・ヴァイタリティ
体力・気力に優れている。強い競争心を持ち、課題を与えられた時に必ず達成しようと決意する。
・問題解決力
やさしい問題よりも難しい問題、複雑な問題にぶつかるほど意欲が出る。問題にぶつかったときに、解決に向けて合理的な推論を行う。
・オーガナイズ能力
仕事を進める上で、計画を立てるのがうまい。問題を予見する能力があり、その問題に対して緻密な対策を用意することができる。
・統率力
メンバーの動きに注意を払い、自分からコミットして、メンバーにやる気を起こさせることができる。メンバーひとりひとりをよく観察しており、把握している。
<当社HRサイエンス研究所所長 神長コメント>
チームを率いる立場であり、さまざまな意思決定を求められるマネジメント層は、コンピテンシー診断の結果からも実際にそういった特徴をもっているといえそうです。
企業では次世代リーダー人材の見極めに、人事評価に加えてこれらの診断結果を参考にすることで、育成や人材配置をより豊富な情報から判断できます。
<一般社員とマネジメント層で差があった項目の役職別平均値>
各項目の数値は10段階(標準点)で表示。各項目の全体平均値は5となる。
【データで見る②】課長と部長以上の上位職位で特徴のあるコンピテンシーは「創造的思考力」「状況適応力」「プレッシャーへの耐力」
さらにマネジメント層の中でも、課長/マネージャークラスと、部長/ゼネラルマネージャークラス以上で差のあったパーソナリティの特徴も明らかになりました。部長クラス以上で特徴のあったパーソナリティは「創造的思考力」「状況適応力」「プレッシャーへの耐力」の3項目で一般社員だけでなく課長クラスより平均値が高い傾向となりました。
<部長以上の役職を持つ人と課長職の人とで違いのあるパーソナリティの特徴>
・創造的思考力
新しいコンセプトを作り出すことを好む。問題にぶつかったときに、柔軟に問題をとらえ、いろいろな角度から発想して、解決策を案出するのが得意である。
・状況適応力
自分がとった行動が客観的に見て適切かどうか、距離を置いて自分を眺めることができる。多様な仕事への適応力を持っている。
・プレッシャーへの耐力
感情的にならず、プレッシャーやストレスが強い状況でも平静を保つことができる。楽観的な人だといわれる一面を持っている。
<当社HRサイエンス研究所所長 神長コメント>
高い職位ではより複雑な問題を解決するために新しいアプローチや方法を求められることが多いため、関連するコンピテンシーが課長職よりも高くなっていると考えられます。「創造的思考力」のように問題解決から一歩進んだ、新しい発想が得意なパーソナリティを持つ人が能力を発揮しやすいようです。
<部長以上の役職者と課長職の人とで差があった項目の役職別平均値>
各項目の数値は10段階(標準点)で表示。各項目の全体平均値は5となる。
まとめ
「コンピテンシー診断」は仕事で発揮される行動特性や能力を科学的に評価する手法です。現在は日本でも多くの企業で導入が進み、採用や人材配置、従業員の育成など活用場面が広がっています。
今回の分析結果ではマネジメント層のコンピテンシーの特徴が明らかになり、さらに部長以上と課長でもコンピテンシーの特徴に差があることが明らかになりました。
また「コンピテンシー診断」はマネジメント資質やストレス要因も把握できるため、実際の企業では1on1で診断結果を元にキャリアプランを考えたり、関係構築に活用されている例もあります。
このように「コンピテンシー診断」の活用は人事部署だけでなく、現場のマネジメントにも効果的に利用できます。企業では対面のコミュニケーションに加え、科学的根拠のある「コンピテンシー診断」を取り入れることで、さまざまな場面で精度を高めていくことが可能になるでしょう。
中途採用サービス『ミイダス』について
『ミイダス』は、世界初※の採用・転職におけるミスマッチを減らしながら入社後の活躍をサポートする採用・転職サービスです。
求職者は『ミイダス』独自の「可能性診断」で求職者のビジネスシーンにおける行動・思考の特徴やストレス要因、認知バイアスの強さなどを可視化し、ビジネスパーソンとしての自身の特徴や強みを知ることができます。
さらに、企業はこの「可能性診断」の結果をもとに、全国52万人以上(2024年6月時点)の可能性診断を受けた求職者から自社の「活躍要因」に合った人に直接スカウトを送ることができます。従業員の「可能性診断」の結果から自社で活躍する人材の特徴を把握し、似た傾向を持つ人材を採用することで、自社で活躍・定着しやすい人材を獲得できます。
※「バイアス診断ゲーム」(認知バイアスを測定するテスト)と「コンピテンシー診断」を使って人材の採用と配置・育成を可能にする無料のスマホアプリ診断サービスとして(2023年5月 未来トレンド研究機構調べ)
詳しくはこちら:https://corp.miidas.jp/
ひとりひとりの強みや向いている環境がわかる無料の「コンピテンシー診断」
『ミイダス』では、個人の行動特性や思考性を分析し、その特徴を可視化する「コンピテンシー診断」をどなたでも無料で受けることができます。
診断ではその人のパーソナリティ、職務適正、マネジメント適正のほかストレス要因など41項目もの特性がわかり、自身の強みや弱みを俯瞰して見ることが可能です。
「コンピテンシー診断」の詳細はこちらから確認できます。
https://miidas.jp/landing/about_competency
AIがコンピテンシーを言語化、個性を可視化する「ミイダスラップ」
「ミイダスラップ」は、『ミイダス』の「コンピテンシー診断」に答えると、その結果をAIがラップで歌唱してくれるサービスです。パーソナリティを体現したMCネームは合計19名で、動画の本数は約5,670本。このサービスは、ミイダスのアプリをダウンロードして会員登録することで、どなたでも無料でご利用いただけます。
自己のパーソナリティやストレス要因は自分ではなかなか紹介しづらいものですが、「ミイダスラップ」をご活用いただくことで、気軽に楽しく自身の特性を伝えることができます。企業や組織においては、社員の受け入れ時や研修のアイスブレイクなどの場面に活用することで、楽しくスムーズに相互理解を進めることが期待できます。
ミイダスラップの詳細はこちらから確認できます。
追加料金なしで利用ができる『ミイダス』のサービス
『ミイダス』では、上記の採用サービス・診断サービス以外にも、追加料金なしで利用ができる、事業や組織をサポートするサービスをリリースしております。
・従業員のはたらきがいを「満足度」と「重要度」の両面から可視化し、解決すべき課題とその優先度を明らかにし、会社への不満を解消できるサービス「はたらきがいサーベイ」
・毎月簡単なアンケートを実施するだけで、社員やチームのコンディションをカテゴリ別に可視化でき、パフォーマンス向上や離職の防止に役立つミイダス組織サーベイ
・資金調達・活用の手段として、自社で申請可能な助成金・補助金を簡単に検索し、難しい申請条件や受給条件をわかりやすく要約する助成金・補助金検索サービス
・ストレスチェックや研修の実施などが必要なため、自社だけで認定を取得することが困難な「健康経営有料法人」の認定取得を支援するサービス
▼各種サービスについては以下URLから確認できます。
はたらきがいサーベイ https://corp.miidas.jp/landing/engagement_survey
ミイダス組織サーベイ https://corp.miidas.jp/landing/survey
助成金・補助金検索サービス https://corp.miidas.jp/landing/subsidy
コンピテンシー活用講座 https://corp.miidas.jp/landing/competency_training_courses
バイアス診断ゲーム研修講座 https://corp.miidas.jp/landing/bias_training_courses
「健康経営優良法人」認定取得支援サービス https://corp.miidas.jp/landing/hpm
ミイダス株式会社について
ミイダス株式会社は、パーソルグループ全体のHR領域におけるイノベーション推進を牽引し、より一層の企業の人材ニーズに対する貢献を目的として、2019年4月に発足しました。 ミイダス株式会社が運営するアセスメントリクルーティングプラットフォーム『ミイダス』は、2015年7月よりサービス提供を開始しています。
2019年の日本の人事部HRアワード2019「プロフェッショナル 人材採用・雇用部門」最優秀賞を受賞したことを皮切りに、2023年には第8回 HRテクノロジー大賞「人事システムサービス部門」優秀賞を受賞。2024年には「ITreview Grid Award 2024 Fall」にて、4部門で最高位の「Leader」を受賞、「ITreview Best Software in Japan 2024」TOP50に選出されるなど多くの受賞実績があります。
HRアワード2019:https://hr-award.jp/2019/prize.php
第8回 HRテクノロジー大賞:https://hr-souken.jp/hrtech_award2023/
ITreview Grid Award 2024 Fall:https://www.itreview.jp/award/2024_fall.html
ITreview Best Software in Japan 2024:https://www.itreview.jp/best-software/2024
【会社概要】
会社名 :ミイダス株式会社
設立 :2019年4月1日
代表取締役:後藤 喜悦
所在地 :〒107-0062 東京都港区南青山1-15-5 パーソル南青山ビル6F
事業内容 :転職支援・採用支援サービス『ミイダス』の企画、開発、および運営
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