5歳未満で亡くなる子どもが日本の11倍のネパールで人材育成。高死亡率に歯止めをかけるため医療従事者と女性保健ボランティア820人に無料の研修を提供|ネパール
ネパールでも特に小児の健康事情が悪いルンビニ州バルディヤ郡において、医療スタッフと女性保健ボランティアの知識と技術向上を目指し、新生児・小児の栄養不良改善を推進していきます。
認定NPO法人ADRA Japan (アドラ・ジャパン、 所在地：東京都渋⾕区神宮前1-11-1 理事長：柴⽥俊生)は、公益財団法人テルモ生命科学振興財団および公益財団法人風に立つライオン基金の助成を受け、ネパール・バルディヤ郡において、医療スタッフと女性保健ボランティアの新生児・小児保健の知識と技術向上を図る研修を行います。
この研修は、5歳未満の乳幼児の栄養不良の改善を目的に行うもので、医療スタッフには、患者の適切な受け入れや専門的対応について、また地域の女性保健ボランティアとの連携についての研修を行います。女性保健ボランティアには、住民に対する適切な保健指導やカウンセリングを提供できるようになるために必要なことと、地域の栄養ケアセンターや地域診療所の医療スタッフとの連携について伝えます。この研修により、医療スタッフと女性保健ボランティア、それぞれがスキルアップしたうえで連携することにより、小児の栄養不良が改善されることが大きく期待されています。
ADRA Japanは、2000年からネパールの保健医療分野への継続的な支援に取り組んでいます。特にバルディヤ郡においては、低体重の乳幼児の人数が全国平均を大きく上回り、小児を取り巻く保健事情は厳しい状況です。
地域住民が郡内で、適切かつ十分な小児保健サービスを受けることができるよう、ADRA Japanでは、2023年3月1日から、特に母子保健指標の低いバルディヤ郡において、栄養ケアセンターおよびその職員に対し、小児栄養プログラムに関するオリエンテーション、必須設備と備品の提供、成長モニタリングに関する研修の実施、急性栄養失調の統合管理研修などを行っています。
同国は、南西アジアで最も所得水準の低い国の一つです。加えて、ネパールの中でもとりわけ保健事情が悪いルンビニ州では、依然として保健状況が改善していない郡があり、生活習慣の改善、地域住民の健康に対する意識向上など、多くの課題が残されています。
人口の17%に当たる490万人が貧困層[1]で、5歳未満の子どもの死亡数は1,000人中28.2人と、日本の約11倍[2]になっています。5歳未満児死亡率（1000人あたり31人/世界134位）[3]や新生児死亡率（1000人あたり20人/世界144位）3などの改善は急務の課題となっています。
バルディヤ郡全域において、地域住民が適切かつ十分な小児保健サービスを享受できるためには、地域住民と身近に関わる女性保健ボランティアと、彼女たちを栄養センターや地域診療所から技術面で支える医療スタッフの能力向上は極めて重要な課題です。
この研修により、女性保健ボランティアが地域に赴き、住民に対する適切な保健指導・カウンセリングを提供し、地域の医療スタッフが患者の適切な受け入れや専門的対応ができることで、特に5歳未満の乳幼児に対する健康改善への対応能力の向上が期待されています。
今回の助成により、実施できることになった研修は以下の通りです
医療従事者および女性保健ボランティアへのコミュニティに根ざした新生児/小児疾病総合管理研修（CB-IMNCI） （1）保健関連施設/病院の医療従事者向けリフレッシャー研修 3日間コース（対象者100人。5回に分けて開催） （2） 女性保健ボランティア向けリフレッシャー研修 2日間コース（対象者720人 。 36回に分けて開催） 助成元（順不同） ・公益財団法人テルモ生命科学振興財団 ・公益財団法人風に立つライオン基金 |
[1] UNDP,2021, “Nepal Multidimensional Poverty Index 2021”, https://www.undp.org/nepal/publications/nepal-multidimensional-poverty-index-2021
[2] Knoema,2023,「ワールド・データ・アトラス」, Retrieved from https://jp.knoema.com/atlas/ネパール/小児死亡率, https://jp.knoema.com/atlas/日本/小児死亡率
[3] Unicef, 世界子供白書2021（子どもの死亡率に関する指標）
UNICEF_SOWC_2021_table2.pdf
この活動の進捗については、今後、ADRA Japanホームページで報告いたします。
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