マネジメント職に最も意欲的なのは30代、50代は負担感増大でネガティブ傾向に 年代別・経験別で読み解く管理職の本音と求められる対応
シーベースのマネジメント実態調査
「フィードバックと対話で、すべての人と組織、社会をアップデートする」をミッションに掲げるHRサーベイクラウドサービスの株式会社シーベース(本社所在地:東京都新宿区、代表取締役社長:深井幹雄)は、360度評価や多面評価、マネジメントレビューなどと呼ばれる"360度フィードバック"の企業での活用状況の実態を把握するための調査を実施し、10/27(月)に「データでわかる! 360度フィードバック導入・活用状況」として結果をまとめたレポートを発表いたしました。関連して「マネジメント実態調査」も行いましたので発表いたします。レポート全体とも合わせて参照ください。
本レポートによる360度フィードバックの導入・活用状況の分析が、多くの企業や組織に役立てていただけることを願っております。

調査結果サマリー
今回の「マネジメント実態調査」では、マネジメント職が得意と感じる業務のトップは「部下とのコミュニケーション」(34.2%)で、次いで「業務の割り当て・任せる」(29.7%)、「進捗管理」(24.2%)が続きました。一方、「ビジョン・戦略づくり」(17.7%)や「組織全体の方向づけ」(17.9%)は低く、抽象度の高いマネジメント業務に課題を感じる傾向が見られました。また、「うまくいっていることはない」と答えた層も16.7%存在し、管理職の多様な業務のなかで個別の得意・不得意を見極める必要性や、自信を持てない管理職層の教育研修やサポートが求められている実態も見えてきました。
年代比較では30代が最もバランス良いものの、戦略領域は全年代で一貫して低く、“年代ではなく思考スキルの伸びにくさ”が示唆されました。また、マネジメント経験年数が長くなるほど管理職へのポジティブ意向が増える傾向が確認され、現場マネジメント能力の伸長が自信や役割安定につながっていると考えられます。一方で、「今後はやりたくない」と回答した層は全体の3割強にのぼり、意欲や適性の二極化、多様なキャリアパスの必要性が浮き彫りとなりました。
さらに、得意な業務のレーダーチャートや今後のマネジメント意向を合わせて年代別に分析すると、30代がバランスも良く意欲的な年代であることが示唆されました。一方、50代はライフステージの変化なども相まって、様々な要因からネガティブに振れている傾向が読み取れます。年代、経験年数を複合的に捉えて、マネジメント層の育成やスキル成長を支援していく必要がありそうです。
「自身のマネジメントにおいて、比較的うまくいっていると思うことは何ですか?」
得意な業務は「部下とのコミュニケーション」がトップに

得意な業務を尋ねたところ、「部下とのコミュニケーション」が34.2%でトップとなりました。次いで「部下に業務を割り当てる・任せる」が29.7%、「業務の進捗管理・軌道修正」が24.2%と続きます。一方で回答割合が少ない、すなわち「比較的うまくいっていない業務」としては、「自組織のビジョン・戦略づくり」がもっとも低く17.7%、「担当組織全体の方向づけ・まとめ上げ」が17.9%となりました。部下と相対しながら行う日々の業務については比較的スムーズに行えている傾向と、組織の目指す方向を示すなどの抽象度が高く概念的な業務に課題を感じる割合が多いと言えそうです。また、「うまくいっていると思うことはない」と回答した割合は16.7%となり、マネジメント業務そのものへの課題感を強く感じている層も一定存在することが明らかとなりました。
年代別_マネジメント得意業務のプロファイル比較 もっともバランスが良いのは30代

年代別にマネジメント得意業務のプロファイルを作成して比較してみると、それぞれの年代の特徴が明らかになってきました。また、年代を超えて課題となっている業務の傾向もわかりました。
20代は、「コミュニケーション」「調整」「業務割当」などの現場で行う業務が得意と回答している一方、「ビジョン・戦略」「組織の方向づけ」が不得意と差が大きく、「若手マネジメント」としての特徴が表れています。
30代は、20代より「成長促進」や「目標設定や業務計画」の回答に伸びが見られ、全体的にバランスが良い回答となっていると言えます。しかしながら依然として方向づけなどの戦略領域の苦手さは残る結果となっています。
40~50代は、「戦略」が下の年代より大きくへこみ、全体的に平均から小ぶりなプロファイルとなっています。
役員なども含まれる60代以上については、「対人・支援系(コミュニケーション/モチベート)」が突出して高くなっています。しかしながら戦略系はこの年代に来ても横ばいという結果になっており、年代に因らず苦手意識を持ちやすい業務が「戦略系・方向づけ」であることがわかります。
マネジメント経験年数別で得意業務のプロファイル比較 経験5年以上でバランスが良くなる傾向

マネジメント経験年数別で見てみると、経験が1年未満~3年未満の層では、全体的にプロファイルが小さく、特に「ビジョン・戦略立案」や「組織の方向づけ」といった上位概念の業務が弱く、基礎的な現場マネジメントの習熟が中心となっています。この傾向は年代別で見たときの20代と同じ傾向と言えます。また、2年以上3年未満の層は全体的に小ぶりな結果となり、自信のなさがうかがえます。
経験が3年以上5年未満になると、「他部署との業務調整」「部下のモチベート」「部下とのコミュニケーション」といった「現場系のマネジメントスキル」が大きく伸びはじめ、管理職としての自律的な動きが見られるようになっています。
さらに、5年以上10年未満、そして10年以上の層では、「担当組織のビジョン・戦略立案」などの業務が経験年数に伴って伸び、全体的にスキルのバランスが取れている傾向がわかります。
これらの経験年数別の結果から、経験年数を積むことで現場マネジメント能力は着実に伸び、5年を超えると全体的にスキルが伸びてバランスの良いマネジメントを行うことができる傾向がわかります。一方で、戦略領域や育成についてはトップラインが60代以上になっても大きく伸びず、意図的に鍛えない限り伸びづらいスキルである、という課題が浮き彫りになったと言えます。
「今後のキャリアにおいて、マネジメント(管理職)業務を続けていきたい/やってみたいと思いますか?」
「続けていきたい・オファーがあれば引き受けたい」と回答した割合は45%

今後もマネジメントを希望するかどうかを問うた設問では、約45%から前向きな回答を得ました。また、「別のポジションや働き方があればそちらも検討したい」が約20%となり、現在マネジメント職に従事していても、柔軟にポジションや役割変化を臨む声も一定数あることがわかります。一方で「あまりやりたくない・絶対にやりたくない」回答は約33%となり、マネジメント職の経験を経た上で自身には向いていないと判断している層が3割強いることも明らかとなりました。
年代別に見ると、30代がマネジメント職にポジティブである一方、役割負担やライフステージの変化が大きい50代はネガティブに

年代別に見てみると、マネジメント職にポジティブな回答をした割合がもっとも多く半数以上となったのは30代となりました。30代はキャリアの拡張期・拡大期と言え、現在マネジメント職についている層が今後の管理職としての成長にも意欲的であることがうかがえます。また、キャリアの総仕上げ期であり、得意業務でも部下とのコミュニケーション領域が突出して高い60代、伸びしろを感じているであろう20代もポジティブ回答が高い傾向となりました。
一方、得意業務についても伸び悩みがあり、健康や介護などのライフステージでも変化の大きい50代については、ネガティブ回答率がもっとも高い結果となりました。上司・部下とのサンドイッチ構造での悩みなども多様で、キャリアの成長実感が得づらくなっている課題が想像できます。
経験年数別に見ると、年数が増えるにつれてポジティブ度は上昇する傾向が明らかに。マネジメント職を継続するほど成長実感を得られるか

経験年数別に見てみると、経験を重ねるほどマネジメント職へのポジティブ回答の割合が増え、ネガティブ回答が減少していくことがわかりました。得意業務を経験年数別に見てみたときにわかったように、経験を積むことで現場マネジメント能力は着実に伸び、5年を超えると全体的にスキルが伸びてバランスの良いマネジメントを行うことができています。現場における成長実感を通じてやりがいが醸成され、役割の安定が高まり、管理職を続けたいと感じる傾向が高まると考えられます。
※調査結果を引用いただく際には出所として「株式会社シーベース」と明記をお願いいたします
分析コメント
本調査から、マネジメントの“得意・不得意”は、年代よりも経験年数や思考スキル構造の影響を受けることが浮き彫りになりました。特に「戦略」「方向づけ」といった上位概念の業務は、経験年数を経ても大きく上がらず、この領域を期待する場合は意図的な育成が不可欠だと言えます。一方で、コミュニケーションや業務調整などの現場スキルは経験に比例して強化され、5年以上でバランスが整い始めることもわかりました。また、30代は現場マネジメントの自信とキャリア拡張意欲が重なり、管理職業務に対してもっともポジティブ度が高い結果となりました。反面、50代はスキルの伸び悩みやライフステージの変化から負担感が大きく、ネガティブ意向がもっとも高まる層であると言えそうです。今後は、年代や経験に応じた個別支援と、多様なキャリア選択肢を整備することが組織の持続性を高める鍵となります。また、年代に因らずマネジメントに挑戦する機会創出を早めに行うことで、キャリアの幅が広がる人材を増やしていくことができると考えられます。
全体として、マネジメント職を“続けたい”とする人が約半数にとどまる一方、“やりたくない”という声も3割超に達しており、意欲や適性の二極化が進んでいます。人的資本経営が浸透するなか、一律のキャリアモデルではなく、多様なキャリアパスや役割選択を可能にする仕組みづくりや評価制度が求められています。360度フィードバックをはじめとする主観データの活用や、対話する組織文化の醸成を通じて、個人が自らの強みを理解し、最適なキャリアを築ける環境づくりがますます重要になってきています。
■調査概要
・調査手法:インターネットリサーチ
・都道府県:全国
・実施期間:2025年8月
◆スクリーニング調査対象者
・全国、男女20歳以上
・企業の社員・経営者(人事調査のみ請負社員も対象)
◆調査対象者・サンプル数
①社員調査1,000:360度評価(多面評価)を会社が導入、回答者or対象者
②人事調査300:経営/人事業務関与 & 組織開発/人材開発/人事評価業務関与 & サービス導入等に関与

株式会社シーベース
株式会社シーベースは「フィードバックと対話で、すべての人と組織、社会をアップデートする。」をミッションに掲げ、大手企業を中心に1,000社以上が導入する360度評価システムの「CBASE 360°」、多面的に組織コンディションの把握と改善策の支援を実現する「組織診断」などの各種HRサーベイクラウドサービスを運営しています。これからも、人と組織が成長するためのDX(ODDX)を推進し、未来をリードする企業として価値を発揮していくことを目指します。
https://www.cbase.co.jp/
企業名:株式会社シーベース
代表取締役社長 CEO:深井幹雄
本社所在地:〒160−0022 東京都新宿区新宿2−8−8 ヒューリック新宿御苑ビル7F
事業内容:360度評価システム「CBASE 360°」の提供、HRタレントマネジメントクラウドサービスの提供、HRサーベイクラウドサービスの提供、各種サーベイクラウドサービスの提供、人材および組織開発サービスの提供
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