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「企業の障害者雇用方針の変化と展望」調査結果を発表

法定雇用率2.7%の達成は6割が「困難」と考えるも、今後の障害者雇用方針は4社に1社が法令順守から「収益貢献(戦力化)」へ転換

パーソルダイバース株式会社

総合人材サービスのパーソルグループ傘下で障害者雇用支援事業を手掛けるパーソルダイバース株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:渡部 広和)は、企業の障害者雇用担当者に対し「障害者雇用方針の変化と展望に関する調査」を実施し、結果を発表いたします。

障害者の採用活動において最も重視する雇用方針(現在と今後)(パーソルダイバース調査)

■調査の背景と目的
民間企業の法定雇用率(※)は2024年4月から2.5%、2026年7月には2.7%と段階的に引き上げられます。企業は、厚生労働省から求められている障害者の“戦力化”(雇用の質向上)への対応に加え、労働人口の不足や持続可能な事業継続を見据えた人材戦略が必要とされています。
本調査は、障害者を取り巻く環境や社会的潮流の変化により、雇用方針や考え方どのような変化が生じているかを明らかにし、障害者雇用に対する適切な対応策や支援のあり方を示すことを目的に実施いたしました。
(※)法定雇用率:企業や国、地方公共団体が達成を義務づけられている、常用労働者に占める障害者の雇用割合を定めた基準

■主なトピックス(概要) 

  1. 障害者の雇用方針「現在と今後」:現在の障害者雇用の方針として、7割(70.8%)の企業が「法令順守(法定雇用率の達成)」に重点を置く。一方、将来的には4社に1社(25.3%)が「自社の収益業務に貢献する(戦力化)」ことに方針を転換。

  2. 障害者の採用目的別:実際の雇用割合:全体では、「法令順守の範囲内で雇用する人材」と「収益業務に貢献する人材」で8割を占めており、「ユーティリティ業務に貢献する人材」と「社会活動で活躍する人材」の雇用割合は2割にとどまった。これらの目的は、企業の直接的な利益として位置づけられにくいため、その雇用割合が相対的に低い。

  3. 採用目的別における「求める資質や職能・配慮事項の方針」:「自社の収益業務に貢献する人材」には、職務遂行能力やスキルが求められ、3割(34.3%)が「配慮は最小限で、一般社員と同じ環境ではたらけること」を重視。「自社やグループのユーティリティ業務に貢献する人材」には、体調や勤怠の安定・周囲との良好な関係性を重視し、半数以上(53.4%)が「体調や精神面の安定を重視した配慮」を行うと回答。

  4. DEI施策(※)と障害者雇用施策の関連性:DEI施策と障害者雇用施策が「連動している企業」は6割(59.0%)。連動している企業ほど、障害者雇用を単に法令順守の手段としてではなく、企業の本業に直接貢献する戦略として捉えられている可能性がある。

    ※DEI:Diversity, Equity & Inclusion(ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公正性) & インクルージョン(包括性))。すべての人が公正な機会を得て、多様な背景や価値観、違いを受容できる社会実現を目指す概念。

  5. 法定雇用率達成状況、現在と今後の見通し:現在の法定雇用率2.5%に対して、未達成の企業は47.8%。2026年4月引き上げ見込みの2.7%に対しては、6割(59.5%)が「達成は困難」と回答。


    ■主なトピックス(詳細)
    1. 障害者の雇用方針「現在と今後」
    現在の障害者雇用の方針として、7割(70.8%)の企業が「法令順守(法定雇用率の達成)」に重点を置く。一方、将来的には4社に1社(25.3%)が「自社の収益業務に貢献(戦力化)」することに方針を転換する意向がある。
    ※障害者の雇用方針に関する選択肢は以下の通り:
    ・「法令順守の範囲内で雇用するため」
    ・「自社の社会貢献活動で活躍してもらうため」
    ・「自社やグループのユーティリティ業務(※)で貢献してもらうため」

    ・「自社の収益業務に貢献してもらうため」
    ※ユーティリティ業務:自社やグループなどで行うオフィス環境の快適化や企業の生産性向上に貢献する業務。調査では該当業務として清掃、郵便物仕分け、カフェ運営、マッサージ、簡易定型業務などを例示している。

    障害者の雇用方針「現在と今後」(パーソルダイバース調査)



    2. 障害者の採用目的別:実際の雇用割合
    実際の雇用状況をみると、全体(178人)では、「法令順守の範囲内で雇用する人材」と「収益業務に貢献する人材」で8割を占めており、「ユーティリティ業務に貢献する人材」と「社会活動で活躍する人材」の雇用割合は2割にとどまった。これらの目的は、企業の直接的な利益として位置づけられにくいため、その雇用割合が相対的に低い。

    障害者の採用目的別:実際の雇用割合(パーソルダイバース調査)


    現在雇用している障害のある従業員について、採用目的別に、0から100の数値で実際の雇用割合を回答してもらい、上図は「全体(178人)」および、障害者の採用活動において「最も重視する目的が法令順守の範囲内で雇用すること」と回答した(126人)、「最も重視する目的が自社の収益業務に貢献してもらうこと」と回答した(21人)」の雇用割合の平均値を示している。

    「法令順守を方針とする企業」の多くが、ユーティリティ業務や収益業務など、他の目的でも障害者を雇用している。一方で、「自社の収益業務に貢献してもらう」ことを方針とする企業は、前者の企業よりも、その意図と一致する形で障害者を雇用する割合が高いものの、依然として他の目的も兼ねている。
    企業は一つの目的に絞って障害者を雇用するのではなく、複数の目的を軸にして障害者を雇用している。

    次に、本業領域での雇用に焦点を絞り、「自社やグループ会社のユーティリティ業務」および「自社の収益業務」に貢献する障害のある人材を採用する際に、「求める資質や職能」「配慮事項に対する方針」「最も有効な採用チャネル」をそれぞれ尋ねた。
    補足:現在の障害者雇用の方針が、「法令順守の範囲内で雇用するため」および「自社の社会貢献活動で活躍してもらうため」を選択した企業に対しては、「自社やグループ会社のユーティリティ業務」および「自社の収益業務」に貢献する障害のある人材を採用する場合を仮定して、尋ねている。



    3. 採用目的別における求める資質や職能・配慮事項の方針・効果的な採用チャネル
    自社の収益業務に貢献する人材」には、職務遂行能力やスキルが求められ、3割(34.3%)が「配慮は最小限で、一般社員と同じ環境ではたらけること」を重視。「自社やグループのユーティリティ業務に貢献する人材」には、体調や勤怠の安定・周囲との良好な関係性を重視し、半数以上(53.4%)が「体調や精神面の安定を重視した配慮」を行うと回答。採用目的によって、求める資質や職能、配慮の優先度が異なり、さらに障害者それぞれの特性によっても違いがある。
    いずれの人材においても、「民間職業紹介事業者」が最も効果的な採用チャネルだと考えられている。

    「自社やグループ会社のユーティリティ業務」や「自社の収益業務」に貢献する障害のある人材を採用する際に、求める資質や職能:

    障害者をを採用する際の、求める資質や職能(パーソルダイバース調査)


    自社の収益業務に貢献する人材のほうが、スキルや業務遂行能力を重視すると回答した人が、5割以上(53.3%※)に達した。(※任せられた業務を手順通りに対応する能力:21.9%、任せられた業務において改善提案を行いながら対応する能力:25.6%、担当業務の課題を理解し、業務を自ら作り出す能力:5.9%の合計値)
    一方で、「自社やグループ会社のユーティリティ業務」に貢献する人材においては、はたらく上で土台となる体調や勤怠の安定や、他の従業員との良好な関係性を重視すると回答した人が、6割以上(61.4%※)であった。(体調や勤怠が安定していること:40.7%、周囲と良好な関係を築き、摩擦を起こさないこと:20.7%の合計値)


    配慮事項に対する方針:

    障害者を採用する際の、配慮事項に対する方針(パーソルダイバース調査)


    「能力を最大限発揮するために、柔軟に個別の配慮を行いたい」と回答した人が、いずれの人材においても3割以上であり、両者に大きな差はみられなかった。
    しかし、「自社の収益業務」に貢献する人材を採用する際には、「配慮は最小限に抑え、基本的には一般社員と同じ環境ではたらけることを重視したい」と回答した割合が(34.3%)であり、3社に1社がこの考えを持っていた。一方、「自社やグループ会社のユーティリティ業務」に貢献する人材では、「体調や精神面の安定を重視した配慮を行いたい」(53.4%)であり、半数以上に達していた。

    最も効果的だと考える採用チャネル:

障害者採用における効果的な採用チャネル


「民間職業紹介事業者」が最も多い結果となった。特に「自社の収益業務に貢献する人材」を採用する際には、6割以上(66.3%)が効果的と回答し、「ユーティリティ業務」と比較して、20ポイント以上多く回答数を集めた。
この結果から、企業は高度なスキルや業務遂行能力を持つ障害のある人材の採用には、民間職業紹介事業者が最も効果的なチャネルと考えられていることがわかる。また、ユーティリティ業務においても、柔軟な対応と専門的な支援が求められるため、同様に民間職業紹介事業者の利用が進んでいることが示唆される。


4. DEI施策と障害者雇用方針の関連性

DEI施策と障害者雇用方針の関連性(パーソルダイバース調査)

DEI施策と障害者雇用施策が「連動している企業」は6割(59.0%)。DEI施策と障害者雇用施策が連動している企業ほど、障害者雇用を単に法令順守の手段としてではなく、企業の本業に直接貢献する戦略として捉えられている可能性がある。

調査では、DEI施策と障害者雇用施策の関係性についても尋ねた。その結果、4割(38.2%)がDEIに関する施策と障害者雇用施策が「連動している」と回答し、「一部連動している」(20.8%)とあわせて、6割の企業が、両者が連動していると回答した。一方で、「障害者雇用施策はあるが、DEI施策はない」という企業は(18.5%)に達していた。

さらに、「DEI施策と障害者雇用施策が連動している」企業と、「DEI施策と障害者雇用施策が連動していない・DEI施策がない」企業における、現在の障害者雇用の方針を分析した。
その結果、「連動している」企業のほうが、現在の障害者雇用方針において「自社やグループ会社などのユーティリティ業務で貢献してもらう」(14.3%)、「自社の収益業務に貢献してもらう」(14.3%)ことに重点を置いていることがわかった。(上図、N=105人DEI施策と障害者雇用施策が連動している人)

DEI施策と障害者雇用施策が「連動している」「連動していない」企業における、現在の障碍者雇用方針(パーソルダイバース調査)

この結果から、DEI施策と障害者雇用施策が連動している企業は、障害者雇用を単に法令順守としてではなく、企業の本業に直接貢献する戦略として捉えられている可能性がある。これは、障害者雇用が企業の収益や業務効率に寄与することを期待する姿勢があるためと考えられる。一方で、DEI施策と障害者雇用施策が連動していない、もしくはDEI施策自体がない企業では、障害者雇用が主に法令順守の一環として見られ、企業戦略における直接的な貢献として重視される傾向が少ない可能性がある。


5. 法定雇用率達成状況、現在と今後の見通し

障害者雇用率(法定雇用率)の達成状況(パーソルダイバース調査)

現在の法定雇用率2.5%に対して、「未達成(2.5%未満)」と回答した人は(47.8%)となり、「達成している(2.5%以上)」と回答した人の(52.2%)を若干下回った。さらに、2026年4月に引き上げ見込みの法定雇用率2.7%に対し、6割(59.5%)が「達成は困難」または「やや困難」と回答した。

法定雇用率達成状況と今後の見通し(パーソルダイバース調査)

達成困難の理由として、「障害者採用が売り手市場により激化」「身体障害者を中心に高齢化が進み、退職者が増加」など、採用や定着への課題が挙がった。

 企業は引き続き採用手法や待遇面の改善を図り、長期的な視点での戦略的な取り組みが求められる。

■調査結果考察
パーソルダイバース株式会社
人材ソリューション統括本部 人材ソリューション本部 人材紹介事業部ゼネラルマネジャー
鈴木 紀子
今回のリサーチ結果から、障害者雇用に対して「法的義務」だけでなく「事業への貢献」のために取り組む企業が増えていることが分かりました。企業はいま、経営を取り巻く環境変化によって、永続的な事業継続性を見据えた人材戦略が求められています。調査にご協力いただいた企業からはこうした背景のもと、障害者を“雇用率達成のための人材”から“企業活動を担う人材”としてとらえ、“企業成長のための投資”として雇用に取り組む姿勢が垣間見えます。今後、企業多くの企業で、こうした傾向が高まっていくと思われます。

今後の法定雇用率達成に対しては、6割の企業が「達成は困難」と答えています。当社がご支援する企業からも、様々な課題や相談を多く頂いています。2.7%の達成のためには、雇用市場の主力層である精神、発達障害者の採用を進めることに加え、既存のマネジメントや配慮、人事制度の在り方などに変化を加えることも伴います。それは収益業務への貢献であっても、ユーティリティ業務貢献であっても同じです。雇用達成の“近道”はなく、外部の知見やノウハウを活かし、自社の環境に沿った採用や雇用施策を進めていくことが大切です。
私たちは今回調査に協力いただいた企業のように、企業成長や社会的価値の達成に繋がる障害者雇用を支援していきたいと思っています。人材紹介による採用支援や入社後の定着支援、研修、人事評価制度設計など、企業の課題に応じて支援していますので、ぜひ私たちのノウハウを活用してほしいと思っています。

■調査概要

実施期間

2024年7月3日~7月11日

実施方法

Webアンケート調査

法人企業向けメールマガジンにて配信(契約企業および非契約企業)

調査対象者

【有効回答者】法人向けメールマガジンに登録している178名  

・一般企業:155名、特例子会社:15名、その他:8名

・エリア:全国(本社所在地:関東116人、関西29人、中部14人、九州11人、その他8人)

・対象:企業の障害者雇用に取り組む人事担当者

従業員規模

業種

・従業員規模:100人未満(9.0%)、100人以上~300人未満(27.0%)、300人以上~500人未満(11.8%)、500人以上~1,000人未満(15.2%)、1,000人以上~2,000人未満(15.7%)2,000人以上~5,000人未満(10.1%)、5,000人以上(11.2%)

   ・業種:製造業(20.8%)、サービス業/その他(15.8%)、情報通信業(13.5%)、金融/保険業(8.4%)、卸売業(6.2%)、学術研究/専門・技術サービス業(5.1%)、不動産/物品賃貸業(4.5%)、医療/福祉(4.5%)、運輸業/郵便業(3.9%)、小売業(3.4%)、その他(14.0%)

調査主体

パーソルダイバース株式会社


■パーソルダイバース株式会社について<https://persol-diverse.co.jp/> 
パーソルグループの特例子会社として、「障害者雇用を成功させる。そして、その先へ。」をミッションに、障害者の多様なはたらき方とはたらく可能性の創出に取り組んでいます。グループ内外の企業や地域と連携した 多様な業務受託サービスを展開するほか、国内最大級の求人・登録者数を持つ障害者のための転職・就職支援 サービス「dodaチャレンジ」、就労移行支援事業所「ミラトレ」「Neuro Dive」の運営や、企業の雇用課題を支援する「障害者の人材紹介」「障害者雇用コンサルティング」などのサービスを提供しています。

「PERSOL(パーソル)」についてhttps://www.persol-group.co.jp/
パーソルグループは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」として、2030年には「人の可能性を広げる ことで、100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを目指しています。 さまざまな事業・サービスを通じて、はたらく人々の多様なニーズに応え、可能性を広げることで、世界中の 誰もが「はたらいて、笑おう。」 を実感できる社会を創造します。

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東京都港区本社・支社
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会社概要

URL
https://persol-diverse.co.jp/
業種
サービス業
本社所在地
東京都港区港南1-7-18  A-PLACE品川東 6F
電話番号
-
代表者名
渡部 広和​
上場
未上場
資本金
4500万円
設立
2008年01月