1/23 カンボジア活動報告会を開催|広島市立広島特別支援学校・福富茂樹教諭が「世界とつながる学び」実践を報告

“支援される側”から“貢献する側”へ、特別支援教育の新しいグローバル探究モデル

特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクト

 特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクト(千葉県松戸市、代表:中村雄一)は、2026年1月23日、年末年始に実施したカンボジアプロジェクト(2025年12月27日〜2026年1月4日)についての活動報告会を開催しました。報告者として、広島市立広島特別支援学校の教諭・福富茂樹が、同校の「世界とつながる学びプロジェクト」参画から現地実践、そして今後の決意までを共有しました。
 本プロジェクトは、全国50校の小・中・高・特別支援学校・フリースクール等で制作された教材を、カンボジアの現地(避難民収容施設となった寺院等)で活用し、学びと心のケアを同時に届ける取り組みです。

カンボジアの難民キャンプで行われた支援活動

背景:平和学習の“その先”へ——「祈る」から「行動する」平和教育へ

 広島の学校では、毎年8月6日に向けて平和学習に多くの時間をかけます。福富教諭自身も、小・中・高と原爆の被害を学び、折鶴を折り、平和を祈る——その営みを積み重ねてきました。けれど同時に、「学んで、祈っているのに、なぜか胸の奥に“物足りなさ”が残る」。その感覚が、長く消えなかったといいます。

 その“物足りなさ”の正体が、今回のカンボジア渡航で少し見えた——福富教諭はそう振り返ります。つまりそれは、「平和構築のための具体の行動」に、もう一歩踏み出し切れていないという違和感だったのではないか、と。折鶴や祈りを否定するのではなく、そこから先へ進む回路が、教育の中に十分に組み込まれていない現実があるのではないか、という問題意識です。

 現地で出会ったのは、避難生活のなかで日常を失い、表情に“重さ”を抱えた子どもたちでした。福富教諭は「自分にできたことは微々たるもの」としながらも、実際に行動すること、そして机上の理解ではなくリアルに寄り添うことこそが、平和への第一歩なのだろうと語ります。さらに、励ましに行ったはずの自分が、逆に癒され、力をもらった実感があった——それは一方通行の支援ではなく、わずかでも「お互いにエンパワーメントできた関係性」に触れたからだと述べています。

 平和学習を「記憶の継承」で終わらせず、「今日からの行動」に接続する。祈りを、関係性へ。折鶴を、学びの往復へ。——福富教諭の報告は、広島の教育が積み重ねてきた平和学習を、次の段階へ進める問いそのものでした。

今回の攻撃を受けた絵画。シェムリアップ

報告会ハイライト:広島市立広島特別支援学校の参画と、生徒の変化

 広島市立広島特別支援学校は、2025年8月から「世界とつながる学びプロジェクト」に参画。教職員向け研修(8/5)と生徒向け講演(9月)を経て、生徒たちは「自分に何ができるか」を考え、教材やプレゼント制作に取り組んできました。
 福富教諭が本プロジェクトに参加した最大の理由は、普段“支援される側”になりやすい子どもたちが、世界に対して“貢献できる側”へ回れると確信したからです。制作→送付→現地での活用を知る過程で、自己有用感・自己効力感の伸長が明確に見られていると報告しました。

 また、同校の生徒が制作した平和ポスターがルワンダへ渡り、現地の子どもたちのメッセージが加わって広島へ戻ったことで、「自分たちの作品が海を越えて役に立った」という実感が、次の制作活動を強く後押ししたことも共有されました。

ルワンダから還ってきた広島特別支援学校制作の平和の絵

カンボジア現地での実践:教材が“心の灯り”になる瞬間

 福富教諭は現地で、全国50校の児童生徒が制作した教材を活用した授業実践、寺院での炊き出し・物資支援、地雷啓発を含む教育支援活動、さらにカンボジア地雷博物館でのボランティアガイド等を実施しました。

 特に象徴的だったのは、避難民収容施設(寺院)で出会った、寂しそうに一人で過ごす男の子のエピソードです。紙飛行機を渡しても表情は暗く、笑っても“ふっと暗くなる”。それでも福笑い・けん玉・魚釣りゲームなど、日本の子どもたちが作った教材で遊び、授業を重ねるうちに、最後には「とびっきりの笑顔」を見せたといいます。福富教諭はその瞬間を「一瞬でもつらい気持ちが和らいだなら、少しは貢献できた」と振り返りました。

 そして、その笑顔を引き出したのは、現地にいる大人だけの力ではなく、「日本の子どもたちがつくった教材があったからこそ」だと断言します。

難民キャンプで福笑いを行うなかよし学園

“知ることが平和への第一歩”——地雷・戦争・歴史と向き合う学び

 福富教諭は、カンボジアの人々が植民地支配、戦争の波及、ポル・ポト政権下の大量虐殺、内戦、地雷の残存、格差拡大など、長期にわたり歴史的困難の連続を生き抜いてきた現実に触れ、「個人の努力ではどうにもならない歴史の連続」だったと述べています。

 また、地雷除去と教育の象徴として、アキ・ラー氏(カンボジア地雷博物館設立者)との出会いも報告されました。同世代の日本人として、全く異なる時代体験の落差に言葉を失い、「他者のために生きる覚悟」を突きつけられたといいます。

日本の生徒児童が作成した教材で遊ぶ子どもたち
紛争地アンロンペンでの支援の様子

福富教諭が掲げた「今後の決意」:小さな関係性を築き、学び続け、次世代へつなぐ

 報告の結びとして福富教諭は、今後の行動指針を次の3点に整理しました。

1.「小さな関係性」を丁寧に築く

2. 学び続け、問い続ける

3. 教育で「次の世代」に繋ぐ
 
そして、「優れた制度より、地味で静かで穏やかな人と人との関係性」を信じ、仲間として関わり続ける“想い”と“覚悟”こそが希望だと語りました。

なかよし学園の研修を受けて、地雷博物館でガイドとして説明する福富教諭

今後の展開:2月末、現地映像を用いた“フィードバック講演”を実施予定

 広島市立広島特別支援学校では、現地での活動の様子、教材がどう使われたか、子どもたちがどのように喜んだかを写真・動画で共有するフィードバック講演会を2月末に予定しています。制作した子どもたち自身が「自分の学びが誰かの力になった」ことを目で見て理解することで、次の行動を生み出す循環(CoRe Loop)をさらに強化していきます。

PEPトークとなかよし学園コラボの教育支援を福富教諭が実現した

団体概要

特定非営利活動法人 なかよし学園プロジェクト
所在地:〒270-0021 千葉県松戸市小金原4-14-14
代表者:中村 雄一
事業内容:教育支援・平和/防災教育、探究学習の設計運用、海外(アフリカ・中東・アジア)での教育協働

本件に関するお問い合わせ

特定非営利活動法人 なかよし学園プロジェクト(事務局・広報)
担当:中村 里英
E-mail:peace.office@nakayoshigakuen.org

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会社概要

URL
http://www.nakayoshigakuen.net/npo/index.html
業種
教育・学習支援業
本社所在地
千葉県松戸市小金原4-14-14
電話番号
047-704-9844
代表者名
中村雄一
上場
未上場
資本金
-
設立
2019年04月