SPARCが、肌の真皮と基底膜に存在するコラーゲンの産生を同時に高めることを世界で初めて※1発見
~基底膜にも働きかける、コラーゲンの司令塔SPARC~
花王では長年、肌のハリにとって大切なコラーゲンに着目し、SPARC(スパーク)(Secreted protein acidic and rich in cysteine)という生体に存在するタンパク質とコラーゲンの関係性についての研究を進めています。今回は、SPARCが複数の種類のコラーゲン産生に同時に働きかける司令塔としての役割を果たすことを、世界で初めて※1明らかにしました(図1)。
- 肌のコラーゲン
- SPARCとは
- SPARCによる4型・7型コラーゲン産生促進効果と基底膜の形成促進
さらに、3次元皮膚モデルにSPARCを添加したところ、4型と7型コラーゲンが基底膜に蓄積し、基底膜の形成を促進することもわかりました(図2)。これらの知見から、SPARCは複数の種類のコラーゲン産生に同時に働きかける司令塔としての役割を果たすことが、世界で初めて明らかになりました。
老化した肌では基底膜の構造が劣化し、ハリやしわなどに影響を及ぼすことが報告されています。今回、SPARCと光老化との関係性を調べるため、同一人物の紫外線により老化が進んだ部位(光老化)と紫外線があまり当たっていない部位を比較したところ、前者の部位ではSPARCが減少していることがわかりました※4。
このことから、光老化した肌ではSPARCの産生が低下し、4型と7型コラーゲンを生み出す力が衰え、基底膜の構造的劣化に関与すると考えられます。
今後もSPARCとコラーゲンの関係性の解明を進めるとともに、この知見を化粧品開発に応用していく予定です。これらの研究結果は第53回日本結合組織学会で発表しました。
※1 生命科学、生物医学を検索できる世界で代表的な科学文献データベースPubMedを用いて検索。
「SPARCと1型・4型・7型コラーゲン産生」について該当なし(2021年7月14日現在、花王調べ)
※2 Kobayashi M, Yoshida H. et al., J Jpn Cosmet Sci Soc, 45, 191-200(2021).
※3 遺伝子発現解析とタンパク発現解析により評価
※4 抗SPARC抗体を用いた免疫組織染色により、SPARCを産生する細胞数を定量的に評価
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