【岐阜県安八町】結小学校・牧小学校で「世界とつながる学び」講演会を実施
——児童の“手作り教材”がカンボジア難民キャンプとルワンダへ届いた「学びの往還」報告
特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクト(所在地:千葉県松戸市、代表:中村雄一)は、2026年2月8日、岐阜県安八町立結小学校および牧小学校にて「世界とつながる学び」講演会を実施しました。本講演会では、児童が日々の学びの中で制作した教材・支援物資(おもちゃ、防災バッグ、お米等)が、年明けに実施したカンボジア難民キャンプ支援の現場で実際に活用された様子を“フィードバック(報告)”として共有。さらに、結小学校1年生が朝顔の栽培を通して制作した栞がルワンダの学校に届き、現地からお礼の手紙が返ってきたという「CoRe Loop(往還型学習)」の成果も報告しました。

「世界とつながる学び」とは——“つくる→届く→返ってくる”で、学びを行動に変える
「世界とつながる学び」は、日本の学校で生まれた探究・総合・教科学習の成果物を、なかよし学園がアジア・アフリカ・中東の教育現場へ届け、現地での活用・反応を再び日本の教室へ返すことで、学びを一過性で終わらせない循環(CoRe Loop)を生み出す教育モデルです。本モデルは、経済産業省の「探究・校務改革支援補助金」採択事業としても全国に展開されています。

カンボジア難民キャンプ支援の現実——“教育が止まる”だけでなく、“日常が奪われる”場所で
カンボジアでは、避難生活を余儀なくされた子どもたちが、十分な教材・遊び道具・学習機会を得られない状況が続きます。
なかよし学園は年末年始の現地支援において、難民キャンプ(寺院拠点等)での授業実施、食糧支援、そして安全に関する学習機会(地雷啓発を含む)など、「生き延びる支援」と「学び直す支援」を同時に届ける形で活動を行いました。
この“現実のフィードバック”があるからこそ、教室の制作物は「良いことをした」で終わりません。
子どもたちは、自分の手で作ったものが、遠い国の「今日」を支える場面を目で見て、初めて世界の課題を自分事として引き受ける入口に立ちます。




結小学校:おもちゃ・防災バッグ・お米——「学び」を“支援の形”へ具体化
結小学校では、児童の学びから生まれた複数の成果物が、カンボジア難民キャンプ支援で活用されました。
おもちゃ製作:現地で遊び・学びの機会が不足する子どもたちの活動に活用
防災バッグ:安全・生活を考える学習を、支援現場のリアリティに接続
お米:炊き出し等の食糧支援として活用
さらに、1年生が朝顔栽培を通して制作した「栞」がルワンダへ届けられ、現地校(キバガバガ小学校)からの手紙が返ってきたことも共有されました。








牧小学校:お米が“命をつなぐ支援”へ——「当たり前」を問い直す入口
牧小学校でも、児童が関わった「お米」が年明けのカンボジア難民キャンプ支援で炊き出しに活用されました。講演会では、現地の様子(写真・動画・現地の声)を共有しながら、「自分たちの暮らしの“当たり前”」と「世界の“当たり前”」の差を、児童が自分の言葉で受け止め直す対話の時間が生まれました。“つくる・届ける”だけで終わらず、“どう使われたか”までを学びとして返すことで、支援は物語ではなく、実感を伴う学びへと変わっていきます。




手触り”が、子どもを変える
平和学習は、祈ることから始まっていい。折鶴を折り、黙とうをし、戦争を二度と繰り返さないと誓う——その時間は、私たちにとって大切な出発点です。けれど、そこで終わってしまったら、世界は変わりません。
結小・牧小の子どもたちは、教室の中で考え、つくり、届け、そして“返ってきた反応”を受け取りました。結小学校の栞は海を越えてルワンダの子どもたちに届き、お礼の手紙が戻ってきた。牧小学校の「お米」は、避難生活の中で「食べることができる」当たり前を支える力になった。こうした往還(CoRe Loop)の体験は、世界の課題を「自分事」として捉える入口になります。
それは、大人が用意した正解ではなく、子ども自身が選び取った行動です。この「小さな実装」の積み重ねこそが、岐阜・安八町の教室から世界へ、“具体でやさしい影響力”を持つ人材を育てていく——私たちはそう確信しています。

3年生の挑戦:地域伝承「照手姫」を世界へ——“物語交換”でつくる新しい国際理解
結小学校3年生は、地域に伝わる伝承「照手姫」を題材にした劇(表現活動)を、世界へ届けるプロジェクトを計画しています。講演会のあった2月8日にはなかよし学園中村雄一代表と地域の方も参加する照手姫公演が行われました。
この取り組みは単に日本の物語を発信するだけではなく、世界各地の学校・子どもたちが持つ伝承や物語を互いに紹介し合い、「物語を交換する」形で文化理解を深めていく構想です。
物語には、その土地の歴史、価値観、家族観、自然との向き合い方が凝縮されています。だからこそ、言葉だけでは伝わりにくい“相手の背景”を、物語を通して想像し、尊重する学びが生まれます。
この「照手姫」プロジェクトは、地域学習で培った表現力を世界へ接続し、子どもたち自身が“文化の語り手”として世界と出会う試みです。CoRe Loop(つくる→届ける→返ってくる)モデルの中で、世界の物語が教室へ戻ってくることにより、学びはさらに次の創作・対話へと循環していきます。

結小学校 児童の声
・自分たちが大切に育てて収穫したお米が、戦禍のカンボジアに届き、実際に役立ったと知ってうれしかったです。
・動画で、子どもだけでなく大人も楽しそうにしている様子を見て、「送ってよかった」「作ってよかった」と心から思いました。
・「遠い国のために何かをするのは難しい」と思っていましたが、話を聞いて、願うだけでなく行動に移すことが大切だと分かりました。小さなことでも役に立てることを続けたいです。
・戦争や避難生活の中でも、大人が働き、子どもたちが学び続けている姿を知り、すごいと思いました。自分も学びを大事にしたいです。
・「願う平和」だけでなく「行動する平和」へ——お米を届けることで、自分も行動できたと実感できてうれしかったです。
・これから先、直接支援に行けなくても、募金や身近な協力など、助けられることがあれば自分から進んでやりたいです。
・自分の「当たり前」(おいしいご飯を食べられること、家族と過ごせること、健康でいられること)が、戦争や災害で一瞬で失われるかもしれないと知り、毎日をもっと大切に生きたいと思いました。
・戦争で罪のない人まで被害にあうことが悲しく、悔しかったです。だからこそ、世界中が笑顔でいられる平和をつくりたいと思いました。
・自分たちの行動で世界の誰かの笑顔につながったと知り、「自分もHEROになれた気がした」「将来は世界で活躍できる“かっこいい大人”になりたい」と感じました。
・困っている人がいることは知っていても行動できなかったけれど、今回をきっかけに「少しでも力になりたい」「困っている人を見つけたら自分から声をかけたい」と思うようになりました。
・6年生の学習(福祉・バリアフリー・高齢者など)で、どう伝えたら分かりやすいか工夫して取り組めたことが誇りです。日本のことを絵や言葉で伝えることで、つらい気持ちが少しでも和らぐならうれしいです。
・この1年間で、戦争や災害で困っている人が世界にたくさんいることを知り、仲間と協力しながら前向きに生きようとする姿に心を打たれました。10年後の約束を忘れずに、行動できる自分でいたいです。

結小学校 中野由美 校長 コメント
子どもたちの住む世界は、基本的に「目の前の世界」です。遠い世界のことも、ネット等で知っているつもりにはなれますが、本当は何も知らず、実感を伴う理解には至っていないことが多いと感じています。学校では係活動やボランティア活動に取り組み、「誰かの役に立った」と喜ぶ場面があります。もちろんそれも大切な経験ですが、教育の根幹には、子どもたちがもっと広い世界でやりたいことや、自分の良さを発揮できる可能性があることに気づき、未来の生き方へつなげていくことがあるはずです。ところが現実には、その本質を表面だけさらっと流してしまう教育があるとも感じています。
なかよし学園との取り組みによって、児童は自分たちの可能性に「気づく」きっかけをいただきました。私たちが求めていたのは、物を届けてくれる誰かではありませんでした。現地の笑顔の尊さを持ち帰り、フィードバックしてくださる存在でした。それは「あなたの行動で〇〇さんが笑顔になった」と教えてくださる存在です。大きな世界の小さな笑顔、その小さな笑顔の積み重ねが大きな世界の平和につながり、だからあなたも平和をつくれる人なのだと認めてくださる存在を求めていました。
教員も児童も日々よく頑張っていますし、認め励ますことは毎日行っています。しかし、教員と児童は同じ世界に住み、同じ世界の笑顔を喜び合っています。それはとても尊いことですが、小さな世界にいるがゆえに、その尊さに気づきにくく、当たり前になってしまうことが多いと感じます。また、小さな世界しか知らないと、求める平和の世界も小さくなってしまいます。子どもたちには小さな頃から「大きな世界」を感じてほしいです。自分たちの幸せだけではなく、世界の幸せを願い、行動できる人になってほしいと思っています。視野を小さな世界から大きな世界へと広げてほしいですし、それは同時に、身近ないじめや自己否定からの脱却にもつながると信じています。
言葉や映像、道徳などの授業で繰り返し伝えることはできますが、本当に世界とつながり、誰かを笑顔にした瞬間の喜びには勝てません。中村先生の講演では、自分たちが取り組んできたことや届けたものが現地の笑顔につながったことを実感し、とても喜ぶ児童の姿がありました。10年後の自分の姿を思い描き、「かっこいい大人」になりたいと話す児童もいます。児童は、自分がそんな大人になれるという自信を手にしているように見えます。1年間かけてそのような子どもを育てることができ、喜びと感謝の気持ちでいっぱいです。
なかよし学園の国際的評価:UNESCO×欧州機関の知見基盤にケーススタディ掲載
なかよし学園の「世界とつながる学び/CoRe Loop」は、UNESCOとEuropean Agency for Special Needs and Inclusive Educationが共同運営する国際知見プラットフォーム「Inclusive Education in Action」にもケーススタディとして掲載されています。
本取り組みは、特別支援教育を含む多様な学びの現場から、「支援される側が支援する側へ」という循環を生み出す点が特徴であり、今後も全国の学校・地域と連携しながら継続していきます。

代表コメント(なかよし学園プロジェクト 代表 中村 雄一)
平和学習は、祈ることから始まっていい。折鶴を折り、黙とうをし、「二度と繰り返さない」と願う——その時間は、私たちにとって大切な出発点です。けれど、そこで終わってしまったら、世界は変わりません。祈りを、今日の行動へ。願いを、誰かの明日へ。結小学校と牧小学校の子どもたちは、その“一歩”を自分の手で踏み出しました。
年明けに行ったカンボジア難民キャンプ支援では、結小の子どもたちがつくったおもちゃ、防災バッグ、お米が、そして牧小の子どもたちが関わったお米が、現地で実際に活用されました。支援の現場は、ニュースで見る「遠い世界」ではありません。遊び道具も教材も足りない中で、子どもたちが笑う理由を必死に探している場所です。食べることが、学ぶことの前提になっている場所です。だからこそ、教室で生まれた学びが“命のそば”に届いたことには、決定的な意味があります。
さらに結小学校では、1年生が朝顔の栽培を通じて制作した栞がルワンダへ届き、現地の子どもたちからお礼の手紙が戻ってきました。これは、私たちが大切にしているCoRe Loop——「つくる→届く→返ってくる」という学びの往還です。支援が一方向で終わらず、「あなたがいてくれてよかった」「私も誰かの力になれる」という相互の尊厳を育てていく。ここに、教育としての価値があります。
子どもたちが変わる瞬間は、知識を得たときではなく、「自分の行動が誰かに届いた」と実感したときです。返ってきた手紙、現地で使われる様子の映像、そこで生まれた笑顔や声——その“手触り”が、子どもたちの中に「次は何ができるだろう」という問いを立ち上げます。大人が用意した正解ではなく、子ども自身が選び取った行動が、世界とつながる。私はその事実に、教育の希望を見ます。
なかよし学園は、UNESCO×European Agency for Special Needs and Inclusive Education の国際知見基盤「Inclusive Education in Action」にケーススタディとして掲載されました。これは私たちの取り組みが、理念ではなく“実装モデル”として共有される段階に入ったことを意味します。これからも、岐阜・安八町のような地域の教室から、世界の現場へ——そしてその学びをまた教室へ返し、次の挑戦へつなげる循環を、全国の学校と共につくり続けます。

参考リンク
「世界とつながる学び」公式ページ:https://nakayoshigakuen.hp.peraichi.com/sekaitotsunagarumanabi/
Inclusive Education in Action 掲載ページ:https://www.inclusive-education-in-action.org/case-study/being-supported-becoming-supporters-return-loop-inclusive-learning-model-linking
団体概要(テンプレ)
特定非営利活動法人 なかよし学園プロジェクト
所在地:〒270-0021 千葉県松戸市小金原4-14-14
代表者:中村 雄一
事業内容:教育支援・平和/防災教育、探究学習の設計運用、海外(アフリカ・中東・アジア)での教育協働
本件に関するお問い合わせ
特定非営利活動法人 なかよし学園プロジェクト(事務局・広報)
担当:中村 里英
E-mail:peace.office@nakayoshigakuen.org
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