王子グループ子会社CENIBRA社の社有林25.4万haを対象とした森林変化の衛星データ分析を実施
~持続可能な森林管理の取り組みを支援~
国際航業株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:土方 聡)は、王子ホールディングス株式会社のグループ子会社であるCENIBRA社※1(本社:ブラジル、以下、セニブラ社)の社有林約25.4万haを対象に、当社の森林情報コンサルティングサービス「診ま森(みまもり)」による、衛星データ、現地の自然植生情報、施業履歴を組み合わせた森林変化分析を行い、客観的な土地利用の実態を検証しました。
近年、衛星データを使用した分析技術の発展を背景に広範囲かつ長期間にわたる森林モニタリングが可能となったことで、多くの森林変化分析のプラットフォームが誕生し、データが公開されています。
一方で、衛星画像を使用した森林減少の自動特定は非常に難しく、衛星画像の解像度の問題、定期的な更新の有無等により森林減少を正確に検出することが困難な場合があります。特に人工林においては、持続可能な林業経営における伐採作業が森林破壊と誤認されることがあり、データの解釈には十分な注意が必要とされます。
セニブラ社が所有する社有林の一部地域は、「Global Forest Change」などの森林評価ツールでは『森林損失』として表示されますが、セニブラ社は当該地域について、伐採・更新を行っている林地として認識しており、森林減少とは考えていません。そこで、客観的な土地利用の実態を検証するため、専門的な知見と分析のノウハウを持つ当社が、当該地域について時系列の衛星データと現地情報を組み合わせた分析を依頼されました。
解析には社有林を網羅する1990年~2023年のLandsat衛星画像を計48枚使用し、地形補正処理後、各画像のNDVI(正規化植生指数)を算出しました。ユーカリ植林地におけるNDVIの経年変化や、ユーカリ植林地と天然林のNDVIを特徴づけ、「Global Forest Change」において『森林損失』となったエリアが一時的な損失か恒久的な損失か、ユーカリ植林地か天然林かを確認しました。その結果、「Global Forest Change」で抽出された『森林損失』のうち、99.9%が『森林減少』に該当しない地域である可能性が高いことが示されました※2。
本業務の特徴
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衛星データと現地情報を組み合わせ、専門的な知見に基づいて分析することによって、客観的で精度の高い解析結果が得られます。
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「環境負荷軽減」「持続可能性の証明」「データに基づく透明性の確保」という観点から森林管理の信頼性を高められるため、企業の社会的責任やブランドイメージの向上につながります。
活用できる企業や業界
1. 林業・木材産業
持続可能な森林管理を重要視する林業にとって森林損失と誤解されないための客観的データが求められていることに加えて、環境負荷を抑え、サステナブルな経営をアピールするための客観的なデータとして活用できます。
2. 製紙・パルプ産業
持続可能な原材料調達への社会的責任が重視されていることから、環境モニタリングを通じて透明性を高めることが求められています。森林管理の正確な証明が行えることで、CSRやESGの観点からも評価されやすくなり、特にグローバルな顧客やステークホルダーに対する信頼性向上に貢献します。
3. 再生可能エネルギー企業(特にバイオマス分野)
バイオマスエネルギー企業も森林資源に関わるため、持続可能な管理が重要です。サプライチェーン上で使用する木材やバイオマス資源が適切に管理されていることを示すために、衛星データを活用した森林モニタリングは大きな価値を持ちます。
4. 金融機関や投資ファンド
ESG投資を重視する金融機関や投資ファンドも、投資先の企業が環境に配慮した活動を行っているかどうかを評価するために、データに基づく透明性の高い報告を求めているため、こうしたモニタリング技術を活用する企業に対する評価が高まります。
※1 Celulose Nipo-Brasileira S.A. (CENIBRA):植林事業およびパルプの製造販売を行っている
※2 「ブラジル セニブラ社 社有林における森林損失衛星データ評価 業務報告書」
https://ojiholdings.disclosure.site/Portals/0/pdf/themes_153/analysis_report_cenibra_ja.pdf
参照
王子ホールディングス|サステナビリティ|環境|持続可能な森林経営|海外の植林地概況「CENIBRA社有林の衛星データ分析」
https://ojiholdings.disclosure.site/ja/themes/153/
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国際航業株式会社
ミッション「空間情報で未来に引き継ぐ世界をつくる」の実現にむけて、地理空間情報技術を軸とし、防災・減災、行政マネジメント、インフラマネジメント、脱炭素・環境の分野での技術コンサルティング事業を展開。社会課題の解決に取り組んでいます。
設立 :1947(昭和22)年9月12日
URL :https://www.kkc.co.jp/
所在地:〒169-0074 東京都新宿区北新宿2丁目21番1号 新宿フロントタワー
資本金:67億94百万円(2024年3月31日時点)
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