東京都健康長寿医療センターと認知症予防分野の共同研究を開始
~ 知的活動を伴うハンドメイドを題材とした“ものづくり介入プログラム“の開発と認知機能および心身機能への介入効果の検証を目指す ~
株式会社オールアバウト(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:江幡 哲也、以下「オールアバウト」)と、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(所在地:東京都板橋区、理事長:鳥羽 研二、以下「健康長寿医療センター」)は、認知機能および心身機能への介入効果の検証を目的に、知的活動を伴うハンドメイドを題材とした“ものづくり介入プログラム”の開発およびその評価を行う共同研究契約を締結しました。
■ 共同研究実施の背景
人生100年時代といわれる日本において、生涯現役社会を実現するため、健康寿命の延伸・介護予防に国を挙げて取り組んでいます。厚生労働省では、令和元年に「認知症施策推進大綱」をとりまとめ、「通いの場」とよばれる地域の高齢者が気軽に参加できる集会や企画、イベントの実施規模を拡大していくことが健康寿命の延伸のために重要な施策のひとつであるとしています。現在、全国の自治体主導で「通いの場」として“栄養指導”や“運動教室”などが実施されていますが、その規模拡大のためには多様なニーズに対応できるプログラムの開発が求められています。
健康長寿医療センターでは、認知機能低下抑制におけるさまざまなアプローチを研究しており、『社会参加と地域保健研究チーム』においては運動に頼らない認知介入プログラムを開発、検証してきました(Suzuki et al,2014、Iizuka et al, 2019)。その中で、新規の学習が認知機能低下抑制および社会参加促進に寄与することが分かってきています。
一方、オールアバウトグループは、「個人を豊かに、社会を元気に。」をビジョンに掲げ、個人のエンパワーメントを支援し、個人が活躍する社会の構築に取り組んでまいりました。グループの中長期戦略における重点領域のひとつとして『ウェルネス分野』を掲げており、2017年には長野県松本市において高齢者の社会参加と健康に関する実証事業を実施しています。また、グループ会社である株式会社オールアバウトライフワークス(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:菱倉 英一、以下「ライフワークス」)は、個人の趣味活動・社会活動を支援する日本最大級の教室ビジネス支援プラットフォーム「楽習フォーラム」を展開し、ハンドメイド・食分野を中心とした全国1万5千人の認定講師をネットワークしています。
■ 共同研究の目的と概要
今回の共同研究では、認知機能維持に向けた知的活動アプローチに関するエビデンス構築を実証するため、ハンドメイドを題材とした“ものづくり介入プログラム”を共同で開発し、認知機能およびQOL等の心身・生活機能における効果を検証するものです。この研究を通じて「通いの場」で取り入れることが可能な、認知機能低下予防の複合的なプログラム提供環境の構築を目指します。なお、本研究・検証に使用するハンドメイドコンテンツの提供はライフワークスが行います。
当社はこの研究で得られた知見をウェルネス事業に役立てていくほか、介護サポーター育成や認知機能の低下が気になる人でも楽しめるプログラム開発を通じて活動を活性化することにより、「通いの場」を通じた「認知症予防・健康増進」だけにとどまらない高齢者の「生きがい・就労機会創出」を実現していきます。
▶ 共同研究概要
1. 研究題目
ものづくり介入プログラムによる認知機能および心身機能への介入効果の検証
2. 研究内容
東京都健康長寿医療センター『社会参加と地域保健研究チーム』と株式会社オールアバウトは、共同でハンドメイドを題材とした“ものづくり介入プログラム”の開発と効果の検証を行う。指標は認知機能およびQOL等の心身・生活機能とする。
3. 研究期間(予定)
2020年9月4日より2022年3月31日まで
4. 各社の役割分担
■地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 東京都健康長寿医療センター研究所
『社会参加と地域保健研究チーム』研究部長
藤原 佳典氏 コメント
東京都健康長寿医療センター研究所では、高齢者の健康と福祉を推進するために、様々な社会実験・調査を行ってきました。特に『社会参加と地域保健研究チーム』では、趣味やボランティア、就労などの社会参加・貢献することにより、高齢者自身、周囲の人々、更には地域社会全体にどのような好影響をもたらすか、モデル開発を通して検証してきました。特に注目される認知機能低下予防プログラムの大半は運動や脳トレによるもので、指先を使うハンドメイドの知的活動は、直感的には、効果がありそうですが、科学的な実証例は世界的にも殆どありません。自分の趣味になるハンドメイドは、体力が落ちても継続できます。また、必ずしも、大勢で取り組む必要もなく、「新しい生活様式」に適したプログラムとして期待しています。
■地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 東京都健康長寿医療センター研究所
『社会参加と地域保健研究チーム』研究責任者
鈴木 宏幸氏 コメント
認知症に関する多彩な研究が世界中で実践されています。その中で認知症予防の領域では、お元気なうちに新しい技術を学ぶなどの高度な知的活動に取り組むことが重要であると指摘されています。また、知的活動に社会参加などのコミュニケーションが伴うことでより効果が高まり、長期間継続することで脳にも良い影響を与える可能性があることも分かってきました。今回の共同研究で開発する「ものづくり介入プログラム」は、これらの要素をふんだんに取り入れたものであり、認知機能をはじめとした心身機能への多面的効果が期待されます。今回の取り組みは、ハンドメイドの楽しさや作品を作り上げる達成感、作品に対する想いを共有する喜びを感じながら、こころとからだの機能を高める、健康づくりとQOLの向上が一体となった社会的意義の高いものであると言えます。
■オールアバウトグループ・株式会社オールアバウト 代表取締役社長
江幡 哲也 コメント
当グループでは、「個人を豊かに、社会を元気に。」をビジョンに掲げ、生活者が「不安なく」「賢く」、そして「自分らしく」生きることをサポートする事業を推し進めております。人生100年時代を迎え、新たな価値観や社会システムへのパラダイムシフトが求められるなか、ヘルスケア、生涯学習、マネー、キャリアなど、人生・社会の基盤となる領域を「ライフアセットマネジメント領域」とし、中長期的に取り組む重要分野として定めています。今回、ヘルスケア分野の取組の一環として認知症の人の数約600万人※1、社会的コストが14兆5千億円※2にものぼる認知症という社会課題に着目し、東京都健康長寿センターと産学連携を行うことで、趣味を通じて楽しみながら認知症の予防・共生ができる仕組み・事業の構築を目指していきたいと考えております。
※1 内閣府「平成28年版高齢社会白書」より
※2厚生労働科学研究 平成26年度報告書「わが国における認知症の経済的影響に関する研究」より
【地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター概要】
■所在地 : 東京都板橋区栄町35番2号
■理事長名 : 鳥羽 研二
■設立年月日: 平成21年4月 1日
■事業内容 : 病院部門・研究所部門
■URL : https://www.tmghig.jp/
【オールアバウト 会社概要】
■所在地 : 東京都渋谷区恵比寿1-20-8 エビススバルビル6階
■代表者名 : 江幡 哲也
■設立年月日: 1993年3月25日
■事業内容 : 専門ガイドによる総合情報サイトの運営、インターネット広告事業、ECサイトの運営、
生涯学習事業
■資本金 : 12.12億円(2020年3月末現在)
■URL : http://corp.allabout.co.jp/
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