― スカパーJSAT・ゼンリン・日本工営・QPS研究所 ― 福岡市実証実験フルサポート事業 「宇宙」採択プロジェクト 衛星データを活用したため池モニタリング実証で有効性を確認
スカパーJSAT株式会社(本社:東京都港区、代表取締役 執行役員社長:米倉 英一、以下スカパーJSAT)、株式会社ゼンリン(本社:福岡県北九州市、代表取締役社長:髙山 善司、以下ゼンリン)、日本工営株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:新屋 浩明、以下日本工営)、株式会社QPS研究所(本社:福岡県福岡市、代表取締役社長 CEO:大西 俊輔、以下QPS研究所)は、2021年6月に採択された「福岡市実証実験フルサポート事業」*1において、衛星データを活用したため池モニタリングの実証を行い、有効性を確認いたしました。
本実証実験では、QPS研究所が手掛ける合成開口レーダー(SAR)*2衛星をはじめとした衛星データによって、ため池へのごみの流れ込みの確認、及び堤体の変動について測定を行いました。特に堤体変動の測定においては、スカパーJSATが開発した衛星からの電波を反射するリフレクタ、及び独自の解析アルゴリズムにより、誤差1.0 mm精度で堤体の変動量を捉えられることを確認しました。また、実際に現地測量も行い、その結果と遜色のない結果も得られました。
(1) 災害時(浸水状況把握システム*3 )
災害時に、天候状況に関わらず、今回の光学衛星で捉えられたような堆積ごみを、SAR画像とその解析によって捉え、人の手を介さず一度に広域に把握するサービス。
(2) 平常時(斜面/インフラモニタリングシステム*4)
ため池堤体だけでなく、斜面や盛り土などの土構造物の変状をセンチ~ミリメートル精度で定期的に監視し、危険度を評価することで、広域での管理を可能とするサービス。
また、QPS研究所は2025年以降に36機の衛星によるコンステレーション*5の構築を目指しており、将来的には同社の画像を活用することで、災害時、夜間帯問わず平均10分間隔の撮像によって、よりリアルタイムにエンドユーザーの意思決定への貢献が可能となるサービスの実現を進めます。
〇ため池モニタリング実証の詳細
■背景
全国にため池は約16万箇所あり、特に西日本に多く分布しています[[1]]。多くのため池は地域の農家でつくる水利組合などが管理していますが、高齢化や担い手不足で、日ごろの安全点検や監視が不十分な場所も増えており、2018年7月の西日本豪雨ではため池決壊による人的被害も発生しました。また、江戸時代に築造された古いため池も多く、その多くは耐震設計がなされていないため、経年的な老朽化も進行しつつあります。
遠隔から広域を状況把握することにより、ため池の越水リスク、決壊リスクを低減し、安全・安心な地域社会づくりに貢献すべく、ため池をターゲットとし、衛星データを活用した実証実験を行いました。
■概要
・スケジュール:
[1] 出典:農林水産省HP、https://www.maff.go.jp/
1.災害時状況把握に向けた実証:ため池内の堆積ごみの検出
衛星データで洪水吐に堆積した流木等のごみを捉えることができれば、ため池の状況をいち早く把握することが可能となり、未然に溢水等の被害を防止することが出来ると考えられます。
そこで、光学衛星でどの程度のサイズの堆積ごみを捉えることが出来るか検証を行った結果、設置した模擬ごみ(1m×1mサイズ)のビニールの発色を捉えることができました。一方SAR衛星では、葉を模した模擬ごみは、水面と区別するほどの十分な強度が得られず検出することができませんでした。ただし、実際の災害時には近くで土砂崩れが発生した場合に、ため池に流れこむ流木等が吐水口に堆積することで溢水のリスクが生じる可能性もあり、これらをSAR衛星で検出できるかどうかが課題として挙げられます。
2.平常時監視に向けた実証:ため池堤体のモニタリング
ため池堤体の点検は現場にて目視で実施しておりますが、衛星で定期的かつ高頻度にモニタリングすることでもいち早く変状を捉え、迅速に災害の未然防止に向けた対策を行うことが出来ると考えられます。
そこで、QPS研究所などが手掛けるSAR衛星によって、スカパーJSAT開発のリフレクタを設置した、ため池堤体を観測しました。さらにスカパーJSAT独自のInSAR*6解析アルゴリズムを改良することにより、誤差1.0mm精度で堤体を捉えることを可能としました。また実際に現地測量も行っており、その結果と遜色のない結果も得られました。
■実証実験参加4社の役割
*2 合成開口レーダー(Synthetic Aperture Radar)の略。地表にマイクロ波を照射し、反射して返ってきた信号を分析することで地表の画像を得るレーダー。雲や噴煙を透過し、昼夜や天候に関係なく地表の状況を把握することができる点が特長。
*3 スカパーJSAT、日本工営、及びゼンリンの3社は、 2021年4月より、衛星から得られる情報を解析し、災害時の被害情報などを詳細な地図上に表示、統計結果をユーザーのニーズに応じた形で提供する『衛星防災情報サービス』を共同で推進。
*5 複数の人工衛星によって、高頻度な地球観測を可能とするシステム。(コンステレーションは「星座」の意。)
*6 同一地点をSAR衛星で複数回観測し、観測対象物の変動量をモニタリングする手法のこと。複数枚のSAR画像から、受信する電波の位相差を抽出し、観測期間中における対象物の地盤高等の変動量を一般的にcm~mm精度で計測することが可能。
■関連リンク
· 2020年10月15日プレスリリース
「衛星×地図データ活用し水害等を予測・減災 国内初の『衛星防災情報サービス』提供 に向けて業務提携」
https://www.skyperfectjsat.space/news/detail/_jsat.html
同案件説明動画 https://youtu.be/8Is0Yu8TH-o?list=TLGGuqhh1CAzBdExMDA2MjAyMQ
· 2021年6月22日プレスリリース
「― スカパーJSAT・ゼンリン・日本工営・QPS研究所 ― 福岡市実証実験フルサポート事業 「宇宙」採択プロジェクト決定 衛星データを活用したため池モニタリング実証」
https://www.skyperfectjsat.space/news/detail/_jsatqps.html
· 2021年12月9日プレスリリース
「スカパーJSATと株式会社QPS研究所 小型SAR衛星コンステレーションを活用した
事業の拡大に向け業務提携
https://www.skyperfectjsat.space/news/detail/qps_sar.html
「日本工営 QPS研究所と業務提携締結 衛星観測データを活用した事業の高度化・拡大を目指す」
https://pdf.irpocket.com/C1954/p5Zl/KKJv/RrVx.pdf
本実証実験では、QPS研究所が手掛ける合成開口レーダー(SAR)*2衛星をはじめとした衛星データによって、ため池へのごみの流れ込みの確認、及び堤体の変動について測定を行いました。特に堤体変動の測定においては、スカパーJSATが開発した衛星からの電波を反射するリフレクタ、及び独自の解析アルゴリズムにより、誤差1.0 mm精度で堤体の変動量を捉えられることを確認しました。また、実際に現地測量も行い、その結果と遜色のない結果も得られました。
今後は本アルゴリズムのさらなる改良を重ね、高速度・高精度化を実現した解析技術によって、SAR画像を用いた衛星防災情報サービス(下記2つ)の実用化を目指します。
(1) 災害時(浸水状況把握システム*3 )
災害時に、天候状況に関わらず、今回の光学衛星で捉えられたような堆積ごみを、SAR画像とその解析によって捉え、人の手を介さず一度に広域に把握するサービス。
(2) 平常時(斜面/インフラモニタリングシステム*4)
ため池堤体だけでなく、斜面や盛り土などの土構造物の変状をセンチ~ミリメートル精度で定期的に監視し、危険度を評価することで、広域での管理を可能とするサービス。
また、QPS研究所は2025年以降に36機の衛星によるコンステレーション*5の構築を目指しており、将来的には同社の画像を活用することで、災害時、夜間帯問わず平均10分間隔の撮像によって、よりリアルタイムにエンドユーザーの意思決定への貢献が可能となるサービスの実現を進めます。
〇ため池モニタリング実証の詳細
■背景
全国にため池は約16万箇所あり、特に西日本に多く分布しています[[1]]。多くのため池は地域の農家でつくる水利組合などが管理していますが、高齢化や担い手不足で、日ごろの安全点検や監視が不十分な場所も増えており、2018年7月の西日本豪雨ではため池決壊による人的被害も発生しました。また、江戸時代に築造された古いため池も多く、その多くは耐震設計がなされていないため、経年的な老朽化も進行しつつあります。
遠隔から広域を状況把握することにより、ため池の越水リスク、決壊リスクを低減し、安全・安心な地域社会づくりに貢献すべく、ため池をターゲットとし、衛星データを活用した実証実験を行いました。
■概要
・スケジュール:
[1] 出典:農林水産省HP、https://www.maff.go.jp/
・内容:
1.災害時状況把握に向けた実証:ため池内の堆積ごみの検出
衛星データで洪水吐に堆積した流木等のごみを捉えることができれば、ため池の状況をいち早く把握することが可能となり、未然に溢水等の被害を防止することが出来ると考えられます。
そこで、光学衛星でどの程度のサイズの堆積ごみを捉えることが出来るか検証を行った結果、設置した模擬ごみ(1m×1mサイズ)のビニールの発色を捉えることができました。一方SAR衛星では、葉を模した模擬ごみは、水面と区別するほどの十分な強度が得られず検出することができませんでした。ただし、実際の災害時には近くで土砂崩れが発生した場合に、ため池に流れこむ流木等が吐水口に堆積することで溢水のリスクが生じる可能性もあり、これらをSAR衛星で検出できるかどうかが課題として挙げられます。
2.平常時監視に向けた実証:ため池堤体のモニタリング
ため池堤体の点検は現場にて目視で実施しておりますが、衛星で定期的かつ高頻度にモニタリングすることでもいち早く変状を捉え、迅速に災害の未然防止に向けた対策を行うことが出来ると考えられます。
そこで、QPS研究所などが手掛けるSAR衛星によって、スカパーJSAT開発のリフレクタを設置した、ため池堤体を観測しました。さらにスカパーJSAT独自のInSAR*6解析アルゴリズムを改良することにより、誤差1.0mm精度で堤体を捉えることを可能としました。また実際に現地測量も行っており、その結果と遜色のない結果も得られました。
■実証実験参加4社の役割
*1 福岡市と福岡地域戦略推進協議会(FDC)が、AIやIoT等の先端技術を活用して社会課題の解決等を目指すプロジェクトを全国から募集し、優秀なプロジェクトについて、福岡市での実証実験を様々な面でサポートするもの。
*2 合成開口レーダー(Synthetic Aperture Radar)の略。地表にマイクロ波を照射し、反射して返ってきた信号を分析することで地表の画像を得るレーダー。雲や噴煙を透過し、昼夜や天候に関係なく地表の状況を把握することができる点が特長。
*3 スカパーJSAT、日本工営、及びゼンリンの3社は、 2021年4月より、衛星から得られる情報を解析し、災害時の被害情報などを詳細な地図上に表示、統計結果をユーザーのニーズに応じた形で提供する『衛星防災情報サービス』を共同で推進。
*4 2022年4月より、SAR衛星から得られる画像を元に、本実証にも用いた解析技術によって、平常時の地形変状を時系列で表示し、斜面や盛り土の変動を危険度ランクによって評価するサービス。崩落の危険性を事前に把握することで、能動的な防災対策に貢献すべく、よりエンドユーザーが見て分かりやすいシステム構築を進めている。
*5 複数の人工衛星によって、高頻度な地球観測を可能とするシステム。(コンステレーションは「星座」の意。)
*6 同一地点をSAR衛星で複数回観測し、観測対象物の変動量をモニタリングする手法のこと。複数枚のSAR画像から、受信する電波の位相差を抽出し、観測期間中における対象物の地盤高等の変動量を一般的にcm~mm精度で計測することが可能。
■関連リンク
· 2020年10月15日プレスリリース
「衛星×地図データ活用し水害等を予測・減災 国内初の『衛星防災情報サービス』提供 に向けて業務提携」
https://www.skyperfectjsat.space/news/detail/_jsat.html
同案件説明動画 https://youtu.be/8Is0Yu8TH-o?list=TLGGuqhh1CAzBdExMDA2MjAyMQ
· 2021年6月22日プレスリリース
「― スカパーJSAT・ゼンリン・日本工営・QPS研究所 ― 福岡市実証実験フルサポート事業 「宇宙」採択プロジェクト決定 衛星データを活用したため池モニタリング実証」
https://www.skyperfectjsat.space/news/detail/_jsatqps.html
· 2021年12月9日プレスリリース
「スカパーJSATと株式会社QPS研究所 小型SAR衛星コンステレーションを活用した
事業の拡大に向け業務提携
https://www.skyperfectjsat.space/news/detail/qps_sar.html
「日本工営 QPS研究所と業務提携締結 衛星観測データを活用した事業の高度化・拡大を目指す」
https://pdf.irpocket.com/C1954/p5Zl/KKJv/RrVx.pdf
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