ヤマモモ果実由来酵母による真皮線維芽細胞賦活効果について
第40回日本分子生物学会年会(神戸)
株式会社ナガセビューティケァ(本社 東京都中央区、代表取締役社長 吉野 公啓)は、この度、第40回日本分子生物学会年会(神戸 2017年12月6日~9日)において、以下のタイトルで学術発表を行います。
「ヤマモモ果実」由来酵母抽出物がヒト真皮線維芽細胞の形態及び
I型コラーゲン産生に及ぼす影響
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【研究背景】
「酵母」は食の観点から、また美容の観点からも私たちにとってなじみが深く、化粧品原料としての応用も進められています。こうした中、弊社では「ヤマモモ果実」より独自にSaccharomyces属酵母であるDNY005MR株を取得し、これまで上皮バリア増強効果等、化粧品素材としての有用性評価を継続的に進めて参りました。
https://www.nagase.co.jp/assetfiles/news/20130219.pdf
一方で近年の皮膚科学研究では、①コラーゲンを生み出す真皮線維芽細胞が老齢皮膚では委縮している事、また②肌の恒常性に関わる女性ホルモンが細胞骨格を調節し、細胞を元通り広げる働きがある等、ハリ・弾力において真皮線維芽細胞の「形」の重要性が指摘されています(1,2)。
そこで今回、ヤマモモ果実由来酵母DNY005MR株の自己消化抽出物(以下DNY005 AYE※1)を調整し、真皮線維芽細胞の委縮改善効果があるか明らかにする事を目的に以下の検討を行いました。
※1 AYE: Autolyzed Yeast Extract
【学会発表内容】
<試験1>ヤマモモ果実由来酵母から調整したDNY005 AYEの細胞萎縮改善効果
女性ホルモンを枯渇させた培養条件では真皮線維芽細胞は萎縮する事が知られています(2)。本条件の下、ヒト(58歳女性)顔由来の真皮線維芽細胞(NHDF)を培養し、DNY005 AYEを24時間処理した時の細胞萎縮への影響を調べました。その結果、DNY005 AYEは低濃度のテストステロン※2が存在すると顕著に細胞萎縮を改善する事が明らかとなりました(図1)。
※2女性ホルモンであるエストラジオールの前駆物質
<試験2>DNY005 AYE処理によるI型コラーゲン産生への影響
細胞萎縮条件下で、同様にテストステロンとDNY005 AYEを処理し、真皮線維芽細胞のI型コラーゲン産生への影響を検討したところ、顕著な産生増強効果が認められました(図2)。
<試験3>DNY005 AYEの遺伝子発現への影響
DNY005 AYEがヒト真皮線維芽細胞の遺伝子発現に及ぼす影響を検討しました。24時間処理の結果DNY005 AYEは、女性ホルモン前駆物質の一つであるテストステロンからエストラジオール(女性ホルモンの一種)への変換を担う酵素(CYP19A)の遺伝子発現を増加させることが明らかとなりました(図3)。このことからDNY005 AYEによる細胞萎縮改善及びI型コラーゲン産生増強にはテストステロンから変換されたエストラジオールの関与が示唆されました。
【まとめ】
ヤマモモ果実由来酵母DNY005MR株には、①真皮線維芽細胞の委縮を大きく改善する効果が見出されました。また②I型コラーゲン産生の増強効果も見られ、これら細胞賦活効果には③真皮線維芽細胞により作られる女性ホルモンが関与する可能性が示唆されました。
以上の結果より、DNY005MR株には肌の抗老化素材としての有用性が期待されます。弊社では今後もヤマモモ果実由来酵母による抗老化研究に取り組む予定です。
1:Varani J et al; Am J Pathol. Jun;168(6):1861-8. (2006)
2:Carnesecchi J et al; PLoS One. Mar 17;10(3):e0120672 23 (2015)
以上
学会名 第40回 日本分子生物学会年会(神戸)
学会開催日程 2017年12月6日(水)~12月9日(土)
学会開催場所 神戸ポートアイランド
発表日時 12月6日(水) 13:15~15:45
発表場所 ポスター会場1-2 神戸国際展示場1号館2F
発表形式 ポスター発表
発表番号 1P-0617
< この件に関するお問い合わせ先 >
株式会社ナガセビューティケァ 広報担当 若山
TEL:03-3665-3622 FAX:03-3665-3629 E‐mail:pr@nagase.co.jp
HPアドレス http://nbc.jp
I型コラーゲン産生に及ぼす影響
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【研究背景】
「酵母」は食の観点から、また美容の観点からも私たちにとってなじみが深く、化粧品原料としての応用も進められています。こうした中、弊社では「ヤマモモ果実」より独自にSaccharomyces属酵母であるDNY005MR株を取得し、これまで上皮バリア増強効果等、化粧品素材としての有用性評価を継続的に進めて参りました。
https://www.nagase.co.jp/assetfiles/news/20130219.pdf
一方で近年の皮膚科学研究では、①コラーゲンを生み出す真皮線維芽細胞が老齢皮膚では委縮している事、また②肌の恒常性に関わる女性ホルモンが細胞骨格を調節し、細胞を元通り広げる働きがある等、ハリ・弾力において真皮線維芽細胞の「形」の重要性が指摘されています(1,2)。
そこで今回、ヤマモモ果実由来酵母DNY005MR株の自己消化抽出物(以下DNY005 AYE※1)を調整し、真皮線維芽細胞の委縮改善効果があるか明らかにする事を目的に以下の検討を行いました。
※1 AYE: Autolyzed Yeast Extract
【学会発表内容】
<試験1>ヤマモモ果実由来酵母から調整したDNY005 AYEの細胞萎縮改善効果
女性ホルモンを枯渇させた培養条件では真皮線維芽細胞は萎縮する事が知られています(2)。本条件の下、ヒト(58歳女性)顔由来の真皮線維芽細胞(NHDF)を培養し、DNY005 AYEを24時間処理した時の細胞萎縮への影響を調べました。その結果、DNY005 AYEは低濃度のテストステロン※2が存在すると顕著に細胞萎縮を改善する事が明らかとなりました(図1)。
※2女性ホルモンであるエストラジオールの前駆物質
<試験2>DNY005 AYE処理によるI型コラーゲン産生への影響
細胞萎縮条件下で、同様にテストステロンとDNY005 AYEを処理し、真皮線維芽細胞のI型コラーゲン産生への影響を検討したところ、顕著な産生増強効果が認められました(図2)。
<試験3>DNY005 AYEの遺伝子発現への影響
DNY005 AYEがヒト真皮線維芽細胞の遺伝子発現に及ぼす影響を検討しました。24時間処理の結果DNY005 AYEは、女性ホルモン前駆物質の一つであるテストステロンからエストラジオール(女性ホルモンの一種)への変換を担う酵素(CYP19A)の遺伝子発現を増加させることが明らかとなりました(図3)。このことからDNY005 AYEによる細胞萎縮改善及びI型コラーゲン産生増強にはテストステロンから変換されたエストラジオールの関与が示唆されました。
【まとめ】
ヤマモモ果実由来酵母DNY005MR株には、①真皮線維芽細胞の委縮を大きく改善する効果が見出されました。また②I型コラーゲン産生の増強効果も見られ、これら細胞賦活効果には③真皮線維芽細胞により作られる女性ホルモンが関与する可能性が示唆されました。
以上の結果より、DNY005MR株には肌の抗老化素材としての有用性が期待されます。弊社では今後もヤマモモ果実由来酵母による抗老化研究に取り組む予定です。
1:Varani J et al; Am J Pathol. Jun;168(6):1861-8. (2006)
2:Carnesecchi J et al; PLoS One. Mar 17;10(3):e0120672 23 (2015)
以上
学会名 第40回 日本分子生物学会年会(神戸)
学会開催日程 2017年12月6日(水)~12月9日(土)
学会開催場所 神戸ポートアイランド
発表日時 12月6日(水) 13:15~15:45
発表場所 ポスター会場1-2 神戸国際展示場1号館2F
発表形式 ポスター発表
発表番号 1P-0617
< この件に関するお問い合わせ先 >
株式会社ナガセビューティケァ 広報担当 若山
TEL:03-3665-3622 FAX:03-3665-3629 E‐mail:pr@nagase.co.jp
HPアドレス http://nbc.jp
- 種類
- 調査レポート
- ビジネスカテゴリ
- 医薬・製薬スキンケア・化粧品・ヘア用品
- 関連リンク
- http://nbc.jp
- ダウンロード