今年賃上げがあった、もしくはある予定、3月から12ポイント増
[KSI Web調査] 賃上げや収入に関する意識調査(第2回)
-- 定額減税に恩恵感じない54%、猛暑対策の電気ガス代補助「不十分」57% --
新産業に挑戦する企業に対して政策活動やリスクマネジメントのサポートなど、パブリックアフェアーズ領域で総合的なコンサルティングを行う紀尾井町戦略研究所株式会社(KSI、本社:東京都港区、代表取締役社長:別所 直哉)は、月に2回程度、時事関係のトピックを中心としたWeb調査を全国の18歳以上の男女1,000人に行っています。
■調査の目的
連合が7月3日に発表した今年の春闘の最終集計結果によると、賃上げ率は5%を超え1991年以来33年ぶりの高水準を記録しました。賃上げや収入増が実際にどの程度あったのかを確認するため、今年3月6日に続き全国の18歳以上の男女1000人を対象にオンライン調査を実施しました。調査日は7月7日です。
■調査結果サマリ
賃上げがあった、ある予定は4か月で12ポイント増
今年に入って月給など給与の賃上げがあったか、もしくはある予定の人は30.9%で、3月6日の調査の18.5%に比べ12.4ポイント増加した。賃上げがなかったか賃金が減った人は計32.0%(前回38.2%)だった。賃上げがあったか、ある予定の人を会社の規模別に見ると、規模が大きくなるほど増える傾向がはっきりと出ており、最多は従業員1000人以上で6割台となった。年収別でも、年収が上がるほど増える傾向が顕著となっており、2000万円以上の層で7割に達した。賞与(ボーナス)や手当といった、月給などの給与以外の収入が今年に入り変わらなかった人は32.9%、増えたかもしくは増える予定の人が17.6%、減ったかもしくは減る予定が9.2%となった。
定額減税、「あまり」を含め恩恵を感じなかった54%
6月から始まった定額減税について、「あまり」を含め恩恵を感じなかった人は54.1%。給与明細で定額減税額を確認した人は47.2%、確認していない人は23.7%だった。
収入への不満「インフレや物価上昇に対応できない」がトップ
現在の収入への不満を複数回答で聞くと「インフレや物価上昇に対応できない」39.1%、「生活や家族を養うには足りない」25.0%、「定期的な賃上げやボーナスがない」18.8%の順となった。1ドル=160円台の約38年ぶりの円安水準は自身にとってデメリットの方が大きい人が59.2%に上った。
政府の電気・ガス代の補助「不十分」57%に
政府が猛暑対策として8月から10月に行う電気、ガス代の補助の金額(標準世帯で月2125円)は「不十分だ」とした人が57.9%に上った。期間について、11月以降も補助するべきだとした人が49.4%を占めた。
金融資産への投資「していない」は半数以上
新NISAなどへの金融資産への投資を「していない」が58.6%に上った。投資をしているとした人について、職業別に見ると、公務員(団体職員や教職員を除く)が6割台で最高となり、次いで会社役員・団体役員の5割台となった。
5年後の収入「変わらない」は微増
5年後の自身の収入は変わらないと思う人が36.8%(前回3月6日32.4%)、減るかなくなると思う人が27.1%(同32.5%)で、増えると思う人は13.8%(同15.1%)。「物価と賃金の好循環」が「あまり続かないと思う」「続かないと思う」は計55.2%(同61.5%)、「ある程度続くと思う」「続くと思う」は計30.0%(同28.3%)だった。
次期首相、自民支持層では岸田氏がトップ
9月に予定する自民党総裁選を踏まえ、次期首相にふさわしいと思う国会議員の上位は石破茂氏14.3%、高市早苗氏7.1%、岸田文雄氏5.1%、菅義偉氏5.1%、小泉進次郎氏4.8%―の順。自民党支持層に限って見ると、二けたに乗せたのは岸田氏21.8%、高市氏17.8%、石破氏16.1%だった。
■各設問の結果
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今年に入って月給などの給与の「賃上げがあったか、ある予定」の人は30.9%で、前回3月6日調査の18.5%に比べ12.4ポイント増加した。賃上げがなかったか賃金が減った人は計32.0%(前回38.2%)だった。地域別に見ると、沖縄が4割台で最も多く、関東、中部、近畿、中国が3割台で続いたのに対し、四国は1割台で最低だった。職業別では会社の正社員・団体の正職員、医療・福祉関係の職員等が5割台で最も多かった。業種別では金融・保険業が6割でトップ、次いで5割台が農林水産業、製造業、情報通信業、医療福祉。最も低い層となった1割台以下は電気・ガス・水道業、鉱業だった。会社の規模別に見ると、規模が大きくなるほど増える傾向がはっきりと出ており、最多は従業員1000人以上で6割台となった。年収別でも、年収が上がるほど増える傾向が顕著となっており、2000万円以上の層で7割に達した。支持政党別では、自民党、立憲民主党、公明党で3割台、日本維新の会、国民民主党、共産党、れいわ新選組、支持する政党はないとする無党派層で2割台などとなった。(Q8)
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賞与(ボーナス)や手当といった月給などの給与以外の収入が今年になってどうかを聞くと「変わらない」が32.9%、「増えた、もしくは増える予定」が17.6%、「減った、もしくは減る予定」が9.2%となった。(Q9)
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6月から始まった定額減税について、「あまり」を含め恩恵を「感じなかった」人は54.1%を占めた。(Q10)
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定額減税について給与明細で減税額を「確認した」47.2%、「確認していない」23.7%だった。(Q11)
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賃上げや収入増によりどのような影響があったかを複数回答で聞くと、賃上げや収入増がないもしくは収入がなかった人を除くと、「特に影響はなかった」33.2%(前回3月6日19.3%)が最多で、「賃上げや収入増があっても家計は引き続き苦しい」10.0%(同13.2%)、「貯金できるお金ができた、もしくは増えた」5.1%(同5.7%)と続いた。(Q12)
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現在の収入への不満を複数回答で聞くと「インフレや物価上昇に対応できない」39.1%(同39.9%)がトップで、以下「生活や家族を養うには足りない」25.0%(同26.3%)、「定期的な賃上げやボーナスがない」18.8%(同20.9%)の順となった。3月の調査で3位だった「労働の対価として見合わない」は4位で18.1%(同24.0%)だった(Q13)
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本年度に予定する最低賃金の引上げ幅について「大幅増を目指すべきだ」47.1%、「中小企業のために急激な引き上げは避けるべきだ」30.1%だった。(Q14)
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物価高騰により実質賃金は6月時点で25月連続のマイナスとなっていることについて「政府のこれまでの政策が良くないと思う」が55.1%を占めた。(Q15)
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1ドル=160円台の約38年ぶりの円安水準は自身にとって「デメリットの方が大きい」人が59.2%を占めた。地域別に見ると、四国と沖縄が7割台と最多で、最低は中国の4割台。業種別では、鉱業が10割、次いで運輸業と観光・宿泊業が7割台となった。支持政党別に見ると、自民、公明は5割台だったが、それ以外は無党派層を含めほとんど6割以上となった。(Q16)
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「物価と賃金の好循環」が「あまり続かないと思う」「続かないと思う」は計55.2%(前回3月6日61.5%)、「ある程度続くと思う」「続くと思う」は計30.0%(同28.3%)だった。(Q17)
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政府が猛暑対策として8月から10月に行う電気、ガス代の補助の金額(標準世帯で月2125円)は「不十分だ」とした人が57.9%に上った。職業別に見ると、医療・福祉関係の職員等が7割で最多となり、次いで教職員、契約社員・パート・アルバイト等、年金生活・無職の6割台で、最低は学生の2割台だった。業種別では、鉱業と観光・宿泊業が10割で、農林水産業、建設業、製造業、運輸業、卸売り・小売業、金融・保険業、教育・学習支援業が6割台となった。(Q18)
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政府による猛暑対策の電気、ガス代補助の期間について「11月以降も補助するべきだ」が49.4%を占め、「開始を早めるべきだ」が16.4%あった。(Q19)
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政府が今秋にまとめる経済対策で検討している年金世帯や低所得世帯への給付金支給について「物価抑制策など給付金以外の対策を考えるべきだと思う」38.1%、「適切だと思う」19.9%となった。(Q20)
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新NISAなどへの金融資産への投資を「していない」が58.6%だった(前回3月6日54.8%)。地域別に見ると、四国と近畿が4割台で最も多く、東北、九州、沖縄が2割台で最も低かった。職業別では、公務員(団体職員や教職員を除く)が6割台で最高となり、次いで会社役員・団体役員の5割台となった。低いほうからは、学生の一桁のほか、契約社員・パート・アルバイト、専業主夫・主婦の2割台だった。業種別に見ると、学術研究・専門・技術サービス業が6割台でトップとなり、農林水産業、鉱業、情報通信業が5割台で続いた。年収別では、年収が多いほど増え、2000万円以上の層では8割に達した。支持政党別に見ると、自民、国民、れいわなどが4割を超したのに対し、共産は1割台、公明は2割台と相対的に低かった。無党派層は3割台だった。(Q21)
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5年後の自身の収入について「変わらないと思う」が36.8%(前回3月6日32.4%)、「減る、もしくはなくなると思う」が27.1%(同32.5%)で、「増えると思う」は13.8%(同15.1%)だった。「減る、もしくはなくなる」と答えた人を職業別に見ると、契約社員・パート・アルバイト等と自営業・専門職(士業等)・自由業が3割台で最も多かった。業種別では、鉱業、建設業、電気・ガス・水道業、教育・学習支援業が4割以上で最多層となった。支持政党別に見ると、共産が8割台、れいわは4割台だったのに対し、自公はいずれも1割台だった。無党派層は2割台だった。(Q22)
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次期衆院選の小選挙区でどの政党の候補者に投票したいかを聞くと上位は自民16.6%、維新9.4%、立憲6.6%、国民2.6%―となった。(Q23)
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次期衆院選の比例代表で投票したい政党の上位は自民15.1%、維新9.7%、立憲6.7%、国民2.9%―となった。(Q24)
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9月に予定する自民党総裁選を踏まえ、次期首相にふさわしいと思う国会議員の上位は石破茂氏14.3%、高市早苗氏7.1%、岸田文雄氏5.1%、菅義偉氏5.1%、小泉進次郎氏4.8%―の順だった。自民党支持層の回答を見ると、二けたに乗せたのは岸田氏21.8%、高市氏17.8%、石破氏16.1%の3人だった。(Q25)
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岸田内閣を「支持する」9.7%(前回6月13日11.8%)、「支持しない」73.6%(同75.2%)となり、支持率は一桁に落ち込んだ。(Q26)
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政党支持率は自民17.4%(前回6月13日14.7%)、立憲4.9%(4.5%)、維新8.2%(9.1%)、公明1.6%(1.2%)、国民2.4%(3.4%)、共産1.4%(1.9%)、れいわ2.1%(2.4%)、社民党0.3%(0.1%)、みんなでつくる党0.2%(0.3%)、参政党0.5%(0.5%)、教育無償化を実現する会0.1%(0.1%)、その他の政党・政治団体0.9%(0.5%)、支持する政党はない53.7%(57.6%)。(Q27)
調査レポート(クロス集計あり)の詳細
https://ksi-corp.jp/topics/survey/2024/web-research-71.html
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https://ksi-corp.jp/topics/survey/2024/web-research-65.html
調査概要
・調査期間: 2024年7月7日
・調査機関(調査主体): 紀尾井町戦略研究所株式会社
・調査対象: 全国の18歳以上の男女
・有効回答数(サンプル数): 1,000人
・調査方法(集計方法、算出方法): インターネット上でのアンケート
※「Yahoo!クラウドソーシング」(https://crowdsourcing.yahoo.co.jp/)を活用
紀尾井町戦略研究所株式会社(KSI:https://www.ksi-corp.jp/)について
KSIは2017年にZホールディングス株式会社の子会社として設立され、2020年4月に独立した民間シンクタンク・コンサルティング企業です。代表取締役の別所直哉は、1999年よりヤフー株式会社(現LINEヤフー株式会社)の法務責任者として、Yahoo! JAPANが新規サービスを立ち上げるにあたり大変重要な役割を担ってきました。その中で培った幅広いネットワークや政策提言活動を通じて得られた知見をもとに、新産業に挑戦する企業に対して政策活動やリスクマネジメントのサポートなど、パブリックアフェアーズ領域で総合的なコンサルティング行っているほか、KSI官公庁オークション、自治体のデジタル化や地域支援のサービスなど、社会に貢献していくという方針を軸に多様なサービスを提供しています。
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