「おくすりシート リサイクルプログラム」実証実験の最終結果を発表
目標の倍となる1t超の回収を達成し、本格展開に向けて回収拠点拡大等の検討を開始
本プログラムは、使用済みの「おくすりシート(*1)」を回収・リサイクルする日本初(*2)生活者参加型プログラムです。「おくすりシート」は必要不可欠な医薬品包装資材の特性上、削減が難しく、今後も高齢化の進展に伴い使用量の増加が見込まれることから、本プログラムでは「おくすりシート」がリサイクル可能な資源であることの認知を高め、資源として循環する仕組みを確立することを目的としています。
【実証実験 結果概要】
・プログラム開始直後から大きな反響があり、中間報告時点で目標値を上回ったことから、本年5月に目標を大幅に上方修正した。
・その後も回収拠点を増加しながら回収を進めた結果、拠点数は修正後の目標である60拠点に達し、回収量も修正後の目標の2倍以上となる108万枚相当(1,077kg)を達成。目標を大きく上回った。
・横浜市在住者(*3)を対象に当社が本年9月に実施した調査の結果、本プログラムの認知率は19.6%を記録し、そのうち56.3%が「本プログラムに参加したことがある」と回答。
・回収量全体における異物混入量は5~10%程度。量として多くはないものの、異物を取り除く作業にかかるコストを抑え、かつ再資源化率を高めるために、回収時の異物混入防止策の検討を継続課題とする。
実証実験の結果を受け、今後、本プログラムのさらなる認知拡大に向けた取り組みの実施や、回収拠点を広げてより参加しやすい環境を整備することで、目的の実現に向けて大きく前進することが期待できます。
当社は、生活者の健康で豊かな生活に貢献すると同時に、将来世代の健やかな環境を守ることを宣言し、持続可能な社会の実現に向けた活動を推進しています。本プログラムが先駆けとなり、企業の枠を超えて広く取り組まれる活動へ発展することを目指し、製薬会社として資源循環の促進における使命を果たしてまいります。
実証実験の結果について
【実施概要】
実施期間:2022年10月20日(木)~2023年9月30日(土)
回収対象:使用済み「おくすりシート」(購入店舗やメーカーを問いません)
回収場所:横浜市の薬局・ドラッグストア、病院、公共施設等
※詳細は下記公式ホームページよりご確認ください。
「おくすりシート リサイクルプログラム」公式ホームページ
https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/okusuri-sheet/
<おくすりシート リサイクルプログラムの仕組み>
回収された「おくすりシート」は、シートのプラスチックとアルミニウムを分離後、各々リサイクル処理され、新たなリサイクル製品として生まれ変わります。
【結果詳細】
<アンケート調査結果>
横浜市在住者を対象に当社が本年9月に実施した調査の結果、本プログラムの認知率は19.6%を記録し、そのうち56.3%が「本プログラムに参加したことがある」と回答。また、調査対象者全体においても47.1%が「身近に回収BOXがあれば、積極的に協力したい」と回答していることから、本プログラムのさらなる認知拡大に伴って裾野の広がりが予想されます。
【調査概要】
■実施時期 :2023年9月4日(月)~11日(月)
■調査対象 :横浜市在住の15歳以上の男女526人
■調査方法 :インターネット調査
※グラフの構成比(%)は小数第2位以下を四捨五入しているため、合計が必ずしも100%にならない場合があります。
【実証実験総括】
<成果>
回収拠点数および回収量は、目標を大きく上回り、拠点数は目標の60拠点に達し、回収量も修正後の目標の2倍以上となる108万枚相当(1,077kg)を達成。回収拠点へのアンケート等に基づき、回収量の多さは、下記要因により多くの市民の方々にご参加いただいたことによると考えられます。
・ドラッグストアに加え、地域密着型の調剤薬局や公共施設においても回収を行ったことにより、地域の人々の間でのコミュニケーションを通じて本プログラムが浸透した。実際に、横浜市在住者を対象に当社が本年9月に実施した調査の結果、本プログラムの認知率は19.6%を記録し、そのうち56.3%が「本プログラムに参加したことがある」と回答するなど、横浜市内の一部地域における実施にも関わらず、取り組みを広めることができた。
・「おくすりシート」は軽いため、回収拠点まで持って行きやすく、多くの方にとって参加しやすい。
・「おくすりシート」は臭いや汚れの付着がほぼなく、洗浄の必要もなく濡れていないことから、家庭や回収拠点で保管中に腐敗や劣化が少なく扱いやすいため、ためて持っていくことへの抵抗が少ない。
<課題>
回収物に細粒・顆粒剤の袋や輪ゴム、貼付された紙のシールなど、量として多くはないものの5~10%程度の異物混入がありました。ものによっては発見が難しく、リサイクル工程において影響が生じます。より再資源化率を上げるべく、回収段階で異物混入を防ぐ方法を検討する必要があります。
今後の計画について
「おくすりシート」がリサイクル可能な資源であることの認知を高め、資源として循環する仕組みを確立するために、今後、本プログラムの本格展開に向けて推進してまいります。詳細は以下の通りです。
1. 回収拠点数・エリアの拡大
・横浜市においては、回収拠点を市内全区に設置し、2024年3月までに約拠点まで増やして本プログラムの定着を図ります。
・本プログラムを全国に広げていくため、横浜市以外への展開方法についても検討を進めてまいります。
2. 環境負荷の少ない、より低コストで再資源化率の高い効率的なリサイクル方法の開発
・「おくすりシート」はプラスチックとアルミニウムが圧着されていることに加え、医薬品ごとにプラスチック素材の種類や構成が異なるため、その分別が難しくリサイクルに多くの工程を要し、エネルギーを消費しかねません。この課題を解決するため、2024年内をめどに、将来の回収量拡大にも対応できる効率的なリサイクル方法の開発を目指します。
・再生プラスチックの特性に合わせ、製作するリサイクル製品について検討を行います。今回の使用済み「おくすりシート」から生まれ変わるリサイクル製品は、回収にご協力いただいた横浜市民の皆さまの健康を支える物とする予定です。また、併せて再生アルミニウムのより良い利用方法を検討してまいります。
担当者コメント
第一三共ヘルスケア株式会社 業務推進部 サステナビリティ推進マネジャー 古市亜美
「こんな軽くて小さいものが本当に集まるのか」といった声があった中、横浜市内の一部地域で開始した本プログラムですが、上方修正した目標も大きく上回ることができ、多くの皆さまにご協力いただきましたことを実感しております。改めて、回収拠点ならびに多くの横浜市民の皆さまに感謝申し上げます。
開始から1年が経過した現在も、学生からご年配の方まで幅広い年齢層の生活者や他企業・団体などから絶えずお電話やお手紙をお寄せいただき、早くも皆さまからの注目を集める取り組みとなったことに驚いております。今後は本プログラムを広く全国に展開していくことを目指し、循環型社会実現の一助となるよう努めてまいります。
テラサイクルジャパン合同会社 アジア太平洋統括責任者 エリック・カワバタ氏
テラサイクルは長年にわたり、日本および世界中で使用済み医薬品包装資材のソリューションを開発するために、日本および世界中でパートナーを探してまいりました。今まで廃棄されていたものを新しく活用する初めての取り組みには、確固としたコミットメントが必要です。また、業界では例のない新しい循環の仕組みの構築を推進するためには、強い社会的責任感と強力なリーダーシップが必要です。
私たちは、第一三共ヘルスケアのコミットメントとリーダーシップに深く感謝しています。 結果、初年度の実証実験において、回収量は我々の予想をはるかに上回り、また年齢層を問わず多くの生活者の皆さまからたくさんの反響をいただきました。これは、本プログラムが生活者の皆さまとの感情的なつながりを生み、それまで気付かれていなかった潜在的ニーズに応えた明確な証拠であると考えます。
業界からも多大な反響をいただいています。これは、第一三共ヘルスケアのリーダーシップが真に変革の気運を高めた証しであり、あらゆる業界および企業にとって循環型経済のソリューションの構築におけるリーダーシップの必要性と、それによって達成されうる影響の大きさを示す模範となるはずです。
横浜市 資源循環局 政策調整部 3R推進課長 津島邦宏氏
「おくすりシート リサイクルプログラム」の実証実験に続き、本格展開の実施エリアとして、横浜市をお選びいただいたことに感謝申し上げます。また、これまでの実証実験にご協力いただいた市民の皆さまに厚く御礼申し上げます。
このプログラムは、これまでの実証実験における回収量の多さからも、市民の皆さまの関心が非常に高く、プラスチックの分別・リサイクルについて改めて考えるきっかけとなる、とても良い取り組みだと認識しています。今後とも、多くの市民の皆さまにご参加いただけるよう、本プログラムの主催者である第一三共ヘルスケア、及びテラサイクルジャパンと連携して、取り組みを継続していきます。横浜市では、これからも市民・事業者の皆さまとともにプラスチック対策を着実に進め、SDGsの達成や脱炭素社会の実現に向け力を尽くしてまいります。
企業概要
第一三共ヘルスケア株式会社
第一三共ヘルスケアは、第一三共グループ(*4)の企業理念にある「多様な医療ニーズに応える医薬品を提供する」という考えのもと、生活者自ら選択し、購入できるOTC医薬品の事業を展開しています。
現在、OTC医薬品にとどまらず、機能性スキンケア・オーラルケア・食品へと事業領域を拡張し、コーポレートスローガン「Fit for You 健やかなライフスタイルをつくるパートナーへ」を掲げ、その実現に向けて取り組んでいます。こうした事業を通じて、自分自身で健康を守り対処する「セルフケア」を推進し、誰もがより健康で美しくあり続けることのできる社会の実現に貢献します。
テラサイクルジャパン合同会社
テラサイクルは、現在の複雑化する廃棄物問題に対し、革新的で持続可能なソリューションを提供するソーシャルエンタープライズです。リサイクル、再生資源、リユースを推進するプラットフォームを開発・運営し、世界21カ国で活動しています。テラサイクルジャパンは、テラサイクルの日本法人として2013年に設立され、数多くのリサイクルプログラムを実施中です。
*1 薬を包装する方法の1つで、錠剤やカプセルをプラスチックとアルミニウムで挟んだシート状のもの(PTPシート) *2 生活者参加型のリサイクルプログラムとして。(テラサイクルジャパン合同会社調べ・2022年10月20日時点) *3 n=526(横浜市在住の15歳以上男女) *4 第一三共グループは、イノベーティブ医薬品(新薬)・ジェネリック医薬品・ワクチン・OTC医薬品の事業を展開しています。
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