長崎大学、塩野義製薬株式会社、株式会社Connect Afyaとの抗菌薬適正使用体制の支援に関する包括的連携協定の締結について
サラヤ株式会社(本社:大阪/代表取締役社長:更家悠介、以下「サラヤ」)は、国立大学法人長崎大学(所在地:長崎/学長:永安 武、以下「長崎大学」)、塩野義製薬株式会社(本社:大阪/代表取締役会長兼社長CEO:手代木 功、以下「塩野義製薬」)、株式会社Connect Afya(本社:兵庫/代表取締役社長:嶋田庸一、以下「Connect Afya」)との間で、ケニア共和国(以下「ケニア」)の医療機関における抗菌薬適正使用体制の支援に関する包括的連携協定(以下「本協定」)を5月9日付けで締結したことをお知らせいたします。
サラヤ、長崎大学、塩野義製薬及びConnect Afyaの4者は、世界的な公衆衛生上の脅威のひとつである薬剤耐性(AMR:Antimicrobial resistance)対策において、これまでも感染症領域における学術研究や抗菌薬の研究開発、供給及び感染制御、検査支援等とそれぞれの役割にて貢献してまいりました。このたび、アフリカ各国へのヘルスケア事業展開も見据え、まずはケニアにおける抗菌薬の適正使用体制の確立を含めたAMR対策に取り組むという4者の方向性が合致し、本協定締結に至りました。
本協定に基づき、4者は協働して以下に記載する取り組みを行います。
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ケニアにおけるAMRに関する調査・研究に関する共同プロジェクトの立ち上げと推進
・ケニアの医療機関におけるAMR対策に関連する調査などの推進
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AMRに関する国際連携に関する取り組み
・ケニア政府や医療機関の他、塩野義製薬が提携しているGARDP、CHAI1との連携
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感染症に関わる人材育成に関する取り組み
・ケニア医療関係者に対する感染制御・抗菌薬適正使用教育を通じた、将来のAMR対策指導者の育成
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その他のAMR支援に関する連携活動
サラヤは、1952年の創業時より感染対策に取り組んできました。アフリカ地域ではウガンダに現地法人を立ち上げ、院内感染対策としてアルコール手指消毒剤を現地生産するなど、衛生環境の改善に取り組んできました。院内感染対策は抗菌薬の適正使用において、感染の発生を未然に防ぎ抗菌薬の使用を減らすことや、多剤耐性菌(MDRO)の蔓延を防ぎ、治療選択肢の維持につながること、また不適切な抗菌薬の予防的投与を防ぐなど、重要な役割を担っています。今回の取組では、サラヤは感染対策商品や教育ツールの提供およびこれらを通じた感染管理人材育成などをサポートいたします。
【薬剤耐性(AMR)について】
薬剤耐性(AMR:Antimicrobial resistance)は、抗菌薬に対する細菌の耐性獲得により抗菌薬が効きにくくなることです。AMRは「サイレントパンデミック」と呼ばれ、人類が直面する世界的な公衆衛生上の脅威のひとつであり、緊急に対処が必要な世界規模の重要課題です※1。2019年には、AMRにより世界中で127万人が死亡したと推定されています※2。また、国際的な連携により対策を講じなければ、2050年までに年間1,000万人以上が命を落とす問題に発展し、世界経済に与えるインパクトは累積で100兆米ドルに及ぶとの予測がなされています※3。
【長崎大学について】
長崎大学は、江戸時代に長崎を通じて全国へ広まった西洋医学の歴史を背景に、1942年から感染症研究に本格的に取り組んできました。現在では他の追随を許さない質と量を誇る、日本有数の感染症教育・研究拠点となっています。今回の包括的連携協定に関わる「長崎大学病院の総合感染症科・感染制御教育センター」は、第1種感染症病床を有する診療科・センターであり、感染症診療はもとより、院内外、地域においても感染症診療の支援や感染対策を積極的に行っている組織で、過去には西アフリカのリベリアにおける感染対策支援の実績もあります。
【塩野義製薬について】
塩野義製薬は取り組むべきマテリアリティ(重要課題)の一つとして「医療アクセスの向上」を特定し、国際的なパートナーも含めた連携活動をさらに強化しつつ、持続可能な社会の実現に向けて、AMR治療へのアクセス向上への貢献*やアフリカでの母子支援活動**を行っております。塩野義製薬は感染症のリーディングカンパニーとして、公衆衛生上の大きな課題である世界三大感染症、AMR、COVID-19など幅広い感染症への対策に継続して取り組んでまいります。
* 当社のAMRに対する取り組みついては、こちらをご覧ください。
** 当社のアフリカでの母子支援活動については、こちらをご覧ください。
【Connect Afyaについて】
Connect Afya(コネクトアフィア。スワヒリ語で「健康」の意)は、「臨床検査を軸に “必要なところに必要な医療を届ける”」というミッションのもと、アフリカの人々の平均寿命を先進国並みに近づけることをビジョンに掲げています。2018年の創業以来、ケニアで臨床検査ラボ事業・医療機器卸・クリニック運営を展開し、現地医療機関では実施が難しいPCRを含む感染症検査を受託してきました。COVID-19パンデミック下では、不可欠な診断インフラとして地域医療を支えた実績があります。
2024年7月にはナイロビに東アフリカ有数の大規模総合ラボを開設し、健康診断項目から次世代シークエンシングまでワンストップで対応できる体制を整備。ISO 15189/KENAS認定の品質管理のもと、国内外の医療・研究機関と連携しながら、検査データに基づく治療最適化と公衆衛生向上に取り組んでいます。
【サラヤについて】
サラヤは、「衛生」「環境」「健康」の3つのキーワードを事業の柱とし、より豊かで実りある地球社会の実現を目指しています。1952年の創業より、一般家庭からプロの現場まで、各種洗浄剤・消毒薬および食品などの製品とサービスを開発・提供しています。アフリカでは、2014年よりウガンダにてアルコール手指消毒薬の現地製造販売を開始。ケニア、南スーダン、コンゴ民主共和国等への製品供給とともに、国際協力機構(JICA)や現地保健省との協業により、医療現場における感染管理人材育成にも貢献しています。
※1. Antimicrobial resistance (who.int) WHO. Antimicrobial resistance. Who.int. Published October 13, 2020.
※2. Antimicrobial Resistance Collaborators. Global burden of bacterial antimicrobial resistance in 2019: a systematic analysis. Lancet 2022; 399: 629–55
※3. 160525_Final paper_with cover.pdf (amr-review.org)O’Neill J. ‘Tackling Drug-Resistant Infections Globally: Final Report and Recommendations’. Review on Antimicrobial Resistance. May 2016.
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