LONGi、N型BC技術搭載の太陽電池モジュール「Hi-MO X10」を日本市場に投入

TOPCon製品を凌駕、分散型太陽光発電市場向け戦略製品を1月より出荷開始

ロンジ

LONGi(ロンジ/LONGi Green Energy Technology Co., Ltd. 本部:中国・西安市)およびその日本法人のLONGi Solar Technology株式会社(代表取締役社長:南 洋、本社:東京都港区)は、N型BC(バックコンタクト)技術「HPBC 2.0」などを採用した新製品「Hi-MO X10」(ハイモ・エックス・テン)を日本市場に投入します。この分散型太陽光発電市場向けの太陽電池モジュール(太陽光発電パネル)は、2025年1月より順次出荷を開始いたします。

「Hi-MO X10」は、2024年9月に日本市場で発表したユーティリティ市場向け製品「Hi-MO 9」につづき、N型BC技術「HPBC 2.0」、TaiRay(タイレイ)ウェハ、0BB(ゼロ・バスバー)、高性能封止剤を採用しています。TOPCon製品を超える高効率・高出力を実現し、長期信頼性やリニア出力保証値、安全性に加え、高温時や低照度条件下での優れた実発電量、そしてシンプルで美しい外観が特長です。

Hi-MO X10で採用している技術

■ N型BC(バックコンタクト)セル技術「HPBC 2.0」

  • セルの表(おもて)面に配線(フィンガーやバスバー)がないため、太陽光の取り込みを最大化し、効率と出力が大幅に向上しています。また、シンプルで美しい外観も実現しています。

  • 配線がセルの裏面で一直線に配置されているため、TOPConを含む従来型セルのようにセルの表側と裏側の間で配線が折れ曲がることがありません。これにより、配線の断線リスクが約19%削減され、また、セル端部への応力が従来セルの約50MPaから約26MPaへと約48%低減することでマイクロクラックのリスクが大幅に軽減し、長期的な信頼性の向上につながっています。

  • N型BCセルの構造的な特長を活かしたソフトブレークダウン設計によるセル単位でのバイパスダイオード的な機能により、部分的な影が発生しても出力の大幅な損失を抑制します。また、局所的な過熱によるリスクを低減します。

  •  少数キャリアの寿命を延ばし、キャリアの再結合を低減するパッシベーション技術においては、LONGi独自開発のバイポーラ複合パッシベーション技術により、量産セルの開放電圧を745mV以上に引き上げ、業界主流のTOPCon製品を約15mV上回ります。さらに、電流損失を大幅に削減し、セル変換効率を向上させています。 

セルの表(おもて)面に配線(フィンガーやバスバー)がないBCセル
BCセルは、配線がセルの裏面で一直線に配置され、長期信頼性が向上
セル単位でのバイパスダイオード的な機能

■ TaiRay(タイレイ)ウェハ

サイズ拡大を除き、ウェハ業界では10年ぶりの製造技術革新によるTaiRayウェハを採用しています。

  • 抵抗値のばらつきが小さいことで、モジュール内でのセルの特性のばらつきを抑え、電流ミスマッチの減少に貢献しています。

  •  ゲッタリング(不純物捕捉)性能の向上により、酸素含有量やその他の不純物を削減し、単結晶シリコンの成長における欠陥が減少することで、セル変換効率がさらに向上し、出力劣化も抑制します。

  •  従来のウェハよりも機械的強度が16%向上しており、また、業界で標準的なウェハよりも10μm厚く、長期信頼性の向上に貢献しています。

TaiRayウェハの特長

■ 0BB(ゼロ・バスバー)

  • セルの表面に配線がないことのほかに、裏面ではバスバー配線を取り除き、リボン配線をフィンガーに直接接続する0BB(ゼロ・バスバー)技術を採用しています。

  • 0BBにより、送電距離が短縮され、セル効率の潜在能力が引き出され、モジュール出力を約5W向上させています(モジュールサイズ:2382×1134mmの場合)。

  • バスバーがないことによって、裏面の受光面積が拡大し、裏面発電効率は70%に達しています。

  • バスバーがないことで銀ペーストの使用量を削減し、資源保全への貢献と、銀価格高騰のリスクにも対処しています。

■ 高性能封止剤

  • 二層構造POE、および、高耐水性シーラントの採用により、湿気や熱に対する優れた耐性を実現し、長期信頼性の更なる向上に貢献しています。

主なメリット

■ 高出力・高効率

業界標準化モジュールサイズ(2382mm×1134mm)製品の場合において、データシート掲載の最高スペックの型式(LR7-72HVH-670M)は、モジュール変換効率24.8%、公称最大出力670Wとなり、現在業界の主流であるTOPConモジュールを20W上回ります(※1)。

2025年に出荷するメイン出力同士の比較でも、TOPCon製品を15〜25W上回る見込みです(※2)。

※1:他社TOPCon製品のデータシートに掲載されている最高スペックの型式の公称最大出力:650W、当社調べ(2024年12月28日時点でWEBサイト上にデータシートが公開されているものより)。

※2:LONGiはLR7-72HVH-645M(645W)。他社TOPCon製品は620~630W、当社予測。

■ 長期信頼性のさらなる向上と、優れたリニア出力保証値

BC技術における裏面での一直線の配線、TaiRayウェハにおける不純物の削減と機械的強度の向上、そして高性能封止剤により、製品の耐久性が全体的に向上しています。

これらがもたらす優れた長期信頼性は、リニア出力保証にも反映されています。片面発電タイプを含み保証期間は30年間で、1年目が-1.0%(保証値99%)、2年目以降が-0.35%/年となっています(TOPCon製品は-0.40%/年、当社調べ)。

例えばHi-MO X10が645W、TOPCon製品が625Wと、出力差が20Wの場合、リニア出力保証値をベースにした30年目の出力は単純計算でそれぞれ561.1Wと534.4Wとなり、出力差は26.8Wに広がります。

■ 高温時の発電性能:優れた温度特性

シリコン太陽電池は高温環境下で発電性能が低下する特性がありますが、HPBC 2.0セルを採用したHi-MO X10は、最大出力温度係数が-0.26%/℃と優れています。この特性により、高温時の出力低下を抑え、安定した発電性能を実現します。TOPCon製品(主に-0.29%/℃、当社調べ)と比較して、温度係数の差は0.03%/℃ですので、例えば太陽電池の温度が75℃の場合、単純計算ではHi-MO X10の出力がTOPCon製品よりも更に1.5%高くなります。

■ 曇天・朝夕の発電性能:優れた低照度特性IAM(入射角変更因子)性能

Hi-MO X10は曇天時や朝夕のような低照度環境における発電性能が優れています。また、朝夕や設置した屋根面の角度の影響により、太陽光の太陽電池への入射角度が垂直でない場合の特性も優れています。

■ 部分的な影への対応:発電性能と安全性

屋根上設置の太陽光発電システムでは、落ち葉、汚れ、積雪、屋根上の障害物や周辺建物などによる部分的な影がリスクとなります。発電出力の大幅な低下に加え、局所的な過熱が発生し、モジュールの材料が損傷して故障の原因となる場合があります。さらに、最悪の場合には火災の危険性が高まる可能性もあります。

Hi-MO X10は、セル単位でのバイパスダイオード的な機能により、部分的な影による出力の大幅な損失を70%以上抑制します。また、局所的な過熱を28%低減することで故障や火災のリスクを軽減し、安全性の向上が期待できます。

■ 優れた生涯発電量

上記の出力・効率、長期信頼性(リニア出力保証値)、温度特性による総合的なメリットは、長期間になるほど大きくなります。例えばHi-MO X10が645W、TOPCon製品が625Wの場合、出力差は3.2%ですが、30年目の年間推定発電量(JIS C8907:2005による)の差は5%以上にもなります(地域により異なります)。

更に、優れた低照度特性などによる曇天・朝夕の発電性能、部分的な影による出力の大幅損失を抑制する性能や故障リスクの軽減が、生涯発電量の向上に貢献することが期待できます。

■ LCOE(均等化発電原価)の低減

高い出力と生涯発電量を持つモジュールは、同じ出力(kW)や発電量(kWh)を達成する際に、架台・ケーブルなどの設備費、工事費、土地代、O&M費用の削減に貢献します。全体の費用に占めるモジュール費用の割合が下がる中、Hi-MO X10のように出力や生涯発電量の高いモジュールを選ぶことが、LCOE低減のためにますます重要になっています。

■ シンプルで美しい外観

TOPConを含む従来の太陽電池は、表(おもて)に配線(フィンガーやバスバー)が露出しており、これが視覚的に目立つ場合があります。一方、Hi-MO X10などBC技術の製品は配線がセルの裏に配置されているため、表面がシンプルで美しい見た目になります。住宅の屋根、商業施設や公共施設の屋根、カーポートなど、美しい外観やデザイン性を重視する建物に適しています。

製品ラインナップと出荷開始時期

54セルクラスサイズはブラックフレームを採用しており、72セルクラスサイズには両面発電(ダブルガラス)モデルや防汚タイプもラインナップしています。これにより、屋根上設置から地上設置の大型発電所まで対応可能な製品を提供いたします。

72セルクラスサイズ(2382mm×1134mm、業界標準化サイズ)は1月(防汚タイプのみ3月)、54セルクラスサイズ(1800mm×1134mm)は4月に、それぞれ出荷を開始する予定です(予告なく変更する場合があります)。

新製品「Hi-MO X10」ラインナップ

LONGi のBC技術への取り組み:困難だが正しい道

LONGiはかつて、多結晶が主流であった時代に単結晶技術の可能性を見抜き、その技術革新に注力しました。その結果、量産とコストダウンを実現し、2015年から2020年にかけて市場での多結晶から単結晶への転換を先導しました。

同様に、BC技術においても、当初は業界の主流となるには困難な技術とされていましたが、各種パッシベーションなどのさまざまな技術との互換性、性能や長期信頼性などの面で優れていることから、LONGiはBC技術がシリコン結晶太陽電池の理想形であると考えました。そして、量産できる製品化のために「困難だが正しい道」を、他社が断念する中でも長い時間を掛けて全力で取り組んできました。

2017年にBCセルの企画および関連設計を完成させた後、2019年にはBCセルの量産試作に成功しました。そして、2021年にはレーザーエッチングやウェットプロセスなど、量産化における主要課題を克服し、量産体制を確立しました。その結果、2022年11月に初代BC技術「HPBC 1.0」を搭載した製品「Hi-MO X6」を発表し、本格的なBC時代の幕を開きました。

その後も2年間で20億人民元以上を投資し、1000人以上のBC技術の研究開発要員が取り組む中で、ウェハ、パッシベーション、製造プロセスや材料といった主要分野で飛躍的な進歩を遂げました。また、取得したBC技術関連特許は累計で200件近くに達し、こうした成果をもとに今回、新製品Hi-MO X10を市場投入します。

さらに、今後については、2026年末までの全生産能力(年間)150GWのうち100GWをBC製品に、また、中国国内の生産拠点は全てBC製品に切り替わる計画です(LONGi Green Energy Technology Co., Ltd. 2024年上半期報告書より)。

日本市場での最適なソリューションへ

Hi-MO X10はTOPCon製品を凌駕し、出力(W)・効率・信頼性において群を抜いています。また、シンプルで美しい外観を兼ね備えています。さらに、さまざまな条件下においても長期間にわたり安定した発電量(kWh)と高い安全性を提供し、BOSコストの削減やLCOE(均等化発電コスト)の低減にも大きく貢献する製品です。

EPC(設計・調達・施工)企業の皆様にとっては、その先のお客様に対し、出力やその単価だけでなく、発電量(kWh)、安全性、BOSコスト、LCOEといった視点から長期的に価値ある提案を行う際に、お役立ていただける製品だと考えております。

本製品は世界の分散型市場向け戦略製品ですが、特に日本市場における屋根上設置に適したソリューションとして、自信を持ってお届けいたします。

LONGi(LONGi Green Energy Technology Co., Ltd.)について:

2000年設立のLONGiは、世界有数の太陽光発電テクノロジー企業として、エネルギー転換のシナリオを自ら描き、顧客視点の価値創造に注力することを使命としています。「太陽エネルギーを利用してグリーンエネルギーの世界を創る」という使命と「堅実で信頼できる技術リーダーシップ」というブランド哲学のもと、LONGiは技術革新に専念し、単結晶シリコンウェハ、セル・モジュール、商業・産業用分散型太陽光発電ソリューション、グリーン電力ソリューション、水素設備という5つの事業分野を構築しています。同社はグリーン電力を提供する能力を磨き、最近ではグリーン水素の製品及びソリューションも加え世界のゼロ・カーボン化を支援しています。 www.longi.com/en

LONGi Solar Technology株式会社(ロンジ日本法人)について:

ロンジ・グループの日本法人として2016年5月に設立、2017年秋から日本市場で単結晶太陽電池モジュールの本格的な営業活動を開始。 www.longi.com/jp

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会社概要

LONGi Solar Technology株式会社

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URL
https://www.longi.com/jp/
業種
製造業
本社所在地
東京都港区浜松町2-4-1 世界貿易センタービルディング南館 11階
電話番号
03-6459-0528
代表者名
南 洋
上場
未上場
資本金
1億円
設立
2016年05月