再生可能エネルギー施設向け自然災害リスクグレーディング評価の拡充・高度化
~雹災評価の追加とグレーディング基準の高度化~
東京海上ディーアール株式会社(代表取締役社長 水野 一幸、以下「TdR」)は、「再生可能エネルギー施設向け自然災害リスクグレーディング評価」を拡充・高度化しました。世界的に雹災リスクへの関心が高まる中、評価項目に「降雹」を新たに追加し、従来の10種から11種の災害を5段階で定性評価することが可能となります。また、これまでの評価業務を通じて蓄積された知見をもとに既存のグレーディング評価基準を見直し、太陽光発電所、系統用蓄電所、陸上風力発電所など様々な再生可能エネルギー施設のそれぞれの特性をより考慮した評価を提供いたします。
1.背景
TdRは、再生可能エネルギー開発が活発化してきた2010年代から、太陽光発電をはじめとする各種再生可能エネルギー施設に対し、様々な自然災害のリスク評価を実施してまいりました。その中でも自然災害リスクグレーディング評価は、多くの自然災害のリスクを網羅的に把握する基礎資料として、発電事業者や機関投資家の皆様にご活用いただいております。
一方、近年立て続けに建物、農作物などへの雹災害が発生[1]するなど、世界的に雹災リスクに対する関心が高まっています。再生可能エネルギー施設においても、特に太陽光発電設備はガラス製の太陽光パネルが屋外に設置されるという特性から、降雹によってパネルが破損し大損害を被るおそれがあります。TdRでは2024年4月から雹災予想最大損失(PML)評価サービスの提供を開始しておりますが[2]、日本で代表的な自然災害リスクの多寡を把握可能な「自然災害リスクグレーディング評価サービス」においても、雹災の評価項目追加が求められてきました。
また、これまで多数の再生可能エネルギーの自然災害リスク評価業務を実施する中で、自然災害による被害事例やそのリスクに関する知見が蓄積されるとともに、蓄電池やバイオマス発電設備など評価対象施設のバリエーションが拡大していることから、弊社ではこれらの知見や各施設の特性をより適切に反映したグレーディング評価基準への改定を実施することといたしました。
2.改定概要
以上のような背景を踏まえ、弊社では自然災害リスクグレーディング評価の改定を実施しました。
〇「降雹」グレーディング評価の追加
自然災害リスクグレーディング評価の評価項目に「降雹」を追加し、従来の10種から11種の災害を5段階で定性評価することが可能となりました。使用するデータは、東京海上グループが開発したGlobal Hail Modelのシミュレーションから得られた雹の最大粒径データベースに基づく、再現期間100年相当の最大雹粒径データです。これにより、雹災リスクを含めた自然災害リスクをより包括的に把握することが可能となります。
〇グレーディング評価基準の見直し
これまでの自然災害リスク評価業務を通じて蓄積された知見や被害事例データをもとに、既存のグレーディング評価基準を見直しました。これにより、太陽光発電所、系統用蓄電所、陸上風力発電所など様々な再生可能エネルギー施設のそれぞれの特性に対しより適した評価が可能となりました。施設種別に応じた、より精緻なリスク評価を提供し、適切なリスク管理をサポートしてまいります。
今回の改定により、再生可能エネルギー事業者や機関投資家の皆様が、より包括的かつ精緻な自然災害リスクの把握を行うことが可能となり、事業の持続性・健全性確保を一層支援してまいります。

図 1 グレーディング評価結果イメージ
以上
[1] 日本では2022年6月関東地方、2023 年6月埼玉県、7月群馬県、2024年 4 月兵庫県、などで雹災害が発生
[2] 『再生可能エネルギー発電施設の雹災PML評価サービスの提供開始』2024年4月11日、弊社リリースご参照
https://www.tokio-dr.jp/news/2024/20240411/pdf/pdf-20240411-01.pdf
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