【看護師の働き方調査】約6割が「業務量が多すぎる」と回答。「集中的ないじめとミスの擦り付けをされ『ミスの責任をとれ』と不当解雇された」という声も。

〜「看護師の働き方調査」〜

株式会社SOKKIN

2024年11月22日 20時00分

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調査サマリー

・約6割が1人あたりの「業務量が多すぎる」と回答
・「サービス残業がある」看護師は約3割
・残業時間は「1~5時間未満」が最多で、次いで「10~20時間未満」
・2割が11時間以上の勤務間インターバルを「空けていない」と回答
・日看協のガイドラインを超える月に「9回以上」の夜勤をしている方が８%
・有給休暇の1年あたりの取得日数は「6~10日」が最多。一方で取得義務の「5日以上」を下回る回答も
・有給休暇が「取りやすい」看護師は全体の35%のみ
・半数の看護師が現在の働き方に「満足していない」
・全体の2割以上の看護師が職場で不当な解雇が行われていると回答
・職場への不満は、仕事量や扱い等の不公平さが最多

　
調査の背景

近年、看護師の労働環境や働き方に対する関心が高まっています。特に、残業や夜勤などによる長時間勤務や過重労働、また精神的・肉体的負担が問題視されており、看護師の離職率や職場の人手不足も深刻な課題となっています。さらに、コロナ禍を経て、看護師の仕事に対する認識や労働条件が一層注目されています。では現在、看護師の働き方はどのような実態なのでしょうか？

2024年10月にインターネット調査で実施したアンケートの回答結果をもとに、看護師の「職場での業務量」「残業に関して」「勤務間のインターバル」「夜勤に関して」「有給休暇に関して」「職場の満足度」「不当な解雇に関して」などをお伝えします。

　
調査の詳細

「（看護師限定）看護師の働き方に関する簡単アンケート」
看護師の職場の働き方について調査する。

・調査日：2024年10月22日〜2024年10月27日
・調査方法：株式会社クラウドワークスのパネル利用によるインターネット調査
・対象者：現在看護師の方
・回収サンプル数：80票

　
調査結果

■約6割が1人あたりの「業務量が多すぎる」と回答

「Q1. 現在の職場の1人あたりの業務量は適切ですか？」という問いに対して、「業務量が多すぎる」という方が59％、次いで「適切な業務量」という方が35％という結果になりました。

■「サービス残業がある」看護師は約3割

「Q2. 職場での残業について教えてください」という問いに対して「残業時間は適切で残業代も出る」が35%と最も多く、次いで「サービス残業がある」が29%という結果になりました。

　
■残業時間は「1~5時間未満」が最多で、次いで「10~20時間未満」

「Q3. 残業時間はどのくらいですか？」という問いに対して「1時間以上5時間未満」という回答が31%、次いで「10時間以上20時間未満」が18%という結果になりました。

　
■2割が11時間以上の勤務間インターバルを「空けていない」と回答

働き方に関して、前日の終業時刻と翌日の始業時刻の間に一定の合間をもうける『勤務間インターバル制度』というものがあります。日看協によると勤務間インターバルは11時間以上と提言されています。

ですが「Q4. 勤務と勤務の間は11時間以上空けていますか？」という問いに対して、「空けていない」という回答が20％という結果になりました。

人材不足などが原因で、勤務間インターバルがしっかり取れていない看護師もいるということがわかりました。

　
■日看協のガイドラインを超える月に「9回以上」の夜勤をしている方が８%

「Q5. 1ヶ月あたりの夜勤の回数はどのくらいですか？（3交代勤務の方のみ回答）」という問いに対して、「夜勤がない」という回答を除いて、「1~6回」と回答した方が最も多く36%という結果になりました。

また日看協によると夜勤は「月8回以内」と提言されていますが、「9回以上」と回答した方が8%見られました。

　
■有給休暇の1年あたりの取得日数は「6~10日」が最多。一方で取得義務の「5日以上」を下回る回答も

「Q6. 有給休暇は一年に何日取得していますか？」という問いに対して、「6~10日未満」が最多の43％、次いで「5日」という回答が21％という結果になりました。
2019年4月の労働基準法改正で、「年間5日以上の有給取得」が義務化されましたが、いまだに5日以上取得できていない人も11%見られました。

　
■有給休暇が「取りやすい」看護師は全体の35%のみ

「Q7. 有給休暇は取りやすい環境ですか？」という問いに対して、「取りやすい」という回答が35％で最多という結果になりました。一方で、「時期によっては取りずらい」と「取りずらい」という回答が同率で33％でした。

■半数の看護師が現在の働き方に「満足していない」

「Q8. 現在の働き方に満足していますか？」という問いに対して、「まあ満足している」という回答が41％で最多という結果になりました。次いで「あまり満足していない」という回答が36％でした。
全体として、半数の看護師が働き方に「満足していない」ということがわかりました。

「Q8-2. 上記の理由を教えてください。（自由記述）」という問いに対しては、以下のような声が上がりました。

【とても満足している（以下一部抜粋）】
・訪問看護ステーションであるが、訪問件数に余裕がありしっかりと休憩が取れる。人間関係も良好で、質の良い看護を提供できている。（30代）
・休みも希望通りに取得できる。残業はあるが長時間ではないし、他のスタッフと声掛けしながら業務ができている。（30代）

【まあ満足している（以下一部抜粋）】
・1-3年目の時はとにかく課題が多かったが、年代を重ねてきてそういったこともなくなった。人間関係もある程度構築できており、割と好きにやれるという点では満足している。（30代）
・一般科と比べると、まだサービス残業は少ない方だから。（40代）
・外来・手術室勤務のため、残業については多い月、少ない月がある。現職場はスタッフの人数が足りてないのが現状であるが、休みは取りやすく、急な休みにの対応してもらえるため、それなりに満足している。（40代）
・もう少し給料が欲しい。（40代）

【あまり満足していない（以下一部抜粋）】
・給料が安すぎる。私は子どもが三人いるのに扶養手当がないことが大きい。（40代）
・有給休暇を半分くらいしか取れない。人によって取れたり取れなかったりするので不公平。（50代）
・仕事がきついうえに体調不良のときに休みがとりづらいから。（60歳以上）
・夜間の自宅待機呼び出しが月８回ほどあり、一回の待機料はわずか1,000円。呼び出し分は残業扱いとなるが、職場に居た分だけのカウントで「呼び出しから職場到着まで」「職場から自宅まで」の時間はカウントされず、交通費の支給もない。（40代）
・新興感染症による業績不振で営利目的な仕事が増えていて無理がある。（30代）

【全く満足していない（以下一部抜粋）】
・業務分担が明らかに不公平。長く勤務している方たちはほとんど仕事をしないうえ、看護部長とも仲良しなので、意見していく窓口もない。（40代）
・訪問看護ステーションで働いており、公休が月に10日なのだが毎月8日しか取れない状況で有給はほぼ取れてない。（50代）
・人間関係が悪く離職率は高いため、慢性的な人員不足があり、サービス残業を前提として業務が組まれている。また、委員会の掛け持ち、その他複数の役職を兼務する状況にあり、仕事量が過多である。有給休暇は師長が勝手に振り分けて消費していくため、私個人が自由に取得することができない。（30代）

■全体の2割以上の看護師が職場で不当な解雇が行われていると回答

「Q9. 職場で不当に解雇を言い渡された、またはそのような人を見たり聞いたりしたことはありますか？」という問いに対して、21%の方が「ある」と回答しました。その内訳として、「不当に解雇された人を見た」方が13人、「自分が不当に解雇された」という方が4人という結果になりました。

「Q9-2. 不当解雇に関して、具体的なエピソードがあれば教えてください。（自由記述）」という問いに対しては、以下のような声が上がりました。

【自分が不当に解雇された（以下一部抜粋）】
・美容外科で働いていた時、6ヶ月研修期間でその後正社員という雇用であった。あと1ヶ月で正社員になれるという時に抜き打ちのテストがあり満点を取らないと解雇するということがあった。この裏には経営困難だから正社員ではなくまずは研修生から人員削減しようとしていたことが見え見えであった。もちろん合格した人はおらず、同期の研修生は直前で全員解雇になった。（20代）
・正社員で入社したにも関わらず、突然、有期契約社員に契約が更新され、残業もみなし残業なしで常に申請するものに変わっていた。家族経営の企業で、不当であると会社に申し入れたが聞いてもらえず、契約を更新するかしないかと言われ契約更新にならず退職。（30代）

【不当に解雇された人を見た（以下一部抜粋）】
・業務のことで積極的に意見を発信していた新人さんに看護部長が「みんながあなたがいることで働きにくいと言っている。そんなに文句があるならよそへ行ったら？パワハラ言われても仕方ないけど、私はあえてそう言わしてもらう！」と言っていた。
・リハビリ科の人が業務怠慢を理由に解雇されていた。欠勤や遅刻などなく、患者や看護師などにも丁寧語で対応する人だった。本人は訴えたいと言っていたが、結局訴えていなさそう。（30代）
・育休明けで復職の予定だった人がちょうど復職するくらいのタイミングで妊娠してしまい、それだとまた産休に入ることになり頭数がいつまでも足りないから辞めて欲しいと強要してその人は辞めた。（20代）
・育児で仕事のシフトの変更を申し出たが、病院の指示する仕事ができないならやめろと言われた事例を知っている。病院のホームページには柔軟可能と謳っているのに。（20代）
・集中的ないじめと、ミスの擦り付けをされている職員がいた。「ミスの責任をとれ」と不当解雇されていた。（30代）

■職場への不満は、仕事量や扱い等の不公平さが最多

「Q10. その他、職場に関して不満な事などがあれば教えてください。（自由記述）」という問いに対しては、以下のような声が上がりました。

【不公平（以下一部抜粋）】
・仕事量のかたよりや、そのことを相談できる窓口がない
・残業手当もらえる、有休がとりやすい、シフトの希望の通りやすい、は、ある一部の人だけ。あきらかに不公平な職場。
・仕事の内容に偏りがある。ベテランの人に管理が忖度をして簡単な仕事ばかりを振り分ける。（50代）
・介護施設なので、看護師の平均年齢が相対的に高い。49歳の私がいちばん若手で、平均年齢64歳。動かない（動けない）職員が多くて困る。（40代）
・福利厚生がない。退職者によって退職金出したり出さなかったりすること。（40代）
・病棟勤務時代、役職のついていない看護師のミスは責め立てるが師長や主任などの役職がついた看護師のミスは揉み消されるということが起きており、その事に不満を感じていました。（20代）

【残業に関して（以下一部抜粋）】
・サービス残業が多く、疲労が溜まり、医療ミスをしないか不安。（60歳以上）
・人手が足りず毎日走り回っても仕事がつきない。でも、ミスや抜けがあると場合によっては裁判になることもあるのでプレッシャーが大きい。不潔な部分も多く、綺麗な環境にしたがその時間もない。（20代）

【給与に関して（以下一部抜粋）】
・給料が少なく貯蓄に回したりするのがつらい。（30代）
・手取りが少なすぎる　ナイト（準夜勤）をやらないと手取り15万円ほどしかなく生活がしんどい（20代）
・訪問看護であるため給料が低い。ボーナスがほとんどない、共働きでないとかなりしんどい金銭面。（30代）

【カスタマーハラスメント（以下一部抜粋）】
・患者から暴力や暴言を受けても病院側は守ってくれない。（30代）
・認知症患者も多いし、わがままな家族も多すぎるが、それに対し何も守ってくれない職場にも腹が立つ。（30代）

【人間関係（以下一部抜粋）】
・陰口や私語が多いためはたらきづらい。（20代）
・職員不足と園長のパワハラがある。園長についての申し立てを職員全員で本社に行なっているが取り合ってもらえない状況がある。（20代）
　

■今回の調査を通じて

今回の調査で、約6割の看護師が業務量が多すぎると感じており、回答した3割はサービス残業をしているということがわかりました。また労働法改正移行の基準があるにも関わらず、20％は勤務間インターバルが11時間未満であったり、月に9回以上の夜勤をしている看護師も一定数存在するということがわかりました。さらに、2割以上が不当解雇が職場で存在していると回答しており、職場の不公平感や過重労働、給与面での不満も多く寄せられました。
株式会社SOKKINは、今後も看護師の皆さんがより良い職場環境で働けることを願いながら、現場の声にしっかりと耳を傾け、更なるサービス向上に努めてまいります。