2025年上期コンサルティング業界の採用動向を徹底分析!経験者・未経験者問わず幅広い領域で多様な人材が求められる

株式会社コトラ

プロフェッショナル人材の採用・活躍を支援する株式会社コトラ(本社 東京都港区、代表取締役 大西利佳子)は、コンサルティング業界の採用動向について、2025年上期までの求人数の調査をもとに分析し、下期の市場を予測しました。

2024年に引き続き、2025年上期のコンサルティング業界の採用市場は拡大傾向にあります。総合系からブティック系まで幅広く求人数が増加しており、特に「IT・デジタル」領域での需要が高まっています。また、経験者・未経験者を問わず多様な人材が求められている状況です。

■2025年上期コンサルティング業界の採用動向

求人数は2024年に引き続き増加傾向

2024年に引き続き、2025年上期の求人数は増加傾向にあります。2024年度初頭は、一部のコンサルティングファームでジュニア層の採用がやや落ち着く傾向が見られたものの、現在は復活し、総合的に求人数は増加しています。

コトラにおけるコンサルティング業界の求人数

2025年8月31日時点

特に、総合系コンサルティングファームについては、日系・外資を問わず採用意欲が高い状況です。また、近年はブティック系コンサルティングファームの数が増加しており、そこでの採用ニーズも高まっています。

求人数を押し上げている領域は「IT・デジタル・リスク系」

求人数の内訳をみると、最も多いのが「IT・デジタル・リスク系(セキュリティ含む)」です。もともと採用ニーズが高い領域でしたが、その傾向は2025年も続いています。背景には、人口減少による労働力の減少で生産性向上・業務効率化を図る必要性が生じ、DX・ITの導入が急速に求められていることや、AIの勃興によって「AI人材」が求められていることなどが挙げられます。

コトラにおけるコンサルティング業界の求人数(領域別)

2025年8月31日時点

「財務・ESG系」の領域が増加傾向にあるのも特徴です。近年、日本企業に対するアクティビストファンドの買収活動が活発化しています。その背景には、会社が資本を有効活用できていないという課題があり、各企業で財務戦略や資本政策に取り組む必要性が認識されるようになりました。その結果、コンサルティングファームへの相談も増え、財務・ESG系の求人数が増加していると考えられます。

加えて、財務・会計分野でITを活用する動きも非常に増えています。これまではデータを集めて経営の状態を数値化し、現状分析を行うためのITツールの導入が行われてきました。しかし、最近はデータサイエンスを活用して予実分析に役立てるなど、ビジネスサイドに展開するためのITツールの導入が進んでいます。こうした動きが、財務・会計領域の求人数を広げています。

ビジネス領域の拡大に伴い求人数も増加

「戦略・M&A・事業再生系」「業務・組織・人事・マーケティング系」についても、他の領域と同じく求人数は増加しています。その背景にあるのは、コンサルティングファームのビジネス領域が拡大していることです。

これまで戦略コンサルティングファームは、主に中期経営計画の策定や経営戦略の策定といった業務を担ってきました。しかし、近年はIT戦略やDX戦略、オペレーション戦略など、経営戦略の中でも個別のテーマを扱うファームも見られます。その分人員も必要になり、採用枠の増加につながっていることが考えられます。

「業務・組織・人事・マーケティング系」については、デジタルを活用してビジネス領域を広げていく動きが非常に増えています。近年は「人的資本経営」が注目され、従業員エンゲージメントの向上や、人的資本を可視化して定着率を高めるための戦略立案を目的として、デジタルを活用するケースが増えています。


経験者・未経験者別採用ニーズの違い

コンサルティング経験者の場合、年齢に関係なく採用ニーズが高い傾向にあり、実際に40~50代の採用実績もあります。ただし、上のレイヤーになるほど、複数のプロジェクトマネジメントや、案件開拓などの経験が重視されやすくなります。

未経験者の場合、一般的にニーズが高いのは20代半ば~30代半ばです。マネージャーや、それより上のランクでの採用も近年は増加傾向にあります。当社の支援実績の中には、50代前半・未経験でコンサルティングファームに入社された方もいます。

こうした未経験者の採用ニーズが高い理由の一つは、コンサルティングファームが高度な専門性を保有している人材を必要としているためです。特定の業界で長年キャリアを積んできた人材は、その分野の商習慣や顧客のリアルな課題を深く理解しています。コンサルティングファームにとっては、案件を開拓するうえで顧客の本質的なニーズを把握できる貴重な存在であり、プロジェクトの推進力にもなります。さらに、豊富な現場経験を活かして若手コンサルタントの育成を担える点も大きな魅力です。

■採用ニーズが高い背景

外的要因:人材不足やDX化、M&Aの加速など

コンサルティング業界の求人需要が高まっている背景には、いくつかの外的な要因があります。

まず、人口減少による人材不足です。労働市場は売り手優位の状態が続き、大企業でも自社人員だけで業務を回すことが困難になっています。その結果、外部の専門人材に頼らざるを得ず、コンサルティングファームへの依頼が増加しています。

加えて、DXや自動化の動きも求人ニーズを高める要因となっています。業務の「仕組み化」や「標準化」を進めたい企業は多いものの、実現には高度な知識と経験を持つ人材が不可欠です。そのため、ITやAIの分野に強いコンサルタントの需要が特に高まっています。

また、規制対応も重要なテーマです。新しい会計基準の導入や制度改正に直面する際、先行して調査・分析を行い、最適な対応策を示せるのはコンサルティングファームの強みです。自社内での情報収集・判断には限界があるため、専門性を活かしたサポートを求める動きは今後も続くでしょう。

さらに、近年のM&A加速も要因の一つです。産業構造の変化に伴い、企業の買収・統合が増えています。M&Aは高度で複雑な業務であり、プロの手を借りずに進めるのは困難です。多くの企業でM&Aが成長戦略の柱となっているため、この分野に強いコンサルティングファームの存在感は一段と高まっています。

こうした人口動態や規制環境の変化、産業の再編といった要因が重なり合い、コンサルティング業界における人材ニーズは今後も底堅く推移していくと考えられます。

内的要因:コンサルティング業界の戦略の変化

内的要因としては、まずコンサルティングファームのビジネスの領域拡大が挙げられます。これまで、それぞれのファームは自らの専門分野を中心に事業を展開してきましたが、近年はその枠を超えた活動が増えています。例えば、戦略コンサルティングを主軸としていたファームが個別の実行支援までカバーするようになったり、総合系のファームが上流から下流まで幅広くサービスを提供するようになったりと守備範囲が広がっているのです。

同時に、業界をまたいだ動きも活発です。SIerがコンサルティング領域へ参入したり、逆にコンサルティングファームがSIer的な機能を持ち始めたりする流れも見られます。こうした越境は、企業の成長戦略の一環として当然の流れとも言え、結果としてファームが扱う領域は年々拡大してきています。

領域が広がれば、それを担う人材も必要になります。そのため採用活動は活発化しており、従来のコンサルタント像にとどまらない多様なバックグラウンドを持つ人材が求められるようになっています。


キャリアステージごとの求められるスキル

コンサルティングファームが求める人材像は、キャリアのステージによって異なります。必ず求められるわけではありませんが、次のような経験やスキルがあると評価の対象になります。

例えば、若手の場合は「企画部門」の業務理解です。コンサルティングファームの顧客の多くは企画部門であるため、企画部門の業務理解がある=顧客について理解していると、捉えられます。また、企画部門に所属していなくても、そのような部署と接点を持っていたり、どのような判断軸で業務を行っているかがイメージできたりすると、高評価の対象となります。

そのほか、定性的なスキルとして評価されるのが「能動性」と「メタ認知」です。「能動性」とは、日々の業務の中で課題を発見し、自ら解決しようとする経験のことを指します。たとえ承認フローや組織構造の壁があったとしても、社内の課題解決に「挑戦したかどうか」が重要です。「メタ認知」とは、自分の現在地を正しく把握し、現実的なキャリアのステップを描くスキルです。未経験からいきなりジャンプしようとするのではなく、自分の業務とコンサルティングを結びつけ、これまでの経験と接点のある分野で一歩ずつ挑戦していく姿勢が評価されます。

一方で、ハイレイヤーに求められるのは「高度な専門性」です。単に専門知識があるだけではなく、その領域で最先端のテーマを扱ってきたかどうかがポイントになります。例えばエネルギー業界であれば、再生可能エネルギーや新エネルギーの知見、自動車業界であれば次世代モビリティに関する経験などが挙げられます。

■今後も高い採用ニーズは続く予想

求められる役割やニーズは少しずつ変化

コンサルティング業界の採用動向については、今後も引き続き採用意欲の高まりが続くと考えられます。背景にあるのは、人口減少や人材不足、そして自動化の進展といった要因です。企業がこれらの課題を乗り越えるためにコンサルティングファームを活用する流れは、今後もしばらく変わることはないでしょう。

ただし、求められる役割や人材のニーズは少しずつ変化していきます。これまでジュニア層のコンサルタントが担ってきた提案資料の作成、業界動向のリサーチなどの業務は、将来的にはAIが代替することになるでしょう。その結果、コンサルティングファームが本当に価値を発揮できるのは、課題発見や新しい切り口の提案、方向性の決定といった上流へとシフトしていくと予想されます。戦略的に物事を構想し、顧客とともに方向性を描ける人材の重要性はますます高まっていくのではないでしょうか。


「自分は何をしたいのか」がキャリア形成において重要に

未経験からコンサルティング業界を目指す人は今後も増えていくでしょう。背景にあるのは、「ジョブ型雇用」への移行です。従来の総合職・年功序列型の仕組みが揺らぐなか、自分自身でキャリアを設計しなければならないという意識が強まり、その一歩としてコンサルティングファームで経験を積むことを選ぶ人が増えています。

ただし、キャリアが進むにつれて、その後の選択肢は人によって分かれていきます。事業会社へ移る人は、自社の事業を自分事として進めていきたいという思いを持っています。コンサルティングファームでキャリアを積む人は、外部の立場から顧客の課題解決に深く関わり、専門性を高めながら先端的なテーマに携わり続けたいという志向を持つことが多いようです。パートナーレベルにまで到達する人材は、その業界や顧客を自らの手で牽引し、変革を先導したいという強い意志を持っています。

どちらが優れているというわけではなく、それぞれに異なる価値があります。重要なのは、経験を積みながら「自分は何をしたいのか」を見極めていくことです。キャリア形成のプロセスにおいて、この自己認識こそが最終的な進路を決めるポイントとなります。

■コンサルタント紹介

網中 響太郎

[経歴]

明治大学政治経済学部卒業後、新卒でコトラに入社。入社時からコンサルタント業務に従事し現在5年目。入社2年目にBIG4パートナーと共にウェビナーを主催し、ファシリーテーションも務める。現在はサステナビリティ・ESG領域、大手金融機関全般、コンサルティングファーム全般を担当。

[担当業界]

ESG領域、コンサルティングファーム、財務会計アドバイザリー、金融ミドルバック

[プロフィールページ]

https://www.kotora.jp/about/kyotaro_aminaka.php

[執筆記事一覧(コトラジャーナル)]

https://www.kotora.jp/c/user-profile/kyotaro_aminaka/

[コトラ公式YouTubeチャンネル(ハイクラス転職TV)]

https://www.youtube.com/@KotoraCh/videos


■株式会社コトラについて

「人が変われば企業が変わる 仕組みが変われば人が活きる」

コトラは人材のプロとして、人と企業の成長をサポートしています。

プロフェッショナル人材の採用・活躍支援、DX支援、人的資本コンサルティングなど、企業様の成長をご支援する人材ソリューションをワンストップで提供するとともに、プロフェッショナル人材にとって最高の転職体験と職業体験を提供しています。

本社所在地: 〒106-0041 東京都港区麻布台1-3-1 麻布台ヒルズ森JPタワー11階

代表: 代表取締役 大西 利佳子

資本金: 1億円

設立: 2002年10月

事業許可番号: 人材紹介/13-ユ-010833     人材派遣/派13-011201

職業紹介優良事業者認定番号: 2102007(03) 

認定日:2022年3月31日

URL: https://www.kotora.co.jp/

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会社概要

株式会社コトラ

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https://www.kotora.co.jp/
業種
サービス業
本社所在地
東京都港区麻布台1-3-1 麻布台ヒルズ森JPタワー11階
電話番号
03-6277-7050
代表者名
大西利佳子
上場
未上場
資本金
1億円
設立
2002年10月