【開催レポート】BEAU PAYSAGE、新政酒造、エシカル・スピリッツのコラボレーションによるチャリティー蒸留酒お披露目会

3月22日、世界水の日に開催

昨年「世界水の日」に製造を発表したBEAU PAYSAGEと新政酒造、そして、エシカル・スピリッツの3社によるコラボレーション蒸留酒について、今年の世界水の日 2025年3月22日(土)にワイングラスブランド「リーデル」青山本店にてお披露目会を開催しました。

お披露目会では、さまざまな業界からゲストをお招きし、今回登壇したBEAU PAYSAGE オーナー 岡本英史氏、新政酒造 8代目蔵元 佐藤祐輔氏、エシカル・スピリッツ 最高蒸留責任者 山口歩夢より、今回蒸留した蒸留酒の紹介とパネルディスカッションを行いました。

なお、今回、経費や原料費を除いた売上の全てを「すべての人々がすべての場所で、清潔な水とトイレを利用し、衛生習慣を実践できる世界」をビジョンに掲げて活動する水・衛生専門の国際NGO「ウォーターエイド」に寄付します。

水は、お酒にとっても切り離せない大切な存在です。

私たちにとっても大切な美しい水が、より多くの人々へ行き渡ることを願っています。

水・衛生専門の国際NGO「ウォーターエイド」:https://www.wateraid.org/jp/

コラボレーション蒸留酒について

BEAU PAYSAGEと新政酒造、それぞれの商品化に至らなかった幻のお酒をエシカル・スピリッツにて蒸留させていただきました。できあがった蒸留酒(500ml)を1本ずつ詰めた2本セットを数量限定で抽選販売いたしました。※抽選の応募は終了しました。

BEAU PAYSAGEからは、収穫量が多く、仕込みが間に合わず一区画だけ残しておいた2016年の『シュナンブラン』などを預かり、新政酒造からは、酸度が高くなりすぎて、発売時期の見定めができかねていた日本酒『コスモス』を預かり、それぞれがもつ豊かな香りを蒸留で引き出した蒸留酒として仕上がりました。

蒸留酒は、それぞれ『BEAU PAYSAGE Eau de vie de vin』『新政 Spirit Of Cosmos』と名付けられ、エシカル・スピリッツを含めた3社の水への思いを込めたセットとして完成しました。

BEAU PAYSAGEの『シュナン・ブラン2016』と『ピノ・ノワール2018』など複数の白ぶどうのワインを蒸留した『BEAU PAYSAGE Eau de vie de vin』は、提供いただいたワインの香りを蒸留家の山口が嗅いだときに印象的だったレーズンのような濃縮感のあるぶどうの香りを中心に、味わいを構成しました。りんごのような爽やかさ、ハチミツのような甘さ、スペアミントのような清々しさが少し残っています。

新政酒造の日本酒『コスモス』を蒸留した『新政 Spirit Of Cosmos』は、白檀のような香りが印象的で、口に含むとクリーム的な甘さがゆったりと残る味わいに仕上がりました。新政酒造から提供いただいたヒノキ、杉、ミズナラのかんな屑をボタニカルに加え、さらに、日本酒を熟成させる際に使用したミズナラの樽で、できあがった蒸留酒を熟成させた新政酒造が蔵ごと詰まった一杯です。

イベントレポート

お披露目会は、 雑誌「dancyu」等で食やお酒をテーマにした連載を持つ文筆家 井川直子氏の司会・進行により、まずは、登壇者による3名の挨拶からはじまりました。

司会・進行を務める文筆家 井川直子氏

続いて、本日の主役である2種のスピリッツのテイスティングです。

今回、2つの蒸留酒を蒸留したエシカル・スピリッツ 山口は、「エシカル・スピリッツでは、日頃から、生姜の葉、カカオの皮、茗荷の茎などさまざまな未活用素材を使ってジンを蒸留しています。今回は、BEAU PAYSAGEと新政酒造で製品化されなかったワインと日本酒を使って、それぞれのお酒を香ったときに感じた『ここは残したい』というところを、まるでダイヤモンドをカッティングするように、いかに本質的なところを残すべくまわりを削ぎ落とせるかという考え方で蒸留しました。」と、蒸留についての考え方を話しました。

次に、それぞれの蒸留酒についての話題へ。

まずは、BEAU PAYSAGEのワインを原酒に蒸留した『BEAU PAYSAGE Eau de vie de vin』について、蒸留家山口より説明しました。

『BEAU PAYSAGE Eau de vie de vin』

エシカル・スピリッツ 山口:「ワインをテイスティングした際に感じたレーズンのような濃縮感のあるぶどうの香りを中心に味わいを構成しました。蒸留は、錬金術ではないので、もともとない味わいは生み出せません。あるものをいかに抽出するかという考え方を持っています。合計3回蒸留し、1回目は、いいところも悪いところも濃縮するような蒸留をして、2回目では、狙った味わいに調整する蒸留をしました。ここまでくると、ワインの状態では、酸味に隠れて目立たなかった香りが際立ってきて、先ほどの濃厚なぶどうの香りに加えて、りんごのような爽やかさやハチミツのような甘さ、スペアミントのような清々しさが感じられるようになりました。そして最後、3回目の蒸留では、1回目の蒸留でできた酸味の強い部分を再び投入しました。どうなるかな、と半ば実験的ではありましたが、無事、ワインらしい果実味あふれる味わいに仕上がり、豆っぽい香りなどはしっかりと取り除くことができました。」

中:BEAU PAYSAGE 岡本氏

BEAU PAYSAGE 岡本氏:「2016年は厳しい年で、畑まるごと収穫できなかったシュナン・ブランがありました。とりあえず、と思って、仕込んだものの、やっぱり飲めるものにはならず、どうしようかと思っていたところ、山口さんに出会いました。できあがったお酒をいただいて、蒸留はすごいなと改めて実感しました。醸造酒のままでは、酸化してお酢になってしまっていたものが、半永久的な賞味期限に変わって、そして、ちゃんとBEAU PAYSAGEの香りがするのも面白いです。」


次に、新政酒造の日本酒を原酒に蒸留した『新政 Spirit Of Cosmos』について、まずは、蒸留家山口より説明しました。

『新政 Spirit Of Cosmos』

エシカル・スピリッツ 山口:「いただいた『コスモス』には、特徴的な香ばしい香りがあり、この香りは確かに日本酒では好まれない香りですが、蒸留酒、とりわけ泡盛では特徴的なフレーバーとして親しまれているものなので、この香りを違和感なく引き出すために4回の蒸留にて仕上げました。3回目には、新政酒造からいただいたヒノキ、杉、ミズナラのかんな屑をボタニカルに加えて蒸留し、4回目で仕上げのカッティングをしたあと、これまた新政酒造からいただいたミズナラの樽に5ヶ月間寝かせました。どれくらい寝かせようかを考えたときに、ウイスキーのような、樽の香りがしっかりついたものではなく、原酒の味わいがしっかり残った味わいの方が美味しいのではないかと考え、木の香りがほのかに残る程度として5ヶ月という、比較的短時間の熟成にしました。グラスを近づけるとふわっと木の香りがして、口に含むとクリームのような甘さがゆったりと残る、そんなお酒に仕上がりました。」

新政酒造 佐藤氏

新政酒造 佐藤氏「実は、年に3〜4本、製品化できないものが出てきてしまうんです。酵母が乳酸菌に負けてしまい、かなり酸が高くなってしまうものが時々あります。今回原酒に提供した『コスモス』は、酸が高くなってしまっただけで味自体はおいしかったので、これでお願いすることにしました。味わいのクリームっぽさは、もしかしたら乳酸菌のものかなと思います。新政酒造では、基本的にはすべて木製の道具を使ってお酒造りをしているので、これも使えないかと相談し、道具を作るときに生まれる木材のかんな屑と当蔵の日本酒『陽乃鳥』の熟成に使用したミズナラの樽を送らせていただきました。」

続いて、銀座「bar cacoi」オーナーバーテンダー 大場健志氏による、それぞれのスピリッツを使ったカクテルをお召し上がりいただきながら、水・衛生専門の国際NGO「ウォーターエイド」よりお話をいただきました。

bar cacoi 大場健志氏

bar cacoi 大場氏「どちらも構成はシンプルに、素材の良さで仕上がったカクテルを2つ、用意させていただきました。まず、『BEAU PAYSAGE Eau de vie de vin』のカクテルは、香りを嗅いだときに花の蜜や梅の香りが合いそうと感じたので、ハチミツと新政酒造の日本酒『陽乃鳥』を加えて、スパークリングのような春らしい一杯に仕上げました。次に『新政 Spirit Of Cosmos』のカクテルは、初めて香りを嗅いだときに印象的だったウッディなニュアンスに、お茶と合わせたら美味しいだろうなと感じたので、『ピノノワール』のお茶で割って、仕上げに『BEAU PAYSAGE』のシャルドネから造ったアマレットのようなお酒を数滴垂らして仕上げました。」

bar cacoi 大場健志氏による2種のカクテル

水・衛生専門の国際NGO「ウォーターエイド」からは、プログラムコーディネーター 木藤耕一氏にご登壇いただき、世界の水に関する状況をお話いただきました。水汲みは、80%の家庭で女性や女の子が担っているなど、水の問題がジェンダーなどあらゆる問題に関連していることを教えていただきました。

NGO「ウォーターエイド」 木藤耕一氏

アフリカなどの途上国では、実際に女の子が片道4時間をかけて水汲みをしているということを知り、実際にイベント当日、三鷹から青山一丁目まで、4時間かけて歩いて来たBEAU PAYSAGE 岡本氏は、「実際に歩いてみると思った以上に大変でした。4時間というのは片道で、往復では8時間かかるので、歩くのが大変ということはもちろんですが、それ以上に時間が取られてしまうことに困難があると感じました。僕らは畑で剪定作業をしていますが、午前に4時間、午後に4時間、それがすべて水汲みに取られてしまうと考えると、何もできなくなってしまうなと。これでは学校に行く時間もなくなってしまうなと、水の問題とあらゆる問題が関係していることが分かりました。」と、話しました。

後半には、西麻布にあるレストラン「レフェルヴェソンス」のグランシェフ生江史伸氏によるホットドッグをいただきながら、三者によるパネルディスカッションが行われました。

レストラン「レフェルヴェソンス」 グランシェフ 生江史伸氏

生江氏は、地産地消の考えから、レストラン「レフェルヴェソンス」 にて、お客様に提供するお水に、新政酒造の仕込み水を使用するなど、日頃から環境に対して思いを持つシェフのひとりです。

レフェルヴェソンス 生江 氏:「今回蒸留酒のイベントと伺って、蒸留酒にあうものはなんだろうと考えたときに、ピクルスとチーズが浮かびました。そこから岡本さんとの繋がりなどを考えていくうちに、ホットドックを思いつきました。チーズは、ワインともとても相性の良い吉田牧場の『コダカ』というチーズ、そして、ソーセージはこちらも岡本さんとの繋がりがある、沖縄県の『TESIO』のソーセージを使っています。パンは、レストランの姉妹店である『ブリコラージュ』のものを持ってきています。ピクルスは、通常お酢に漬けるところを、『BEAU PAYSAGE』のワインに漬けています。野菜の他に、『シーベジタブル』の海藻も漬けて添えています。マスタードも『BEAU PAYSAGE』のワインを使って作っていて、これで、ワインやお酒に合わなかったらどうなるんだ、というほど、お酒に合う素材をつかったホットドッグになっています。」

そして、ホットドッグをいただきながら始まったパネルディスカッションでは、醸造業界における蒸留の可能性と、未活用素材についての考え方について語られました。

BEAU PAYSAGE 岡本氏:「失敗すると、産業廃棄物としてお金を払って引き取ってもらわなければならないものが、蒸留することによってたくさん寄付ができる。ただ、蒸留酒であればなんでもいいというわけではなくて、蒸留オタク、といいますか、信頼できる歩夢さん(山口)にお願いできて、よかったなと思っています。」

新政酒造 佐藤氏:「日本酒の場合は、廃棄するレベルの失敗はあまりないと思うのですが、新政酒造では、問題児が結構出てしまいます。今回のプロジェクトのお話をいただいたときに、これは、と活路を感じました。日本酒業界は、漬物業が減ってきていることもあり、酒粕も余っています。エシカル・スピリッツは、すでに酒粕焼酎も蒸留に用いていたりと、今後の日本酒業界の支えになる存在だと感じました。」

エシカル・スピリッツ 山口:「未活用のものから価値を引き出せるのが蒸留だと考えています。未活用っていろんな文脈から出ていて、例えば、人が食べる部位ではないから未活用となる生姜の葉、例えば、メーカーとして、これは自分たちとしては出せないと判断された製品などがいろんなパターンあると思いますが、そのすべてを蒸留に取り入れられたらいいなと思っています。また、今回の蒸留酒について岡本さんに<ボーペイサージュの香りがする>と、言っていただきましたが、僕は蒸留酒を<香りのタイムカプセル>だとも思っていて、良い香りをぎゅっと閉じ込めて、長期間保存できるのが蒸留酒なんです。」

ワインや日本酒としては、商品化することができなかったお酒が、蒸留をすることで、唯一無二の豊かな香りを持つ美味しいお酒へと再生をとげた今回のプロジェクト。醸造業界と蒸留業界が繋がることで、動き出した新たな価値循環。同時に、新たな水の循環も生まれています。

BEAU PAYSAGE 岡本氏のお話に「ワインにとって、雨はとても大切で、ただ、雨を良くするにはと考えると、畑の上の雨だけでなくて、世界全体の環境を考えなくてはならない。」という言葉がありました。

一杯の美味しいお酒を追求することが、同時に世界の環境を考えることに繋がっていく。

今回のコラボレーションは、行き場を失ってしまったワインや日本酒を蒸留することで、再び美味しく飲まれるものに変化させ、水としての価値を続くものにすることはもちろん、その水の起源、しいては、世界の環境があっての水であること、さらには、お酒造りやお酒そのものが、水の循環のなかにあることを改めて考える機会となりました。
最後は、参加者の方々も含めた立食形式の交流の時間が設けられ、美味しいお酒を片手に、蒸留の可能性や水への考えなど、各々の観点で語られながら、イベントは幕を閉じました。

終わりに

エシカル・スピリッツは、「Starring the hidden gem. 隠れた才能をステージへ」という思いのもと、ジンを主とした蒸留酒を日々蒸留、そして販売を行っているスピリッツのメーカーです。
今回いただいた余剰酒のように、一見価値が失われたように思われるものにも、香りを確かめてみたり、蒸留をしてみたり、角度を変えてみると隠れた才能が見つかると信じています。

実は、エシカル・スピリッツの蒸溜所である「東京リバーサイド蒸溜所」を東京の蔵前に設けた理由のひとつに、<エシカル・スピリッツが蒸留を通して創りたい価値の循環>と<すぐそばを流れる隅田川がもたらす水の循環>が重なるイメージがありました。今回のプロジェクトは、2種の蒸留酒から、改めて、お酒造りが水の循環のなかにあることを思い出す大切な機会となりました。


今回は、醸造酒、なかでも、ワインのBEAU PAYSAGEと日本酒の新政酒造と、この上なく贅沢なコラボレーションでしたが、今後も様々な業界と蒸留を繋げ、美味しいお酒を造ることで、新しい価値循環を生み出しながら、その面白さや楽しさを伝えていきたいと考えています。

各社の紹介

BEAU PAYSAGE

1999年から山梨県北西部、八ヶ岳南麓、標高800mの津金地区においてぶどうの栽培を始める。現在は、3ヘクタールの畑でメルローを中心にシャルドネ、カベルネ・フランなどを栽培している。

新政酒造

新政酒造は1852年の創業以来、伝統に深く根ざした酒造りを守り続けています。

当蔵の誇りは、90年以上前に自社で発見された古い清酒用酵母「きょうかい6号」を使った純米造りにあり、また江戸時代に確立された無添加の「生酛」製法も採用しています。

50本の木桶を所有し、全ての酒をこれらの桶で醸すことも私たちの大きな誇りの一つです。

さらに、秋田市の外れにある鵜養地区では、30町歩以上の圃場で無農薬栽培を推進しています。

新政酒造は、日本の伝統発酵文化を守り、育て、次の世代に継承していくことに尽力しています。

エシカル・スピリッツ

「Starring the hidden gem(隠れた才能をステージへ)」を理念に、東京・蔵前の「東京リバーサイド蒸溜所」にて、酒粕やカカオの皮、生姜の葉などさまざまな未活用素材を使用したジン造りを行うスピリッツメーカー

代表取締役CEO:小野力

共同発起人:山本 祐也、魚住 りえ、加藤 咲、山口 歩夢

所在地:〒111-0051 東京都台東区蔵前3-9-3-4F

創業:2020年

事業:酒類(スピリッツ)の企画・製造及び販売

取得免許:スピリッツ製造

コーポレートサイト:https://ethicalspirits.jp/

公式オンラインショップ:https://shop.ethicalspirits.jp/

Instagram:https://instagram.com/ethicalspirits_jp

X(Twitter):https://twitter.com/ethical_spirits

Facebook:https://www.facebook.com/ethicalspirits

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会社概要

URL
https://ethicalspirits.jp/
業種
商業(卸売業、小売業)
本社所在地
東京都台東区蔵前3-9-3 臼井ビル4F
電話番号
03-6427-0009
代表者名
小野力
上場
未上場
資本金
7500万円
設立
2020年02月