金属プレス加工会社、ザオー工業株式会社が開発したアルミブロックパーツ『ザオーブロック』。想像力であらゆる形をカスタマイズできるマルチブロックパーツを「東京インターナショナル ギフト・ショー」で体験!!
ザオー工業株式会社は2025年2月12日(水)〜2月14日(金)の3日間、東京ビッグサイトで開催される「第99回東京インターナショナル ギフト・ショー」に「足立ブランド」として出展します。
『ザオー工業株式会社』は金型製作、プレス加工からシルク印刷までを一貫して行うことを強みとしているトリプルテクノロジーを持つ金属プレス部品製造、ネームプレート製作の会社です。ただ、そのほかにも金属プレスで出る廃材、端材を活用したアルミブロック玩具「ザオーブロック」を開発し、子供向けワークショップへの参加や技術系の大学との提携などにも力を入れています。自社製品の開発への思いなどを、2代目代表の鈴木国博氏に聞きました。
小学生の時に言われた「いつか、自社製品を」の言葉
父親が運転する車に乗り、一家揃っての山形県への里帰り。小学生の頃、助手席で父親の話し相手になっていた鈴木国博氏は、こう言われたことを覚えていました。
「いつか、自社製品を開発してくれよな」
その鈴木氏は今、父親が1968年に足立区で創業した『ザオー工業株式会社』の2代目代表を務めています。父親は山形県寒河江市(さがえし)の出身。社名の「ザオー」は地元の名峰・蔵王連峰(ざおうれんぽう)に由来します。
「父は学校を出て上京し、営業職で会社勤めを経験した後、25歳の頃に独立して自分の工場を持ちました。機械部品に付けるネームプレート(銘板)製作の工場です。毎日忙しくしていて、私が子供の時の家族旅行といえば、お盆や正月の里帰りくらいしか思い出にありません。母も山形の出身で、父にしてみれば経営者になり、成功して、故郷に錦を飾るという思いも持ちながらの帰省だったと思います。車もカローラからクラウンに変わっていったりしました」
29歳で父の会社に入社
鈴木氏は社会に出てから2社の会社勤務を経て、1999年、29歳の時に『ザオー工業』に入社。40歳で2代目の代表となりました。『ザオー工業』のメインの事業は創業以来、ネームプレート製作から発展していった金型製作、プレス加工、シルク印刷です。外観製品にこだわってきました。
そして代表就任後の2011年、新商品となる「ザオーブロック」を開発、それまでのBtoBではなく、創業以来初めて一般向けのBtoC商品として販売を始めました。「ザオーブロックは金属プレス加工で出るアルミの廃材や端材を使った組み立てブロックパーツです。穴の空いたアルミプレートとボルト、ナットをセットして、自由に組み合わせ、六角レンチを使ってもの作りをして遊んでもらうものです。ブロック、プラモデル好きの若手社員の提案から生まれました」
ザオーブロックへの覚悟と広がり
実際にザオーブロックでどんなものができるか、そのモデルとして製作したものが恐竜のオブジェです。「デザイナーにお願いをしたデザイン制作にはかなりの金額がかかっています。話題にはなるとは思いましたが、それがすぐに儲けに繋がるわけではありません。でも『やる』、そしてやるからには『続けていく』と決めて、そこは始めました」
インパクトのあるそのオブジェは話題を呼び、その後も、東京スカイツリーで開催された「大昆虫展」でカマキリとトンボのオブジェ製作を依頼されるなど、認知度は高まっています。
また、夏休みの子ども向けワークショップ開催や、産学公金で大学との共同事業なども行うようになりました。
「会社が『足立ブランド』に認定(2008年)されていることもあって、ザオーブロックを使った子ども向けのワークショップ開催やギフトショーなどへの出展の機会をいただいたりしています。2024年夏には東京電機大学が行った地域協創イベントD-SciTechプログラム『ロボットを作ってみよう! 作ったロボットでコンテストに挑戦!』 に協力会社として参加もしました」
アナログ放送から地デジへ。新商品開発の時代的な背景
ほかにも自社製品としては、パンダの金属製ストラップ「ぴかぱんだ」やドレッシングや調味料の詰め替え時に便利なシリコン製のロート「くるるんろーと」を作ったりしています。実はこれらの自社商品の開発が始まった背景には日本のテレビの地上デジタル放送(地デジ)化があったそう。
「2000年代に日本のテレビがアナログ放送から地デジに移行していく時、その関連の機械部品の受注が続き、リーマンショックの時もほとんど影響がなかったのですが、2011年のアナログ放送終了でその需要も収まってしまったんです。どうしたものかと悩み、取り組んだことのひとつがザオーブロックです」
ネットショップのBASEでも様々なミニキットが販売されてます。
ただ、一方で鈴木さんには「親父に自慢ができるものを作りたい」という思いもあったと言います。
「やっぱり子どもの頃、父に言われた『自社製品を開発してくれよな』という言葉が今でも頭の片隅に残っています。でも、ザオーブロックができ、父にその子どもの時の思い出を話したことがあるのですが、『俺、そんなこと言ったかな?』と言われてしまいました」と笑います。
事業の柱と将来への展望
このように自社製品の開発にも力を入れていますが、ザオー工業の事業の柱は今でも金属プレス加工製品の製造、ネームプレート製作であることは変わりありません。足立区内では唯一、金型製造とプレス加工に加え、シルク印刷まで一貫生産ができることを強みにしています。
「ザオーブロックはまだまだ認知度も低く、売り上げ的には満足いく結果は出せていません。でも、子供向けのワークショップを開くことで、その子供が将来、もの作りに携わることになるかもしれないし、大学生向けの講座に参加することでエンジニアに関心を持つ若者が増えることに貢献できるのではと思っています。また、ザオーブロックの組み立てには指先を使うので、高齢者向けの脳の活性化にも役立つはずです。『やる』と決めて始めた事業なので、まだまだ続けていきます」
給料袋に手書きメッセージを添えて
この『やる』と決めたことは、継続するという鈴木さんの姿勢は社内のほかのことでも見られます。そのひとつは、従業員に給料を渡す時、その給料袋にひとり一人に宛てた手書きのメッセージの付箋をつけていることです。
「うちの会社では創業以来、給料は毎月手渡ししています。それは私の代になっても変わっていないのですが、ある時、商工会議所の担当者が『従業員の離職を防ぐいい方法がありますよ』と言って、給料に手紙を添えるアイデアを教えてくれたのです。ただ、ボーナスを入れると1年で14回渡す機会があり、17〜18人ほどいる従業員に毎回書くとなると、どれだけ書くんだ? とは思いました」
ただ、これも「やる」と決め、8年前から休まずに継続していると言います。「書くことは、従業員とその家族にあてたメッセージですね。まずは働いてくれていることへの感謝と、その時の経営状況のこと、その従業員がその月、どのようにがんばってくれたかを書いたりしています。1日に2〜3人分ずつ、給料日の10日くらい前から書き始めますよ。その従業員のことを考えながら1枚書くのに20〜30分かかることもあります」
地元への思い。会社の事業を通じて多くの方が幸せに
「覚悟を決めてやり切る」その思いが鈴木さんの経営や生き方の芯にあります。また、足立区で生まれ育ち、「足立ブランド」や異業種交流会などでの広がりがあったことで地元への恩返しもしたいと、ボランティア活動などにも力を入れているそう。
「まずは従業員がここで働いてよかったと思ってもらえる会社にすること、そして従業員の夢が叶うような会社にしていくことをいつも考えています。そして社会の一員として求められる会社、会社を通じて多くの方が幸せになってもらえるような事業を目指していきます」と鈴木氏は話してくれました。
幼い頃の何気ない親子の会話から生まれたザオーブロック。その小さな指先から一つ一つ積み上げられていくのは、ブロックだけではなく大きな志なのかもしれません。そんな商品をぜひ「第99回東京インターナショナル ギフト・ショー」で、手に取ってご覧ください。ギフト・ショー内の「SOZAI展」コーナーの「足立ブランド」ブースでお待ちしております。
企業情報
ザオー工業株式会社
会社名:ザオー工業株式会社
住 所:東京都足立区関原2-11-26
電話番号:03-3848-2301
代表者:鈴木 国博
「足立ブランド」は、区内企業の優れた製品・技術を認定して、その素晴らしさを全国に広く発信することで、区内産業のより一層の発展と足立区のイメージアップを図ることを目的とした事業です。
『ザオー工業株式会社』は、この「足立ブランド」認定企業です。
取材など掲載情報に関するお問い合わせは、「足立ブランド」の運営事務局でもある足立区役所産業経済部産業振興課ものづくり振興係でも受け付けております。
足立区役所産業経済部 産業振興課 ものづくり振興係
電話番号:03-3880-5869
ファクス:03-3880-5605
足立ブランド公式Webサイト
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