【サステナブルツーリズム調査】8割が「今後、絶対に必要になる」と回答、その理由とアイデアは?
サステナブルツーリズムに関する調査
ELEMINIST「サステナブルツーリズムに関するアンケート」
サイトURL:https://eleminist.com/
調査概要
調査期間:2023年8月4日~8月13日
調査対象:ELEMINIST Followers(ELEMINISTのコミュニティ)52名(10代以下~70代以上の男女)
※原則として小数点以下第2位を四捨五入し表記しているため、合計が100%にならない場合があります。
サステナブルツーリズムとは、観光地の豊かな自然や資源、その地域の文化を持続的に保てるように配慮した観光のことを言います。
■「サステナブルツーリズムを知っている」人は75%
はじめに、サステナブルツーリズムについて知っているか聞きました。
サステナブルツーリズムについて「知っていて内容も理解している」と答えた人は50.0%、「知っているが内容はわからない」と答えた人は25.0%でした。「知らない」は25.0%で、4人に3人は「サステナブルツーリズム」という言葉を知っていることがわかります。
■8割が「サステナブルツーリズムが今後絶対に必要になると思う」
サステナブルツーリズムとは、観光地の豊かな自然や資源、その地域の文化を持続的に保てるように配慮した観光のことを言います。「今後、サステナブルツーリズムが必要になると思いますか?」と聞いてみました。
結果は、「絶対に必要」が78.8%で、「ある程度は必要」が21.2%。「必要ではない」「絶対に必要ではない」と答えた人はゼロで、回答した全員がサステナブルツーリズムの必要性を感じていることがうかがえました。
■「サステナブルツーリズムが今後必要になると思う」理由は?
サステナブルツーリズムが必要と思う理由については、旅行者による環境への影響、また旅行者のマナーについて懸念する声が多くよせられました。また、旅行中はごみが多くなることを指摘する回答も少なくありませんでした。
環境への影響に懸念
観光業で成り立っている市町村は、自然が豊かである反面、観光が栄えるほど汚染が進んでしまうため。私の地元でもスキー場の電気をすべて自家発電でまかなえるよう見直しが進んでいます。長く共存していくために、考えるべき観点だと思う。(20代/女性)
観光客によって自然が豊かさを失っているため。また、コロナ禍で訪問数が減った結果、環境が改善された事例を見ると、サステナブルであることがポジティブな影響を生むことに納得感があります。(30代/女性)
環境問題に興味がない方でも、観光しながら問題を考えるきっかけになると思うからです。(30代/女性)
自然に楽しませていただいている分、自然への恩返しが必要。(30代/女性)
観光客が訪れることで、その地の豊かさが奪われるのは良くないことだし、その地の文化や自然を楽しんでこその旅だと思うので、感謝を示して旅を締めくくれるといいと思う。(30代/女性)
旅先でのマナーに懸念
旅行はいつもより開放的な気分になり、羽目を外しやすくなる。観光地のなかには一度壊れたら戻せない貴重な文化財や自然もあるので、配慮は不可欠だと思います。(30代/女性)
LCCの登場などで国内外の移動がしやすくなった反面、マナー違反や配慮に欠けた行動も多く見られるようになったので、訪問先の地域の方々や環境、景観に配慮することが不可欠だと思います。(30代/女性)
今後海外からの観光客が増えたり、マナーやモラルの低下が気になるため。(40代/女性)
地球温暖化で環境が変化していくなか、自然豊かな場所を維持していくためには観光客のマナーの向上や自治体の取り組みが必要だと思うから。(20代/女性)
旅行中はごみが多い
一昔前では、ホテルに泊まるとアメニティーなど使い捨てのプラスチックごみがたくさん出ていたから。(30代/女性)
コロナが明けて遠出する方や外国人渡航客が増えたと同時に、ごみの問題も話題になっているので、このまま放っておくと汚染が心配されるからです。(20代/女性)
せっかく美しい自然の観光地に訪れても、観光客が持ち込んだごみが落ちていたり、自分たちだけが楽しめればいいという人を見たりすると、心が痛くなるから。(30代/女性)
使い捨てのものやホテルのアメニティなど、旅行自体でいつもよりごみを多く出してしまうから。観光地の美しさを守るために、楽しむだけではなく、守っていくことが必要だと思っています。(30代/女性)
■観光地が抱える問題は「食品ロス」「使い捨て製品」「旅先でのごみ」
では、観光地や観光業界がどんな問題を抱えているのでしょうか?どんなことが問題だと思うか聞いてみました。
もっとも多かったのは、「宿泊施設のアメニティなどの使い捨て製品」、「宿泊施設や飲食店で出る食品ロス」、「旅先で出るごみ」でした。また「旅行中はごみや食品ロスなどの意識が薄れやすい」のように、旅行中の人々の心理的な変化を懸念する声も少なくありませんでした。
■旅行で気を付けたいのは「マイバッグの持参」「地産地消に貢献」「食品ロスを出さない」
実際に旅行に行くときに気を付けていること、今後気を付けたいことについては、次のような結果になりました。
もっとも回答が多かったのは「旅先にもマイバッグ・マイボトルを持参する」で84.6%と9割近くの人が答えた。また「地産地消に貢献する」、「食品ロスを出さないように注文しすぎない」、「使い捨てアメニティを使わない」、「宿泊施設での過剰なサービスを断る」など、比較的すぐに取り組みやすい答えが多く支持された。
■サステナブルツーリズムに関するエピソードは?
また、実際にサステナブルツーリズムに関するエピソードについて聞いてみました。
宿泊先のアメニティについて
アメニティをなるべく使わないように、歯ブラシや固形シャンプーなどを持ち歩いています。(30代/女性)
一度部屋に置かれたアメニティは使われなくても処分されると聞いたことがあるので、「使わなくても処分されているのかな?」と不安になります。事前に「アメニティ不要」と伝えられるといいなと思いました。(30代/女性)
ホテルの清掃業務で、未開封であっても一度お客様の元に渡った使い捨てアメニティは廃棄するというルールがあり、とても悲しい気持ちになりました。(20代/女性)
近年は日本でもアメニティはなし、もしくはリクエスト制のホテルが増えてきた印象です。一方で、なぜそれをしているのか説明が足りていないのか、利用者の中でも協力的でない人もまだ多いと感じます。(20代/女性)
石垣島に行った際、必要ないアメニティは断る制度があり、その代わりにホテルで使えるクーポンの配布をしていた。そしてアメニティも、環境に配慮しプラスチック包装がありませんでした。(20代/女性)
観光地でのごみについて
観光地付近には食べ歩きのお店も多く、そのほとんどがプラや紙の使い捨て容器を使っています。ごみのことを考えると食べたくても躊躇し、楽しめないこともあります……。(30代/女性)
移動など、外で過ごす時間が長くなるため、ペットボトルなど、買い物のたびにパッケージごみが増える。(40代/女性)
フランスを訪れた際、道端にごみがたくさん落ちていてごみを出さない必要性を感じた。一方でスーパーでビニール袋の配布が完全に廃止されていて、とても進んでいると感じた。(30代/女性)
京都嵐山に観光に行った際、観光通りのお店は観光客でとても賑わっていたが、至るところにごみが散乱していた。ごみ箱の容量が足りず溢れていた。また竹林の中にもごみが落ちていて悲しい気持ちになった。(40代/男性)
マナー
ホテルだと冷暖房を消して行かないなど、意識が雑になる人が多い。(20代/女性)
海外の人は、ゴミの分別などの意識が違っているようで、ゴミの分別がされずいろいろなごみが混在している。(40代/女性)
その他
野生動物への餌やりで人慣れしてしまった動物の生態変容、野生動物の事故などが気になります。(50代/女性)
フィンエアーでのサステナブルな取り組みにとても感動した!おしぼり・カトラリー・食器などすべてプラスチックフリーで、友人にもフィンエアーをおすすめしたし、フィンエアーをまた利用しようというと気持ちになった。(30代/女性)
お部屋にペットボトルの水が置かれているのではなく、浄水機が設置されていてそのまま水が飲めたり、空のボトルが置いてあって自分で共用の浄水器の水を入れたりする仕組みは良いなと思いました。(30代/女性)
ホテルにチェックインすると必ず新しいトイレットペーパーがついている。使いかけのものはきちんとスタッフが使っているのかが気になる。(30代/女性)
宿泊先の使い捨てアメニティと、観光地でのごみ問題に関するエピソードが数多く寄せられました。アメニティは宿泊先には必ずある旅行のマストアイテムだからこそ、気になる人がとても多いようです。また、国内外を問わず、ごみが散乱している場所が目に余るという答えも少なくありませんでした。
■「こんな旅のかたちがあったらいい」アイデア
最後に、サステナブルツーリズムを考慮して「こんな旅のスタイルがあったらいい」など、旅に関するアイデアについて聞いてみました。
旅のプラン
ゼロウェイストな宿泊プランがあれば選びたい。 食事もヴィーガンやプラントベースのオプションがあれば嬉しい。(30代/女性)
「マイボトル持参で割引」など価格にメリットを感じやすいプランがあれば、ふだん環境に気をつけていない人でも参加するかも?(30代/女性)
カーボンオフセットができるプランやパッケージ、アプリなどがあり、旅程に応じて、CO2排出量を算出、その分を購入することができる仕組み。初期段階では、電気料金の割引ができる、もしくは税金が安くなるみたいなインセンティブがあると、認知も広まって良さそうと思います!(30代/女性)
環境保護の取り組みに協力したらお得な割引やプレゼントを受け取れるサービスがあれば、興味を持つ人がもっと増えると思います。(20代/女性)
旅行に限らず、サステナブルに貢献しようとすると最安値にならないことが多い……なので、お互いwin-winになるようなことがいい。(30代/女性)
観光地・地域の仕組み
飛行機よりも新幹線、タクシーよりもバスの移動がよりお得になるような制度、ホテルや現地での特待を設けるなどが必要なフェーズだと思う。(20代/女性)
削減したCO2排出量に応じて地域通貨がもらえるなど。(30代/女性)
ペットボトルを買わなくても給水所があったり、ごみを持ち帰らなくても現地でリサイクルボックスがあったり、無理しなくても自然とサステナブルツーリズムが出来る仕組み。(40代/女性)
環境問題について地域の抱えている問題を学べるワークショップに参加すると国から補助金が出る等、国主導で行うサステナブルツーリズム。(30代/男性)
町や村など一定地区内は自動車の侵入を禁止とし、歩きや自転車での周遊にする。(50代/女性)
観光地は、入場料 + 環境保護料のように、環境保全のための費用を請求してもいいと思います。そうやって環境保護と書かれているのを見たり、少額でも料金を支払うことにより、観光客も気をつけなきゃという意識になるのではないかと思います。(40代/女性)
環境系のプログラム
なかなか地元の人と関われないため、触れ合ってそこの文化を知れる旅ができたらと感じる。そのためには、環境系のイベントや参加しやすいプログラムがあるといいと感じた。(20代/女性)
その地域について知る、訪れる、帰宅後に振り返るといった、トータルのプログラムがあると、もっと気軽にサステナブルツーリズムを体験できると思いました。本来は自身で調べたりすべきなのですが、少々初心者にはハードルが高いので。(40代/女性)
その土地が大切にしていることを魅力として発信すると、観光客も自然に守りながらその土地の楽しみ方を味わえるのではないかなと思いました。できれば、行政を通すなど街全体からの発信だとより魅力が伝わるのではと思います。(40代/女性)
その他
旅行の選択するときに、その旅でどれくらいCO2が発生するかを可視化できるといいと思います。(30代/男性)
宿泊施設のお部屋や観光スポットなどに、環境保護についてのわかりやすい説明などを掲示して見てもらえるようにするといいと思う。(10代以下/女性)
多かったのは、「環境保護につながることには、割引などのメリット・インセンティブをつける」というアイデア。多くの人が参加しやすく、自然とサステナブルな取り組みが広がっていくという意見でした。また、「給水所をつくる」「入場料をとる」など、観光地や地域全体で取り組むべきアイデアも数多く寄せられました。宿泊施設や観光スポットが単独で行うのではなく、自治体などの地域を巻き込んだ取り組みがよりいいという意見でした。
■まとめ
入国規制がなくなり初めての夏休みを迎えた2023年。観光客が押し寄せて、オーバーツーリズムの問題に直面している観光地が数多くあります。そんななか、改めてサステナブルツーリズムの必要性を実感している人も多いのではないでしょうか。アンケートに回答した方の100%が「今後は、サステナブルツーリズムが必要になる」と答えたように、地域を問わず、どこでも環境や地域に配慮した観光のあり方を考えなければならない時期にきているのかもしれません。
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設立:2008年9月
代表者:大場 義之
本社所在地:東京都目黒区中目黒1-1-71-5F
従業員数:56名(2023年6月1日時点)
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