製造業の開発・生産現場の業務を革新するクラウドサービス「3DWorks」提供開始
量産開始前の設計・製造データを3Dモデル上で統合し、開発期間短縮を実現
富士フイルムビジネスイノベーション株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長・CEO:浜 直樹)は、 自動車や家電、産業機械など、幅広い分野の製造業の開発・⽣産の両現場に分散するデータを3Dモデル上で統合・一元管理するクラウドサービス「3DWorks(スリー・ディー・ワークス)」の提供を9月29日より開始します。
「3DWorks」は、量産開始前の量産試作工程において、開発部門と生産部門が製品仕様や製造条件の調整(すり合わせ)に必要な情報を3Dモデル上に統合・一元管理することが可能なクラウドサービスです。これにより、部門間の効率的な情報共有と迅速な合意形成を可能とし、製品の開発期間短縮を実現します。
製造業が直面する課題
量産試作工程では、金型を用いて試作部品を成形し、その後、寸法や品質を測定して合格基準を満たしているかを確認します。不合格の場合は、寸法や品質が基準に達するまで金型を修正する「金型トライ」のサイクルを繰り返します。この過程では、開発部門と生産部門が製品仕様や製造条件などをすり合わせながら、量産に向けた調整を進めます。しかし現場では、紙の図面や検査表を用い、熟練技術者の経験や知見に頼ってすり合わせが進められることが多く、以下の課題が生じています。
・金型トライ回数が減らない:
測定結果をもとに金型の修正案を決定する際には、熟練技術者の経験や知見が求められるが、属人的かつ感覚に依存しやすいため、修正の精度にばらつきが生じ、合格基準に達するまで何度も金型トライを繰り返すケースが少なくない。
・合意形成や情報共有の複雑化:
開発部門と生産部門間で、設計図面や測定データなど複数の資料を参照する過程で情報の解釈に差異が生じ、不具合への対応策やその優先順位に対する認識にズレが生じやすく、双方の合意形成に時間を要している。
・類似した不具合の再発:
設計図面、測定データ、修正結果の保管方法が属人化しており、過去の不具合や対応策が組織内で十分に共有されていないため、金型トライの精度向上に生かすことが難しく、類似した不具合が再発する。
これらの課題は開発期間の長期化とコストの増大を引き起こす要因となっています。「3DWorks」は、3Dデータを基盤にした情報統合およびプロセス管理を通じてこれらの課題解決を図ります。
3DWorksのサービス概要と特長

① 3Dデータを基盤とした情報の統合と一元管理
PMI(製品製造情報)※1が付与された3Dモデルを取り込むことで、生産現場向けの2D図※2表示や測定指示付きの検査表を自動で生成できます。また、検査表に入力した検査結果や不具合対応履歴を「3DWorks」上に登録できるため、設計情報から測定結果、不具合対応までを1つのプラットフォーム上で一元管理し、効率的な情報共有とプロセス管理を実現します。
➁ 試作部品のビジュアル評価
試作部品の出来栄えを、測定データに基づき3Dモデル上で視覚的に確認できます。具体的には、設計値と測定値のズレを矢印と色で直感的に可視化できるほか、金型トライ前後での品質の良化・悪化も表示可能で、改善点を明確に把握できます。これにより、部門間で改善点の認識を統一でき、適切な修正案の検討と合意形成を迅速に進められます。

③ 修正履歴の管理とナレッジの蓄積
不具合原因や対策内容、判断結果の履歴を蓄積できるため、過去の修正履歴を迅速に確認することが可能です。蓄積されたデータは、不具合の再発防止策の検討に加えて、類似部品の試作や不具合対応にも活用できるため、開発効率の向上や品質改善に貢献します。さらに、従来は属人化していた技術的な知見を組織全体で共有可能にし、ノウハウの有効活用と継承を支援します。
自社導入による実証成果
「3DWorks」は、設計情報、測定結果、不具合対応履歴を3D上で統合する独自技術を活用したクラウドサービスで、自社の複合機・プリンターの開発でも実証を重ねてきました。実証の結果、プロダクションプリンターの開発の一例として、金型トライ回数を40%削減し、量産開始前までの開発期間を4カ月短縮する効果が得られました。
当社は、「3DWorks」の提供を通じて、開発・生産プロセスにおける金型トライ回数の削減、開発期間の短縮、コスト削減に寄与し、製造業のお客様の競争力の強化と生産性向上に貢献してまいります。
※1:製品の設計、製造に関するすべての3Dデータ。設計の寸法や公差といった情報を含む。
※2:3Dモデルから寸法や形状などの設計情報を抽出し、2次元の平面上に視覚的に表現したもの。
「3DWorks」の詳細はこちらよりご参照ください
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