9割以上の企業がM&Aを認知!約半数の企業が後継者不在と回答する中、M&Aは事業承継の手段に。戦略に基づく攻めのM&Aで企業存続・成長の実現へ。2022年度M&A・事業承継に関するアンケート結果を発表
日本の経営コンサルティングのパイオニアである株式会社タナベ経営(本社:東京都千代田区・大阪市淀川区、代表取締役社長:若松 孝彦)は、全国の経営者、役員、経営企画・経理財務・事業開発責任者、M&Aの担当者を対象に実施した「2022年度M&A・事業承継に関するアンケート」の結果を発表いたします。
【調査結果サマリー】
【各データ詳細】
■9割以上の経営者がM&Aを「一般的によく聞く言葉」と認知
M&Aに関するイメージについて尋ねたところ、90%以上が「よく聞く一般的な言葉」だと回答しました。M&Aは、2000年代前半までは海外企業の買収や銀行の不良債権処理のために大企業が主として利用する手法でした。しかし、リーマンショック以降は、中堅・中小企業の事業承継のための手段としても用いられるようになりました。かつては、「売った・買った」の部分のみがフォーカスされることの多かったM&Aですが、事業承継の時期を迎える中堅・中小企業が増えた昨今、一般的な用語として定着しつつあることが伺えます。
■8割の経営者がM&Aに関する興味・関心を抱いている
M&Aの検討状況について尋ねると、83.9%が譲受側(買い手)であり、16. 1%が譲渡側(売り手)と回答しました。一般的にM&Aにおいては、譲渡企業よりも譲受企業の母数が圧倒的に多いですが、本アンケートでも同様の傾向となっています。本格的にM&Aの検討に着手しているのは全体の22.1%ですが、常に興味・関心をもっている企業は77.9%となっており、M&Aマーケットは今後も広がっていくことが予想されます。
■譲渡を考えるきっかけは「後継者不在」が最多!
M&Aに関する興味・関心を抱いている経営者に対し、譲渡を考える理由を尋ねると、最も多かったのは「後継者不在」(46.8%)、次いで「自社の成長を目的とした他社とのアライアンス」(30.6%)、「会社・事業の再建のため」(11.3%)という結果となりました。日本企業では、後継者不在が社会問題になりつつあり、「企業の存続」のため、M&Aの検討を開始する企業が増えていることが伺えます。一方で、他社とのアライアンスというポジティブな理由でM&Aを検討する企業も一定数存在することから、自力成長から他社の技術・リソースを活用した成長へシフトする柔軟な発想が広がっているといえます。また、併せて、昨今のコロナ禍の影響からか、いわゆる「再建」目的でM&Aを活用する動きも増えています。
■譲渡への準備は8割が「まだ取り組めていない」と回答。「早期に着手し、念入りに準備」が鉄則!
譲渡を考えるきっかけは「後継者不在」と回答した経営者に対し、譲渡に向けた準備について尋ねると、「まだ取り組めていない」が80.6%と圧倒的な割合を占める結果となりました。次いで、「既にアドバイザリー会社や仲介会社に相談している」(8.1%)、「自社の強みを整理している」(8.1%)となっています。交渉が開始されるタイミングは突然訪れる場合もあり、興味・関心があったとしても、譲渡側で準備が整わずに、流されるままに交渉のテーブルに着くことは、譲渡側にとって非常に危険な状態であることを認識する必要があります。事業承継と同様、M&Aも「緊急度は高くないが、重要度は高い」事項として、早くから準備を始めることが求められます。
M&Aは情報戦でもあるため、譲渡を検討している企業は、来るべき日に備え、優先度を上げ、「早期に着手し、念入りに準備」が鉄則となります。
■M&Aを経験したことのある企業は3割を突破。M&Aの経験“社数”は確実に増えている!
M&Aの経験社数について尋ねると、過去に1社譲受経験がある先が25.5%となっており、過去に5社以上譲受経験がある先が8.7%と合わせると、M&Aを経験したことのある企業は34.2%にのぼりました。M&Aへの興味・関心が高まっている昨今、実行に移している企業も着実に増えていることが伺えます。
■譲渡が活発な業種は「製造業(39.1%)」。「情報通信業」のM&Aが活発化
M&Aを検討するにあたって対象となる業種について尋ねると、最も回答が多かったのは「製造業」(39.1%)、次いで「サービス業」(26.1%)、「住宅・建設業」(19.9%)となりました。従来から譲渡が活発な業種としては、製造業、建設業などが挙げられますが、これらは各々が業界特有の経営課題を抱えており、それらをM&Aを用いて解決する傾向があるということが伺えます。譲受側は、経営課題に苦しむ企業を取り込むことによって、スケールメリットを活かして課題を解決しています。住宅・建設業の場合は、事業セグメント(工種)の拡大や他のエリアへの進出、現場監督・技術者の確保、工事実績の獲得などを目的としてM&Aを積極的に実施しています。また、昨今、M&Aが活発化しているのが「情報通信業」(14.6%)。特にIT系の企業は、業界全体として技術者が不足しており、各社が初任給の引き上げなどによりこぞって人材確保に動いています。人材不足や技術の取り込みを図るためM&Aを活用する傾向があり、かつ、買収価格も高額になる傾向があります。
■ネックポイントは事前の対応で解決できる!
M&Aを検討する上でネックとなるポイントについて尋ねると、「欲しい案件がこない」(35.4%)が最も多く、次いで「長期ビジョン・M&A戦略がない」(22.0%)、「譲受(買収)した会社を任せる経営者人材がいない」(18.0%)となりました。欲しい案件がこないと考える企業は、自社でターゲットとなる候補企業を設定し、ターゲットに対して譲渡意欲の確認及び打診を行う「攻めのM&A」を実行してはいかがでしょうか。買収後の経営体制は譲渡企業の業績やシナジーにも影響する部分であるため、前もって準備をすることが重要です。
■専門コンサルタントによる総括
本アンケートでは、M&Aに対する興味・関心の高さを改めて実感する結果となりました。1980年代後半から日本企業でM&Aが本格的に実施されるようになってから四半世紀以上が経ち、中堅・中小企業にもM&Aは広く浸透しています。9割以上の企業が一般的な言葉だと感じていることからも、「市民権」を得ているといっても過言ではないでしょう。
アンケート結果を見ると、譲渡企業について押さえるべきポイントは「後継者不在」、「譲受側の今後の成長戦略」、「経営者の孤独」の3点です。譲渡企業が譲渡を考えるきっかけとして最も多いのは「後継者不在」。親族にも社内にも経営者人材がいない場合、M&Aは事業承継の有効な手段の一つとなり得ます。企業の歩む道は、「存続」「売却」「廃業」「倒産」の4つしかなく、企業を存続させるためには、「売却(譲渡)」も含めた総合的な判断が必要です。結果として、M&Aによって企業が存続することは、社会の公器としての会社を守り、従業員を守り、得意先などのステークホルダーを守る、社会に対して非常に高い付加価値を生み出すことになります。
本アンケートでも譲渡企業が挙げるネックポイントとして「欲しい案件がこない」という点があります。M&Aをまだ実行したことがない企業、あるいは、実行した経験が少ない企業は、よく「良い会社」を狙いがちです。譲受企業は、「良い会社」ではなく「欲しい会社」を買収しなければなりません。そして、「欲しい会社」を買収しようとすると、具体的な会社のイメージが必要です。
M&A巧者は、何年も前から対象企業にアプローチをかけ、気長に待つ場合もあります。M&Aはある種の確率論の世界で、いかに「欲しい会社」と出会える確率を高めるための動きをしているかが重要です。「欲しい企業」と一緒になることで、買収後の成長へと繋げていくことができるのです。
M&Aを実行するにあたっては、「M&A戦略」が欠かせません。“戦略無くしてM&A無し”と言われるように、成り行きのM&Aは必ず失敗します。譲渡企業が譲受側の成長戦略を見ているのであれば、質問されたときに説明できるように自社の成長戦略(中長期ビジョン)を整理しておく必要があります。また、なぜ自社(譲渡企業)を買収するのか、という問いについても、M&A戦略を明確にしておくことが求められます。譲渡企業から選ばれる企業にならなければなりません。
M&A戦略の検討の過程で、自社の事業戦略を整理したり、投資判断基準を整備したり、買収後のPMI(統合作業)のイメージを持ったりと、具体的なターゲットや事業ポートフォリオのイメージを明確にするための準備をすることになります。特に、コロナ禍によって既存事業にダメージを受けている企業は、新たな収益の柱の構築に早急に取り掛かるべきです。事業ポートフォリオの再構築では、「サステナビリティ・SDGs・グローバル・M&A」をキーワードに設計をする動きが増えてきています。
また、M&Aの成否は買収後の成長によって測られます。譲渡企業が望んでいることは「企業の存続」です。互いに成長を促すためには、相手を知ることが重要であり、買収当初は譲受企業から派遣する人員を絞ったり、譲渡企業全社員と面談したりするなど、現状認識に重きをおくことも有効です。
M&Aは事業戦略を実現するための「手段」です。M&Aが目的化してしまっている企業は今一度振り返って、自社のM&A戦略の見直しが必要でしょう。M&Aを実行に移し、その後長く続く譲渡企業との共同生活(企業経営)の中でともに成長していくことにより、M&Aは「成功した」といえるのです。
タナベ経営 M&Aアライアンス事業部 本部長 丹尾 渉
2017年からM&Aコンサルティング本部の立上げに参画。M&A戦略構築からアドバイザリー、PMIまでオリジナルメソッドを開発。その後4年間で延べ60件以上のM&Aコンサルティングに携わる。「戦略無くしてM&Aなし」をモットーに、大手から中堅・中小企業のM&Aを通じた成長支援を数多く手掛けている。
■調査概要
[調査方法]メルマガ・Webサイト
[調査期間]2022年6月1日~2022年6月30日
[調査エリア]全国
[有効回答数]384件
[回答者属性]経営者、役員、経営企画・経理財務・事業開発責任者、M&Aご担当者など
https://manda.tanabekeiei.co.jp/
タナベ経営は、1957年(昭和32年)に創業し、今年創業65年を迎える日本の経営コンサルティングのパイオニアです。「企業を愛し、企業とともに歩み、企業繁栄に奉仕する」という経営理念のもと、「ファーストコールカンパニー 100年先も一番に選ばれる会社」の創造をミッションとしています。
グループで約580名のプロフェッショナル人材を擁し、「経営者・リーダーのパートナー」として大企業から中堅企業まで約11,000社の支援実績があります。
経営コンサルティング領域としては、戦略策定支援(上流工程)から、デジタル技術も駆使した現場における実装・オペレーション支援(中流~下流工程)まで、企業経営を一気通貫で支援できる経営コンサルティング・バリューチェーンを全国地域密着で構築しています。
そして、コンサルティングスタイルとしては、「All for the Client-すべてはクライアントのために」という徹底したクライアント中心主義のもと、経営コンサルティング・バリューチェーンにより、個社の経営課題に合わせて複数名のプロフェッショナルコンサルタントを選定してチームを組成する「チームコンサルティング」を推進しています。
〈経営コンサルティング・バリューチェーン〉
・ストラテジー&ドメイン
・M&Aアライアンス
・コーポレートファイナンス
・ブランド&マーケティング
・マネジメント&オペレーションズ
・クリエイティブ&デザイン
・HR
・リージョン(全国10地域:札幌、仙台、新潟、東京、名古屋、金沢、大阪、広島、福岡、那覇)
- 9割以上の経営者がM&Aは「一般的によく聞く言葉」と回答。事業承継の時期を迎える中堅・中小企業が増えた昨今、一般的な用語として定着しつつあることが伺えます。
- 「譲渡を考えるきっかけ」の設問では、M&Aに関する興味・関心を抱いている経営者のうち約半数が「後継者不在」と回答。「企業の存続」のため、M&Aの検討を開始する企業が増えていることが伺えます。
- M&Aを経験したことのある企業は34.2%という結果に。M&Aの経験“社数”は確実に増えていることがわかりました。
- M&Aを検討するにあたって対象となる業種について尋ねると、「製造業」(39.1%)が最も多く、次いで「サービス業」(26.1%)、「住宅・建設業」(19.9%)となりました。また、昨今M&Aが活発化しているのが「情報通信業」(14.6%)。人材不足や技術の取り込みを図るためM&Aを活用する傾向が見て取れます。
【各データ詳細】
■9割以上の経営者がM&Aを「一般的によく聞く言葉」と認知
M&Aに関するイメージについて尋ねたところ、90%以上が「よく聞く一般的な言葉」だと回答しました。M&Aは、2000年代前半までは海外企業の買収や銀行の不良債権処理のために大企業が主として利用する手法でした。しかし、リーマンショック以降は、中堅・中小企業の事業承継のための手段としても用いられるようになりました。かつては、「売った・買った」の部分のみがフォーカスされることの多かったM&Aですが、事業承継の時期を迎える中堅・中小企業が増えた昨今、一般的な用語として定着しつつあることが伺えます。
■8割の経営者がM&Aに関する興味・関心を抱いている
M&Aの検討状況について尋ねると、83.9%が譲受側(買い手)であり、16. 1%が譲渡側(売り手)と回答しました。一般的にM&Aにおいては、譲渡企業よりも譲受企業の母数が圧倒的に多いですが、本アンケートでも同様の傾向となっています。本格的にM&Aの検討に着手しているのは全体の22.1%ですが、常に興味・関心をもっている企業は77.9%となっており、M&Aマーケットは今後も広がっていくことが予想されます。
■譲渡を考えるきっかけは「後継者不在」が最多!
M&Aに関する興味・関心を抱いている経営者に対し、譲渡を考える理由を尋ねると、最も多かったのは「後継者不在」(46.8%)、次いで「自社の成長を目的とした他社とのアライアンス」(30.6%)、「会社・事業の再建のため」(11.3%)という結果となりました。日本企業では、後継者不在が社会問題になりつつあり、「企業の存続」のため、M&Aの検討を開始する企業が増えていることが伺えます。一方で、他社とのアライアンスというポジティブな理由でM&Aを検討する企業も一定数存在することから、自力成長から他社の技術・リソースを活用した成長へシフトする柔軟な発想が広がっているといえます。また、併せて、昨今のコロナ禍の影響からか、いわゆる「再建」目的でM&Aを活用する動きも増えています。
■譲渡への準備は8割が「まだ取り組めていない」と回答。「早期に着手し、念入りに準備」が鉄則!
譲渡を考えるきっかけは「後継者不在」と回答した経営者に対し、譲渡に向けた準備について尋ねると、「まだ取り組めていない」が80.6%と圧倒的な割合を占める結果となりました。次いで、「既にアドバイザリー会社や仲介会社に相談している」(8.1%)、「自社の強みを整理している」(8.1%)となっています。交渉が開始されるタイミングは突然訪れる場合もあり、興味・関心があったとしても、譲渡側で準備が整わずに、流されるままに交渉のテーブルに着くことは、譲渡側にとって非常に危険な状態であることを認識する必要があります。事業承継と同様、M&Aも「緊急度は高くないが、重要度は高い」事項として、早くから準備を始めることが求められます。
M&Aは情報戦でもあるため、譲渡を検討している企業は、来るべき日に備え、優先度を上げ、「早期に着手し、念入りに準備」が鉄則となります。
■M&Aを経験したことのある企業は3割を突破。M&Aの経験“社数”は確実に増えている!
M&Aの経験社数について尋ねると、過去に1社譲受経験がある先が25.5%となっており、過去に5社以上譲受経験がある先が8.7%と合わせると、M&Aを経験したことのある企業は34.2%にのぼりました。M&Aへの興味・関心が高まっている昨今、実行に移している企業も着実に増えていることが伺えます。
■譲渡が活発な業種は「製造業(39.1%)」。「情報通信業」のM&Aが活発化
M&Aを検討するにあたって対象となる業種について尋ねると、最も回答が多かったのは「製造業」(39.1%)、次いで「サービス業」(26.1%)、「住宅・建設業」(19.9%)となりました。従来から譲渡が活発な業種としては、製造業、建設業などが挙げられますが、これらは各々が業界特有の経営課題を抱えており、それらをM&Aを用いて解決する傾向があるということが伺えます。譲受側は、経営課題に苦しむ企業を取り込むことによって、スケールメリットを活かして課題を解決しています。住宅・建設業の場合は、事業セグメント(工種)の拡大や他のエリアへの進出、現場監督・技術者の確保、工事実績の獲得などを目的としてM&Aを積極的に実施しています。また、昨今、M&Aが活発化しているのが「情報通信業」(14.6%)。特にIT系の企業は、業界全体として技術者が不足しており、各社が初任給の引き上げなどによりこぞって人材確保に動いています。人材不足や技術の取り込みを図るためM&Aを活用する傾向があり、かつ、買収価格も高額になる傾向があります。
■ネックポイントは事前の対応で解決できる!
M&Aを検討する上でネックとなるポイントについて尋ねると、「欲しい案件がこない」(35.4%)が最も多く、次いで「長期ビジョン・M&A戦略がない」(22.0%)、「譲受(買収)した会社を任せる経営者人材がいない」(18.0%)となりました。欲しい案件がこないと考える企業は、自社でターゲットとなる候補企業を設定し、ターゲットに対して譲渡意欲の確認及び打診を行う「攻めのM&A」を実行してはいかがでしょうか。買収後の経営体制は譲渡企業の業績やシナジーにも影響する部分であるため、前もって準備をすることが重要です。
■専門コンサルタントによる総括
本アンケートでは、M&Aに対する興味・関心の高さを改めて実感する結果となりました。1980年代後半から日本企業でM&Aが本格的に実施されるようになってから四半世紀以上が経ち、中堅・中小企業にもM&Aは広く浸透しています。9割以上の企業が一般的な言葉だと感じていることからも、「市民権」を得ているといっても過言ではないでしょう。
アンケート結果を見ると、譲渡企業について押さえるべきポイントは「後継者不在」、「譲受側の今後の成長戦略」、「経営者の孤独」の3点です。譲渡企業が譲渡を考えるきっかけとして最も多いのは「後継者不在」。親族にも社内にも経営者人材がいない場合、M&Aは事業承継の有効な手段の一つとなり得ます。企業の歩む道は、「存続」「売却」「廃業」「倒産」の4つしかなく、企業を存続させるためには、「売却(譲渡)」も含めた総合的な判断が必要です。結果として、M&Aによって企業が存続することは、社会の公器としての会社を守り、従業員を守り、得意先などのステークホルダーを守る、社会に対して非常に高い付加価値を生み出すことになります。
本アンケートでも譲渡企業が挙げるネックポイントとして「欲しい案件がこない」という点があります。M&Aをまだ実行したことがない企業、あるいは、実行した経験が少ない企業は、よく「良い会社」を狙いがちです。譲受企業は、「良い会社」ではなく「欲しい会社」を買収しなければなりません。そして、「欲しい会社」を買収しようとすると、具体的な会社のイメージが必要です。
M&A巧者は、何年も前から対象企業にアプローチをかけ、気長に待つ場合もあります。M&Aはある種の確率論の世界で、いかに「欲しい会社」と出会える確率を高めるための動きをしているかが重要です。「欲しい企業」と一緒になることで、買収後の成長へと繋げていくことができるのです。
M&Aを実行するにあたっては、「M&A戦略」が欠かせません。“戦略無くしてM&A無し”と言われるように、成り行きのM&Aは必ず失敗します。譲渡企業が譲受側の成長戦略を見ているのであれば、質問されたときに説明できるように自社の成長戦略(中長期ビジョン)を整理しておく必要があります。また、なぜ自社(譲渡企業)を買収するのか、という問いについても、M&A戦略を明確にしておくことが求められます。譲渡企業から選ばれる企業にならなければなりません。
M&A戦略の検討の過程で、自社の事業戦略を整理したり、投資判断基準を整備したり、買収後のPMI(統合作業)のイメージを持ったりと、具体的なターゲットや事業ポートフォリオのイメージを明確にするための準備をすることになります。特に、コロナ禍によって既存事業にダメージを受けている企業は、新たな収益の柱の構築に早急に取り掛かるべきです。事業ポートフォリオの再構築では、「サステナビリティ・SDGs・グローバル・M&A」をキーワードに設計をする動きが増えてきています。
また、M&Aの成否は買収後の成長によって測られます。譲渡企業が望んでいることは「企業の存続」です。互いに成長を促すためには、相手を知ることが重要であり、買収当初は譲受企業から派遣する人員を絞ったり、譲渡企業全社員と面談したりするなど、現状認識に重きをおくことも有効です。
M&Aは事業戦略を実現するための「手段」です。M&Aが目的化してしまっている企業は今一度振り返って、自社のM&A戦略の見直しが必要でしょう。M&Aを実行に移し、その後長く続く譲渡企業との共同生活(企業経営)の中でともに成長していくことにより、M&Aは「成功した」といえるのです。
タナベ経営 M&Aアライアンス事業部 本部長 丹尾 渉
2017年からM&Aコンサルティング本部の立上げに参画。M&A戦略構築からアドバイザリー、PMIまでオリジナルメソッドを開発。その後4年間で延べ60件以上のM&Aコンサルティングに携わる。「戦略無くしてM&Aなし」をモットーに、大手から中堅・中小企業のM&Aを通じた成長支援を数多く手掛けている。
■調査概要
[調査方法]メルマガ・Webサイト
[調査期間]2022年6月1日~2022年6月30日
[調査エリア]全国
[有効回答数]384件
[回答者属性]経営者、役員、経営企画・経理財務・事業開発責任者、M&Aご担当者など
- 2023年2月スタート「『成長M&A』実践研究会」
- 「事業承継M&A特設サイト」公開中
https://manda.tanabekeiei.co.jp/
- 株式会社タナベ経営 概要
タナベ経営は、1957年(昭和32年)に創業し、今年創業65年を迎える日本の経営コンサルティングのパイオニアです。「企業を愛し、企業とともに歩み、企業繁栄に奉仕する」という経営理念のもと、「ファーストコールカンパニー 100年先も一番に選ばれる会社」の創造をミッションとしています。
グループで約580名のプロフェッショナル人材を擁し、「経営者・リーダーのパートナー」として大企業から中堅企業まで約11,000社の支援実績があります。
経営コンサルティング領域としては、戦略策定支援(上流工程)から、デジタル技術も駆使した現場における実装・オペレーション支援(中流~下流工程)まで、企業経営を一気通貫で支援できる経営コンサルティング・バリューチェーンを全国地域密着で構築しています。
そして、コンサルティングスタイルとしては、「All for the Client-すべてはクライアントのために」という徹底したクライアント中心主義のもと、経営コンサルティング・バリューチェーンにより、個社の経営課題に合わせて複数名のプロフェッショナルコンサルタントを選定してチームを組成する「チームコンサルティング」を推進しています。
〈経営コンサルティング・バリューチェーン〉
・ストラテジー&ドメイン
・M&Aアライアンス
・コーポレートファイナンス
・ブランド&マーケティング
・マネジメント&オペレーションズ
・クリエイティブ&デザイン
・HR
・リージョン(全国10地域:札幌、仙台、新潟、東京、名古屋、金沢、大阪、広島、福岡、那覇)
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