育児中の従業員のキャリア停滞を防ぐ配慮、半数超が「できていない」。管理職による対応の差を6割が実感

〜柔軟な勤務制度の整備が進む一方、管理職の理解や判断基準にばらつき。周囲への負担の偏りも課題に〜

株式会社月刊総務

日本で唯一の総務専門誌『月刊総務』を発行する株式会社月刊総務(所在地:東京都千代田区、代表取締役:薄井 浩子)は、全国の総務担当者を対象に「育児との両立支援についての調査」を実施し、159名から回答を得ました。

【調査結果概要】

・男女ともに育児を担う前提で制度を運用する企業は半数強

・育児中従業員の課題、1位「周囲の従業員へ負担が偏る」2位「支える人員に余裕がない」

・育児期の課題、制度・運用で3割強が「対応できていない」

・育児中従業員への対応、6割が管理職による差を実感

・制度だけでは対応しきれない支援、「長期休暇中の働き方」が最多

・育児中の従業員のキャリア停滞を防ぐ配慮、半数超が「できていない」

・従業員の配偶者の勤務先の育児支援制度、約6割が把握

【調査結果詳細】

◼️「男女ともに育児を担う前提」で制度を運用する企業は52.2%

自社の育児と仕事の両立についての考え方や実態を尋ねたところ、「育児は男女ともに主体的に担うことを前提に、制度を運用している」が52.2%で最多となりました。次いで「男女ともに育児を担うべきだと考えているが、制度や運用は十分ではない」が24.5%、「特に明確な考え方はない」が13.8%で続き、「どちらかといえば、女性の育児負担を前提とした運用になっている」は9.4%でした。男性の育児負担を前提とした運用はありませんでした(n=159)。

◼️55.3%が「周囲の従業員へ負担が偏る」を課題に挙げ最多

育児中の従業員が働き続けるうえで、自社にどのような課題があると感じるかを尋ねたところ、「周囲の従業員へ負担が偏る」が55.3%で最多となりました。次いで「育児中の従業員を支えるための人員に余裕がない」が45.3%、「部署によって対応にばらつきがある」が41.5%で続きました。上位には支える側の人員や業務配分に関する課題が並んでいます(n=159)。

◼️66.2%が育児期の課題に制度・運用で「対応できている」と回答、3割強は「できていない」

育児期の従業員が直面する課題に自社の制度や運用が十分に対応できていると思うかを尋ねたところ、「ある程度対応できている」が60.9%、「十分に対応できている」が5.3%で、合わせて66.2%が「対応できている」と回答しました(n=151/育児中の従業員が働き続けるうえで課題がある企業)。

◼️60.4%が育児中の従業員への対応に管理職による差を「感じる」

育児中の従業員への対応について、管理職による差を感じるかを尋ねたところ、「とても感じる」が16.4%、「やや感じる」が44.0%で、合わせて60.4%が差を感じると回答しました(n=159)。

◼️管理職による対応の差、「育児支援に対する理解の差」が最多

差が生じる理由として大きいと思う要因を尋ねたところ、「管理職の育児支援に対する理解に差がある」が66.7%で最多となりました。次いで「ルールや判断基準が明確でなく、管理職の判断に委ねられている」「管理職向けの教育・研修が不足している」がともに43.8%で続きました。個々の管理職の意識だけでなく、判断基準や研修といった組織側の仕組みが整っていないことが、差を生む構造的な要因になっていると考えられます(n=96/管理職による差を感じる企業)。

管理職の育児支援に対する理解に差がある:66.7%

ルールや判断基準が明確でなく、管理職の判断に委ねられている:43.8%

管理職向けの教育・研修が不足している:43.8%

会社の育児支援に対する方針が管理職に十分浸透していない:26%

管理職が人事部門などに相談できる体制が整っていない:12.5%

その他:6.2%

理由はわからない:5.2%

◼️育児中の従業員への支援、「柔軟な勤務時間制度」が87.4%で最多

育児中の従業員を支えるために現在実施しているものを尋ねたところ、「柔軟な勤務時間制度(フレックスタイム、短時間勤務、時間単位休暇など)」が87.4%で最多となりました。次いで「在宅勤務・リモート勤務」が62.3%、「育児事情に応じた勤務・人事上の配慮(残業・休日勤務、転勤・配置転換など)」が54.1%で続きました。時間や場所の柔軟性といった制度面の整備が中心で、管理職の育成やキャリア支援といった運用・人の面は比較的手薄な実態です(n=159)。

柔軟な勤務時間制度(フレックスタイム、短時間勤務、時間単位休暇など):87.4%

在宅勤務・リモート勤務:62.3%

育児事情に応じた勤務・人事上の配慮(残業・休日勤務、転勤・配置転換など):54.1%

育児支援制度に関する情報提供・周知:27%

定期的な面談や相談窓口の設置:23.3%

応援人員の配置や業務分担の見直し:18.2%

管理職向けの研修:15.1%

ベビーシッター代や保育費用などの補助:12.6%

キャリア形成に関する支援:11.9%

家事代行代の補助:3.8%

託児所の運営:1.9%

その他:0.6%

実施していることはない:5%

◼️制度だけでは対応しきれない支援、「子の長期休暇中の働き方」が最多

育児中の従業員への支援として、現在の制度だけでは対応しきれていないと感じるものを尋ねたところ、「子の長期休暇中の働き方」が46.5%で最多となりました。次いで「キャリア形成」が39.0%、「不登校への対応」が37.1%で続き、「小1の壁」も36.5%、「小4の壁」も23.3%に上りました。乳幼児期の就業継続だけでなく、学齢期以降も見据えた長いスパンでの支援設計が求められていることがうかがえます(n=159)。

※「小1の壁」「小4の壁」とは

「小1の壁」は、子どもの小学校入学を機に、保育園に比べて預け先の時間が短くなるなどして、仕事との両立が難しくなる問題を指します。「小4の壁」は、学童保育の利用が終了するなど放課後の過ごし方や学習面の課題が増える小学4年生前後に、同様に両立が難しくなる問題を指します。

◼️71.7%が制度整備に加えて「業務の属人化防止」が重要と回答

育児中の従業員が働き続けるために、制度の整備に加えて重要だと思うものを尋ねたところ、「業務の属人化防止」が71.7%で最多となりました。次いで「上司の理解と適切なマネジメント」が68.6%、「同僚の理解と協力」「職場の風土」がともに54.1%で続きました。制度の整備に加え、誰かが休んでも業務が回る仕組みと、それを支える上司・職場の理解が重視されていることがわかりました(n=159)。

◼️育児中の従業員のキャリア停滞を防ぐ配慮、半数超が「できていない」

育児中の従業員に対して、時間制約があってもキャリアが停滞しないような配慮ができていると思うかを尋ねたところ、「あまりできていない」が43.4%、「全くできていない」が10.7%で、合わせて54.1%が「できていない」と回答しました(n=159)。

◼️65.4%がキャリア停滞を防ぐために「働き方にかかわらない公平な評価・昇進機会」が必要と回答

キャリア停滞を防ぐために必要だと思うものを尋ねたところ、「働き方にかかわらない公平な評価・昇進機会」が65.4%で最多となりました。次いで「育児中でも挑戦できる役割・業務設計」が60.4%と続きました。評価や役割設計など、働き方にかかわらずキャリア形成を支える仕組みが重視されていることがうかがえます(n=159)。

◼️55.3%がコロナ禍と比べ「今の方が両立しやすい」と回答、「変わらない」も約3割

コロナ禍と比べて、現在の方が育児と仕事を両立しやすいと思うかを尋ねたところ、「今の方が両立しやすい」が26.4%、「どちらかといえば今の方が両立しやすい」が28.9%で、合わせて55.3%が「今の方が両立しやすい」と回答しました。「変わらない」は27.0%、「どちらかといえばコロナ禍の方が両立しやすかった」「コロナ禍の方が両立しやすかった」を合わせると17.6%でした。半数超が改善を実感する一方、約2割はコロナ禍の方が両立しやすかったと感じており、働き方の変化の受け止め方は分かれています(n=159)。

<不便になったと感じること/一部抜粋>

・出社日が増えたことで、保育園や学校からの急な連絡にも対応しづらくなりました。オンラインで完結していた会議も対面が増え、予定変更の自由度が下がったと感じています。

・出社頻度があがり、共働きだとお迎えどうする問題がある。

・コロナ禍では週3テレワークができていたが今は週1しかできないため通勤時間の負担が大きくなった。就業時間後に子供の病院を受診しづらくなった。

・在宅だと休憩時間に家事ができていたのができなくなった。

◼️従業員の配偶者の勤務先の育児支援制度、約6割が把握

育児支援制度を利用する自社の従業員について、その配偶者が勤務先で利用できる育児支援制度を把握しているかを尋ねたところ、「十分に把握している」が9.4%、「一部把握している」が47.2%と、約6割が把握していることがわかりました(n=159)。

◼️78.0%が育児中の従業員を支える周囲への配慮に「業務量・業務分担の見直し」が必要と回答

育児中の従業員を支えるうえで、周囲の従業員への配慮として必要だと思うものを尋ねたところ、「業務量・業務分担の見直し」が78.0%で最多となりました。次いで「周囲のサポートに対する評価・処遇への反映」が61.6%、「応援人員や代替要員の確保」「業務の標準化と情報共有」がともに55.3%で続きました。課題として最多だった「周囲の従業員へ負担が偏る」こととも関連しており、育児中の従業員本人への支援とあわせて、支える側の負担と納得感をどう設計するかが、両立支援を持続させるうえで重要な要素であることがうかがえます(n=159)。

<働き続けられる組織になるために重要なこと/一部抜粋>

・業務の標準化として、マニュアル化や情報共有を進めて属人化をなくし、誰が休んでも現場の業務が止まらない体制を作ることが欠かせないと思う。

・周囲への還元として、不在者をカバーした同僚の貢献を正当に評価や手当で還元し、支援側ばかりに負担感が残らない仕組みが必要だと思う。

・特定の従業員に負担が集中しないよう、人員配置や業務分担を見直し、管理職が積極的にサポートできる体制を整えることが必要だと考えます。

・育児中の従業員だけを支援するのではなく、周囲の従業員にも配慮した業務分担や評価制度を整えることが重要だと考えます。

◼️総評

今回の調査からは、育児と仕事の両立支援において、制度の整備だけでなく、制度を現場で機能させる運用が重要になっていることがわかりました。柔軟な勤務時間制度は多くの企業で実施されている一方、管理職による対応の差を感じる企業も6割に上り、育児中の従業員のキャリア形成についても半数超が「できていない」と回答しています。制度を整えるだけでなく、管理職の理解や判断基準、業務を支える仕組みまで含めて整備することが重要です。

また、周囲の従業員への負担の偏りや、管理職による対応の差といった課題も明らかになりました。育児中の従業員を支援するだけでなく、支える側の業務量や業務分担、評価にも目を向け、誰かが休んでも業務が回る仕組みを整えることが重要です。両立支援を一部の従業員への配慮として捉えるのではなく、職場全体で支え合える環境として設計していくことが求められます。

総務には、育児と仕事の両立を個人の努力に委ねるのではなく、管理職や周囲の従業員も含めて無理なく支えられる仕組みを整える役割が求められます。業務の属人化を防ぎ、柔軟な働き方や公平な評価を支える運用まで設計することで、育児中の従業員だけでなく、誰もが安心して働き続けられる組織につながります。制度を整えるだけでなく、現場で機能する運用まで設計する視点が、これからの総務には重要になるでしょう。

◼️戦略総務研究所 所長  豊田 健一 プロフィール

戦略総務研究所 所長

早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルートで経理、営業、総務、株式会社魚力で総務課長を経験。日本で唯一の総務部門向け専門誌『月刊総務』前編集長。株式会社月刊総務代表取締役社長を歴任。現在は、戦略総務の専門家として講演・執筆活動、コンサルティングを行う。総務・人事・経理Week 公式アドバイザー。著書に『経営を強くする戦略総務』(日本能率協会マネジメントセンター)など。

※「働き方」「リモートワーク・テレワーク」「総務関連全般」等についても取材可能です。

※「戦略総務」は株式会社月刊総務の登録商標です。

▼メディア実績はこちら

https://www.g-soumu.com/company/laboratory

【調査概要】

調査名称:育児との両立支援についての調査

調査機関:自社調査

調査対象:『月刊総務』読者、「月刊総務オンライン」メルマガ登録者ほか

調査方法:Webアンケート

調査期間:2026年8月6日〜2026年8月20日

有効回答数:159件

◼️調査結果の引用時のお願い

※本調査内容を転載・ご利用いただく場合は、出典元の表記をお願いします。例:「『月刊総務』の調査によると」「『月刊総務』調べ」など


◼️「総務アワード」について

企業の総務部門が推進する優れた施策を表彰する「総務アワード2026」の 最終イベント「総務アワード2026 IGNITE DAY」を12月2日に開催します。審査を勝ち抜いたファイナリスト企業によるプレゼンテーションやミニセミナー、総務同士が交流できる懇親会を通じて最新の知見とつながりを得られます。応募企業でなくとも誰でも参加可能です。ふるってご参加ください。

特設サイト:https://award.g-soumu.com/

◼️『月刊総務』について

創刊63年の日本で唯一の総務専門誌。「すべての総務パーソンの心に、火を。」をキャッチフレーズとし、総務部門で働く人を中心に、幅広くビジネスパーソンに読んで役に立つ記事を提供。上場企業、大手事業会社、中堅・中小企業と、幅広い規模の企業に定期購読していただいております。(創刊:1963年6月/印刷部数:1万2,000部/定価:1,100円)


◼️株式会社月刊総務 会社概要

社名:株式会社月刊総務

代表:代表取締役 薄井浩子

住所:〒101-0054 東京都千代田区神田錦町2-2-1 KANDA SQUARE 11F

設立:2018年8月

事業内容:

・日本で唯一の総務・人事部門専門誌『月刊総務』の発行

・バックオフィス業務の「困った」を解決する「月刊総務オンライン」の運営

・「総務セミナー」「総務サロン」の主催

・働き方改革関連コンサルティング 等

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03-4332-4260
代表者名
薄井 浩子
上場
未上場
資本金
1000万円
設立
2018年08月