ARAV株式会社への追加出資を決定
東大IPCは、AOI1号ファンドから、建設機械等に後付での搭載が可能な遠隔操作・自動運転ソリューションを開発するARAV株式会社に対して、2.5億円の追加出資を決定しました。
東京大学協創プラットフォーム開発株式会社は、建設、林業、除雪、港湾、船舶機械に後付での搭載が可能な遠隔操作・自動運転ソリューション及び、自動化検証シミュレータを開発・提供しているARAV株式会社に対して、2.5億円の追加出資を行うことを決定しました。
東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(本社:東京都文京区本郷、代表取締役社長 植田浩輔、以下「東大IPC」)が運営するオープンイノベーション推進1号投資事業有限責任組合(以下「AOI1号ファンド」)は、建設、林業、除雪、港湾、船舶機械に後付での搭載が可能な遠隔操作・自動運転ソリューション及び、自動化検証シミュレータを開発・提供しているARAV株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役:白久レイエス樹、以下「ARAV」)に対して、2.5億円の追加出資を行うことを決定しました。
ロボット工学を活用し、従来は実装ハードルが高いとされてきた建設大型機械のDXを促進。40社以上と共同実験を展開
ARAVは、設立以来、ソフトウエア制御、ロボット工学などの技術とそれらを実装するインテグレーション力を活かして、建設機械をはじめとした各種機械・装置の遠隔操作・自動運転ソリューションを開発しています。また、建設現場のDXを促進し、研究・開発・実証実験を通じて収集・解析されたビッグデータを活用することで、現場が抱える様々な問題を解決していくことを目指しています。
建設業界では、年間約60兆円で推移されるインフラ需要(※1)に対して、2025年には必要な技能労働者数が90万人不足するという予測もされており(※2)、2024年4月に控えた「働き方改革関連法」の対応に加えて、人材の確保はもちろんの事、効率的な作業現場体制作りが求められています。更に、2021年の労災死亡者全体の43.3%が60歳以上の高齢者、また労災死亡者の30%が建設業となっており、危険な現場から離れて安全な作業環境の対策もまた喫緊の課題です。
このような課題に対して、現場の省人化に向けて国交省を主導にICT施行として業界での研究開発を推進しており、建機の自動運転や遠隔自動化への取り組みは、大手建機メーカーをはじめ研究開発が取り組まれてきました。しかし、多種多様な建機が使用される現場においては、メーカーの垣根を超えた汎用的なシステムへの期待があります。
同社が開発したマルチベンダー対応の遠隔操作装置『ModelV』は、建機のメーカーに縛られず、後付けで取り付けができるもので、市販されている建機の84%(※3)に対応が可能です。すでに、40社以上と共同実証実験を行っており、提供台数増加に向けた生産体制強化を段階的に進めていきます。
アプリケーションとハードウェアAPIを提供するレイヤーを分割することで、建設業界の多様なニーズに答えるプラットフォーム戦略を展開
更に、このModelVを支えるのが、人が搭乗する機械の運転席を要素分解し、各項目が通信可能なAPIを付加する Machine Gateway Hub です。ModelVのようなマルチベンダー対応の遠隔装置を普及させるとともに、他社アプリと接続可能なオープン・プラットフォームとなることで、建設・土木業界のみならず、遠隔・自動化ニーズのあるさまざまな分野の機械・機器への展開を進めていきます。また、建機等の大型機械による実証実験のリスクを低減を目的に、建設機械および現場環境を再現するシミュレータ開発技術を活用する国内初の建機オープンソースとなる開発エミュレータ『OCS : Open Construction Simulator』を公開するなどして、独自のプラットフォームを中核に、各社の開発環境も支援するオープン・クローズ戦略をとりながら、社会・業界の課題解決に貢献していきます。
建機の遠隔操作・自動運転制御技術を横展開し、船舶や農林等の他業界のDX促進へ
東大IPCは第3回「1stRound」(※4)でARAVを採択、人材採用や提携先の紹介など様々なハンズオン支援を実施し、2021年3月にリード投資家として出資しました。同社の本格的な量産製品の開発・サービスの立ち上げはもちろんのこと、自社プラットフォーム技術を横展開し、建設・土木業界と同じく、人材不足等の課題を抱える海運、林業、除雪、農業、港湾等の他業界のDX促進へと展開を広げるべく、この度の追加出資に至りました。
またこの度、大学発ベンチャーである株式会社イノフィスの元代表取締役社長・CEOで、現在は東大IPCのベンチャーパートナーを務める古川尚史氏が社外取締役に参画します。事業の立ち上げを加速させるため、開発エンジニアや事業開発スタッフの採用も更に広げ組織強化を目指してまいります。
ARAV株式会社 代表取締役:白久レイエス樹 コメント
前回のラウンドに引き続き、東大IPCからご出資頂き、大変光栄に思います。創業当初から、初期ユーザー様、プロダクトを開発・販売するメンバー、そして株主の皆様に支えられ、建機をはじめとした大型機械の遠隔操作・自動運転化の社会実装を前進させてまいりました。今後も、ARAVの発展に向けて邁進してまいります。よろしくお願いいたします。
ARAV株式会社 社外取締役 古川尚史 コメント
(東京大学協創プラットフォーム開発株式会社 ベンチャーパートナー)
ARAVが取り組んでいることは、人材不足の問題や過酷な労働環境を改善することができる、社会に貢献する事業です。これまで折に触れ、事業の戦略や立ち上げについてアドバイスをしておりましたが、これからは、社外取締役として、さらなる事業成長と加速を実現し、ARAV社として更に社会に貢献してまいります。よろしくお願いいたします。
東京大学協創プラットフォーム開発株式会社 パートナー(AOI1号CIO) 水本尚宏 コメント
建機の自動化・遠隔化は以前より大きなテーマでしたが、近年は各種法制度の検討が進み、欧米の有力スタートアップが国内市場に攻勢を始めるなど市場環境が急変しています。建機業界も自動車同様にソフトが勝敗を分ける未来が予想され、業界のARAVへの期待は非常に大きいと感じています。この期待を実現させることが我々の役目であると考え、今回もポジションを取り単独投資させて頂きました。またドローン・ロボティクス分野へのハンズオン担当として参加頂いた古川を社外取締役とし、ハンズオンを本格化して参ります。
※1
国土交通省 最近の建設業を巡る状況について【報告】
https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/000992615.pdf
※2
国土交通省 「建設業界の現状と課題」
https://www.mlit.go.jp/common/001149561.pdf
※3
ARAV社調べによる。
※4
東大IPCが運営する国内最大規模を誇る複数大学共催の起業支援プログラム
https://www.1stround.jp/
ARAV株式会社(よみ:アラヴ)について
概要 建設、林業、除雪、港湾、船舶機械に後付での搭載が可能な遠隔操作・自動運転ソリューション及び、自動化検証シミュレータを開発・提供
設立 2020年4月1日
所在地 東京都文京区本郷7-3-1 東京大学南研究棟アントレプレナーラボ
代表者 代表取締役 白久レイエス樹
URL https://arav.jp/
東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(東大IPC)について
概要 東京大学周辺のイノベーション・エコシステムの発展を目指す投資事業会社
設立 2016年1月
株主 国立大学法人東京大学(100%)
所在地 東京都文京区本郷7-3-1 東京大学南研究棟アントレプレナーラボ261
代表者 代表取締役社長 植田浩輔
URL https://www.utokyo-ipc.co.jp/
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザーログイン既に登録済みの方はこちら
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像