自社譲渡を選択しないのは「単独成長志向」と「現状への満足」
なぜ「いまは、自社の譲渡を考えない」のか?その背景に迫る経営者意識調査
M&A仲介を行う株式会社fundbook(本社:東京都港区、代表取締役: 渡邊和久、読み:ファンドブック、以下「当社」)は、「自社の譲渡を検討していない経営者」を対象に、その背景を探る意識調査を実施しました(対象者数:1,597名)。

■調査背景
M&Aの実施件数は近年増加しており、後継者難倒産が深刻化する中で事業承継の有効的な手段として実施されている他、企業の成長戦略としても活用されるようになってきています。しかし、帝国データバンクの調査では、「今後5年以内にM&Aで自社を譲渡する可能性がある(売り手または売り手・買い手両方になる可能性がある)と回答した企業の割合は約1割にとどまり、未だにM&Aによる譲渡が戦略として広く認識されていないことがわかります。

※出典:帝国データバンク「M&A に対する企業の意識調査:5年以内に『M&Aに関わる可能性がある』企業は約3割にとどまる」より当社作成
そこで当社では、「譲渡を検討していない経営者」を対象に、自社譲渡を検討しない理由や、どのような状況で譲渡を選択肢に入れるのかについての調査を実施し、譲渡未検討層の経営者におけるM&Aに対する考え方について分析しました。
■調査結果サマリ
1)自社の譲渡を検討しない主な理由は「単独成長志向」と「現状への満足」
2)自社の譲渡に抵抗感を持つ経営者は少数にとどまる
3)将来的に自社の譲渡を検討する主な要因は「後継者不在」「経営への疲れ」「単独成長の限界」
4)従業員規模が小さい企業ほど、将来の後継者不在に対する不安を抱えている
5)「単独成長志向」「現状への満足」を理由に譲渡を検討していない経営者は、順調な経営が続く限り譲渡を視野に入れていない傾向が見られる
■総括
今回の調査から、自社の譲渡を検討していない経営者の多くが「他社に頼らず、単独で成長したい」「現状の経営に特段の課題を感じていない」と考えていることが明らかになりました。近年ではM&Aに対するイメージは徐々に改善してきており、譲渡を検討していない理由として「他社の風土が入ってくることに抵抗がある」「自身や従業員の待遇が変わりそう」「周りから反対される可能性がある」「手続きが煩雑」などといった、M&Aに対するネガティブな要素を挙げる経営者は少数派にとどまっています。
将来的に自社の譲渡を検討するきっかけとしては「後継者がいない」「経営に疲れを感じてきた」「単独での成長に限界を感じた」など、経営者自身の「引き際」に関わる要因が主に挙げられました。特に従業員数が少ない企業ほど、後継者不在への不安を抱える傾向が強いこともわかりました。
また、「単独成長志向」や「現状への満足」を理由に譲渡を検討していない層の一部には、将来的にも自社の譲渡を視野に入れない可能性が高い経営者が存在することも明らかになりました。自社単独で経営が順調に推移する限り、自社の譲渡は戦略の選択肢に浮かびにくく、現状は経営者にとって緊急性や切実性が薄い実態がうかがえます。
■調査結果詳細
1) 自社の譲渡を検討しない主な理由は「単独成長志向」と「現状への満足」
譲渡を検討しない理由として「自社単独で成長させたい(36.9%)」「現状経営で困っていることがない(32.9%)」が特に多く、前向きな現状維持の姿勢を背景に譲渡が検討されていないことがうかがえます。

2) 自社の譲渡に抵抗感を持つ経営者は少数にとどまる
「他社の風土が入ることへの抵抗」「自身や従業員の待遇変化」「周りから反対される可能性」「手続きの煩雑さ」といった、譲渡に対するネガティブな理由を挙げる経営者は少数にとどまりました。譲渡を検討していないながらも、譲渡そのものに対して拒絶感を示す経営者は限定的であることがうかがえます。

3) 将来的に自社の譲渡を検討する主な要因は「後継者不在」「経営への疲れ」「単独成長の限界」
後継者に関する不安や経営疲れ、自社単独での限界など、自身の経営者としての「引き際」に関わることを機に譲渡を視野に入れる傾向があることがうかがえます。

4) 従業員規模が小さい企業ほど、将来の後継者不在に対する不安を抱えている
従業員数が少ない企業では、従業員数が多い企業に比べて後継者の確保が難しくなるため、将来的に後継者不在の問題に直面するリスクが高まります。そのため、事業承継の選択肢として譲渡を視野に入れていることがうかがえます。

5) 「単独成長志向」「現状への満足」を理由に譲渡を検討していない経営者は、順調な経営が続く限り譲渡を視野に入れていない傾向が見られる
現状の経営に満足していたり、今後も自社単独で成長していきたいと考えている経営者は、将来的にもM&Aを選択肢とする意向が薄い傾向にあります。

■調査概要
調査期間:2025年4月11日〜16日
調査機関:株式会社fundbook
調査対象:事前調査で「これまでに自社や事業の譲渡を実施・検討したことがありますか」という質問に対し「検討したことがない」と回答した20歳以上の経営者
有効回答数(サンプル数):1597名
調査方法:インターネット調査(fastaskを使用)
※データや画像を引用される際は、出典元として「fundbook」と明記し、以下のURLを記載いただきますようお願い申し上げます。
https://fundbook.co.jp/news/press/20250509-2/
■株式会社fundbook 会社概要
設立 :2017年8月7日
代表者 :代表取締役 渡邊和久
事業内容 :M&A仲介事業
本社 :東京都港区虎ノ門1-23-1 虎ノ門ヒルズ森タワー25階
資本金等 :20億円(資本剰余金含む)
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像