TiDB Cloudの新アーキテクチャ「TiDB X」を発表
処理内容に応じてリアルタイムにスケールする次世代クラウドデータベースへ
※このニュースは2025年10月8日に公開された英語プレスリリース「PingCAP Launches TiDB X and New AI Capabilities at SCaiLE Summit 2025」の内容をもとにしています。
PingCAP株式会社 (本社:東京都千代田区、代表取締役社長:Eric Han、以下 PingCAP) は、クラウドデータベース「TiDB Cloud」の新アーキテクチャ「TiDB X (タイデービー・エックス)」と、次世代のインテリジェントアプリケーションとエージェントを支える生成AIおよびエージェント型AIの革新的な技術を発表します。従来、データベースのスケーリングは処理量の増減に応じて行われるのが一般的でしたが、TiDBの新アーキテクチャでは、「処理量」だけではなく「処理内容」に基づいてスケールできる点が最大の特長です。これにより、ワークロードパターンやビジネスサイクル、データ特性に応じてデータベースがリアルタイムかつ柔軟に拡張・縮小することが可能となります。

新アーキテクチャの概要
-
TiDB X:オブジェクトストレージをTiDBの基盤とする新たな分散型SQLアーキテクチャ。コンピュート層とストレージ層を分離することで、インテリジェントなスケーリングを実現し、ワークロードの変化、ビジネスサイクル、データ特性にリアルタイムで適応します。
-
より賢い検索と推論:ベクトル検索、ナレッジグラフ、JSONやSQLを融合した統合クエリエンジンにより、より豊かなマルチホップクエリと深い洞察を実現。バージョン管理された分岐可能なストレージで長期記憶を可能にします。
-
AI開発者ツールキット:生成AIのための新たな基盤技術として、TiDB AI SDK、TiDB Reasoning Engine (推論エンジン)、TiDB MCP Serverを提供し、開発者が迅速にエージェント型ワークフローを構築・拡張することを可能にします。
-
LLM統合:OpenAI、Hugging Face、Cohere、Gemini、Jina、NVIDIAなどへの標準サポートにより、TiDBはAI開発者にとって最もオープンで柔軟な分散型SQLプラットフォームとなります。
新アーキテクチャによる革新
現代のアプリケーションとAIエージェントは動的で、予測不能なスパイクを起こし、トランザクション処理と分析クエリを混在させ、パーソナライズされたリアルタイム体験を提供するためにAIに依存しています。しかし、ほとんどのデータベースは依然として後追いでスケールし、インフラの限界に達してから初めてリソースを追加します。これはデータベースチームに絶え間ないジレンマをもたらしています。過剰にリソースを確保して予算を浪費するか、または不足したリソースでSLAを破るかの選択を迫られます。
TiDB Xはこのような状況に対応すべく、以下を実現します:
-
状況に応じたスケーリング — 単純なインフラストラクチャのしきい値ではなく、QPS、レイテンシ、クエリ構成、データの種類といった指標に基づいてスケーリングします。
-
流動的なワークロード対応 — OLTP、運用分析、ベクトル検索、時系列データ、AIワークロードをシームレスに横断し、すべてを単一プラットフォーム上で実現します。
-
予測可能なコスト算出 — 使用量ベースの料金体系を提供し、強制力のあるリクエストユニット (秒あたりのリクエストユニット数) 制限によりコストの透明性を実現します。
-
クラウドネイティブの回復力 — オブジェクトストレージによる無限の伸縮性を確保すると同時に、Raftによるキャッシュとコンピューティングノード全体での強い一貫性を維持します。
分散SQLのための画期的なアーキテクチャ
Pinterest社、Block社、Databricks社などの企業は、グローバル規模で業界をリードするパフォーマンスと信頼性を実現するため、長年TiDBを利用してきました。PingCAPはTiDB Xにより、インテリジェントなスケーリングの新たな基準を確立し、分散型SQLがOLTP、アナリティクス、ベクトル検索、AIワークロードにシームレスに適応することを可能にします。
ワークロード対応型スケーリングモデル:インフラではなくワークロードの動的変化によるスケーリング
新アーキテクチャのによるTiDB Cloudの利点
-
急激なトラフィックの増加時でもシームレスに拡張する低遅延トランザクション
-
数分で拡張または縮小する弾力的なストレージ
-
使用量ベースの課金による予測可能な請求と、強制可能な秒あたりのリクエストユニット数制限
-
ハイブリッドトランザクション処理、オペレーショナル処理、ベクトル検索、および最新のAIアプリケーションを標準でサポート
-
堅牢なテナント分離、深い可観測性、およびエンタープライズ向けセキュリティ機能により、SaaS環境と規制産業むけ環境をサポート
-
ベンダーロックインなし。クラウド、BYOC、自己管理型環境など、多様なデプロイメントオプションを提供
新しいアーキテクチャは、2025年末までにTiDB Cloud Dedicatedを除く全てのTiDB Cloudプラン (Starter、Essential、Premium) で利用可能となり、BYOC (Bring Your Own Cloud) も間もなく提供開始予定です。詳細情報または早期アクセスのお申し込みは https://www.pingcap.com/tidb/cloud/ をご覧ください。
PingCAPの共同創業者兼CEOのMax Liuは次のように述べています。
「AIが企業のあらゆる分野を変革する中、データベースはより動的になり、新たな予期せぬワークロードに適応しなければなりません。TiDB Xはこれを実現します。TiDBが誇るパフォーマンス、スケーラビリティ、信頼性に、AI時代における企業のニーズである柔軟性とコスト効率性を融合させたものです。これは分散型SQLアーキテクチャにおける大きな進歩であり、TiDBが開発者プロジェクトからミッションクリティカルな企業ワークロードまで、あらゆるニーズに対応できる基盤を築きます」
※本ニュースリリースに記載されている会社名・商品名は、それぞれ各社の商標または登録商標です。
TiDBについて
PingCAPの主力製品である分散型NewSQLデータベース「TiDB (タイ・デー・ビー)」は、ゲーム業界、金融、決済サービス、Eコマース、コンテンツサービス、ロジスティックスなど多種多様な業界やミッションクリティカルな場面での導入が進み、全世界で3,000社以上の企業に採用されています。TiDBは、MySQLやPostgreSQLなどの従来のリレーショナルデータベースと同様にSQLを使用してデータにアクセスすることができ、分散型のアーキテクチャにより水平方向の拡張性、強力な一貫性、MySQLとの互換性を備えた高い可用性、HTAP (ハイブリッドトランザクション/分析処理) 、クラウドネイティブを特徴としています。また、TiDBの機能をクラウド上で使用できるフルマネージドサービスのTiDB Cloudを提供しています。TiDB Cloudは、スケーラビリティとコスト効率に優れたオプションとして注目されており、また従来のデータベースの枠を超えた付加サービスを提供しています。中でも、OpenAIが提供するChatGPTとTiDB Cloudを組み合わせて開発した自然言語クエリジェネレータ「Chat2Query」はAIとデータベースを融合した最新技術として注目され、AIがユーザーのデータスキーマを理解して自動でクエリを生成、膨大なデータを超高速処理で分析し、リアルタイムで結果を返します。
PingCAPについて
PingCAPは、エンタープライズ向けのソフトウェアサービスプロバイダーとして2015年に設立され、オープンソースでクラウドネイティブなワンストップのデータベースソリューションを提供することにコミットしています。PingCAPの社名は、ネットワークの疎通を確認するために使用されるコマンド「Ping」とCAP定理の「CAP」の2つの単語を組み合わせています。3つのうち2つを選ばなければならないとされるCAP定理のC (Consistency – 一貫性)、A (Availability – 可用性)、P (Partition Tolerance – ネットワーク分断への耐性) ですが、この3つの全てに接続したい (Ping) という思いが込められています。PingCAPの詳細については https://pingcap.co.jp をご覧ください。
会社概要
会社名:PingCAP株式会社
所在地:東京都千代田区大手町2丁目6番4号 TOKYOTORCH 常盤橋タワー 9F
代表者:Eric Han (エリック・ハン)
設立:2021年3月15日
事業内容:分散型NewSQLデータベース「TiDB」を主力とした、オープンソースでクラウドネイティブなワンストップのデータベースソリューションを提供
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像