ispace、ミッション4を初号機とするシリーズ 3ランダー(仮称)の 熱・構造の基本設計審査を完了
熱構造モデル(STM)を使用した、熱真空試験など全環境試験が終了

株式会社ispace(東京都中央区、代表取締役:袴田武史、以下ispace)(証券コード9348)は、経済産業省のSBIR補助金を活用し、現在開発を進めているシリーズ3ランダー(仮称)の熱構造モデル(Structure and Thermal Model、以下STM)を使用した環境試験の完了を発表しました。これによりシリーズ3ランダーの基本構造設計および熱設計の検証が完了し、ミッション4打ち上げに向けた開発が着実に進んでいることを、お知らせいたします。
当社は、2025年4月より、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の筑波宇宙センターにて、シリーズ3ランダー(仮称)の熱構造モデル(STM)を使用し、同センター内の環境試験設備[i]で、振動試験、音響試験、熱真空試験の3種類の環境試験を実施しました。環境試験は、打ち上げ環境および宇宙環境を熱的あるいは機械的に再現し、宇宙機が直面する過酷な環境下で、ランダーの構造・熱設計が期待通り動作することを確認するものです。打ち上げ時に月着陸船が受ける激しい振動や、極端な温度環境(太陽光下で約130℃、影では−140℃)等、宇宙空間での耐性の検証や、真空状態での熱的特性の評価が行われました。これらの成果は、ispaceのエンジニアが過去2回のミッションの経験を活かし、後続ミッションの成功率を高めるための環境試験を迅速かつ柔軟に対応できる力を備えていることを示しています。
ispaceは、2023年10月に経済産業省が実施する「中小企業イノベーション創出推進事業」における宇宙分野の「月面ランダーの開発・運用実証」テーマに、予算額(補助上限)120億円の補助対象事業として採択を受け、ミッション4を初号機とするシリーズ 3ランダー(仮称)の開発を進めています。シリーズ 3ランダー(仮称)は、ミッション2で運用したRESILIENCEランダーより大型化された本格的商業化モデルであり、高さ約3.6m、幅約3.3m、重量約1,000kg(Dry: 無燃料時)、ペイロード積載可能容量は最大数百kgとなる見込みです。現在2027年[ii]に打ち上げを予定しているミッション3に続き、ミッション4は2028年[iii]の打ち上げとなる予定です。
この度の環境試験の結果は、次の開発段階である詳細構造設計に反映され、打ち上げに向けた構造設計の認定試験を行う構造モデル(Structural Model)で再度検証されます。ispaceは引き続き、ミッション4の宇宙空間における安全かつ安定した運用と、月面着陸の成功に向けて着実に開発を進め、フライトモデルの完成を目指していきます。

■ 株式会社ispace 代表取締役CEO & Founder 袴田 武史 コメント
「本日、当社のビジョン ”Expand our planet. Expand our future.”の実現に向けた新たな一歩として、シリーズ3ランダーの熱構造モデル(STM)の熱・構造の基本設計審査の完了をご報告します。シリーズ3ランダーは、ispace初の商業化モデルとして、複雑かつ大型のペイロードの輸送が可能となります。月への高頻度かつ低コストの輸送サービスを提供することを目指すispaceにとって、世界中の月ミッションに関する活動を加速することができるようになります。我々は“Never Quit the Lunar Quest”の信念のもと、挑戦者として、着実に次のミッションに向けて前進してまいります。」
■ 株式会社ispace CTO 氏家 亮 コメント
「ミッション4に向けて開発を進めているSeries 3ランダー(仮称)の、構造・熱モデルの環境試験を無事完了できたことを、大変嬉しく思います。ミッション1および2で得られた貴重なデータと、ispaceの知見を結集し、現在、開発は着実に前進しています。新型かつ大型となるこのランダーは、これまでの技術的挑戦の集大成であり、ispaceのミッションへの挑戦と進化を象徴する存在です。」
■ 株式会社ispace (https://ispace-inc.com/jpn/)について
「Expand our planet. Expand our future. ~人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界へ~」をビジョンに掲げ、月面資源開発に取り組んでいる宇宙スタートアップ企業。日本、ルクセンブルク、アメリカの3拠点で活動し、現在約300名のスタッフが在籍。2010年に設立し、Google Lunar XPRIZEレースの最終選考に残った5チームのうちの1チームである「HAKUTO」を運営した。月への高頻度かつ低コストの輸送サービスを提供することを目的とした小型のランダー(月着陸船)と、月探査用のローバー(月面探査車)を開発。民間企業が月でビジネスを行うためのゲートウェイとなることを目指し、月市場への参入をサポートするための月データビジネスコンセプトの立ち上げも行う。2022年12月11日には SpaceXのFalcon 9を使用し、同社初となるミッション1のランダーの打ち上げを完了。続くミッション2も2025年1月15日に打上げを完了した。これらはR&D(研究開発)の位置づけで、ランダーの設計および技術の検証と、月面輸送サービスと月面データサービスの提供という事業モデルの検証および強化を目的としたミッションであり、結果、ispaceは月周回までの確かな輸送能力や、ランダーの姿勢制御、誘導制御機能を実証することが出来た。2027年には[ii]、米国法人が主導するミッション3(正式名称:Team Draper Commercial Mission 1)の打ち上げを予定しており、ミッション1、2で得られたデータやノウハウをフィードバックした、より精度の高い月面輸送サービスの提供によって、NASAが行う「アルテミス計画」にも貢献する計画。さらに、2028年[iii]、経産省SBIR補助金を活用し、現在日本で開発中のシリーズ3ランダー(仮称)を用いたミッション4の打ち上げを予定している。
i JAXAの「環境試験設備等の運営・利用拡大事業」の制度下で設備を利用
ii 2025年10月時点の想定
iii 当初2027年内として経済産業省及びSBIR事務局と合意しておりましたが、2025年10月時点では当社内の開発計画上、2028年内の打上げとなることを見込んでおります。本変更については、関係省庁及びSBIR事務局と調整中の段階であり、最終的には経済産業大臣省の認可を受領の後、正式に計画変更が認可されることとなります
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